SSブログ

SS‐LEIBSTANDARTE―第1SS師団の歴史 1933‐1945 [武装SS]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ルパート・バトラー著の「第1SS師団の歴史」を読破しました。

独破戦線でも今ひとつ評判の良くない、リイド社出版の武装SS師団シリーズものです。
師団の歴史ですが、ライプシュタンダルテなので、どうしても親衛隊の成り立ちから
始ってしまいますが、これはしょうがないところでしょう。
「長いナイフの夜」事件などに関わったことなど、暗い面にも光を当てています。

第1SS師団の歴史.JPG

武装SSとしてはあまりにも有名な部隊であり、ポーランド侵攻から西方電撃戦、ギリシャ、
バルバロッサ作戦、クルスクの戦車戦やハリコフ、チェルカッシィ包囲陣救出、
ノルマンディ、バルジの戦い、そしてバラトン湖と、有名な戦いに参戦していることから
逆にこれを読めばドイツ軍のヨーロッパにおける戦いや国防軍と武装SSの立場が
理解できるとも言えます。

peiper&wittmann.JPG

前半はフリッツ・ヴィットSS少佐やパンツァー・マイヤー、フーゴ・クラースなど古参の戦い。
クルスク戦車戦からはヴィットマンが再三登場してきます。
ある意味メインとなっているのはバルジの戦いで、ヨッヘン・パイパーの活躍と
マルメディ虐殺事件の関与について解説しています。
また、開戦前にはパイパーがヒムラーの副官を務めていたことなどもしっかり書かれており、
そのような過去からもパイパーの人間性も探っています。

Joachim Peiper_personal adjutant _Himmler.jpg

この本の主役はヒトラーの警護部隊としての発足時からの隊長であったゼップ・ディートリッヒで
師団長の座はテオドール・ヴィッシュ~モーンケに譲るものの
そのライプシュタンダルテを含む第1SS装甲軍団長、そしてSS装甲師団からなる
第6装甲軍司令官として、最後までライプシュタンダルテと共にあったという印象です。
SS全国指導者ヒムラーとの微妙な関係やゲーリングルントシュテット元帥
シュタイナーハウサーといった同僚のディートリッヒ評も非常に楽しく読めます。

sepp_dietrich.jpg

同じ著者によるヒトラー・ユーゲントの「第12SS師団の歴史」よりは大分マシな一冊で、
写真もなかなか良いものが多く、キャプションもしっかりしていて、
気軽に読む師団史としてはちょうど良いんじゃないんでしょうか。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

詳解 武装SS興亡史 -ヒトラーのエリート護衛部隊の実像- [武装SS]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ジョージ・H・スティン著の「武装SS興亡史」を読破しました。

「武装SSに関する学術研究書」とされる一冊で、著者のはしがきでは
「本書を読むにあたっては、ナチの体制の基本的性格とヨーロッパにおける
戦争の概要を熟知しておいて頂きたい」と前置きされています。
個人的には、更に武装SS-38個の師団名のうち、
半分は知っている程度の知識があれば、より楽しめると思います。

武装SS興亡史.JPG

武装SSの創設からを時系列に、そしてここがこの本の素晴らしい所ですが、
系統立てて解説しており、武装SS=エリート部隊という短絡的なものではなく
例えば当初はゼップ・ディートリッヒ率いる「ライプシュタンダルテ」のみがエリートであり、
いわゆる特務部隊の「ドイチュラント」、「ゲルマニア」、「デア・フューラー」の各連隊、
そして髑髏部隊(トーテンコップ)はそれぞれ入隊基準が違い、
その装備面からも、部隊ごとにエリート部隊であるか否かを明確にしています。

Sepp Dietrich, Hitler, Heinrich Himmler.jpg

それらの基準は武装SSの拡大とともに変化してゆき、外国人義勇兵部隊が
増設されるにつれ、まずは「本国ドイツ人」中心の師団かどうかが
エリート師団の基準となっていきます。

もともとヒトラー個人の警護部隊として創立されたこともあり、
ヒトラー自身は武装SSの拡大には消極的(少数精鋭のエリートのイメージや
国防軍との対立回避)だったようですが、
SS全国指導者ヒムラーにとってはSSの地位拡大向上の観点からも、
なんとかヒトラーを騙し騙し、新たな部隊の創設を認めさせていきます。

