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決定版 20世紀戦争映画クロニクル [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

大久保 義信 著の「決定版 20世紀戦争映画クロニクル」を読破しました。

不思議なことに戦争映画ガイドブックってほとんど出版されておらず、知っている限りでは、
以前に紹介した「戦争映画名作選 -第2次大戦映画ガイド-」だけであり、
あの文庫が出版されたのが1995年ですから、実に20年ぶりといったトコでしょうか。
本書は「映画秘宝COLLECTION」として最近出た、239ページの一冊で、
単なるガイドブックとは違い、「クロニクル = 年代記」というのがポイントです。

戦争映画クロニクル.jpg

4部から成る本書、まずは第1部「第一次世界大戦」です。
そしてその第1章は「第一次世界大戦前史(1840年~1905年」であり、これは「はじめに」でも
書かれていますが、戦争というのは過去の戦争の結果が引き起こすことが多々あり、
第一次世界大戦を語るには「普仏戦争」を、それを語るには「クリミア戦争」を、
それを語るには「ナポレオン戦争」を・・、とやってると、17世紀まで簡単に遡ってしまうため、
1840年の「阿片戦争」をスタートとしています。

ということで、その「阿片戦争」が起こった経緯と、英国議会でも「破廉恥な戦争」と呼ばれた
展開を解説しながら、1997年製作の中国映画「阿片戦争」を紹介します。
すぐに20世紀に入ると、1904年の日露戦争についての解説と共に、
1969年の映画、「日本海大海戦」に触れ、「戦史劇の傑作だ」という評価です。
この章の最後は「戦艦ポチョムキン」(1925)で〆られますが、
ページ下部には監督、出演者に、DVD情報も廃盤、未発売など細かく記載され、
また戦争、事変が「年表」として掲載されつつ、その下に該当する戦争映画のタイトルというのは
後で振り返るときに重宝しそうですね。
白黒ながらも地図や写真も1ページに1枚程度、掲載されています。



第一次世界大戦の勃発っていうのは結構複雑で、本書でも2ページに渡って解説。
それに該当する映画は・・というとリチャード・アッテンボロー初監督の「素晴らしき戦争」(1969)で
「良くできた映画」と評価。あ~、コレ未見なんですよねぇ。
有名なクリスマス休戦なら「戦場のアリア」、日本が参戦すると2006年の「バルトの楽園」が・・。
「安っぽくなってしまった残念な映画」という一般的な評価ですね。



しかし、この本書の展開、よく考えてみると4年前に紹介した、
ヴィジュアル版 「決戦」の世界史 -歴史を動かした50の戦い-」のときのレビューと同じですね。。
あの時も、戦いを紹介しながら、勝手に「こんな映画がありました」・・なんてやってました。
ということは、世界史、特に戦争の世界史って映画で学んだことが多いってことであり、
本書のこのような構成はある意味、必然のようにも思えてきました。

こうして「アラビアのロレンス」(1962)、「ブルー・マックス」(1966)、「戦火の馬」(2011)、
ジョニーは戦場へ行った」(1971)など、3回は観た名作に1度も見てない有名映画、
はたまた無名のTVムービーも登場しながら進みます。



57ページから第2部の「日中戦争~太平洋戦争」です。
「戦争映画の傑作」という1970年の「トラ・トラ・トラ!」に始まり、
1957年の「戦場にかける橋」へと続きますが、後者についてはよく言われるフィクション部分に
言及しつつも、「今更どうでもいいが・・」といった論調です。



ガダルカナル島攻防戦は「シン・レッド・ライン」(1998)や、TVドラマ「ザ・パシフィック」(2010)。
フィリピン決戦ならグレゴリー・ペック主演の「マッカーサー」(1977)。
硫黄島攻防戦はイーストウッド監督の2作品以外に、ジョン・ウェイン主演の古い映画、
硫黄島の砂」(1949)も同列で紹介します。
最後の島となるのは「激動の昭和史 沖縄決戦」(1971)で、コレつい最近観たばっかりなんです。
なかなか良かったなぁ。今じゃ描けないようなリアルさが印象的でしたね。



人間魚雷出撃す」(1956)は、あのインディアナポリス号撃沈のお話。
回天搭乗員として石原裕次郎に長門裕之という「潜水艦映画の秀作」だそうです。
コレは見逃してた。松方弘樹 の「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」で満足していたもんで。。



終戦モノになると「日本のいちばん長い日」(1967)が登場。
コレも原作を読んで、今年、映画も観ました。
どっちも傑作と言って良いんじゃないでしょうか。



今夏、リメイク大公開!ですが、果たしてどんなモンでしょう??

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それから真岡郵便電信局事件の「樺太1945年夏 氷雪の門」(1974)も出てきました。
そういえば8月に「妻と飛んだ特攻兵」をTVドラマでやるそうです。妻は堀北真希ちゃん・・。
しかし女性と子供の避難民2000名にソ連戦車14両が襲い掛かり、逃げまどう避難民を
次々と轢き殺す・・という「葛根廟事件」のシーンはさすがに無理か・・。

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ちょうど半分、115ページからお待ちかねの第3部「第二次世界大戦」。
その第1章はやっぱり「大戦前史 ヨーロッパの新しい国境」であり、帝国が崩壊して、
新たに独立した国々も出てきますから、このあたりの歴史もシッカリと押さえています。
最初に登場するのがエストニア/フィンランド合作の「バルト大攻防戦」(2002)という映画で、
1918年のエストニア独立に伴い、ドイツ、フィンランド、反共ロシア軍、コサックにラトヴィア赤軍が
入り乱れた独立戦争を描いた秀作だそうです。コレ、観てみたいなぁ。



1920年のソ連・ポーランド戦争を描いた「バトル・オブ・ワルシャワ 大機動作戦」(2011)も
気になります。ポーランド映画ですが、例のスターリンとか、トハチェフスキーが活躍、
その因縁の始まりとなる戦いですからね。



イタリアでは1920年代にムッソリーニが台頭。
TVドラマ「ムッソリーニ 愛と闘争の日々」(1985)で、主役を演じるのは「パットン」こと、
ジョージ・C・スコットです。その他、ガブリエル・バーン、ロバート・ダウニー・Jrと、
なかなかの演技派が揃い踏みで、5時間越えでも楽しめそう。
同様にドイツでは、ロバート・カーライルが演じたTV映画「ヒットラー」(2003)と、
長いナイフの夜を描いた傑作といわれる「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)を紹介します。

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そのナチスによってオーストリア併合となると、「サウンド・オブ・ミュージック」(1964)です。
「ドレミの唄」が戦争映画かよと思う方もいるかもしれませんが、つい最近、初めて観ました。
長女に恋する男の子がヒトラーユーゲントぽくなって、最後はSAになって、家族を・・と、
楽しいミュージカルの中に、ナチスの暗雲立ち込める複雑な状況を見事に表現した傑作でした。

