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ヒットラー・ユーゲント SS第12戦車師団史 [ヒトラー・ユーゲント]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

フーベアト・マイヤー著の「ヒットラー・ユーゲント」を読破しました。

ノルマンディでの壮絶な戦いっぷりで連合軍から恐れられた「ベイビー・ミルク師団」こと
ヒットラー・ユーゲント師団の、その創設から訓練、ノルマンディからバルジの戦い、
ハンガリーでの「春の目覚め」作戦、そして終戦後までを師団の作戦参謀であった
フーベアト・マイヤーが自身の記憶と調査によってまとめたものです。

ヒットラー・ユーゲント.JPG

ハードカバー上下巻の1000頁を超える大作であり、如何にも作戦参謀らしい、緻密な書きっぷりで
読む側にも集中力と忍耐力を要求します。
しかし、所々で挿入される将兵の回想や日記などの記録は非常に生々しく、
その時の状況が目に浮かぶようです。
また、ドイツ語のカナ表記については、フーベアト(一般的にはフーベルト)のように「R」の発音を
統一しており、よって「パンツァー・マイヤー」ことクルト・マイヤーもクアト・マイヤーとなっています。
そしてもうひとつ全体を通して統一されていることは、著者個人の見解を極力押さえ、
事実をあるがまま伝えようとする姿勢です。

Fritz Witt.jpg

ノルマンディでの戦いやバルジの戦いという大きな(軍集団規模)戦いでは、
たった一個師団に閉じていては全体像が見えにくくなることもあって、
上位であるSS戦車軍、B軍集団、西方方面軍司令部などの状況や指示についても
必要最低限述べられており、また隣接する部隊(戦車教導師団やLAH等)も
合同作戦であるため頻繁に登場します。
特に第101重戦車大隊のヴィットマンの最後についてもページが割かれていて、嬉しい驚きでした。
上巻ではノルマンディでのカーン防衛戦の途中までとなっており、
初代師団長のフリッツ・ヴィットの死にも遭遇します。

Hogo Kraas.jpg

下巻はノルマンディで消耗しつくしたヒットラー・ユーゲント師団が後方での再編成、
そして息つく暇もなく「バルジの戦い」へと駆り出されていきます。
しかし、これ以降一個師団としてのまとまった戦いはほとんどなくなり、
大隊、中隊、戦闘団といった単位での戦いとなっていきます。
ハンガリーでの戦いでは反撃、後退を繰り返し、ほとんど師団として崩壊しています。
そして捕虜となったフーゴ・クラース師団長の日記は非常に興味深く、
パウル・カレルの名著「捕虜」を思い出しました。
また、戦車連隊長として有名なマックス・ヴュンシェも捕らえられ、
英国に移送される様も語られています。

Meyer&Wünsche.jpg

WWⅡにおける師団史としては、国内で発行されているものの中の最高峰でしょう。





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ハッポの父

ヴィトゲンシュタイン様こんばんは!

大掃除に疲れてへろへろのおっさんです。
自分へのご褒美に早めに飲み始めながら、この本を読み返し始めました。以前読んだときは、早く戦闘場面が読みたくて最初のあたりは読み飛ばした覚えがあるのでじっくり読み返しています。侵攻前の緊張感・若い兵士たちの気持ちの高ぶりなどがひしひしと感じられておもしろい!ですね~!


私事ですが、母親が一月前に永眠しましたので、新年のご挨拶は控えさせていただきます。
by ハッポの父 (2014-12-30 17:34) 

ヴィトゲンシュタイン

ど~も、こんばんわ。

なつかしい記事ですねぇ。
それにしても1000ページの大作・・、ボクには読み返す勇気が。。

1ヶ月前に出た「ドイツ・アメリカ連合作戦」というセンスの欠片もない本が気になっています。
これは終戦間際に起こったダラディエにガムランといったフランス人有名捕虜のいるイッター城をSS大尉と陸軍少佐、米軍の小部隊が合同で解放しようとするものの、そうはさせじと武装SSゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンが攻めてくる・・という実話です。

しかしその前にこの話をテーマにしたと云われているジャック・ヒギンズの
「ヴァルハラ最終指令」を読みました。
悪の総帥ボルマンががっちり絡み、収容所である城に攻め込む主役は、SS重戦車大隊で100両撃破の大エース、剣章受章者の少佐と軍曹の砲手、まるでノルマンディで死ななかったヴィットマンとヴォルのコンビみたいですし、彼が流れで率いることになるのは元ヴィーキングの敗残フィンランド部隊という設定も悪くないです。
面白くて2日で読んじゃいました。

最近はいろんな本に手を出していますが、やっぱり武装SSモノは良いですねぇ。
by ヴィトゲンシュタイン (2014-12-30 19:27) 

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