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武装親衛隊外国人義勇兵師団―1940‐1945 [武装SS]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

クリス・ビショップ著の「武装親衛隊外国人義勇兵師団」を読破しました。

独破戦線でもすっかりお馴染みとなった、リイド社出版の
武装SS師団シリーズものの番外編的1冊です。
近頃、独破した本にSS義勇兵がたびたび登場するので、ちょっと勉強してみました。
タイトルには「師団」と付いていますが、内容には良い意味で裏切られました。

外国人義勇兵師団.JPG

まずは例によって「武装SSとは何か」的な概説から始まってドキドキしますが、
ここは外国人義勇兵が誕生するに至る最低限の説明に留まっていてホッとします。

続く本章は、西ヨーロッパの各国の当時の状況などを義勇兵の多い順に紹介していきます。
最初に登場するのは5万人の義勇兵を出したオランダ、そして4万人のベルギー、
なんと2万人もいたフランスと続いていきます。
デンマークやノルウェーより多いんですね。

Danmark.jpg

ここで理解できることは武装SS発足当初のヴェストラント連隊、ゲルマニア連隊
その後のヴィーキング師団と活躍したオランダはさておき、
このフランス人の2万人というのが興味深く、それはいきなりSS入隊ではなくて
もともと右派としてドイツ陸軍に志願したものなどのようです。
有名なフランス外人部隊からも入って来たりと、武装SSとしてはそれらを吸収した義勇兵旅団として、
やがて1944年に第33SS武装擲弾兵師団 シャルルマーニュとなっていく訳ですが、
面白いのは「ライプシュタンダルテ」にフランス人が2名いた記録があるそうです。

SS skijager batalion Norge.jpg

このように西側各国におけるファシズムの党の存在や、
ゲルマンやノルディックといった人種的問題、
ナチスの反共をアピールした、ボリシェヴィキとのヨーロッパにおける聖戦という
プロパガンダ効果など、様々な要因によって志願兵が存在したことがわかります。

Vi kæmper for Europas frihed og kultur.jpg

東ヨーロッパの章ではソ連領であったバルト3国やウクライナ、
イスラム教徒のクロアチアのハントシャール等は若干、その理由が違ってきます。
興味深いところでは、義勇兵のなかには日本人もいたとの話がありました。

Handschar_Poster.jpg

このような内容を経て、やっと第5SS装甲師団ヴィーキング、
第7SS義勇山岳師団 プリンツ・オイゲン、
あのフェーゲラインが師団長を務めた第8SS騎兵師団 フロリアン・ガイエル、
レオン・デグレールの第28SS義勇擲弾兵師団 ヴァローンと
義勇兵師団の紹介が始まります。

Waffen-SS Wallonie Poster -Come With Us-.jpg

また、師団までは拡張できなかった旅団規模の部隊(或いは師団昇格以前)も
最後にまとめられていて、インドやイギリスといった正式な部隊とならなかったものまで
少ないながらも紹介されています。

Waffen-SS Russian Helpers Recruiting Poster.jpg

個人的にはバルト三国や北欧、西欧の国々の当時の立場が理解できることで、
後半の各義勇兵師団単位の説明よりも非常に楽しめました。
良い意味で裏切られたということでは、終戦間際で情報の少ない
これらの義勇兵師団の詳細を無理やり書くよりも、
このような整理の仕方が妥当であると思います。
逆に言えば、義勇兵師団の戦闘記録などの詳細を知りたい方は
「やられた!」と思うかも知れませんね。

これまで読んだリイド社のもののなかでは1番の出来で、
今後も参考資料的に活躍しそうです。



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