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ポーランド戦なら「戦場のピアニスト」(2002)と、「カティンの森」(2007)。
冬戦争を描いた「ウィンター・ウォー」(1990)はDVDも持ってます。
主人公の弟が砲弾でバラバラになっちゃうんだよなぁ・・。
1940年のドイツの西方戦勝利と、その占領地を描いたものなら「ダンケルク」(1964)、
デンマークのレジスタンスを描いた「誰がため」(2008)、
オランダならポール・ヴァーホーヴェン監督の「ブラックブック」(2006)と、
未公開の「ロッテルダム・ブリッツ ナチス電撃空爆作戦」(2012)ですが、
その空爆シーンは迫力はあるものの、恋愛ドラマなんだそうな・・。



ヴィシー政府を描いた戦時中の映画として「カサブランカ」(1942)も紹介し、
ユダヤ人狩りをするSS大佐を成敗した「イングロリアス・バスターズ」(2009)も・・。
「大西洋の戦い」の筆頭は、当然の如く「U・ボート」。何度見ても最高! 一家に一枚DVD!
しかし、なんでもリメイクされるとかいう恐ろしい噂がありますね・・。
それより古い映画としては「眼下の敵」(1957)や、「戦艦シュペー号の最後」(1956)、
ビスマルク号を撃沈せよ!」(1959)と名作が続きます。
やっぱり海の男の話に変なヤツは出てこないのかな。



「イギリスの戦い」の章になると、「空軍大戦略」(1969)が傑作と紹介され、
先日紹介したばかりの「殴り込み戦闘機隊」(1956)も出てきます。
撃墜されたドイツ空軍のヴェラ少尉の「脱走四万キロ」(1957)が英国で作られたのは、
「その不屈の闘志と冒険行が敵味方を問わずヒーローにしたのだ」と解説。



バトル・オブ・ブリテンが終わると、騎士道的ではない戦略爆撃モノへと移ります。
「メンフィス・ベル」(1990)に、マックイーンの「戦う翼」(1964)といった米軍モノでは、
指揮官の責任と限界を描いたグレゴリー・ペックの「頭上の敵機」(1949)を推しています。
妥当かな? 厳格な隊長が後半、精神に異常をきたす展開・・。良い演技でした。



ドレスデン 運命の日」(2006)については、ロマンスを絡めたせいで全体がグダグダに・・、
と辛口で、これなら断然「スローターハウス5」に軍配が上がるとしています。
あぁ、原作だけ読んで、映画観るの忘れてた。。



"ボマー"ハリスの英爆撃機隊を描いたものとしては、「暁の出撃」(1954)などを挙げ、
爆撃機隊は英米それぞれが5万名ずつもの戦死者を出したのだから、
米国が「戦略爆撃映画」数多く作ったことに納得する一方、
英国の場合は「特殊任務爆撃」を題材にしたものが多く、その理由として、
いかにも英国人好みな「趣味的作戦」を製作したと同時に、無差別都市爆撃が
道義的に問題があったという思いがあるからでは・・と分析します。



第4章は「北アフリカ、地中海、イタリア戦線」。
ナバロンの要塞」(1961)はフィクションだけども、ドイツ軍占領下を舞台にした傑作だとし、
砂漠の鬼将軍」(1951)は佳作という表現です。
でも戦後6年で米国がナチスの将軍の半生を描くっていうのもさすがロンメルの名声ですし、
個人的にも子供の頃にこの映画を観て、砂漠の狐を知りましたね。

偶然ですが、このような古い戦争映画が991円で限定発売中でした。
「戦後70年―今だから観るべきものがある。映画で振り返る第二次世界大戦厳選30タイトル」



ハンフリー・ボガートの「サハラ戦車隊」が1943年に製作されたっていうのも凄いですが、
西ドイツも1957年になって「撃墜王アフリカの星」を製作。
大好きな「パットン大戦車軍団」(1970)も前半はシチリアが舞台で、未見の映画では、
イタリア映画「炎の戦線 エル・アラメイン」(2002)が兵士目線の映画の傑作と好評価です。



同じ未見のイタリアものでは興味深いのが何作かありましたねぇ。
やがて来たる者へ」(2009)はSSが起こした「マルツァボット大虐殺」がテーマであり、
裂けた鉤十字」(1973)は同様に「アルデアティーネ洞窟の悲劇」が題材。
しかも主人公が苦悩するカプラーSS中佐で、演じるのはリチャード・バートンときたもんだ。



「独ソ戦」はちょっと大変です。。
バルバロッサ作戦に始まり、白ロシア占領、レニングラードにスターリングラード、
そしてベルリン攻防戦までを解説しつつ、9ページで該当映画を紹介するという力技。
戦火のナージャ」(2010)、「ディファイアンス」(2008)、「スターリングラード」(1993)、(2000)、
戦争のはらわた」(1975)といったDVDも持ってたり・・という映画もあれば、
炎628」(1985)、「ジェネレーション・ウォー」(2013)のように未見の作品も。
特にドイツのTV映画という「ジェネレーション・ウォー」は興味ありますね。

しかしソ連時代の映画も紹介され、ドイツ映画に、西側の英米の映画、最近の旧ソ連各国・・と、
同じ「独ソ戦」という括りにするのには、史実的にもややこし過ぎる気がしました。



連合軍ノルマンディ上陸・・となると、大定番の「史上最大の作戦」(1962)と、
プライベート・ライアン」(1998)。本書の表紙「特攻大作戦」(1967)は好きな映画ですが、
そのフランス女性版として、ソフィー・マルソーがSS女のコスプレを披露した
レディ・エージェント 第三帝国を滅ぼした女たち」(2008)も紹介します。
興味深いところでは妻子をドイツ軍に殺された男がドイツ軍兵士をひとりずつ処刑していく
復讐劇、「追想」(1975)の元ネタは、あの「オラドゥール村大虐殺」だとか・・。



初期の007シリーズの監督、テレンス・ヤングが1950年に撮った「撃滅戦車隊3,000粁」は、
戦車映画の傑作であり、本物のヤークトパンターと、ティーガーⅠが登場するだけでなく、
ティーガーⅠに至っては本当に燃やしてしまうそうで、
映画のためにストラディバリウスをぶっ壊すようなものだと、戦後すぐに作られた映画の
豪快さを強調します。スゲーな・・。ちょっと観てみたい。。
おっと、先日亡くなったクリストファー・リーが出てるじゃないか!



