SSブログ
戦争映画の本 ブログトップ
前の5件 | 次の5件

ナチス映画電撃読本 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

別冊映画秘宝編集部著の「ナチス映画電撃読本」を読破しました。

9月の「ナチスがUFOを造っていた」で、ちょうど公開される「アイアン・スカイ」の話から、
本書が気になったわけですが、たまたま本屋さんに売ってましたので購入しました。
ムックという雑誌と一般書籍が混じった形式の一冊ですが、
222ページで「アイアン・スカイ」以外にも、古いナチス映画も満載。
写真もタップリでこういうのも楽しそうですね。

ナチス映画電撃読本.jpg

16ページの巻頭カラーは、表紙の通りの「アイアン・スカイ」特集です。
以降、白黒になる57ページまではこの映画の関係者インタビューなど、
面白おかしく書かれています。「別冊映画秘宝」って初めて読みましたが、
もっと重々しい感じなのかと思ってましたから、弾けたような書きっぷりにビックリ・・。
攻撃型円盤が「ワルキューレ」、宇宙空母が「グラーフ・ツェッペリン」、
超ド級円盤が「神々の黄昏」と、ネーミングも良いんですねぇ。
対する地球連合軍も「英国宇宙戦艦 スピットファイア」に、「日本宇宙戦艦 漢字1号」。。

iron_sky.jpg

第2章は「ナチスドイツとは何だったのか?」
戦後、軍事マニアに歴史、オカルト・マニアを誘蛾灯に吸い寄せ、
掘っても掘っても尽きることのないディテールの深さ、究極の悪イメージがもたらす背徳感・・。
といったナチス人気の秘密に言及し、簡単な「早わかりナチス入門」もついています。
また「ナチスにまつわる都市伝説」も紹介し、ブラジルで双子が沢山生まれる「メンゲレ村」や、
実物のナチス軍服を購入すると怪奇現象に襲われる話・・、
それから「ヒトラー生存説」などにも触れますが、まぁ、そんなに真剣なものではありません。

nazi hitler.jpg

「ナチスになりたい人々」では、世界的なナチス・コスプレ事件も・・。
以前に紹介した「氣○團」の中途半端なコスプレに、
ヘンリー王子が友人の誕生会でナチ・コスプレに挑戦した新聞写真も掲載。
罰として「シンドラーのリスト」を観ること・・と父に命ぜられたそうですが、
このナチの腕章も良く見るとハーケンクロイツの角度がいい加減な代物ですね。

Prince-Harry-As-A-Nazi.jpg

このようなナチスの基礎知識を踏まえて第3章「ナチスドイツと娯楽映画」へ進みます。
「戦争映画の悪役として、ナチスはずっと起用され続けてきた。
それは戦勝国アメリカの作った「お約束事」だ。エロ映画では美女たちを八つ裂きにし、
怪奇映画では古代の魔人を呼び出す狂気の集団として重宝されてきた」。
というわけで、まずはナチス系エロ映画の歴史です。
1974年の米映画「ナチ女収容所/悪魔の生体実験」を永遠の傑作とし、
主演の熟女女優ダイアン・ソーン扮する好色冷血な女看守長イルザの囚人のチン切り刑など、
悪行の数々を紹介します。このモデルとなったのはやっぱり、イルゼ・コッホでした。。

ilsa-she-wolf-of-the-ss.jpg

この「イルザ物」はシリーズ化され、なかには「イルザ対ブルース・リー」という怪作も。。
ヨーロッパでもスイス=ドイツ合作の「ナチ女親衛隊/全裸大作戦」に始まり、
恐怖の「マカロニ・ナチ映画」が大量に発生していきます。
1980年代にかけて日本でも封切られたこれらの作品も丁寧に解説。
「ナチ卍第三帝国/残酷女収容所」、スマッシュヒットを飛ばした「ゲシュタポナチ収容所」、
「ゲシュタポ卍第5収容所/女体セックス実験」、
あの「サロン・キティ」を激安再現した「ナチ(秘)女体飼育館・ゲシュタポ慰安部隊」などなど・・。

Casa Privata per le SS.jpg

そして実在した美貌のSS看守、イルマ・グレーゼが登場し、
彼女がモデルとなっているケースにも言及。
ただ、SSの制服を着た彼女と犬だとされる写真もちょっと怪しいですし、
他の当時の写真のキャプションもちょっとテキトーですかねぇ。
どちらもこのBlogで使った写真なんですが・・。

鬼のような女看守というのは、イルザとか、オルガとか、ヘルザとか3文字の名前で、
オッパイの裾野がナチの制服からハミ出ていないといけない・・と述べられているとおり、
オッパイはともかく、イルゼ・コッホにイルマ・グレーゼもルール通り・・。
エーファやシュテフィーなんて可愛らしい名前ではいけません。。

Irma grese_Ilse Koch.jpg

以前から観たかったヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」も詳しく書かれ、
ヴィトゲンシュタインはロードショーで観た2006年の「ブラックブック」や
ヒトラー 最期の12日間」と続いていきます。