そしてある意味、本書の主役である親衛隊本部長で新隊員の募集と
徴兵の責任者であるゴットロープ・ベルガーSS大将の人材確保術が功を奏し、
外国人義勇兵の獲得へと発展していきます。
それは「武装SSの発展はヒムラーよりベルガーに負うところが大きい」とされているほどです。

Gottlob Berger.jpg

特にロマンチックなほどにゲルマン民族やアーリア人種に拘っていたヒムラーですから
ベルガーから提出された東欧人からなる部隊創設案も当初は拒んでいたそうで、
しかし、結局はイスラム教徒主体の第13SS武装山岳師団「ハントシャール」など
アーリア人によるエリート部隊から、なんでもありの武装SSという最終形を迎えます。

Handschar.jpg

ちなみに、このベルガーの手腕によって創設された第12SS師団「ヒトラー・ユーゲント」ですが、
よりによってベルガーは自分を師団長にと、ヒムラーに直訴したそうです。
第2のゼップ・ディートリッヒを狙ったそうですが、あえなくヒムラーに却下されたとな・・。

マイナーな部隊についても驚くほど詳細で、悪名高いディルレヴァンガーやカミンスキー旅団、
捕虜からなるSSイギリス自由軍(「鷲は舞い降りた」のプレストン少尉ですね)
まで書かれています。

Dr. Oskar Dirlewanger.jpg

最後には武装SSには必ずつきものの、犯罪行為とその責任について言及し
戦犯として裁かれたクルト・マイヤーヨッヘン・パイパーなどを取り上げています。
強制収容所の髑髏部隊や特別行動隊(アインザッツグルッペン)と武装SSの関係も掘り下げ、
また、パウル・ハウサーSS上級大将やフェリックス・シュタイナーSS大将の回想録も
参考文献として抜粋されています(読んでみたい!)。

Paul Hausser.jpg

素晴らしい本で「武装SSの研究者が必ず目を通す、古典的名著」は過言ではありません。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

擲弾兵 -パンツァーマイヤー戦記- [武装SS]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

クルト・マイヤー 著の「擲弾兵」を再度、読破しました。

武装SSの戦士のなかでも最も有名なうちの1人、「クルト”パンツァー”マイヤー」の戦記です。
「ライプシュタンダルテ」の古参である彼のポーランド侵攻、オランダ~フランスの電撃戦、
バルカンを経てロシアでの壮絶な戦い、
更には「ヒトラー・ユーゲント師団」における過酷なノルマンディでの防衛戦、
そして捕虜から戦犯、やがて釈放までを「パンツァーマイヤー」というより
別名の「韋駄天マイヤー」というべきスピード感を持って、一気に読ませます。

擲弾兵.JPG

中隊長、または大隊長であるにも関わらず、自らオートバイの先頭に立って突撃する様は
非常に迫力ある描写で、これに匹敵する戦記はそうそうありません。
次々と倒れていく戦友や部下たちの中で、フーゴ・クラース中隊長も何度も負傷しますが、
暫くすると何事もなかったかのように中隊に復帰していて、まさに鬼神のようです。
「バンド・オブ・ブラザース」の武装SS版といった印象で読んでしまいました。

HugoKraas2.jpg

ヒトラー・ユーゲント師団では連隊長として、一転、壮絶な防衛戦を繰り広げますが
ライプシュタンダルテ時代からの戦友「フリッツ・ヴィット」師団長の死の場面では
「顔を覗くことはしなかった。顔はなかったのだ・・」。

Meyer&Witt,&Wünsche.jpg

そして亡きヴィットの後任として師団長となると「ヒットラー・ユーゲント 第12SS戦車師団史」の
著者であるフーベルト・マイヤー作戦参謀も頻繁に登場してきます。
他にもマックス・ヴュンシェやヨッヘン・パイパーなどの盟友たちも随所に、
また、ヴィットマンの最後の出撃の様子も語られます。

Meyer&Witt,&Wünsche2.jpg

武装SS以外にも、第五装甲軍司令官エーベルバッハ大将をはじめ、
ロンメル、ルントシュテット両元帥なども登場し、読者を飽きさせません。

Heinrich_Eberbach.jpg

後半は捕虜として、「極悪非道なSSの顔」としての死刑判決に立ち向かいます。
捕虜の殺害というのは個人的にドイツ側、連合軍側の双方に起こったことだと思いますが、
それがどこまで責任があるのかが焦点になるのでしょう。