パリは燃えているか」(1966)もようやくDVDが出ましたから、そのうち観てみるつもりですが、
逆に観たくないのが、「アウシュヴィッツ行 最終列車」(2006)で、
その列車内部に焦点を絞り、悲惨をとおり越した極限状態に、嬉しそうにユダヤ人を虐殺する
ウクライナ人SSのエピソード・・。若い頃はスプラッター映画も好きだったのに、
最近は、血が出る、腹が減る・・といった映画は苦手になってきました。



遂に「最終戦」。
遠すぎた橋」(1977)から、「バルジ大作戦」(1965)、「大脱走」(1963)はココで紹介。
その他にも「レマゲン鉄橋」(1968)、「」(1959)、最近話題となった「フューリー」(2014)、
もちろん「ヒトラー 最期の12日間」(2004)も出てきますが、そのなかでも明確に描かなかった
ソ連兵のベルリン女性に対する強姦を扱った「ベルリン陥落1945」(2008)で終了します。



それにしてもですねぇ。未公開の戦争映画がDVDで続々とリリースされるのは良いですが、
大袈裟なタイトルとパッケージはなんとかしてもらいたいモンです。
ここまで読んでも、そのような内容との乖離がある映画が何本かありましたし、
せっかくストーリーが良くても、騙された感は拭えません。
典型的な例で紹介すると、「ベルリン陥落 1945」は、原題が「ベルリンの女」であり、
オリジナルのパッケージはこんな感じです。

A WOMAN IN BERLIN.jpg

これが日本のDVDになると・・・、



もうハッキリいって詐欺ですね。でも良い映画ですよ。DVD持ってますし。

第4部は「冷戦時代のアジア騒乱」で、朝鮮戦争やベトナム戦争が主たるターゲット。
特に有名な映画が多いベトナムもの、それらはすべて載っているといって良いでしょう。
あの映画ってベトナム戦争だったの?? なんてことにはならないですから、
今回はザックリ割愛しちゃいます。
ちなみに個人的No.1は、「フルメタル・ジャケット」(1987)じゃなくて、「プラトーン」(1986)です。
定番すぎてスイマセン・・。



そういえば「鷲は舞いおりた」(1976)はなかったような・・? フィクションだからかな。
まぁ、原作と俳優陣は完ぺきなんですが、悲しいかなテンポと迫力に欠ける映画なんですよねぇ。
また好きな戦争映画のひとつに「ブラックホーク・ダウン」(2001)があり、
冷戦の終わった1993年のソマリアが舞台と、20世紀にも関わらず、本書の対象外でした。
おっとコレ原作ありましたか。今度、読んでみよう。



戦争映画を評価するとき、それが史実かどうか、兵器や軍装の考証は正しいか?
といったことをまず第一に重要視する人がいますが、
戦争映画といっても「娯楽映画」の範ちゅうにあるジャンルのひとつであって、
映画という意味では、脚本(ストーリー)、演技、監督の思惑(脚色)、
次にテンポの良いカットなどの編集、名作映画に付きものの音楽が重要だと考えます。

あくまで、観終わって「いや~、映画ってホントに良いもんですねぇ」と思える映画が名作であり、
戦争映画もドキュメンタリーでない限り、そのように評価されるべきだと・・。
史実かどうか、軍装は・・? などというのは個人的にオプションであり、
2回目の鑑賞以降にチェックする程度ですから、その2回目すら観る気にならなければ、
どれだけ頑張ってる映画でも確認のしようがありません。
そういう意味で「大脱走」も「戦場にかける橋」も映画として素晴らしい作品だと思います。

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もちろん戦争映画ですから、戦闘シーンがあまりにショボければ興ざめになりますけど、
予算の関係もありますし、当時を完全に再現するのは大変です。
その筆頭が「バルジ大作戦」でしょう。
まぁ、現存するケーニッヒスティーガーが無いんだから、アレはアレで良いと思いますね。
もし今、あの映画をリメイクするなら、CGをタップリ使った迫力あるシーンになるでしょうが、
ロバート・ショウ演じるヘスラー大佐を筆頭に、今の役者さんたちでアレを超える映画になるかは?
より史実に忠実にと、ヨッヘン・パイパー似の可愛い顔したヘスラー大佐なんて嫌だしなぁ。

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というわけで、本書は「あの戦いは映画になってるのかな?」という風に調べるガイドブックです。
このようなことから、結果的に観たい映画がかなり増えてしまいました。
あの映画ってこんな内容だったのね・・的な、目から鱗のパターンですね。
当然ながら、本書を期待外れと立腹する人もいるでしょう。
戦争の世界史を知りたいんじゃなくて、映画の中身、☆での評価を求める人ですが、
残念ながら本書はそのような人向きではありませんので注意が必要です。。

巻末に「さくいん」があったので、ざっと見たところ「350本」くらいが紹介されているようですね。
また最後に「戦争映画をより深く知りたいと思った読者の方に・・」と参考書籍を挙げていました。
このBlogでも紹介した本が何冊かありますので、抜粋してみましょう。

第二次世界大戦ブックス」・・一部に古くなった情報もあるが内容は今尚、色褪せない。
ヒトラーの戦い①~⑩」・・ヒトラーを軸に描いた大作。欧州戦線を掴むにはこの1本で充分。
誰にも書けなかった戦争の現実」・・最前線兵士の心理を扱った、必読のドキュメント。
電撃戦という幻」・・フランス戦の真相を軍事サイエンスから分析した大作で、必読。
最強の狙撃手」・・軍事作戦における狙撃兵の戦術/目的を教えてくれる好著。








タグ:戦争映画

暁の出撃 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ポール・ブリックヒル著の「暁の出撃」を読破しました。

6年前の「暁の七人」に続く、独破戦線「暁」シリーズの第2弾が遂にやってまいりました。
しかし「暁」って最近、聞かないですねぇ。夜明けとか日の出と言うよりも風情がありますな。
そんなことは置いておいて、この1991年、朝日ソノラマの364ページの原著の出版は、
その40年前、1951年と大変古いもので、著者が前年に発表したのがあの「大脱走」。
本書「暁の出撃」は、一足早い1955年に映画化もされている有名な一冊で、
英空軍特殊爆撃隊によるドイツのダム破壊任務の全貌を生々しく描いたもの。
原題はズバリ、「ダム・バスターズ」です。

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物語は1939年に戦争が始まったころ、ピッカース社でウェリントン爆撃機を設計したベテラン、
バーンズ・ウォリス技師が爆弾の設計に携わるところから・・。
当時、英空軍が保有していた最大の爆弾は旧式な250㌔爆弾であり、
より大型の500㌔爆弾の重要性も認識され始めます。
ウォリスは思考の出発点として、ドイツに損害を与えるには「どこ」を「どのように」爆撃するか?
エネルギー供給源である炭坑や油田、水力発電所・・。
その研究はルール地方の三大ダム、メーネ、エーデル、ゾルベをターゲットとして、
10㌧の爆弾を高度1万2200mから投下することで破壊可能と計算されるのでした。