The Damned AKA La caduta degli dei (1969)  Luchino Visconti.jpg

「ナチス兵隊残酷物語」と題して、1993年のドイツ映画「スターリングラード」や
ジェームズ・コバーンの「戦争のはらわた」といった名作戦争映画を紹介します。
その他「レマゲン鉄橋」と、「パリは燃えているか」。
後者はDVDが出ないので、いまだに観ていません。。くやし~。

パリは燃えているか.jpg

ホラー映画にもナチスは登場します。
ゴシック・ホラー「ザ・キープ」はホラー映画マニアだった少年時代に観に行きましたが、
いまいち、良くわからない映画でした。
そして史上最悪の残虐ナチス映画として紹介されるのは「炎628」です。
タイトルだけは聞いたことがありましたが、ドイツに占領されていた白ロシアで
628もの村が住民ごと焼き払われたという凄惨な記憶を描いた1985年のソ連映画です。
いや~、コレは観てみたいですね~。でもDVDはプレミア価格・・。

Come_and_See 1985.jpg

パラレルワールド映画としては、あの「ファーザーランド」が・・。
これもDVDが出ていないので未見ですが、本書では
「幻の世界首都ゲルマニアのビジュアルだけでも、この映画を観る価値がある」。
そして「オデッサ・ファイル」に「マラソンマン」、
最近、TVで放映されたので録画した「ブラジルから来た少年」、
「ゴールデンボーイ」はスティーヴン・キングの原作だけは読みましたが、映画は・・??

fatherland-photo.jpg

レニ・リーフェンシュタールのナチ党大会の記録映画「意志の勝利」が
2009年に日本で上映され、ロングランを記録した件などは興味深かったですね。
ヒトラーの演説の凄さを興奮した様子で語るご婦人・・。
ヴィトゲンシュタインもDVDで観ましたが、まさに同感です。

Triumph_des_Willens_poster.jpg

第4章は映画から離れて「ナチスの遺産とサブカルチャー」です。
ナチスとロック、反抗のシンボルとしてのナチスと書かれているように、
ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズがSSの制服に身を包んだ写真に、
セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスもハーケンクロイツのTシャツ姿。
10代の頃、ピストルズ・マニアだったヴィトゲンシュタインはジョニー・ロットンが着ていた
「DESTROY」Tシャツのレプリカを愛用していましたが、本書ではそのピストルズの曲、
「さらばベルリンの陽」と「ベルゼンの毒ガス室」の歌詞にも触れています。

Sex Pistols – Original 1976 Destroy T Shirt.jpg

「10冊のナチスSF」本では、やっぱりフィリップ・K・ディックの「高い城の男」が
気になりましたね。SS-GB、ファーザーランドの次は、やっぱりコレですか。

「海外TVドラマのナチス」ではスタートレックで主役たちが、
ワケあってナチの制服を着込まざるを得ない展開があったそうです。

startrek_Nazi Episode.jpg

もちろん日本でもナチスはTVで子供たちの前に姿を現します。
プロレスでは「アイアン・スカイ」ならぬ、「アイアン・クロー(鉄の爪)」を必殺技に持つ、
フリッツ・フォン・エリックが我が兄弟の中でも人気を博していましたし、
この「悪役のドイツ人でございます」という名前もいま調べてみたら
実はリングネームであって、この人、実際はテキサス出身でした・・。
今の今までず~と、騙されていたのね。。
油断して兄貴に「ストマック・クロー」を喰らわないように腹筋鍛えたりしたのに。。

Fritz Von Erich_Iron Claw.jpg

ショッカーは当初の設定では「ナチスの残党」であり、ゾル大佐もバリバリの制服姿。
そして変身すればその姿は人狼部隊を彷彿とさせる「狼男」。。
この写真を見ると、2級鉄十字章受章した国防軍通信将校といった感じです。

Oberst_Zol.jpg

「宇宙戦艦ヤマト」ならデスラー総統など、いくらでもナチス・ネタがありますが、
極めつけは仮面ライダーXの「ヒトデヒットラー」だそうです。
コレは第三帝国の偉大な総統に、でっかい腔腸動物を張り付けたデザインで、
そもそも「ヒトデとヒトラーが合体して何のメリットがあるのか・・」。
う~む。。コレは知らなかったので写真を探してみましたが、エゲツなさ過ぎるぜ。。

Seesterne_Hitler.jpg

漫画では手塚治虫の「アドルフに告ぐ」や、水木しげるの「劇画ヒットラー」を筆頭に、
いろいろと紹介。
最後は再びカラー写真となって、「プラモ箱絵に見るナチス超兵器集」です。
海外のプラモを中心に、「飛行船ツェッペリン号」に始まり、
ギガント」、「シュトゥーカ」、「He-177 グライフ」、「V-1」、「V-2」
Me-262」、「Me-163」、「He-162」といったジェット機、ロケット機に、計画機も。
Uボート」に「巨大列車砲ドーラ」まで・・。いつの日か、ドーラを作るのは夢ですね。。

