クルスク大戦車戦 [戦争小説]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
デイヴィッド・L.・ロビンズ著の「クルスク大戦車戦」を読破しました。
似たようなタイトルの本がいくつか出版されていますが、
こちらは「鼠たちの戦争」の著者の小説ですのでお間違いのないよう・・。
しかし、こんなタイトルだったら、小説だろうが間違えてでも読んでしまいます。
設定は史実に基づいており、それは当然、1943年7月のドイツ軍の夏季攻勢
「ツィタデレ作戦」が舞台で、史上最大の大戦車戦として知られる、
プロホロフカの戦車大会戦が物語のクライマックスとなっています。
ジュード・ロウとエド・ハリスがスナイパーを演じた、映画「スターリングラード」か、
原作(元ネタ?)の「鼠たちの戦争」のように、独ソ双方に戦車長の主人公がおり、
その戦いの様子が交互に描かれ、最後にはプロホロフカで対決することになります。
ソヴィエト側の主人公はコサック人の操縦手とそのT-34の戦車長を務める息子。
また、その娘も女性だけで編成されたことで有名な夜間爆撃飛行隊の操縦士という戦争一家で、
対するドイツ側はライプシュタンダルテSSアドルフヒトラー師団の大尉です。
ところがこの大尉はかなり複雑な経歴の持ち主で、「青師団」として独ソ戦に派遣された
闘牛士の血が流れるスペイン人で、その青師団撤退後に武装SSへ編入したという設定です。
外国人が武装SSへ義勇兵として参加したのは良く知られていますが、
それにしても、エリート師団である「LSSAH」というのはどうなんでしょうか?
本の中でも外国人であるために襟にSSルーン文字が付いていないとか
スペイン国旗をあしらった袖章を付けている等、「LSSAH」ではちょっと考えられません。。。
このルイス・ベガ大尉はティーガー戦車の護衛という任務でクルスクへ向かいますが、
現地ではひょんなことから参謀本部付きとなります。
そして知り合ったLSSAHのティーガー戦車中隊長が戦死したとの報を受けて
どこの馬の骨かもわからん、このベガ大尉があっさりその後任となります。
まぁ、著者は単なる独ソ戦という枠を超えたものを狙ったのかもしれません。
このような設定はさておき、この壮大な戦車戦の描写はとても迫力に満ちていて
操縦手、装填手、そして砲手も狭い戦車内で必死に戦います。
特にベガ大尉の片腕となる名砲手の名前は「バルタザール」軍曹です。
こういう小説を読む際には、いつも自分が映画監督になったような気分で読んでみます。
さすがにこの史上最大の戦車戦を実写で撮るのは無理なので、
今のCG技術ならどれだけリアルなものが撮れるのか?などと考えてみました。
そしてラストのオチ?なのか、かなりの戦果を挙げたベガ大尉に
最後に推薦された勲章が「2級鉄十字章」というのにはビックリしました。
デイヴィッド・L.・ロビンズ著の「クルスク大戦車戦」を読破しました。
似たようなタイトルの本がいくつか出版されていますが、
こちらは「鼠たちの戦争」の著者の小説ですのでお間違いのないよう・・。
しかし、こんなタイトルだったら、小説だろうが間違えてでも読んでしまいます。
設定は史実に基づいており、それは当然、1943年7月のドイツ軍の夏季攻勢
「ツィタデレ作戦」が舞台で、史上最大の大戦車戦として知られる、
プロホロフカの戦車大会戦が物語のクライマックスとなっています。
ジュード・ロウとエド・ハリスがスナイパーを演じた、映画「スターリングラード」か、
原作(元ネタ?)の「鼠たちの戦争」のように、独ソ双方に戦車長の主人公がおり、
その戦いの様子が交互に描かれ、最後にはプロホロフカで対決することになります。
ソヴィエト側の主人公はコサック人の操縦手とそのT-34の戦車長を務める息子。
また、その娘も女性だけで編成されたことで有名な夜間爆撃飛行隊の操縦士という戦争一家で、
対するドイツ側はライプシュタンダルテSSアドルフヒトラー師団の大尉です。
ところがこの大尉はかなり複雑な経歴の持ち主で、「青師団」として独ソ戦に派遣された
闘牛士の血が流れるスペイン人で、その青師団撤退後に武装SSへ編入したという設定です。
外国人が武装SSへ義勇兵として参加したのは良く知られていますが、
それにしても、エリート師団である「LSSAH」というのはどうなんでしょうか?