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しかし、時はダンケルク撤退であり、このような新兵器案は空軍関係者から嘲笑されます。
アーサー・テッダー少将とビーヴァーブルック卿が興味を持ち、「ダム空襲委員会」も設立され、
模型を使ったテストを繰り返す日々。
ダム自体に着弾させるのではなく、ダムの壁面ギリギリの水中に沈めた爆弾が爆発することで、
ダムに破孔を生じさせることが判明すると、爆撃機軍団司令官ハリス中将と対面。
「貴様のような頭のイカれた発明家に割く時間など持ち合わせておらんのだ。
部下たちを貴様のおかしな爆弾投下で無駄死にさせるわけにはいかんのだ!」

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テスト結果を見てなんとか納得したハリス。胴回り2mの新型爆弾の開発が始まると、
コクレーン少将の第5爆撃航空群に、「X」特別飛行隊を編成することとなり、
隊長に任命されたのは25歳のガイ・ギブソン中佐。歴戦の爆撃機野郎です。
しかし目標は極秘・・。ギブソンは思わず「ティルピッツだ!」

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練度の高い搭乗員が各飛行隊から集められ、正式に「第617中隊」として猛訓練が始まります。
夜間に水上を速度386㌔、高度18mで飛び、正確に爆弾を投下する・・。
これがウォリス技師がギブソン隊長に与えた難題です。

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ダム爆破に使用する「反跳爆弾」が爆発せずに正しい運動をしたうえで、壁面下に達するよう、
高度が重要であり、アブロ・ランカスター下部2ヵ所にスポットライトを取り付けます。
2本のビームが機体の下18mで交わることで、高度を知ることができるのです。

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1943年5月、遂に「チャスタイズ作戦」の日がやってきました。
メインとなるギブソンの9機編隊が南方から侵入し、メーネ・ダムを攻撃。
その後、未投弾の爆撃機はエーデル・ダム攻撃に移り、
北方ルートをとる5機編隊はゾルベ・ダムを攻撃し、機動予備として5機編隊が遅れて発進。
ゾルベ・ダム攻撃は途中、対空砲火による撃墜などもあって失敗に終わりますが、
ギブソン隊長機はメーネ・ダムに突撃。水上面を高度18mで突き進むと、
ドイツ軍高射砲陣地もビームを放ちながら接近する敵機の姿を認め、
無数の曳光弾が飛び交います。

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見事、爆弾を投下して、ダムの上に設置されたタワーの間を飛び抜けて急上昇。
そして重苦しい爆発音とともに巨大な水柱が・・、その高さ300m。
しかしダムは破壊されません。
続けて「M号機」が突入しますが、高射砲弾が命中し、爆弾も外れ、主翼も吹っ飛んで墜落・・。
空中で旋回待機しながら、一機ごとに突入を繰り返すと、遂に破壊されるダム。
司令部で一報を受けたウォリスは大喜びで、ハリスもその手を取って顔をほころばせるのです。

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エーデル・ダムへの攻撃も成功し、結果は2勝1敗。
無事に帰還してビールを飲み干すギブソンですが、出撃した133名のうち、未帰還が56名。
ビールに口もつけず、涙を拭きながら立ち尽くすのは民間人であるウォリス技師。
「こういうことを知っていたら、私はこの計画を推し進めなかったろう」。

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この水上スレスレを一機一機が対空砲火をくぐり抜けながら飛んで、ピンポイントで爆弾を落とし、
最終的にダムが決壊するシーン。迫力があって、読んでいてそれとなく感じていましたが、
あの「スター・ウォーズ」のクライマックス、デス・スターを破壊するシーンの元ネタだそうです。

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なるほどねぇ。もっとも映画「暁の出撃」のシーンのオマージュらしいですけれど、
本書だけでも十分に伝わってきました。
ちなみにこの映画には隊長機副操縦士役で、若きロバート・ショウが出演しています。
ますます観てみたくなりました。ヘスラー大佐になる10年前ですね。

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ドイツ側の損害を見てみると、ダムから80㌔も離れた炭坑すら水に浸かるほどの洪水によって、
飛行場浸水、25か所の橋梁も押し流され、6500頭の牛や豚が死に、軍需工場も大打撃。
なにか「3.11」の地震と津波を彷彿とさせますねぇ・・。
そして1300人の死者のうち、749人がドイツ人ではなかったそうです。
なぜならエーデル・ダムの下流に、ソ連兵の収容所があったから・・。

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国王と皇后がお祝いに一躍有名となったダム爆撃隊を訪問。
ギブソンは飛行隊の記章コンテストを実施しており、閲兵式後に陛下に依頼します。

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そして皇后も交えた厳正なる協議の結果、1枚のスケッチが選ばれます。
それはダムの中央部に裂け目が生じて水を噴出し、上には電光が煌めいている図柄。
こうして今でも「第617中隊」のエンブレムとして使われているわけですね。

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さて、ここまでクライマックスのデス・スターならぬ、ドイツのダムを破壊して152ページ。
本書はまだまだ続きます。
スッカリ気を良くしたハリス中将によって第617中隊は特別任務部隊とされ、
今後は陸軍、海軍からダムに艦船、その他の硬目標を叩けとの要望があれば出撃・・と。
ギブソン中佐は充分働いた・・と飛行任務から外され、新たな隊長がやって来るのです。
英空軍最年少の大佐、レオナード・チェシアは25歳。

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ウォリス技師がもともと考えていた大型爆弾もようやく完成。
長さ6.4m、重量5462㌔の「トールボーイ」です。
この爆弾は「地震爆弾」とも言われ、建造物等に直撃させることが必要ということではなく、
20m以内の弾着であれば、地表深くから爆発によって建造物を基礎から壊してしまうのです。

初陣は連合軍のノルマンディ上陸後すぐにやって来ました。
情報機関の報告によれば、ドイツ軍は1個装甲師団をボルドーから列車で輸送中とのこと。
ならばその前にロワール川付近のサウマー・トンネルを通過できなくしてしまえ・・というわけで、
投下されたトールボーイは地中30mまでめり込んでから炸裂。結果は上々。
結局、通れなかった装甲師団ってなんでしょうね? ダスライヒかな??