German_Dora.jpg

ということで、本書は当初、想像していたナチス映画に限定したモノではなく、
日本におけるナチス文化にもかなりのページを割いた1冊ですが、
個人的にはソレが逆に楽しめました。
ホロコーストとネオナチ思想にはあえて一切触れずに、幅広く戦後のナチス文化を取り上げ、
そこから映画のなかのナチスを楽しもうという姿勢が徹底しています。
ナチス入門書としても面白いですし、戦争映画好きも楽しめる、
バランスの良い1冊でかなり満足しました。
ただ、「アイアン・スカイ」を観に行くか・・は、まだ悩んでますが。。































我が足を信じて -極寒のシベリアを脱出、故国に生還した男の物語- [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ヨーゼフ・マルティン・バウアー著の「我が足を信じて」を読破しました。

今年の5月に出た405ページの本書は、何年か前にTVで見た映画
「9000マイルの約束」の原作です。
原著は1955年という古いもので、著者が脱獄の当事者である「フォレル」から
インタビューを行って出版したものが、ようやく日本語に翻訳されたわけですね。
脱獄映画で観てから原作を読むっていうのは、あの「大脱走」以来ですが、
なぜか日本で映画が公開されない「脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち」も
原作は凄かっただけに、今回も期待です。

我が足を信じて.jpg

匿名のクレメンス・フォレルの経歴は、兵役の時期となった1938年に山岳兵となり、
戦争が始まると降下猟兵として、ロッテルダムやエーベン・エメール要塞の落下傘降下
そしてクレタ島の戦いで少尉に昇進。東部戦線で中尉に昇進。
しかしウラル山脈でコサック兵に包囲され、部隊は全滅し、彼は捕虜となることに・・。
やがて戦争も終わった、1945年秋、モスクワのルビヤンカ刑務所
「シベリアでの重労働25年」の刑が宣告されます。

こうして本文が始まります。すでに26日も移送列車に揺られているドイツ兵捕虜たち。
フォレルの乗った定員40名の貨車には86名が詰め込まれ、横になることもままなりません。
モスクワを出発して61日目のクリスマス・イブ、ようやく終点のチタに到着。
3000人以上だったドイツ兵捕虜は1870名。8号車では91名のうち、
生き残ったのは55名という過酷な旅です。

So weit die Füße tragen_2001.jpg

行先はシベリアと言っても、ソ連の最東端で、イースト・ケープと呼ばれるデジニョフ岬。
ここからは酷寒の中、馬ぞりで40日間。さらにハスキー犬の引く犬ぞりに乗り換え、5週間・・。
これでもまだ、原生林のタイガに辿り着いたに過ぎません。
それから2ヵ月、3ヵ月と過ぎ、永遠に終わりがないかと絶望しかけた4ヵ月目に
最終目的地に到着します。最後まで生き残ったのは1236名。
本書は「西」へ向かう話ですが、このプロローグ的な「東」の話も凄まじいですね。

As Far as My Feet Will Carry Me_map.JPG

この収容所はあまりの寒さから地上の小屋ではなく、地下に掘られた洞窟が囚人たちの住居です。
毎日の労働は鉛鉱石の採掘作業。「鉛中毒」という恐怖とも戦わなければなりません。
フォレルは一度、脱走を試みるもあえなく失敗・・。
しかし鉛鉱山での3回目の夏、再度、チャンスが訪れます。
収容所のドイツ人医師であるシュタウファが用意していたサバイバル脱獄用具一式を譲り受け、
深夜に単独脱走を決行。
「木を見たら話しかけるんだ。さもないと声が出なくなるからな」と、
シュタウファ医師が教える心構えは印象的です。

As Far as My Feet Will Carry Me3.jpg

ちなみにこのシュタウファ医師を映画で演じるのはミハエル・メンドルという役者さんですが、
ど~も見覚えがありますねぇ。
おそらく「ヒトラー ~最期の12日間~」のベルリン防衛軍司令官ヴァイトリンク将軍
あるのは間違いないでしょう。

michael_mendl_kino_soweitdiefuessetragen_2.jpg

コンパスを頼りにスキーを履いて、一路、西を目指すフォレル。
途中、地元のトナカイ番と出会い、彼らの村にしばらく滞在。
その後は収容所から脱走してきたロシア人犯罪者3人組との旅をしながらの生活。
食べるためだけではなく、金にするために熊とも戦い、毛皮もたっぷり・・。
しかし彼らの仲違いにも巻き込まれて怪我をし、リュックも失い、また一人ぼっちになるのでした。

As Far as My Feet Will Carry Me2.jpg

実は映画「9000マイルの約束」はあんまり印象に残ってないんですね。。
大雑把なストーリーと、しつこく追いかけてくる所長?カメリアフ中尉の、
ひとりの囚人を捕らえるために収容所の仕事を3年もほったらかして追跡する執念に
違和感があったことは思い出すんですが・・。
ということで、今回は読みながら、「あぁ・・、そんなシーンもあったな・・」と結構、思い出しました。

