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ヒトラーの共犯者(下) -12人の側近たち- [ヒトラーの側近たち]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「ヒトラーの共犯者(下)」を読破しました。

アイヒマン、シーラッハ、ボルマン、リッベントロップ、フライスラー、メンゲレという
上巻に比べるとややマイナー?なメンバー構成ですが、この本以外では
なかなか主役としてはお目にかかれないメンバーでもあり、大変勉強になりました。

共犯者下.JPG

アイヒマンとメンゲレはホロコースト、特にアウシュヴィッツ関連に良く登場しますし、
シーラッハもヒトラー・ユーゲント関連、ボルマンも「ヒトラー最後の・・」系には欠かさず、
リッベントロップも「ヒトラーの外交官」という本が出ています。

ということで、個人的には裁判所長官のフライスラーがとても興味深く読めました。
映画「白バラの祈り」でも特別に印象的な、サディスティック極まりない裁判官として登場しましたが
(あの役者「アンドレ・ヘンニック」さんは「ヒトラー最後の12日間」ではモーンケSS少将を演じてます。
さらにTVドラマの「GSG-9」でもレギュラーの隊長役です。異常にアクが強い方です)、

白バラ.jpg

この本の写真を見ると、負けず劣らず悪そうな顔をしています。
特に眼つきは尋常じゃありません。
もともとナチ党専属の弁護士としてヒトラーに従い、政権獲得後に長官に登りつめたという人物です。

Freisler.jpg

しかし、ヒトラー側近を含むナチ党員や軍人、国民の誰からも嫌われていたということや
ヒトラー本人からもほとんど相手にされないなかで、良くソコまで出世したものです。
そこら辺の出世欲と策士っぷりもしっかりと書かれてはいますが・・。
結果的には「戦死」してしまいますが、もし、終戦まで生き延び「ニュルンベルク裁判」に立たされたら、
いったい何をどのように喋ったのでしょうか?
自己保身に走ったのか、それとも古参ナチ党員としてプライドを見せたのでしょうか?
いずれにしても「死刑」は免れなかったでしょうが。。。



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ヒトラーの共犯者(上) -12人の側近たち- [ヒトラーの側近たち]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「ヒトラーの共犯者(上)」を読破しました。

著者のクノップはドイツでドキュメンタリー番組制作を行っており
日本でもNHKでの放送、DVDなどが発売されていることでも知られています。
この上巻ではゲッベルス、ゲーリング、ヒムラー、ヘス、シュペーア、デーニッツという
ヒトラーの大物側近たちについて当時の彼らの立場から責任を追及しています。
当然、最初の4人はヒトラーが政権を取る以前からの側近であることから、ナチ党の
変化していく姿も理解することができます。

共犯者上.JPG

ゲッベルスは自殺したとはいえ、「ゲッベルスの日記」が残されていることから、
彼が最初から最後まで何を考え、誰を味方/敵としていたのかが良くわかります。
ゲーリングもニュルンベルク裁判でのやりとり、連合国による精神分析や発言、
または、空軍総司令官にして、国家元帥として表立っていたこともあり、
多くの証言が残されています。

しかし、SS全国指導者ヒムラーはあまりに不可解な人物であり、
ゲッベルスのような日記もなければ、ゲーリングにように表舞台に出たことも、
裁判も受けていないことで、限られた関係者の証言等から分析するしかありません。
この本では44年7月20日のヒトラー暗殺未遂の情報をヒムラーは掴んでいながら
連合軍との和平交渉を視野に入れた上で、あえて無視した(実行させた)としています。