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ル・アーブルのEボート基地への攻撃が終わると、
ロンドンとノルマンディに落下し始めた「V1飛行爆弾」と、「V2ロケット」の情報が・・。
パ・ド・カレー近郊の巨大な建造物。コンクリートの厚さは6mと推定されます。
また、パリ近郊の洞窟には膨大な量の「報復兵器」が貯蔵されているとの情報から
この洞窟そのものを潰してしまおうと出撃を繰り返します。

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その翌日の目標はミモイエック。
地中に隠された砲身長153mの「V3-ムカデ砲」の退治にも成功。
300名の基地要員も生き埋めです。
ブレストにロリアンといったUボート好きお馴染みのブンカーにも「トールボーイ」が降ってきます。
5㌧爆弾「トールボーイ」に自慢のコンクリート天蓋をぶち抜かれたドイツ軍は、
ならばと、ハンブルク、ブレーメンのUボート・ブンカーの天蓋を5mから9mの厚さへ・・。
すると、今度はより強力な10㌧爆弾「グランドスラム」の開発が始まるのです。

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すでに昼間もドイツ空軍の迎撃に対する心配もなくなり、堂々と編隊を組んで精密爆撃も可能。
もはや目標も減り、中隊最初の目標と勘違いされた戦艦ティルピッツがターゲットに・・。
しかし、ノルウェー北端のフィヨルドに鎮座するティルピッツを攻撃、帰還するのには
燃料が足りません。そこでロシアとの共同作戦が計画され、
アルハンゲリスクから32㌔ほどの場所にあるヤゴドニク飛行場を発射基地にすることに。
南京虫が這いずり回り、汚水のひどい臭いのする宿舎で3日間待機・・。
端折りますが、この英露パイロットの交流エピソードはなかなか面白かったですねぇ。

The Tirpitz.jpg

この頃にはファウキエ隊長に代わり、ポケット戦艦「リュッツォー」を仕留めに向かいますが、
強力な高角砲、対空砲火は凄まじく、18機すべてが命中弾を受けたかのよう・・。
撃墜されるランカスターも出始めますが、この最後の最後になって、ドイツ海軍の大奮戦。。
思わずニヤニヤしてしまいました。だってやられっぱなしでしたからねぇ。
そういえば「第二次大戦下ベルリン最後の日」では、「袖珍戦艦リュッツォウ号撃沈サル」。

Geman pocket battleship Deutschland.jpg

ブレーメンなどのブンカーにも完成した「グランドスラム」を叩き込み、見事に天蓋を貫通。
しかし英海軍省は「貫通した」ことを信じておらず、ハリスはファウキエ隊長に現地視察を指示。
ハンブルクのドックに向かったファウキエと通訳がその威力による荒廃ぶりを眺めていると、
ドイツ水兵が「指揮官の許へおいで願えないでしょうか」とやってきます。
すると200名のドイツ海軍将兵が整列しており、指揮官が敬礼した後、降伏を申し出ます。
コレにはファウキエもビックリ仰天。
なぜなら、この周辺はとっくに降伏した安全地帯だと思っていたからです。

Grand Slam bomb which pierced the reinforced concrete roof of the German submarine pens at Farge.jpg

しかもファウキエがこのUボート・ブンカーを爆砕した張本人の爆撃隊長だと
通訳が余計なことまで告げてしまい、身の危険すら感じてしまうファウキエ・・。
しかし指揮官は「貴官の指揮された見事な爆撃ぶりに敬意を表します」。
その爆撃によって多くの部下を失っている傷心のドイツ海軍指揮官は、
沈みかけた貨物船での昼食にファウキエを招待するのでした。

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ヨーロッパでの戦争はこうして終わり、隊員たちにも休暇が・・と思いきや、
対日戦略爆撃英空軍航空隊として、九州に上陸する米軍を援護するために
トールボーイとグランドスラムを本州と九州を結ぶ交通線に投下するという任務が・・。
しかしそれより遥かに強力な爆弾が広島と長崎に投下されるのでした。

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本書は原題の「ダム・バスターズ」からイメージする「チャスタイズ作戦」に限定したものではなく、
第617中隊のニックネームが「ダム・バスターズ」であり、その部隊の終戦までの戦闘記録です。
ついでに言うと、夜間爆撃なのに「暁の出撃」というのも若干変な話で、
あえて言うなら「暁の帰還」ですかね。。

著者ブリックヒルの原作で映画化されたのがもう1本ありました。
1956年に公開された「殴り込み戦闘機隊」がソレで、義足のパイロットとして知られる
ダグラス・バーダーの伝記映画であり、監督は「暁の七人」のルイス・ギルバート。
コチラも未見ですが、ドイツの捕虜になってガーランドと親交を深めるシーンがあるのかどうか、
ちょっと気になりますね。
原作も読んでみたいところですが、未訳でした。残念!







ゴールデンボーイ -恐怖の四季 春夏編- [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

スティーヴン・キング著の「ゴールデンボーイ」を再度、読破しました。

なんやらネットでフラフラしていたら、キング原作の映画「ゴールデンボーイ」がヒット。
元ナチの老人と子供の話と書いてあって、そういえば・・と本棚を物色。
キングは若い頃から大好きで、良く読んだもんです。
長編だと4巻ものなんて当たり前ですから、50冊も出てきました。
本書は1988(昭和63)年の発刊で、中編の2作が収められています。
副題の「恐怖の四季 春夏編」からもわかるとおり、 秋冬編もあって、
あの「スタンド・バイ・ミー」が入っており、実はソチラが1年前に出ています。
それは映画の「スタンド・バイ・ミー」に合わせて原作が出たからなんですね。

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初めのお話は「刑務所のリタ・ヘイワース」です。
これも1994年に「ショーシャンクの空に」というタイトルで映画化されています。
日本では結構、人気のある映画ですね。
当時、ロードショーで観ましたが、個人的には「ぼちぼち」という印象が残っています。
子供の頃から「刑務所脱獄映画」なら、イーストウッドの「アルカトラズからの脱出」や、
「ミッドナイト・エクスプレス」なんかを観てきましたので、ちょっと物足りなかったかな??
本書に収められた原作は160ページほどで、
キングの基準でいえば短編・・、いや、ショートショートでしょうか・・。
ということで、この「刑務所のリタ・ヘイワース」はスルーしましょう。



そしてメインの「ゴールデンボーイ」は330ページの中編。
舞台は1974年夏のアメリカ北東部で、キングお得意の場所です。
13歳の少年トッドは、近くに住むアーサー・デンカーという老人の家に押しかけます。
友達の父親が沢山持っていた古い戦争雑誌を見た彼は、
そこに載っていたドイツ兵が女たちを虐待している写真や、強制収容所の記事に興味を引かれ、
ダッハウという場所での死体の山の写真に、嫌悪と同時に興奮を覚えたのです。
そして図書館でホロコースト関連本100冊を読破して徹底的に学んだ時、
偶然、この老人の姿を見かけたのでした。

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トッドは老人に詰問します。
本名はドゥサンダーであり、ベルゲン・ベルゼン、続いてアウシュヴィッツの副所長を経て、
70万人が死んだ「パティン強制収容所」の所長、その後、アルゼンチンへ逃亡・・。
成績優秀で私立探偵を目指しているトッドは、老人に過去の話を語るよう強制します。
話さなければ戦犯が隠れていると通報するぞ。
アイヒマンがどうなったか知っているだろう?? というわけです。

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「人間の皮膚でスタンドの笠を作ったのは、イルゼ・コッホじゃなかった?
彼女は細い曲がったガラス管を使って、すごい拷問をやったんだよね。
あんたはあいつらのお尻をぶったの?
女たちの? まず服を脱がせて、それから・・」。

