SSブログ

ヒトラーの親衛隊 [SS/ゲシュタポ]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「ヒトラーの親衛隊」を読破しました。

親衛隊をテーマにしたものは日本でもいくつか出版されていますが、
この本はある意味「決定版」と言えるかも知れません。
親衛隊の成り立ちから始まり、ヒムラーの異常な思想についても
1章ガッチリ書かれています。
同じクノップの「ヒトラーの共犯者」におけるヒムラーの章よりボリュームもありますが
残念ながら、重複部分もあるのは否めません。

ヒトラーの親衛隊.JPG

次はラインハルト・ハイドリヒです。これも1章まるまるハイドリヒとなっており、
特に奥さんへのインタビューが印象的です。
これによれば、夫ラインハルトはベッドてもロクに眠れないほど苛まれていたことが
あったようで、決して冷酷なサディストではなかったと証言しています。
個人的にハイドリヒは一番興味ある人物なので、このハイドリヒだけで一冊欲しいくらいです。

Reinhard Heydrich.jpg

この本での最大の山場「髑髏部隊」の章では、強制収容所から
アインザッツグルッペによるユダヤ人大量虐殺についてこれでもかと書かれています。
言葉は悪いですが、ホロコーストに対する入門編としては最適かもしれません。

武装親衛隊についても客観的に述べられており、
例えばヴィットマンの戦車撃破数等についても宣伝である可能性に注意とか、
パンツァー・マイヤーやヨッヘン・パイパーの捕虜殺害命令についても言及しています。

Joachim Peiper.jpg

最後には戦後の秘密組織オデッサについて。
フォーサイスが「オデッサ・ファイル」として書いたことでも良く知られていますね。
ムッソリーニ救出で有名なオットー・スコルツェニーがリーダーであるという
噂に対しても調査をしていますが、結論からいえば、やはり謎の組織のままです。

Otto Skorzeny.jpg

しかし、大量のSS隊員が海外逃亡に成功した大きな理由はヴァチカンと国際赤十字にあり、
オデッサがどれだけのことをしたとしても、所詮アマチュアであるとしています。

この本は日本で2003年の出版ですが、原書も最近のもので親衛隊における最新の調査結果と
いえるでしょう。



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五月の嵐 -ドイツ電撃作戦とダンケルク- [戦記]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

真砂博成 著の「五月の嵐」を読破しました。

ドイツ軍によるフランスへの電撃戦によって、ダンケルクに追い詰められた
英国派遣軍とフランス軍を救出する「ダイナモ作戦」に焦点を当てた一冊で、
これほど有名ながら詳細に書かれたものはあまりありません。

五月の嵐.JPG

まずはドイツがフランス侵攻に至るまでの経緯がしっかり書かれており、
お馴染みのマンシュタインの計画採用や
グデーリアン、ロンメルといった将軍の進撃っぷりもなかなか充実していますので、
ダンケルク包囲がなぜ起こったのかもこれだけで理解できます。

dunkirk2.jpg

また、ドイツ側と英仏側もエコ贔屓なく(ヒトラーとゲーリングには否定的かな?)
描かれているので、どちらにも肩入れできる状況です。
ただし、いまだに諸説入り乱れる「包囲後、戦車師団を停止させたヒトラーの決断」については
この本でも明確にはなっておらず
①「南の側面を警戒した」ルントシュテット説、
②「ルフトヴァッフェに任せろ」のゲーリング説、
③「イギリス軍の全滅を敢えて避けた」ヒトラー説と不明なままです。
個人的にはどれかひとつではなく、複数の要因がたまたま重なり合ったのでないか
と考えています。例えば、①⇒③⇒②のように・・・。

dunkirk.jpg

そしてクライマックスの救出劇はかなりの迫力をもって描かれており、なかなか感動的です。
ジャン・ポール・ベルモント主演の「ダンケルク」のDVDを思わず買ってしまいました・・・。





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脱出記 -シベリアからインドまで歩いた男たち- [収容所/捕虜]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

スラヴォミール・ラウイッツ著の「脱出記」を読破しました。

1939年のドイツ侵攻、そして東からはソヴィエトが・・という状況のもと、
スパイ容疑でNKVDに捕らえられ、25年の刑でシベリア送りとなった
ポーランド騎兵が主人公の壮大な脱出劇です。
その過程でヒマラヤの雪男に遭遇したという話から、有名かつ真偽も不明といわれているようですが、
そんなことを除いても、個人の体験記として素晴らしいものであることは間違いありません。

脱出記.JPG

前半の拷問シーン、シベリアの強制収容所までの死の行軍という絶望的な状況を経て、
仲間との脱走、同じように別の収容所から一人逃げてきた少女クリスティーナとの出会い、
さらにモンゴルからゴビ砂漠の縦断、ヒマラヤ山脈を踏破してインドへ・・・。
ユーラシア大陸を1年かけて徒歩で縦断するという逃走劇です
(草刈正雄主演の「復活の日」を思い出しました)。

