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第6軍の心臓 -1942-3年 スタリングラート地下野戦病院- [戦争小説]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

H.G.コンザリク著の「第6軍の心臓」を読破しました。

第6軍といえばスターリングラードです。
スターリングラードの野戦病院で戦う従軍医師を主人公に、ソ連側も含め、
個性溢れる登場人物たちが織り成す人間模様といったところでしょうか。
そうは言っても、舞台はまさに修羅場。
ドイツ映画「スターリングラード」を御覧の方はイメージしやすいでしょう。
そしてその野戦病院が物語の中心ですから、血なまぐさくもあります。
タイトルは包囲された第6軍の将兵に突然死が続発したことに由来しています。

第6軍の心臓.JPG

しかし、ソ連側の登場人物も決して悪役ではなく(むしろドイツ側に悪役が・・)、
第6軍の置かれた絶望的な状況の中でフッと笑えるほのぼのとした人間味溢れるエピソードが
この小説を暗い気持ちにさせることなく、一気に読ませる特徴となっています。

特に部下をほとんど失った師団長が、野戦病院で出会った生き延びることに執着する大佐を引き連れ
ソ連陣地に突撃していくシーンは、それまでが絶望的なゆえ、爽快かつ感動的ですらあります。

作者のコンザリクは東部戦線への従軍経験から、この本を含め独ソ戦3部作を書いています。
小説とはいえ、独ソ戦がハッピーエンドとなるわけもなく、機甲部隊の壮絶な会戦や
スナイパー同士の駆け引きもありません。あるのは最悪の現実を受け入れ、生きていく人間のみです。

懲罰大隊を描いた「極限に生きる」、「スタリングラードの医師」とドイツでの評価も高く、
映画化もされています。



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