As Far as My Feet Will Carry Me.jpg

満身創痍のフォレルが狼の群れの襲われると、この危機に現れるのはヤクート人です。
彼らのテントで怪我を癒し、魚の捕え方も学び、ハスキー犬を一頭、譲り受けます。
そして再び、出発。「ヴィレム」と名付けたハスキー犬とともに西へ・・。
モンゴルの国境沿いに進み、遂にイランとの国境越えを決意しますが、
本書で唯一、アイドル的な存在の「ヴィレム」の悲しい最後が。。

As Far as My Feet Will Carry Me4.JPG

ユダヤ系アルメニア人の手助けもあって、最後の難関、カフカス山脈にも挑みます。
途中では数ヶ月前に読んだ、1860年のオーストラリア大陸縦断を描いた、
アラン・ムーアヘッドの「恐るべき空白」や、
映画「復活の日」で、最後に草刈正雄がホワイトハウスから南極までボロボロになりながらも
ひたすら歩くシーンなんかも思い出しました。

復活の日.jpg

無事、テヘランで保護されたところで本書は終わりますが、フォレルはその後、
イスタンブール、アテネ、ローマを経由して、1952年12月、
家族が待つミュンヘンへと辿り着きます。

405ページですが、2日間で読み終わりました。
予想していたとおり、執念の追跡を見せる収容所のオッサンは登場しませんでしたし、
ロマンス的な話も一切なし。熊と戦うにしても、「ヘルレイザー」のごとき、
19世紀の「シベリア熊狩りスーツ」 ↓ を着込んだりもしません。

Bear-hunting-suit & Hellraiser.jpg

知り合う人間も多いですが、彼らに自分の本性を明かすべきか・・? という毎度の展開も
NKVDへ密告されることを恐れる主人公の気持ちを理解できれば、ドキドキ感も増すと思います。
しかし映画ではそれが観客に伝わりづらいことから、
収容所のオッサンの追跡劇になっているのかもしれません。
同じ捕まるにしても、10日後と3年後では、それまでの苦労が違いますから、
ハッピーエンドになるのはわかっていても、最後になるほど緊張感が増してきますね。
映画「9000マイルの約束」は多少肉付けしていますが、
どうも1959年に最初の映画化がされていたようです。

So weit die Füße tragen_1959.jpg

ということで、映画もシンプルだった印象がありますが、実際はもっとシンプルなストーリーであり、
それをツマラナイと感じるか、ノンフィクションらしいと感じるかは、読まれる方次第でしょう。
個人的には「脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち」の方が面白かったですが、
これは映画を観た、観てない(ストーリーを知っているか、知らないか)ことも大きいですね。











将軍たちの夜 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ハンス・ヘルムート・キルスト著の「将軍たちの夜」を読破しました。

今回は2年以上前に紹介した「戦争映画名作選 -第2次大戦映画ガイド-」の表紙の主役、
ピーター・オトゥール演じるサイコなタンツ中将で有名な映画の原作小説です。
この映画は10数年前にTVで一度観たっきりなので、ドイツ軍に関係する細かいところは
ほとんど覚えていませんが、猟奇殺人スリラーとして、非常に印象に残っています。
著者キルストの小説も、手に入る文庫は結構前に読んでいて、
それは「長いナイフの夜」と「軍の反乱」の2冊です。
前者はSA粛清事件モノ、後者はヒトラー暗殺未遂事件モノの小説ですが、どちらも面白かったので、
489ページ の本書が1年半前に再刊されてから読むのを楽しみにしていました。

将軍たちの夜.jpg

著者のキルストをまず紹介しますが、1914年、東プロイセン生まれ。
1935年に復活したドイツ国防軍に志願し、ポーランド戦から対ソ戦まで従軍、
最終階級は中尉という経歴の持ち主です。
戦後は作家として活動し、1954年に第2次大戦時のドイツ軍の実相を描いたという
「零八/一五」を発表。
これは三部作で翻訳もされていますが、絶版かつ、プレミア価格なので残念ながら未読です。
また、彼のこの出世作は映画にもなっているようです。

というわけで1962年に発表された「将軍たちの夜」ですが、1966年に映画化され、
最初の翻訳版もハヤカワ・ノヴェルズから発刊されています。
映画の俳優陣もピーター・オトゥールしか覚えていませんでしたが、
鷲は舞いおりた」でヒムラーを演じたドナルド・プレザンスや、
「アラビアのロレンス」のコンビ、オマー・シャリフも出ていました。

the-night-of-the-generals-poster.jpg

1942年のワルシャワ。真夜中の殺人事件現場に呼び出されたのは
この地区の防諜活動責任者、グラウ少佐です。
メッタ刺しにされて殺されていたポーランド女性はドイツ防諜部のために働いていたこともあり、
呼び出された彼ですが、偶然トイレの隙間から容疑者を見かけた人物は
犯人は「ズボンに沿った赤い線」と「首のところに金色のもの」とその特徴を証言します。
このふたつの特徴が示すモノ・・、それはドイツ陸軍の将軍です。