本の中でも外国人であるために襟にSSルーン文字が付いていないとか
スペイン国旗をあしらった袖章を付けている等、「LSSAH」ではちょっと考えられません。。。
このルイス・ベガ大尉はティーガー戦車の護衛という任務でクルスクへ向かいますが、
現地ではひょんなことから参謀本部付きとなります。
そして知り合ったLSSAHのティーガー戦車中隊長が戦死したとの報を受けて
どこの馬の骨かもわからん、このベガ大尉があっさりその後任となります。
まぁ、著者は単なる独ソ戦という枠を超えたものを狙ったのかもしれません。
このような設定はさておき、この壮大な戦車戦の描写はとても迫力に満ちていて
操縦手、装填手、そして砲手も狭い戦車内で必死に戦います。
特にベガ大尉の片腕となる名砲手の名前は「バルタザール」軍曹です。
こういう小説を読む際には、いつも自分が映画監督になったような気分で読んでみます。
さすがにこの史上最大の戦車戦を実写で撮るのは無理なので、
今のCG技術ならどれだけリアルなものが撮れるのか?などと考えてみました。
そしてラストのオチ?なのか、かなりの戦果を挙げたベガ大尉に
最後に推薦された勲章が「2級鉄十字章」というのにはビックリしました。
極限に生きる -疎外され死ぬ以外の権利を剥奪された一団の物語- [戦争小説]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
H.G.コンザリク著の「極限に生きる」を読破しました。
第二次大戦中のドイツ国防軍に3個あったとされる通称「懲罰大隊」の悲惨な運命の物語です。
徴兵逃れをしたとして有罪判決を受け、懲罰大隊送りとなったドイッチュマン医師を主人公に
犯罪者の鏡のようなシュヴァネッケ、柏葉騎士十字章を持つ元少佐、
師団長であった元大佐などが一介の2等兵として登場します。
これだけでもゾクゾクしますね。。しませんか?
前線での戦闘経験がないにも係わらず、それを隠して威張り散らす上級曹長や
大隊付き副官の猛烈なシゴキと虐めのなかで、
当初は反目していた2等兵の彼らにも徐々に戦友意識が芽生えていきます。
そんな部下たちを犯罪者ではなく、軍人として扱うことすら許されないことに葛藤する
中隊長オーバーマイヤー中尉の軍人としての理想を追求する姿勢は、
後半、ロシア軍背後への全滅必至の斥候作戦直前の訓示に現れ、
自らも中隊長の責務として部下と共に任務に加わります。
そして、今や部下の2等兵であるものの、尊敬するかつての上官であった元師団長との
最後のやりとりには涙に文字が霞みます。。。
主人公たちにも「これでもか!」というほどの不幸が訪れ、まさに「極限に生きる」悲惨さです。
実際、読みながら思わず「うぁ~~・・!」と声を出してしまいました。
たまに泣くことはあっても、こんなことはこの一度だけです。
同じコンザリク著の「第6軍の心臓」同様に人間味溢れる登場人物たちが
キッチリ描き込まれていることで決して派手さはないものの、
無益に死んでゆく彼ら一人一人に切なさを感じます。
ドイツでは映画化されているそうですが、日本版は発売されていません。
ですが心情がこの物語の命なので、この本より面白い映画であることは恐らく無いでしょう。
コンザリクのなかでは最も手に入りづらい本ですが、5000円以内だったら迷わず購入してください。
H.G.コンザリク著の「極限に生きる」を読破しました。
第二次大戦中のドイツ国防軍に3個あったとされる通称「懲罰大隊」の悲惨な運命の物語です。
徴兵逃れをしたとして有罪判決を受け、懲罰大隊送りとなったドイッチュマン医師を主人公に
犯罪者の鏡のようなシュヴァネッケ、柏葉騎士十字章を持つ元少佐、
師団長であった元大佐などが一介の2等兵として登場します。
これだけでもゾクゾクしますね。。しませんか?
