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忘れられた兵士 -ドイツ少年兵の手記- [ドイツ陸軍]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ギイ・サジェール著の「忘れられた兵士」を読破しました。

先日読破した「バルト海の死闘」に数回引用されていたので気になって探してみました。
ところが、これがとても素晴らしい内容で、ほぼ一気読みしてしまいました。

主人公の生まれ育ったドイツとフランスの国境にあるアルザス地方は
ワインと戦争」でも書かれていたように
両国に領土が行ったり来たりを繰り返すという歴史があり、
人々はドイツ/フランスどちらでもないアルザス人という認識もあるようです。

忘れられた兵士.JPG

アルザスに進軍してきたドイツ軍の格好良さに憧れ、16歳でドイツ国防軍に志願した
フランス人の父とドイツ人の母を持つサジェールは、輸送部隊に配属され、
東部戦線へ送られます。
酷いフランス訛りのドイツ語をからかわれながらも
若き戦友たち、特に親友となるハンスとの友情は読んでいて何度も胸が熱くなります。
また輸送部隊といっても、そこは1942年のロシア深くの戦線であり、
初めて経験する戦闘は大変恐ろしいものです。

そしてエリート師団「グロースドイッチュラント」の軽歩兵連隊へ入隊すると
そこでは過酷な訓練が待っており、大尉の強烈なシゴキに耐え、
無事、歩兵として一人前となって、改めて大尉に尊敬の念を抱くシーンは
リチャード・ギアとルイス・ゴセット・JRの「愛と青春の旅立ち」を思い出しました。

1943年、ハリコフでの戦いから徐々に戦況は不利となり、西方への撤退が始まります。
歩兵の彼らは当然のように徒歩での撤退が延々と続き、
勢いに乗って攻めてくるロシア軍との防衛戦は気も狂わんばかり・・というか、
若き戦友たちは半分、気がふれて泣き笑い状態です。
ともかく、この後半は敵の砲撃の雨を耐え忍ぶのみで、
以前に読んだ「最強の狙撃手」ばりの悲惨さです。

Katyusha.jpg

このような彼ら少年兵たちを引っ張るのは、スーパーマンのような「古参兵」です。
小隊長や中隊長といった下士官たちよりも、彼らはこの「古参兵」に全幅の信頼を置き、
彼の言うことを聞いていれば死ぬことはないと考えるようになるほどです。

実にシブイこの「古参兵」は映画「戦争のはらわた」のジェームズ・コバーン演じる
シュタイナー軍曹のような雰囲気をかもしだしています。

Cross of Iron.jpg

そしてその「古参兵」も思わず諦めるような
絶体絶命の窮地を救ってくれるのがメッサーシュミット!
読んでいる自分も思わず「ドイツ空軍万歳!」と一緒に叫んでしまいそうになりました。
このような読みやすい体験記は簡単に感情移入してしまうので、ホント疲れました・・。

実はかなり有名な本のようですが、なかなか手に入りづらく、
ヴィトゲンシュタインは神保町で2000円というソコソコの値段で購入できました。





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