当時4000人も存在していたというドイツ国防軍の将軍。
ワルシャワ市内には7人が、その内の4人にはアリバイがあり、
残る3人は、軍団長フォン・ザイトリッツ・ガープラー大将と
軍団司令部主任(参謀長)カーレンベルゲ少将、そして、
精鋭を集めた特別師団「ニーベルンゲン」師団長タンツ中将です。

The Night of the Generals.jpg

ローマ時代の剣闘士のように鍛え上げられた筋肉質の身体で
英雄的な要素を余すところなく詰め込んだ絵のような男、タンツ中将は、
大の潔癖症で独身、戦争のために一日たりとも休暇を取らず、
総統のために闘い続ける戦闘マシンのような人物です。
ワルシャワ市内での暴動を危惧し、ブロックごとに火炎放射器も使用して遠慮なく
住民を制圧していきますが、この辺りはなんとなく、シュトロープSS少将をイメージさせますね。

night-of-the-generals-21.jpg

そして3人の将軍に付きまとい、殺人事件について聞き出そうとするグラウ少佐は
軍団長ガープラー大将の意向によって、中佐に昇進し、
厄介払いとしてパリ勤務が命ぜられるのでした。

night-of-the-generals-Omar Sharif.jpg

第2部は1944年のパリが舞台です。
ガープラー大将とカーレンベルゲ少将の軍団はパリで勤務中・・。
そこに東部戦線で消耗し尽くしたタンツ中将の「ニーベルンゲン」が補充を求めてやってきます。
嫌がるタンツに数日間の休暇を命令し、芸術に造詣の深いハルトマン上等兵を
運転手として与える軍団長。
その理由は3日後の7月20日に、ある事件が起こることを掴んでいるからなのでした。
本書でもこの反乱グループについて、西方軍司令官フォン・クルーゲはハッキリと共感を示し、
フランス方面軍司令官フォン・シュテルプナーゲルの参加も確実、
国内予備軍司令官フロムも行動を起こす準備が出来ていると紹介されます。

Die Nacht der Generäle_3.jpg

一方、この機会に徹底的に休暇を過ごすことを決めたタンツはハルトマンの案内で
ルーヴル美術館巡りなどを楽しみますが、
気難しいことで有名なシェルナー将軍に7日間従えたことに誇りを持つハルトマンも
タンツの潔癖ぶりには辟易・・。実は映画ではこのシーンを一番良く覚えています。。
こうして7月19日の夜、タンツの選んだ売春婦とともに彼女のアパートへと送り届けますが、
タンツに呼ばれて部屋に入ると、そこにはメッタ刺しにされた女性の死体が・・。
ハルトマンに犯人の汚名を着せ、逃亡するようしたたかに語るタンツ・・。

The Night of the Generals Peter O'Toole.jpg

師団長であるにも関わらず、最前線で武器を取って戦うタンツは
レニングラード戦線でソ連軍に包囲され、全滅の危機を迎えたものの、何とか生き延び、
ワルシャワ蜂起では彼の乗る自動車が地雷に触れ、何日間も意識を失い、
ドン河橋頭堡で川に流されながらも、瀕死の状態で助かった男・・。
冷静で厳格さを貫き通すこの男の張りつめた精神には、
このような猟奇殺人が必要であり、それがひと時、彼を解放するのでした。。

the_night_of_the_generals.jpg

当然、この事件に興味を示すのは、このパリの地へ飛ばされていたグラウ中佐です。
信頼するフランス人警官プレヴェールとともにハルトマンを発見するものの、
ワルシャワの事件を知る彼は真犯人は別人だと確信しています。
そのころ、シュテルプナーゲル将軍は「ベルリンでゲシュタポが反乱を起こし、
総統が暗殺された」と告げ、パリにいるゲシュタポ、SD、SSのトップまで、
直ちに逮捕することを命令。。

ワルキューレ」の合言葉が届いても、行動することに逡巡する軍団長ガープラー。
SSの反乱に疑問を持つタンツはゲッベルスから
「破廉恥な反動将校によるもので総統は死んではいない」と電話で聞かされます。
毅然として、軍団長の机に陣取り、鎮圧指示を出すタンツのもとを訪れ、
前夜の殺人事件に関する質問をするグラウ中佐ですが、
総統の意志を代行していることを理由に、逆に逮捕、そして射殺・・。

Die Nacht der Generäle_2.jpg

第3部は1956年のベルリン。
終戦時、ソ連側に捕らわれていたタンツは東ドイツで軍人として活躍中。
西ドイツで退役軍人として名声を挙げつつあるガープラー大将の招きで西側へ向かいます。
しかしこれはパリ警視庁に戻っていたプレヴェールの「罠」なのでした。