前線での戦闘経験がないにも係わらず、それを隠して威張り散らす上級曹長や
大隊付き副官の猛烈なシゴキと虐めのなかで、
当初は反目していた2等兵の彼らにも徐々に戦友意識が芽生えていきます。
そんな部下たちを犯罪者ではなく、軍人として扱うことすら許されないことに葛藤する
中隊長オーバーマイヤー中尉の軍人としての理想を追求する姿勢は、
後半、ロシア軍背後への全滅必至の斥候作戦直前の訓示に現れ、
自らも中隊長の責務として部下と共に任務に加わります。
そして、今や部下の2等兵であるものの、尊敬するかつての上官であった元師団長との
最後のやりとりには涙に文字が霞みます。。。
主人公たちにも「これでもか!」というほどの不幸が訪れ、まさに「極限に生きる」悲惨さです。
実際、読みながら思わず「うぁ~~・・!」と声を出してしまいました。
たまに泣くことはあっても、こんなことはこの一度だけです。
同じコンザリク著の「第6軍の心臓」同様に人間味溢れる登場人物たちが
キッチリ描き込まれていることで決して派手さはないものの、
無益に死んでゆく彼ら一人一人に切なさを感じます。
ドイツでは映画化されているそうですが、日本版は発売されていません。
ですが心情がこの物語の命なので、この本より面白い映画であることは恐らく無いでしょう。
コンザリクのなかでは最も手に入りづらい本ですが、5000円以内だったら迷わず購入してください。
第6軍の心臓 -1942-3年 スタリングラート地下野戦病院- [戦争小説]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
H.G.コンザリク著の「第6軍の心臓」を読破しました。
第6軍といえばスターリングラードです。
スターリングラードの野戦病院で戦う従軍医師を主人公に、ソ連側も含め、
個性溢れる登場人物たちが織り成す人間模様といったところでしょうか。
そうは言っても、舞台はまさに修羅場。
ドイツ映画「スターリングラード」を御覧の方はイメージしやすいでしょう。
そしてその野戦病院が物語の中心ですから、血なまぐさくもあります。
タイトルは包囲された第6軍の将兵に突然死が続発したことに由来しています。
しかし、ソ連側の登場人物も決して悪役ではなく(むしろドイツ側に悪役が・・)、
第6軍の置かれた絶望的な状況の中でフッと笑えるほのぼのとした人間味溢れるエピソードが
この小説を暗い気持ちにさせることなく、一気に読ませる特徴となっています。
特に部下をほとんど失った師団長が、野戦病院で出会った生き延びることに執着する大佐を引き連れ
ソ連陣地に突撃していくシーンは、それまでが絶望的なゆえ、爽快かつ感動的ですらあります。
作者のコンザリクは東部戦線への従軍経験から、この本を含め独ソ戦3部作を書いています。
小説とはいえ、独ソ戦がハッピーエンドとなるわけもなく、機甲部隊の壮絶な会戦や
スナイパー同士の駆け引きもありません。あるのは最悪の現実を受け入れ、生きていく人間のみです。
懲罰大隊を描いた「極限に生きる」、「スタリングラードの医師」とドイツでの評価も高く、
映画化もされています。
H.G.コンザリク著の「第6軍の心臓」を読破しました。
第6軍といえばスターリングラードです。
スターリングラードの野戦病院で戦う従軍医師を主人公に、ソ連側も含め、
個性溢れる登場人物たちが織り成す人間模様といったところでしょうか。
そうは言っても、舞台はまさに修羅場。
ドイツ映画「スターリングラード」を御覧の方はイメージしやすいでしょう。
そしてその野戦病院が物語の中心ですから、血なまぐさくもあります。
タイトルは包囲された第6軍の将兵に突然死が続発したことに由来しています。
しかし、ソ連側の登場人物も決して悪役ではなく(むしろドイツ側に悪役が・・)、
第6軍の置かれた絶望的な状況の中でフッと笑えるほのぼのとした人間味溢れるエピソードが
