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史上最大の作戦 [戦記]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

コーネリアス・ライアン著の「史上最大の作戦」を読破しました。

ヒトラー最後の戦争」、「遥かなる橋」に続いて、コーネリアス・ライアンの
デビュー作にして、おそらく最も有名な一冊の紹介です。
原題は言わずと知れた「THE LONGEST DAY」。
などと、さも当たり前のように書いていますが、何を隠そう、今回、初めて読みました。
実は映画も昔TVで1回観ただけ・・という、個人的にはあまり馴染みと
思い入れのない作品です。

史上最大の作戦.JPG

映画を記憶から呼び覚ましてみても、白黒映画のオールスター・キャストで
多種多様な国籍の人物たちが入れ替わり登場するといった印象で、
俳優ではアメリカ軍の空挺部隊を率いて、確か足を痛めて部下に迷惑をかけまくる
ジョン・ウェインと、ノルマンディに上陸したヘンリー・フォンダ。
そしてすっ呆けた感じの英国兵ショーン・コネリーが思い浮かびます。

THE LONGEST DAY Sean Connery.jpg



まずはロンメルの元帥杖のなぜか詳細な解説から始まる本書は、
そのまましばらく、この西部方面軍司令官のルントシュテット
参謀長のブルーメントリット、そしてロンメルのB軍集団参謀長のシュパイデル
ロンメルの副官を務め、本書の重要な人物でもあるヘルムート・ラング大尉らが紹介され、
連合軍の上陸を阻止するための「大西洋の壁」の実態とロンメルの奮戦する様子と続きます。

Marshal's_baton_of_Rommel.jpg

正直なところ、本書は連合軍寄りでアイゼンハワーが中心か・・と
勝手に想像していただけに、この展開には嬉しい驚きです。

そしてその連合軍が遂に「オーヴァーロード作戦」を決断する過程と
フランスのレジスタンスへの暗号と続き、ノルマンディの沖合いに
大小合わせて5000隻という大船団が出現します。
ポケット戦艦グラーフ・シュペーを自沈に追い込んだ、英国巡洋艦エイジャックスなど以外にも
優雅な帆船からオランダ、ノルウェーにポーランド海軍までも参加するという
正に史上最大の大連合艦隊です。

THE LONGEST DAY poster.jpg

第15軍司令官のフォン・ザルムート将軍は有名な暗号の詩を受信した情報を知らされても
のんびりとトランプを続けるといった、おっとりなのか、胆が据わっているのか
良くわからない人物で、
他にも第711師団司令部に誤って降下してしまった英国兵がライヘルト少将に
「どうもすいません、将軍・・」とほのぼのしたエピソードも結構出てきます。

generaloberst hans von salmuth.jpg

第82、および第101空挺師団と、アメリカ軍空挺モノですっかりお馴染みとなった
ギャビン准将も頻繁に登場。
この中盤では夜明け前の降下作戦が展開され、映画でも印象的だった
サント・メール・リグリースの教会での攻防も詳しく書かれています。
パチンとなるブリキの玩具やダミーのパラシュート兵と続き、
あ~、こんなシーンあったなぁ・・と。。

THE LONGEST DAY german poster.jpg

↑ のドイツ版ポスターは強烈ですね・・。特にジョン・ウェインとロバート・ミッチャムは
地獄からの使者というか、ほとんどゾンビみたいです。。
これじゃあドイツ兵が我が目を疑うのも致し方ありません。。

知らなかった話では第101空挺師団のグライダーが「ロンメルのアスパラガス」に突っ込み、
プラット准将が死亡した話や、英軍のオットウェイ中佐が果敢にメルヴィル砲台攻略に挑む姿は
非常に興味深く読みました。

Rommel inspecting the omaha_beach fortifications.jpg

オマハ・ビーチでのアメリカ軍の上陸の悲惨さは、同じ映画でも、どちらかというと
「プライベート・ライアン」を思い出しました。
あの映画をロードショーで観たときは、このシーン、強烈な印象を受けましたが、
本書でもそれに負けず劣らずの描写です。
特に「救命艇ではない!」と溺れる兵士の救出が許されない兵員揚陸艇や
障害物を爆破しようとする工兵を邪魔する・・その障害物に隠れようとする兵士・・
という大混乱が続きます。

d-day-omaha.jpg

直前に部隊を引き上げさせられたドイツ空軍のプリラー中佐が憤慨しながらも
ヴォダルチック軍曹と共にフォッケウルフFW-190で連合軍の大艦隊に
突っ込んで行く様子も映画そのものの爽快なシーンですし、
スコットランド出身ハイランダーズの先頭を命知らずのバグパイパーが進む場面も同様です。

dday-piper.jpg

橋頭堡を築いた連合軍に対し、西部方面軍司令部では予備の強力かつ精鋭の装甲部隊
第12SS装甲師団 ヒトラー・ユーゲント」と「戦車教導師団」の投入をOKWに求めます。
しかし、熟睡中のヒトラーの承認が必要なことからヨードルは拒否。
この有名な話も詳細で、ヨードルの代理ヴァーリモント
陸軍作戦部長ブランデンフェルス少将、総統副官のシュムントらが
ブルーメントリットの要請を総出で拒むことになります。

Pas de Calais, Speidel, Lang, Rommel.jpg

最後にはD-DAYの直前に休暇を取ってしまい、連絡を受けて慌てて帰還した
連合軍の上陸に対して最も責任のあったロンメルが
「今日という日はまったく長かった・・」と副官ラングに語ります。
結局、この「最も長い一日」となった戦闘には一切参加しなかったものの、
ロンメルに始まり、ロンメルに終わる・・というのが、皮肉が効いてて面白いですね。



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