La Noch de los Generales.jpg

ストーリーを知らない方でも、タンツが犯人なのは途中でわかりますので、
謎解きのような小説ではありませんが、いくらか映画を覚えているヴィトゲンシュタインでも
時間の許す限り、没頭してしまいました。
基本的には実際に起こった出来事に架空のタンツらが絡む展開で、
ハルトマン上等兵のロマンスなどもあって、楽しい小説でした。
しかし本書の表紙でも、映画でも途中からタンツ中将はSSの制服に変身していますが、
この経緯は良くわかりません。

特別師団「ニーベルンゲン」は国防軍の架空の師団ですが、国防軍のエリート師団、
グロースドイッチュランド」をイメージしているように思いました。
「ワルキューレ」の真相をゲッベルスから聞くところも、そんな感じですし・・。
ひょっとしたら武装SSの終戦直前に編成された「SS第38擲弾兵師団 ニーベルンゲン」が
本書の師団名に使われているのかも知れません。

Die Nacht der Generäle.jpg

ただヒトラー派の悪役師団長なので、映画では武装SSに転属したようにも思いますし、
また、映画のラストではこの師団の戦後の集まりにタンツ師団長が招待されて・・
という展開だったように思いますが、この原作では違いますね。
映画はうろ覚えの部分が多すぎて、DVDを買って見直そうと思っています。











戦場のクリスマス -20世紀の謎物語- [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「戦場のクリスマス」を読破しました。

気の向いた本をやみくもに読んで紹介する「独破戦線」も、季節感を大事にしようかな・・、
ということで、2006年発刊の350ページの本書を選んでみました。
タイトルである「戦場のクリスマス」は、以前に「ヴィジュアル版 「決戦」の世界史」で
「戦場のアリア」という映画を紹介しましたが、第1次世界大戦中の塹壕戦のなか
クリスマス休戦が行なわれ、サッカーまで・・というお話です。
本書はドイツZDFで放送された人気歴史番組「ヒストリー」を編集した27章のうち、
日本人向けの内容を抜粋して、15のノンフィクション短編集に仕上げたものです。

戦場のクリスマス.jpg

最初はその「戦場のクリスマス」から。
これは「戦場のアリア」のようなストーリー仕立てではなく、
当時の兵士たちが故郷に書き綴った手紙や写真などを紹介し、
戦争の最初の2年、1914年と1915年のクリスマスには、英独の各戦線のいたるところで
一時休戦が結ばれたエピソードを紹介しています。
物々交換に、写真を撮り合ったり、
もちろん双方50人ほどが参加した、じゃれ合いのようなサッカーの話も・・。

christmastruce1914.jpg

同じ第1次世界大戦からは、有名な魅惑の女スパイ「マタ・ハリ」が登場し、
「スターリンの私生活」は彼の若い奥さんの自殺や、子供たちとの関係が中心です。
この辺の話は、以前に観た「独裁/スターリン」という3時間ほどのTV映画でだいたい知っていました。
スターリンを演じたのはヴィトゲンシュタインの好きなロバート・デュヴァル
しかしデカイ「付け鼻」が異様でしたねぇ。。

STALIN Robert Duvall.jpg

本書では娘のスヴェトラーナが、パパ・スターリンに命令を下す手紙のやりとりが楽しめました。
「1934年10月21日。秘書1号の同志、J.W.スターリンへ。
命令第4号。わたしもいっしょにつれていくよう命じます。署名:女主人」
「印。秘書1号の署名:かしこまりました。J.スターリン」
この娘さんは先月、85歳で亡くなったばかりですね。。ニュースでやってました。

Svetlana Iosifovna Alliluyeva.jpg

次の「レーベンスボルン(生命の泉)」は、以前に読んだ「ナチスドイツ支配民族創出計画」の
ダイジェスト的な感じ。
続いて、1936年のスペイン内戦での有名な写真、
戦場カメラマン、ロバート・キャパが写した「崩れ落ちる兵士」の章です。
要は「ヤラセ」写真ではないか・・と言い続けられてきたこの写真の兵士が誰なのかを検証しますが、
もうちょっとキアヌ・リーブスっぽく仰け反ってたら「銃弾を避ける兵士」になっていたでしょう・・。

Falling Soldier_Capa.jpg

1940年、スターリンによって亡命先のメキシコで暗殺されたライバル、トロツキーと
その暗殺者ラモン・メルカデルの運命と続き、
次の「ココ・シャネル」の章は特に興味深く読みました。
独身を貫き通した「恋多き女」が、1927にはチャーチルと関係があったという説も登場し、
1940年には「自宅」にしていたパリのホテル・リッツがドイツ軍総司令部に・・。
壁一枚を隔てて「敵軍」と生活する彼女は、ドイツの防諜機関に属する
ハンス・ギュンター・フォン・ ディンクラーゲと恋仲となり、ドイツ軍の勝ち目が怪しくなってくると、
ディンクラーゲの上司、シェレンベルクが和平のために
彼女の友人、英首相チャーチルとの接触を模索します。