Heinrich_Himmler.jpg

副総裁ヘスも謎めいています。ナチ党創世記からのヒトラーの秘書的立場から、
その後のヒトラー及び党からも徐々に信用を失っていき、
やがて独断で英国との和平交渉に文字通り飛んで行く・・。
果たしてヒトラーは知っていた(命令した)のか?
その後のニュルンベルク裁判における狂人の振る舞い。
そして英国で収監されたまま、90歳を過ぎた1987年に死亡するまで真実を語らず、
また、その自殺といわれる死に関しても疑惑があるとしています。

hess1.jpg

シュペーア、デーニッツの2人は戦犯として服役したものの、釈放され、
それぞれ「10年と20日間」、「ナチス 狂気の内幕」という有名な自伝を残しています。
その中で彼らは自身のホロコーストへの関与は否定していますが、
クノップは大ボラだと断罪しています。
クノップは基本的に取り上げた人物について批判的な姿勢であるので
このあたり、どちらが真実なのかという解釈は読者の判断となるでしょう。



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最強の狙撃手 [ドイツ陸軍]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アルブレヒト・ヴァッカー著の「最強の狙撃手」を読破しました。

新兵として東部戦線へ送られ、敵の砲弾が雨あられと降り注ぐ中、
こんなトコでは直ぐにおっ死んじまうとばかりに、たまたま手にした狙撃銃を持って、
歩兵から狙撃兵に転向した若者の体験談です。
いわゆるスナイパー物が好きな方はジュード・ロウ主演の映画「スターリングラード」の
原作でもある「鼠たちの戦争」を思い浮かべるかも知れませんが、
あちらはあくまで小説なのに対し、こちらはロシアの最前線に於けるドイツ軍の最悪な
状況がリアルに描かれているのが特徴です。

最強の狙撃手.JPG

それはもう、出だしから強烈で、たこ壺で砲弾から身を守っていると
隣のたこ壺から名作反戦映画「ジョニーは戦場へ行った」の「ジョニー」の
喋れる系のヤツが飛んできて「なんだ!ナニが起こったんだ!目か見えない!うぉあ~!!」
と喚き散らしながら、のた打ち回ったり、(「ジョニー」の喋れる系のヤツでわからない人は、
この本を読むか、或いは映画もぜひ観てください)、
カミさんをソ連兵10数人に強姦された挙げ句、○○されて殺される様を目の前で見ていたダンナが
その直後、一転、ドイツ兵の捕虜となったソ連兵に斧を持って狂気の逆襲を行うシーンなど・・。
また、こういった類の写真(主に死体です)が若干載っているのも、一層リアルに感じます。
このような主人公の戦いはドイツ軍が後退しながらの状況のもので、まもなく終戦を迎え、
徒歩で故郷を目指して行きます。

スナイパー章.jpg

しかし狙撃兵というのは相手から見れば卑劣なヤツというのが万国共通のようで、
一度敵の手に落ちればとんでもない拷問というか、処刑が待っています。
よって主人公もいざ敗走となると、狙撃銃はとっとと棄てて一般歩兵のフリして逃走します
(スナイパー章などは捕虜になったことを考えると恐ろしくてとても付けられなかったそうな・・)。
ただ、結構新しい本なので、本当に一人の狙撃兵の体験談なのかというのは微妙なとこですね。

何はともあれ、B級の戦争映画を観るより、戦場の強烈なインパクトを与えてくれる一冊です。
ヴィトゲンシュタインは繊細なので、夢にも出てきます。
ですが、独ソ戦に興味のある方は、女性を除き、必ず読むべきだと思います!





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ヒットラー・ユーゲント SS第12戦車師団史 [ヒトラー・ユーゲント]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

フーベアト・マイヤー著の「ヒットラー・ユーゲント」を読破しました。

ノルマンディでの壮絶な戦いっぷりで連合軍から恐れられた「ベイビー・ミルク師団」こと
ヒットラー・ユーゲント師団の、その創設から訓練、ノルマンディからバルジの戦い、
ハンガリーでの「春の目覚め」作戦、そして終戦後までを師団の作戦参謀であった
フーベアト・マイヤーが自身の記憶と調査によってまとめたものです。

