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ワインと戦争 -ヒトラーからワインを守った人々- [フランス]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ドン&ペティ・クラドストラップ著の「ワインと戦争」を読破しました。

第二次大戦中のドイツ占領下のフランスにおける、ワイン生産者たちの戦いの記録です。
ボルドーではシャトー・ラフィットやピション・ラランド、
ブルゴーニュではロマネ・コンティやクロ・ドゥ・ヴージョ、
シャンパーニュではランソンやテタンジェ、
ロワールではヴーヴレのユエ家、アルザスのヒューゲル等
ワイン呑みなら全て知ってる有名どころが目白押しです。
逆にドイツ軍はどうかと言うとゲーリングが「陸軍元帥」と書かれていたりと
原書の問題か訳者の知識か、ちょっと扱いはよくありません。

ワインと戦争.JPG

当時のフランスのワイン生産者たちは戦争の匂いを嗅ぎつけると
地下貯蔵庫等にストックされたワインを隠す努力をしますが、
いざ占領されてしまうとアッサリ見破られ、ドイツ将校に呼ばれます。
そして「なぜ隠すのだ?我々を泥棒だとでも思っているのか?」
という、プロイセンの貴族出身のような将校に当たれば幸運ですが
勿論、そればかりではなかったようです。

ラフィット.jpg

アルザス地方もドイツ読みのブドウ品種やワインが多く、
地理的にドイツに近いことから程度にヴィトゲンシュタインは考えていましたが
個人的に好きなワインでもある300年続く名門のヒューゲル家のおじいさんが
普仏戦争でドイツ人、第一次大戦後にフランス人になり、第二次大戦で再びドイツ人、
そして終戦後に再度フランス人として亡くなった・・。と笑い話では済みません。
アルザスの人々が自らをアルザス人と称するのも頷けます。

ヒューゲル.jpg

占領下、ドイツにしか輸出できなくなり、生産者たちは高級ワインのラベルの貼ったボトルに
質の劣るワインを詰めて大量に出荷したり、ドイツ軍が汽車に積み込む前の樽詰めワインの中身を
水に入れ替えたりと、ささやかな抵抗を試みます。
しかし、戦局もドイツが劣勢になってくると、パルチザン運動が活発化してくることも相まって、
ゲシュタポに捕らえられたりとその抵抗も命賭けのものとなっていきます。

ボルドーも港の破壊指令が出されながらも、間一髪救われた所などは
「パリは燃えているか」ばりの話であり、この本によって初めて知ることができました。
終戦時、アメリカ軍を出し抜いたフランス解放軍がベルヒテスガーデンへ一番乗りし、
大量のワインを発見した話や
フランス将校専用の捕虜収容所での生活(ワインパーティを開催!)など
登場人物が多いこともあり、バラエティにとんだ内容です。



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