Coco Chanel_Churchill.jpg

戦後、彼女がシェレンベルクに送金を行っていたことが確認されているそうで、
これを「回想録で洗いざらい公表するよ」と脅されていた可能性も示唆しています。。

結局、シェレンベルクが「シャネルの愛人」だったのかどうか(wikiには思いっきり書いてありますが)
ヴィトゲンシュタインには良くわかりませんが、
独身で有名な金持ちのおばちゃんを利用しようとした人間が多かったのは事実でしょうし、
また、この激動の時代を生き抜いたシャネルもそうであったんじゃないか・・と思います。
そしてその「愛人」がひとりであったと考えるのも無理があり、
本命の彼氏以外にも、権力のある男と関係を持っていたとすれば、
シェレンベルクも「シャネルの愛人」のひとり・・という解釈が出来るのかもしれません。

von Dincklage_Chanel.jpg

「白バラ」のゾフィーとハンスのショル兄妹も登場します。
これは以前に観た映画「「白バラの祈りゾフィー・ショル、最期の日々」そのままですかね。
それから「ヒトラー最後の秘書」ユンゲ嬢との晩年のインタビュー。
あの「U-234」も出てきました。コレも
「深海からの声 -Uボート234号と友永英夫海軍技術中佐-」のダイジェスト版のような展開ですが、
日本人士官の2人よりは、積荷であった「ウラン酸化物」の行方がメインです。

sophie scholl.jpg

「チャップリン」では英国人の彼が米国で成功する様子と、戦争が始まり、
彼が公式にソ連軍を応援することでFBIからマークされ、米国と喧嘩になるまでが
「モダン・タイムス」なども少し紹介しながら進みます。
チャップリンは「キッド」とか「街の灯」とか、子供の頃、いろいろ観ましたが、
ラストが大抵、悲しいんであまり好きじゃありませんでした。
なので、個人的無声映画のNo.1俳優は「バスター・キートン」です。今でも大好きですね。

しかし、チャップリンの「独裁者」は、大昔に一度見たキリなので、
いま観たら、考えさせられることが多い気がします。1940年の作品というのも凄いですね。

Chaplin The Great dictator.jpg

「宿命の山ナンガ・パルバット」の章では、1930年代からのアルプスなどに挑んだ
ドイツ人登山家の話が中心です。
今年観た「アイガー北壁」の話もチョロっと出てきました。
登山はやったことがないんですが、この手の映画は昔から好きで、
特に「アイガー北壁」は結構、キツイ映画で、グッタリしましたから、
本書のアタックも読んでて思わず力が入りました。

アイガー北壁 Nordwand.jpg

これ以降は戦後のお話で、まずは東西に分かれたドイツとベルリン。
トンネルやキャデラックのダッシュボードの裏側に隠れ、東から西へ国境越えを図るお話です。
なにかNHKで見たような気もしますが、「トンネル」という映画もありましたね。

「JFK」は兄である"ジョー"との因縁が興味深かったですね。
もともとケネディ家としては長男を政界入りさせるつもりだったのが、
第二次大戦中、V1ロケット基地への攻撃で戦死・・。
そして病弱な次男"ジョン"にお鉢が回ってきた・・ということです。

John F. Kennedy and Joseph P. Kennedy Jr.jpg

最後は「サダム・フセイン」。
今年は「カダフィ大佐」が世界を賑わせましたが、
10年前の「世界の荒くれ者」といえば、この人です。
スターリンとは違い、身内を信用して周辺を固めますが、
息子のウダイとクサイはプレーボーイでやりたい放題・・。
エジプトのムバラク大統領夫人の目の前でウダイが「毒見係」を撲殺したときには
さすがのパパ・フセインも、このバカ息子を始末しようとしたそうです。。

uday-hussein.jpg

しかしこのサダムやカダフィといった独裁者たち、麻原ショーコーとかってのは、
往生際が悪いですね。だいたい隠れてみっともない捕まり方をしています。
その点だけでいえば、ヒトラーは潔かったと思ってしまいました。

saddam_Gaddafi.jpg

かなり楽しめた1冊でした。
本書のタイトル、「戦場のクリスマス」は最初のエピソードだけで、
クリスマス気分を味わった・・というほどのものではありませんでしたが、
第1次大戦から2003年まで、確かに日本人好みのエピソード満載で、
実にいい気分転換にもなりました。

クノップ本としては、「アドルフ・ヒトラー五つの肖像」と「ヒトラー権力掌握の二〇ヵ月」を
今度、読むつもりでいます。「ホロコースト全証言」はちょっとなぁ・・。
しかし翻訳されていない「SS」とか、「スターリングラード」もぜひ読んでみたいですね。



