当初はしらばっくれていた老人も、少年のしつこさに口を割り始めます。
それでもトッドがまず聞きたいことは、「イルゼ・コッホに会ったことある? 美人だった?
写真は見たけどほら、白黒で、ぼやけてて・・、彼女、ほんとにボインだった?」

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昼間からバーボンを呑みつつ、「この国では無辜の市民を殺したり、子供を銃剣で刺したり、
病院を焼き払ったりしたGIたちはご褒美に勲章を貰い、故郷の街では歓迎される。
戦争に負けた連中だけが、命令に従ったばっかりに、
戦争犯罪人として裁判を受ける・・」と嘆くドゥサンダー。
しかしトッド少年には、そんな政治的な話はまったく興味がありません。
彼が聞きたいのは、メンゲレのようなドイツの医者が女と犬をつがわせようとしたとか、
一卵性双生児を冷蔵庫に入れて、同時に死ぬか確かめようとしたとか、
電気ショック療法とか、麻酔なしの手術とか、
ドイツ兵が片っ端から女をレイプしたとか、そんな話なのです。

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それから毎日、学校が終わると老人宅を訪問するトッド。
「今日は『ガスかまど』の話を聞きたいな。
囚人が死んだ後、どんな風に焼いたかもね」。

実際、独破戦線へアクセスしてくる検索ワードには、
「ユダヤ人少女レイプ無料動画」なんてのが、ほぼ毎日あります。
そんな"無料動画"なんて無いと思いますが、興味のある人は多いんですね。

今の世の中、ネットの世界が広まっていますから、情報収集も楽ですけれど、
個人的には"ヒトラーが絶賛したwiki"にしろ、参考程度にしか見ていません。
何かを知りたければ、お金を使って本を買って、時間をかけて読む・・。
無料の情報なんて、信憑性もないし、間違ったことも多く、安かろう悪かろう・・です。

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本書のドゥサンダーも架空の人物、パティンも架空の強制収容所なわけですが、
ヒムラーやら、強制収容所総監であったグリュックスがNo.2として、
また「ベルゼンの野獣」ヨーゼフ・クラーマーの名も、2人の会話に上がります。
忘れたい過去を思い出させようとする、この生意気な少年は決して好きになれないものの、
話すことに不思議な満足感を覚えるドゥサンダー。

そんな関係が続いた12月にはクリスマス・プレゼントを持参するトッド。
中身は「仮装・舞台用衣装ピータース衣裳店」で買ったSS中尉の制服一式・・。
「いや、私は着ない。坊や、お楽しみはここまでだ。死んでも着ない」と拒絶しますが、
またもやアイヒマンのようになりたいのか・・と脅すトッド。。
やがてドゥサンダーはこの安物の制服を着た自分の姿に魅せられていくのでした。

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トップクラスの優等生だったトッドの学校での成績は落ちる一方。
家で勉強しようにも、教科書を開けば強制収容所の光景が頭に浮かんでくるのです。
そして初めての夢精を体験・・。
その夢は強制収容所の実験室の台の上に固定された、豊満で美しい若い娘との異常な行為。

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イメージ的には以前紹介した、こんなイケないことをしている夢を見たんでしょうか・・。
子どもが見る夢じゃないですね。実にイケません。。
ちなみに中学の同級生で、一晩で2回夢精した・・というツワモノがいますが、
ヴィトゲンシュタインは経験したことが1度もありません。その理由はナイショ。。

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一方で所長時代の尋問の様子を一人思い出すドゥサンダー。
その尋問部屋には電熱器が置いてあり、ラム・シチューがぐつぐつと音を立てて・・。
彼は優しい口調で尋ねます。「誰だね? 誰が宝石を隠しているのかね?」
吐けばシチューを食べさせるという約束は一度もしたことがないにもかかわらず、
その香りは例外なく、相手の固い口を緩めてしまうのです。
"棍棒"でも吐かせることはできますが、シチューは、そう、実にエレガントなのです。

こうして少年と老人、2人の精神バランスは徐々に崩れていきます。
お互いに殺人の夢を見始めると、それを実行に移し始めるのです。
トッドは高校3年生になり、ドゥサンダーにはイスラエルの追手が・・。

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映画「ゴールデンボーイ」は1998年に製作され、翌年に日本公開されています。
ほとんど覚えてないなぁ・・。ひょっとしたら観てない可能性大です。
映画でクルト・ドゥサンダーを演じたのはイアン・マッケランですが、
有名なところでは「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフ役でしょうか??
なお、トッドは最初から16歳の高校生という設定のようですね。

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今回発掘してしまった50冊のキングの本、いくつか再読したくなりました。
特に好きだったのは「デッド・ゾーン」と、「IT(イット)」ですか・・。
それから「ダーク・タワー」シリーズも面白かったですね。
映画なら「ミザリー」と、「ペット・セメタリー」が原作と同じくらい良かったです。

とにかく今回再読して、さすがに25年ぶりですから再読と言えるかわかりませんが、
強制収容所で行われたことについて、「私はガス室の「特殊任務」をしていた」のような 
エゲツない話はほとんどないものの、当時よりも、ゾっとしたのは間違いありません。
ヴィトゲンシュタインがナチス・ドイツの勉強を始めたのは、人生としては最近・・、
いい大人になってからですが、もし、主人公のような夢精もしていない中学生じぶんに
アウシュヴィッツだとか、ブッヘンヴァルトに興味を持ってしまい、
その虐殺方法やらにドップリとのめり込んでしまっていたら、
殺人者にならないまでも、今とは別の人格になっていたかも知れません。
ホロコーストを勉強している方なら、本書を読むと思い当たるフシがあるんじゃ・・[がく~(落胆した顔)]

















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ナヴァロンの要塞 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アリステア・マクリーン著の「ナヴァロンの要塞」を読破しました。

もうコレはまさに「古典」ともいえる有名な戦争映画の原作です。
過去に2回はTVで映画は観ましたが、原作を読むのは今回が初めて。
強烈な本を読んだ次は、こういう小説で息抜きしたくなりますね。
著者の本は処女作の「女王陛下のユリシーズ号」を読んでいますが、
本書は第2作に当たり、原著は1957年、日本では単行本として1971年に発刊され、
文庫化されたのは1977年という大変歴史ある、393ページの戦争冒険小説です。

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まずはいつものように「訳者あとがき」から・・。
グレゴリー・ペックとアンソニー・クィン出演による1961年の映画「ナバロンの要塞」に触れ、
映画も面白いけど、原作も面白いよといった紹介です。
また、原作は「ナヴァロンの要塞」ですが、映画だと「ナバロンの要塞」。。
こういう微妙に違うってのはややこしくて、こんなBlogを書いている人間には大変迷惑です。
ヒギンズの「鷲は舞い降りた」も、映画のタイトルは「鷲は舞いおりた」ですしね。。