この小説を暗い気持ちにさせることなく、一気に読ませる特徴となっています。
特に部下をほとんど失った師団長が、野戦病院で出会った生き延びることに執着する大佐を引き連れ
ソ連陣地に突撃していくシーンは、それまでが絶望的なゆえ、爽快かつ感動的ですらあります。
作者のコンザリクは東部戦線への従軍経験から、この本を含め独ソ戦3部作を書いています。
小説とはいえ、独ソ戦がハッピーエンドとなるわけもなく、機甲部隊の壮絶な会戦や
スナイパー同士の駆け引きもありません。あるのは最悪の現実を受け入れ、生きていく人間のみです。
懲罰大隊を描いた「極限に生きる」、「スタリングラードの医師」とドイツでの評価も高く、
映画化もされています。
砂漠の狐を狩れ [戦争小説]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
スティーヴン・プレスフィールド著の「砂漠の狐を狩れ」を読破しました。
たまには気分を変えて「小説」です。
最近、本屋さんで偶然見かけましてタイトルだけで飛びつきました。
実際、北アフリカ戦線では英国軍がロンメル殺害を目論んだものの
見事、失敗に終わったという作戦は有名で、一見その話かとも思いましたが
本書の作戦はまったく別のフィクションでした。
英国軍の「長距離砂漠挺身隊」へ配属となった主人公の若者が、
砂漠での様々な困難と葛藤を乗り越え、指揮官として一人前になっていくという物語で
発足間もない「SAS」との共同作戦による特殊部隊ものという見方もできるでしょう。
よく云われる「騎士道精神」に則った両軍の戦い方も伝わってきますが、
やはり、そこは戦争。凄惨な殺し合いになる場面もあり、主人公も苦悩します。
後半は「このタイトルはどうなったの?」と思わせる展開となっていきますが、
最後にはある意味どんでん返しが待っています。
とは言っても、もちろん見事ロンメルを殺害し、ミッション・コンプリートとなるわけがありませんが・・。
できればこの本を読む前に「砂漠のキツネ」や「ロンメル将軍」などを読んでおきたいですね。
すでに有名な映画プロデューサーである、ジェリー・ブラッカイマーが映画化権を獲得し
著者のプレスフィールドと「ブレイブハート」のランドール・ウォレスが脚本を書くということです。
ロンメル役は誰になりますかね?
今なら「エド・ハリス」なんて最高だと思うんですけど・・。
スティーヴン・プレスフィールド著の「砂漠の狐を狩れ」を読破しました。
たまには気分を変えて「小説」です。
最近、本屋さんで偶然見かけましてタイトルだけで飛びつきました。
実際、北アフリカ戦線では英国軍がロンメル殺害を目論んだものの
見事、失敗に終わったという作戦は有名で、一見その話かとも思いましたが
本書の作戦はまったく別のフィクションでした。
英国軍の「長距離砂漠挺身隊」へ配属となった主人公の若者が、
砂漠での様々な困難と葛藤を乗り越え、指揮官として一人前になっていくという物語で
発足間もない「SAS」との共同作戦による特殊部隊ものという見方もできるでしょう。
よく云われる「騎士道精神」に則った両軍の戦い方も伝わってきますが、
やはり、そこは戦争。凄惨な殺し合いになる場面もあり、主人公も苦悩します。
後半は「このタイトルはどうなったの?」と思わせる展開となっていきますが、
最後にはある意味どんでん返しが待っています。
とは言っても、もちろん見事ロンメルを殺害し、ミッション・コンプリートとなるわけがありませんが・・。
できればこの本を読む前に「砂漠のキツネ」や「ロンメル将軍」などを読んでおきたいですね。
すでに有名な映画プロデューサーである、ジェリー・ブラッカイマーが映画化権を獲得し
著者のプレスフィールドと「ブレイブハート」のランドール・ウォレスが脚本を書くということです。
ロンメル役は誰になりますかね?
今なら「エド・ハリス」なんて最高だと思うんですけど・・。