ヒットラー・ユーゲント.JPG

ハードカバー上下巻の1000頁を超える大作であり、如何にも作戦参謀らしい、緻密な書きっぷりで
読む側にも集中力と忍耐力を要求します。
しかし、所々で挿入される将兵の回想や日記などの記録は非常に生々しく、
その時の状況が目に浮かぶようです。
また、ドイツ語のカナ表記については、フーベアト(一般的にはフーベルト)のように「R」の発音を
統一しており、よって「パンツァー・マイヤー」ことクルト・マイヤーもクアト・マイヤーとなっています。
そしてもうひとつ全体を通して統一されていることは、著者個人の見解を極力押さえ、
事実をあるがまま伝えようとする姿勢です。

Fritz Witt.jpg

ノルマンディでの戦いやバルジの戦いという大きな(軍集団規模)戦いでは、
たった一個師団に閉じていては全体像が見えにくくなることもあって、
上位であるSS戦車軍、B軍集団、西方方面軍司令部などの状況や指示についても
必要最低限述べられており、また隣接する部隊(戦車教導師団やLAH等)も
合同作戦であるため頻繁に登場します。
特に第101重戦車大隊のヴィットマンの最後についてもページが割かれていて、嬉しい驚きでした。
上巻ではノルマンディでのカーン防衛戦の途中までとなっており、
初代師団長のフリッツ・ヴィットの死にも遭遇します。

Hogo Kraas.jpg

下巻はノルマンディで消耗しつくしたヒットラー・ユーゲント師団が後方での再編成、
そして息つく暇もなく「バルジの戦い」へと駆り出されていきます。
しかし、これ以降一個師団としてのまとまった戦いはほとんどなくなり、
大隊、中隊、戦闘団といった単位での戦いとなっていきます。
ハンガリーでの戦いでは反撃、後退を繰り返し、ほとんど師団として崩壊しています。
そして捕虜となったフーゴ・クラース師団長の日記は非常に興味深く、
パウル・カレルの名著「捕虜」を思い出しました。
また、戦車連隊長として有名なマックス・ヴュンシェも捕らえられ、
英国に移送される様も語られています。

Meyer&Wünsche.jpg

WWⅡにおける師団史としては、国内で発行されているものの中の最高峰でしょう。





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砂漠の狐を狩れ [戦争小説]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

スティーヴン・プレスフィールド著の「砂漠の狐を狩れ」を読破しました。

たまには気分を変えて「小説」です。
最近、本屋さんで偶然見かけましてタイトルだけで飛びつきました。
実際、北アフリカ戦線では英国軍がロンメル殺害を目論んだものの
見事、失敗に終わったという作戦は有名で、一見その話かとも思いましたが
本書の作戦はまったく別のフィクションでした。

砂漠の狐を狩れ.JPG

英国軍の「長距離砂漠挺身隊」へ配属となった主人公の若者が、
砂漠での様々な困難と葛藤を乗り越え、指揮官として一人前になっていくという物語で
発足間もない「SAS」との共同作戦による特殊部隊ものという見方もできるでしょう。

よく云われる「騎士道精神」に則った両軍の戦い方も伝わってきますが、
やはり、そこは戦争。凄惨な殺し合いになる場面もあり、主人公も苦悩します。

Rommel.jpg

後半は「このタイトルはどうなったの?」と思わせる展開となっていきますが、
最後にはある意味どんでん返しが待っています。
とは言っても、もちろん見事ロンメルを殺害し、ミッション・コンプリートとなるわけがありませんが・・。
できればこの本を読む前に「砂漠のキツネ」や「ロンメル将軍」などを読んでおきたいですね。

すでに有名な映画プロデューサーである、ジェリー・ブラッカイマーが映画化権を獲得し
著者のプレスフィールドと「ブレイブハート」のランドール・ウォレスが脚本を書くということです。
ロンメル役は誰になりますかね?
今なら「エド・ハリス」なんて最高だと思うんですけど・・。

エド・ハリス_スターリングラード.jpg



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