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英軍在カイロ後方攪乱作戦本部の作戦主任、ジェンセン大佐に呼び出された主人公マロリー大尉。
彼は前日にドイツ軍が占領するクレタ島での18ヶ月に及んだ任務を解除されたばかり。
半ば強引に連れてこられたこの作戦室でブリーフィングが始まります。
英軍将兵1200名で占領しているトルコ沿岸の小さなケロス島。
しかしこの島にドイツ軍が上陸するとの情報がもたらされ、
先手を打って彼らを救出するための駆逐艦が派遣されることになっていますが、
そのルートである西側の水道に睨みを利かしているのが「ナヴァロンの要塞」です。

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4ヵ月前にも巡洋艦をわずか5分で片づけてしまった恐ろしく正確な2門の巨砲・・。
断崖絶壁に囲まれたこの島の怪物を無力化しないことには、
ケロス島の1200名の命は風前の灯です。
そこで砂漠挺身隊のベテランで、有名な登山家であり、世界最高のロック・クライマーである
ニュージーランド人のマロリー大尉に白羽の矢が立ったというわけです。

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チームには英海軍の大尉で一流の登山家でもあるスティーブンス。
逆に山と名の付いたものには一度も登ったことがないものの、
爆発物を扱わせたら天才的な米国人のミラー伍長。
船舶特殊部隊のベテランで本部との無線連絡を担当するスコットランド人のブラウン電信兵曹。
最後にクレタ島でマロリーの副官を務めていた相棒で、大男のギリシャ人アンドレアです。

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こうして彼らは深夜に船でナヴァロン島に接近し、
不可能と言われたこの断崖絶壁を登り切って上陸に成功。
しかし食料の喪失やスティーブンス大尉の足が複雑骨折するという代償を払うことに・・。
このエーゲ海に浮かぶトルコ沿岸の「ナヴァロン島」ですが、どうやら架空の島のようです。
そこで映画のロケを行ったのはロードス島・・。
ラスト・オブ・カンプフグルッペⅢ」の一発目に出てきた、あの島ですね。

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ここまで読み進めて、映画はかなり原作に忠実だったのが良くわかります。
主役のマロリー大尉はグレゴリー・ペックの顔、
相棒のアンドレアはアンソニー・クィンを簡単に当てはめられますね。
ミラー伍長はエドワード・フォックスだったと思っていましたが、
納得いかずに調べてみると、デヴィッド・ニーヴンでした。。
そうか。。エドワード・フォックスがミラーを演じたのは続編の「ナバロンの嵐」だったんですね。
どちらもひょうひょうとして、すっ呆けた感じのミラーをイメージ通りに演じています。
ちなみに「ナバロンの嵐」で主役のマロリーを演ずるは、「ヘスラー大佐」こと、ロバート・ショウ。
この面子では若き「ハン・ソロ」もさすがに印象薄かったですねぇ。。

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話を本書に戻すと、上陸早々に有能なドイツ軍の軍曹に発見され、
その後、エーゲ海とは思えないほど雪の降る山中を逃げまどうマロリー隊ですが、
彼らを追跡するのは最強の山岳兵団である、「アルプス軍団」です。
現地人である頼りになる味方、ルーキとパナイスとも合流したのも束の間、
疲れ切っていた彼らは洞窟で寝込みを襲われ、ドイツ軍に捕えられてしまいます。

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テュールジッヒ中尉は怒りに声を震わせて語ります。
「我々はジュネーブ協定に従って正々堂々と戦っているんだ!
しかし、あの協定は将兵のためのもので、人殺しのスパイなんかに・・」。
「俺たちはスパイじゃないぞ!」とマロリーが反論しますが、
「じゃ、軍服はどこにあるんだ? お前はスパイだ。
平気で後ろから刺したり、喉笛を掻き切る人殺しのスパイだ!」。

そこでギリシャ人のアンドレアが「俺はスパイじゃない! 
無理やり協力させられているんです!」と迫真の演技でお慈悲を訴えます。
そして隊長が世界一のロック・クライマー、キース・マロリーであることが明かされると、
アルプスの登るに値する山はすべて登っているという山岳大隊の
テュールジッヒ中尉の態度は一変します。

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「確かにマロリーだ。その名を知らんものは俺の隊には一人もおらんよ。
戦前なら、いや、たとえ戦争中でもあなたと知り合いになれたことを誇りに思っただろうし、
喜んだろう。しかし、ここでは別なんだ。嬉しいとは思わない。
誰かほかの者を寄こしてくれたらという気持ちでいっぱいだ」。
いや~、このシーンは一番のお気に入りです。映画でもありましたかねぇ?

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心優しい登山家のテュールジッヒ中尉の上官であるスコダ大尉は
「全身これ悪の塊」という典型的なナチ将校です。
そしてこの悪人を見事にぶち殺して脱出に成功するマロリー隊一行。
再び山中へ逃げ込むも、今度はシュトゥーカ急降下爆撃機の編隊と、
ネーベルヴェルファー・ロケット砲が襲い掛かります。
アルプス軍団にも追い詰められて絶体絶命となった彼らですが、
骨折した足が壊疽を起こし、すでに死にかけているスティーブンスが
「弾薬2箱ばかりと、手榴弾2、3発を置いて立ち去ってください」と申し出るのでした。

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ドイツ兵から奪い取った軍服に身を包み、巨砲の破壊に向かうマロリーとミラー。
ここまでくれば後はハリウッド映画になったのと同様、ハッピーエンドが待っています。
そういえば映画ではヒロインの女性がいたと思いますが、
この原作では女性はただの一人も登場しませんでした。

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映画で主役を演じたグレゴリー・ペックは、なぜか日本人が大好きな「ローマの休日」で
「真実の口」に手を食べられちゃう人ですから、若い女性の方でもご存知でしょう。
しかし、男目線からしてみれば、あんなオチャラケた新聞記者役ではなく、
なんといっても「白鯨(モビィ・ディック)」での執念の男、エイハブ船長が印象的ですね。

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冒険アクション小説ですが、登場人物が良く描き込まれていて古さを感じさせない一冊でした。
主役のマロリーも運のなさと疲労から、度々、誤りを犯す人間味のある人物ですし、
ミラーの皮肉たっぷりのお喋りは、緊張感も和らげて実に楽しくさせてくれます。
敵であるドイツ軍も、立場の逆転したテュールジッヒ中尉とのやり取りは公平、
そしてスタートから怪我をして単なるお荷物となった
スティーブンスの苦悩と最後の選択もジ~ンとさせてくれました。
さすが名作ってトコですね。









スローターハウス5 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

カート・ヴォネガット・ジュニア著の「スローターハウス5」を読破しました。

先月の「ドレスデン逍遥」以来、気になっていた本書。
原著は1969年に発表され、翌年の「ヒューゴー賞」を受賞したSF小説の古典です。
出版当時は、まだドレスデンの無差別爆撃は連合国によって秘密扱いとされ、
1945年2月にドレスデンで捕虜となっていた著者の体験がベースとなっているそうです。