戦う翼 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ジョン・ハーシー著の「戦う翼」を読破しました。

お馴染み「朝日ソノラマ」の米軍爆撃機モノの1冊です。
著者は第2次大戦に従軍記者として参加し、1946年には原爆「ヒロシマ」を書いたことで
有名のようで、本書の発刊当時は米国著作家連盟会長という方です。
「空飛ぶ要塞」こと、B-17"フライング・フォートレス"を舞台とした小説である本書。
原著は1959年の発刊、タイトルは「The War Lover」です。
ノンフィクションだった「ワイルド・ブルー」との比較も楽しみです。

戦う翼.jpg

一人称形式の本書の主役「私」は、B-17四発重爆の副操縦士であるボーマン中尉です。
25回と定められている爆撃任務も、あと1回で全うし、生き延びて帰国できるという状況・・。
そして朝からの出撃のため、夜中に叩き起こされ、2時半から朝食、そしてブリーフィングに
臨むわけですが、いざ出撃となっても、作戦中止となることもしょっちゅうです。

今回も「小説」なので、細かいことは極力控えて、簡単なストーリー展開を書こうと思いますが、
コレがなかなか難しい・・。
時系列で進む展開ではなく、回想で初陣まで遡ったりするので、
さまざまな出撃と爆撃任務のエピソードと乗員との人間関係がちょっとわかりづらいんですね。

memphis-belle.jpg

そんななかで本書の特徴である、各々の機のニックネームが細かく出てくるところは楽しめました。
例えば、映画「メンフィス・ベル」のような機の名前がバンバン出てくるんですが、
主人公の搭乗機は「いかす娘」号です。
機の前方に描かれたセクシー系の女の子の絵が定番ですが、この「ノーズ・アート」と呼ばれる
ものは、以前から興味があったので、「ディナより美人」号や「社長仲間」号など、
どんな絵なのかとか、オリジナルの名前を想像したりして・・。

B17_Texas Raiders.jpg

このような絵を描く専属の画家がいたようで、本書でもなぜか従軍してしまった50代の画家が、
安っぽい考えしかない連中の陳腐な考えで、同じような娘たちの絵を彼らの飛行機に描く・・
というエピソードがあり、そんな画家の苦悩も知らず、完成した自分たちの裸の娘の絵を
搭乗員たちは涎を垂らして、何時間も眺め続けるのでした。。。

cockrail hour.jpg

正操縦士のマローは26歳と、この世界では年長で、真の指揮官であると同時に、
大柄で文句が多く、怖いもの知らずを装うこの男を、主人公の副操縦士は大嫌いという関係です。
普通この爆撃機は正操縦士に命を預けた、家族のような信頼感で結ばれたモノ・・
というのが一般的ですが、本書ではドロドロした感じで、爽やかな空軍小説ではありません。

Witchcraft.jpg

「天使の足どり」号と「恋人同士」号、「消耗品6世」号、「でぶっちょマギー」号に
「往復切符」号、「ぶるぶる」号、といった連中を編隊を組み、何度も出撃。
そしてBf-109やFw-190、Ju-88の迎撃戦闘機の編隊との空戦も繰り広げられます。
しかし密集した編隊を崩してはならない爆撃機パイロットは、目の前に何度も
突っ込んでくるドイツ軍戦闘機の前には回避行動すら取れません。
やがては見たこともないMe-210にDo-217E、He-113なども一式揃って参戦してきます。
隣りでは空中分解して落下する「ねずみは止まらない」号の姿が・・。

The Virgin Hunter.jpg

そして「いかす娘」号最後の出撃・・。
本書は小説ですが、最後が特別印象的なので、勢いで書いてしまいますが、
機首部分に被弾し、機首射撃手のブリントは片足を吹き飛ばされてしまいます。
そしてスピードも落ち、編隊からも落伍した「いかす娘」号・・・、
この窮地に正操縦士のマローは神経をやられてしまい、機も制御を失います。

こうして初めて正操縦士となった主人公はドーヴァー海峡での不時着水を試みます。
執拗に追いかけているドイツ軍機にスピットファイアが護衛に・・、
このラスト空戦はなかなか手に汗握るもので、なんとか無事着水した「いかす娘」号ですが、
精神に異常をきたしたマローは、プロペラの羽根にぶら下がり、「彼女」と共に沈んでいきます。。
このマローの最期は、昔見たグレゴリー・ペックの「白鯨」のラストシーンを彷彿とさせますね。

MobyDick Gregory Peck.jpg

そしていま、このタイトルでamazonで検索したら、コレ映画になってました!
主演はなんとスティーヴ・マックィーン・・!。そしてこの偏屈な正操縦士マロー役のようです。
いや~、まったく知らなかったなぁ~!
大脱走」のヒルツ大尉をやる一年前の映画のようですね。

warlover.jpg

映画の原題も、日本での邦題も一緒・・。
「戦う翼」なんて映画、聞いたこともありませんでした。
とりあえずDVD安いし・・。
それにしても、こういう古い本でも発見があるって、ホント面白いですね。

McQueen 戦う翼.jpg







前の5件 | 次の5件 戦争映画の本 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。