Kurt Meyer中佐.jpg

「武装SSの名誉回復」という位置づけで書かれた本であるのは良く知られていますが、
もちろん、この本で武装SSのすべての真実が語られている訳ではありません。
あえて書いていないことはあるにしろ、嘘八百という印象は受けません。
とにかく、最前線における戦記としては、第一級だと思います。



nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

西部戦線 ―SS未公開写真集― [武装SS]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

イアン・バクスター著の「西部戦線―SS未公開写真集」を読破しました。

初期の武装親衛隊の訓練風景からフランス、バルカン、イタリア
そしてドイツ本国での敗戦までを追った写真集となっています。
「未公開写真集」というタイトルどおり、ほとんどは初見の写真で構成されています。
また、各章ごとにその当時の戦線の状況が解説されており
あまり知識がない方でも理解しやすいものといえます。

西部戦線.JPG

が、なんといっても写真自体に対するキャプションはイライラさせるもので、
写真そのものにしても不明確だったり、あまり関係のない話だったり、
騎士十字章と1級鉄十字章を間違えていたり、佐官、将官クラスであっても
誰であるかの説明もなく、なにかにつけては「エリート」、「熱狂的」、
「残虐」という文言が登場します。
さらには、ノルマンディー作戦の章では「クルト・マイヤー」や「ミヒャエル・ヴィットマン
「アルデンヌ攻勢」の章では「ヨーヘン・パイパー」や「オットー・スコルツェニー」という
有名人の名前が随所に出てきますが、本人たちの写真は1枚もありません・・・。

個人的には非常に中途半端な写真集という印象で、武装親衛隊の歴史が知りたければ、
別の本がいくらでもありますし、「未公開写真集」というマニア向けのタイトルながら、
決してそのレベルの人を満足させられないでしょう。

定価で購入するほどものではなく、古書で1000円くらいなら妥当ではないでしょうか。
なお、このシリーズ「東部戦線」も出ていまして、実は持っています。
ちょっと読む気が出ません。。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ヴィットマン -LSSAHのティーガー戦車長たち- [武装SS]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

パトリック・アグテ著の「ヴィットマン」を読破しました。

いや~出ました。ヴィットマンです。まさに虎の騎士です。
敵戦車撃破数(138両)や有名なヴィレル・ボカージュの戦いで伝説となった戦車長ですが、
彼が武装SS所属ということを知って、ガッカリしてしまう人もいるようですね。
この本では彼の生い立ちから戦前の陸軍第19歩兵連隊への入隊、バルバロッサ作戦
での突撃砲乗りとして活躍、そして宿命のティーガー戦車長へ・・、と語られ、
また、副題にもある通り、他の戦車長や上官(ヨーヘン・パイパーやクルト・マイヤーも登場)、
ヴィットマンのクルー達(特に砲手として初めての騎士十字章のヴァルタザール・ヴォル)、
の出番も多く、ライプシュタンダルテの戦史の色合いが強くなっています。

ヴィットマン.JPG

とはいえ新婚の奥さんとの微笑ましいエピソードや豊富な写真
(見事な結婚記念写真から若干、イチャイチャ気味まで・・)
などヴィットマンのプライベートも充実しています。

一方、戦場ではロシア戦線での騎士十字章からノルマンディでの柏葉章、
そして剣章受章とヴィットマンの戦いはヴィレル・ボカージュで最高潮を迎えます。
国防軍司令部では英雄となったヴィットマンを最前線から後方へ移動させようとしますが、
今やSS大尉へと昇進し、重戦車大隊長となったヴィットマンは、これを拒否し、
英米連合軍に最後の戦いを挑んでいきます。

Michael Wittmann.jpg

とにかくこの本は写真が充実しており、ヒトラーとの写真もさることながら、
ヴィレル・ボカージュから司令部に辿り着いた直後の写真(実は下巻表紙)、
そして何より、最後の写真と呼ばれる、
砲塔上での作戦直前の緊張感溢れる写真が(映像ですが)素晴らしい!

様々な証言などからヴィットマンの人間性をも探った本ですが、
謙虚で仕事には厳格という、ほぼ完璧な人物という印象です。
先入観なく純粋に読み進めれば(自分はいつもそのつもりですが)、
読み終わったときにはヴィットマン・マニアになってしまうこと請け合いです。
誰かヴィットマンを映画化してくれないかな。。と思う今日この頃です。
まぁ、SS隊員がヒーローというのは無理ですか・・。





nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。