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この「スローターハウス5」というタイトルは昔から聞き覚えがありますが、
1972年のジョージ・ロイ・ヒルの映画も観たことがありませんし、
記憶を辿ってみると、やっと思い出しました。
1990年ごろ、NFLのヒューストン・オイラーズが黒人QBウォーレン・ムーンを擁し、
5人のレシーバーを走らせるラン&シュート・オフェンスをやっていたとき、
そのレシーバー陣をニックネームで「スローターハウス5」とTVで呼んでいたと思います。
なかでもタッチダウンした時にエレクトリック・スライドと名付けられたビリビリ感電したかのような
セレブレーションをするアーネスト・ギビンズが大好きでしたねぇ。

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本書のストーリーはというと、1944年の冬、ルクセンブルクでの「バルジの戦い」で
ドイツ軍に捕らえられた主人公のビリーら米国兵たち。
大戦末期のドイツ軍による悲惨な捕虜列車の輸送・・、
辿り着いた平和な都市ドレスデンで巻き込まれる味方による大空襲・・。

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と書けば、まるで戦争小説のようですが、実はそんなことはありません。
四次元の宇宙人トラルファマドール星人に拉致されて、
彼らの星の動物園で見世物になったり、時空を越えてビリーの過去、未来が頻繁に往復する展開。
トラルファマドール星人は手に眼があったり、
小学生の時によく読んだ星新一や筒井康隆のショートSFを思い出させます。
いや~、このとんでもない本のレビューを上手く書けたらプロになれますね。

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そんなわけで、文庫でも267ページの本書ですが、いつものようなレビューはさっさと諦めます。。
amazonでは23件のレビューがありますし、wikiにも内容が書かれていますから
興味のある方はそちらを参照ください・・。

日本で本書が発刊されたのは1973年で、タイトルはそのまま翻訳した「屠殺場5号」です。
本書でも「シュラハトホーフ=フュンフ」と呼ばれる主人公の米軍捕虜たちが
収容所代わりに入れられたドレスデンの屠殺場のことなんですね。
表紙は前年に制作された映画の主人公ビリーの写真なので、ソレに合わせて発刊されたのかと
思ったものの、映画のタイトルと違うのはナゼ? と思って調べてみると、
映画が日本で公開されたのは1975年だったようです。
そしてこの文庫版は1978年に映画と原著のタイトルで発刊されたという歴史ですね。

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映画の監督ジョージ・ロイ・ヒルはこの映画の前に名作「明日に向って撃て!」を撮っており、
この「スローターハウス5」の次に、ヴィトゲンシュタインの大好きな
「スティング」を撮っているという名監督です。
映画のDVDも、もはや買ってみるしかありませんが、
いったい、この原作をどのように料理しているのか、
コメントで教えていただいていますが、なおさら興味津々です。

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ココでおまけとして年末らしく「独破戦線2012-年間ベスト10」を発表してみましょう。
独破戦線初の試みですよ!
と、威勢の良いワリには考えれば考えるほど、順位をつけるのが難しい・・。
なので順位付けはやめて、「独破戦線が選ぶ 2012年、この10冊」にします。。

1945年・ベルリン解放の真実 戦争・強姦・子ども
ドイツ参謀本部
第二次世界大戦 リデル・ハート
健康帝国ナチス
グラーグ -ソ連集中収容所の歴史-
イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45
君はヒトラー・ユーゲントを見たか?
スターリン -赤い皇帝と廷臣たち-
ヒットラーを焼いたのは俺だ
ノルマンディー上陸作戦1944

う~む。。今年はソ連モノにも本格的に挑戦しましたので、3冊がランクインです。
順番はあくまで読んだ順なので意味はありません。
戦争小説はランク外ですが「反逆部隊」が一番面白かったですし、
番外編で紹介した「ロシアから来たエース」も結構、感動しました。
実はレビューは書きませんでしたが、巨人入団までのスタルヒンの前半生が描かれた
「白球に栄光と夢をのせて」もコッソリ読んだくらいです。。

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コレはやってみると、なかなか楽しいなぁ・・ということで、去年の
独破戦線が選ぶ 2011年、この10冊」もやってみましょう。

死刑執行人との対話
第二次世界大戦 ヒトラーの戦い 全10巻
パンツァー・ユニフォーム -第2次大戦ドイツ機甲部隊の軍装-
Uボート部隊の全貌 -ドイツ海軍・狼たちの実像-
切手が語るナチスの謀略
電撃戦という幻
ヒトラー最後の十日間
普通の人びと -ホロコーストと第101警察予備大隊-
ヒトラーを操った男 -マルチン・ボルマン-
エヴァ・ブラウン -ヒトラーの愛人-

まさにナチス・ドイツ・・ですね。

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ついでに「独破戦線が選ぶ 2010年、この10冊

ベルリン終戦日記 -ある女性の記録-
最終戦 -1945年ドイツ-
始まりと終り -栄光のドイツ空軍-
デーニッツと「灰色狼」 -Uボート戦記-
ドイツ装甲師団とグデーリアン
捕虜 -誰も書かなかった第二次大戦ドイツ人虜囚の末路-
髑髏の結社 SSの歴史
戦争は女の顔をしていない
ジューコフ元帥回想録 -革命・大戦・平和-
重戦車大隊記録集〈2〉SS編

いや~、名著がズラリ・・。
最終戦にハマっていた時期だったかな??

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ここまできたらこのBlogが始まった、「独破戦線が選ぶ 2009年、この10冊

不屈の鉄十字エース
失われた勝利
最強の狙撃手
大西洋の脅威U99 -トップエース クレッチマー艦長の戦い-
脱出記 -シベリアからインドまで歩いた男たち-
鷲は舞い降りた [完全版]
極限に生きる -疎外され死ぬ以外の権利を剥奪された一団の物語-
ヒトラー最後の戦闘
詳解 武装SS興亡史 -ヒトラーのエリート護衛部隊の実像-
10年と20日間 -デーニッツ回想録-
巡洋艦インディアナポリス号の惨劇
電撃戦 -グデーリアン回想録-
忘れられた兵士 -ドイツ少年兵の手記-

初年は数が多かったですし、マンシュタイン、デーニッツ、グデーリアンの
回想録なんてのはどうやっても外せませんから、足が出てしまいました。
やっぱり戦記が多い気がしますね。
小説は個人的に大好きなBest.2が入っています。

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さてさて、勢いで決めてみたベスト10ですが、もちろん読み返したりして
決めたわけもなく、タイトルだけ見て、パッと挙げてみました。
よって、明日、同じことをやってみれば、違う結果になるでしょうね。。

今年はこれにて閉店です。
コメントしていただいた方々も、そうでない方々もご訪問ありがとうございました。
それでは皆さん、ど~ぞ良いお年を。













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