常に追われているという恐怖、そして飢えと渇き、
さらに怪我に悩まされながらという展開ですが、
彼らにとってのオアシスとなった(読者にとっても)クリスティーナが花を添えてくれます。
しかし、それも束の間、灼熱のゴビ砂漠では非情な現実が待ち受けています。
それはとてもここで書けるものではありません。ぜひ読んでください。

いわゆる戦記ものではありませんが、第2次大戦初期のソヴィエトを含む東欧が舞台であり、
当時のバルト3国やフィンランド、ユーゴスラヴィアの情勢を
理解している人ならば、更に楽しめるでしょう。
とは言ってみるものの、正直、今のところ2度と読みたくありません。
「ゴビ砂漠」があまりにも辛い・・・。



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大西洋の脅威U99 -トップエース クレッチマー艦長の戦い- [Uボート]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

テレンス・ロバートソンの「大西洋の脅威U99」を再度、読破しました。

第2次大戦中、全海軍における最高の撃沈トン数を誇る大エース、サイレンス・オットーこと
オットー・クレッチマーの戦いの記録です。
興味深いのは、当時ウィンストン・チャーチルをして「Uボートは卑劣な悪漢」と言わしめた
そのUボートの最高のエース、即ち「卑劣極まる大悪漢」であるクレッチマーの物語を
終戦からたった10年後にその敵国が発表したということです。

U99.JPG

訓練生時代には、後に戦艦ロイヤルオーク撃沈して一躍名をはせるギュンター・プリーン
同じくエースとなったヨアヒム・シェプケがおり、個性もまちまちな彼らは仲間として、
時にはライバルとして開戦初期に大きな戦果を挙げていきます。

Otto Kretschmer.jpg

特にクレッチマーは夜の闇に紛れて、浮上したまま船団内に突入し、
「一雷一隻」という文字通りの独自の戦術を編み出したことで、Uボート戦術に革命を起こし
(クレッチマー行進曲まで出来る始末)、Uボート指令デーニッツにも高く評価され、
司令部任務を打診されますが、彼は断り続けます。

u_99.jpg

やがて1941年3月の運命の哨戒において、U47のプリーンとU100のシェプケが撃沈されますが、
U99のクレッチマーはなんとか生き延び、英国の捕虜となります。
特にシェプケの戦死は壮絶で、何度読んでも胸が痛くなります。。
後半は捕虜収容所での生活が描かれますが、なにか映画「大脱走」のドイツ版という雰囲気です。

schepke.jpg

Uボート戦記としては入門編とも言えるもので、この道を志す人は必ず一読すべきでしょう。



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狐の足跡 -ロンメル将軍の実像- [ドイツ陸軍]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ディヴィッド・アーヴィング著の「狐の足跡」を読破しました。

「ヒトラーの戦争」等でも賛否両論の評価を受けるアーヴィングのロンメル伝記です。
著者のアーヴィングはロンメルの夫人へ宛てた手紙や戦闘日誌を中心に
様々な文書と戦後の関係者へのインタビューからこの本を構成しています。

狐の足跡.JPG

上巻では生い立ちから第1次大戦での活躍によってプール・ル・メリット章を受章、
ヒトラーとの出会いとポーランド侵攻、そして北アフリカへと展開していきます。
貴族階級の出身でもなく、背が低いなど若い頃の帝国陸軍時代のコンプレックスは
元帥になっても変わらぬことのない、パワーの源であるようにさえ感じます。
北アフリカでは戦術をめぐり、部下の師団長との衝突/解任や
ソ連侵攻を知らさせていなかった等、一般的なイメージより人間としての
苦悩が良く表わされています。

Rommel&Kesselring.jpg

そして下巻ではあまり知られていないイタリア防衛の任(北イタリア司令官)に就きますが
北アフリカでの盟友、南方軍総司令官のケッセルリンクとは仲たがい気味になっていきます。
ツィタデレ作戦の陰でロンメルが何をしていたのか・・?初めて知りました。

その後、西方におけるB軍集団司令官として、上官である西部方面総司令官ルントシュテットとも
意見の食い違いを見せながらも連合軍上陸を阻止すべく、フランスの海岸を
溢れるアイディアとエネルギーによって、改造?していきます。
しかし、本国へ帰国している僅かなスキにDディを向かえ、すべては後手後手となり、
さらにはシュタウフェンベルクによる、ヒトラー暗殺未遂事件が発生します。
この時期、ロンメルの参謀長であったシュパイデル将軍がクーデターの一味だったことで、
ロンメルの運命は決まってしまいます。
特にこの下巻においてはヒトラー暗殺計画へのロンメルの関与があったのかどうかが
大きな焦点となっています。

Rundstedt&Rommel.jpg

ロンメルに否定的と言われている本書ですが、決してそのようなことはなく、
逆に「砂漠のキツネ」と呼ばれた超人的な英雄が、実は人間味溢れる叩き上げの軍人であり、
父親または夫であるという、当然の内容であると思います。





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