スローターハウス5 [戦争映画の本]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
カート・ヴォネガット・ジュニア著の「スローターハウス5」を読破しました。
先月の「ドレスデン逍遥」以来、気になっていた本書。
原著は1969年に発表され、翌年の「ヒューゴー賞」を受賞したSF小説の古典です。
出版当時は、まだドレスデンの無差別爆撃は連合国によって秘密扱いとされ、
1945年2月にドレスデンで捕虜となっていた著者の体験がベースとなっているそうです。
この「スローターハウス5」というタイトルは昔から聞き覚えがありますが、
1972年のジョージ・ロイ・ヒルの映画も観たことがありませんし、
記憶を辿ってみると、やっと思い出しました。
1990年ごろ、NFLのヒューストン・オイラーズが黒人QBウォーレン・ムーンを擁し、
5人のレシーバーを走らせるラン&シュート・オフェンスをやっていたとき、
そのレシーバー陣をニックネームで「スローターハウス5」とTVで呼んでいたと思います。
なかでもタッチダウンした時にエレクトリック・スライドと名付けられたビリビリ感電したかのような
セレブレーションをするアーネスト・ギビンズが大好きでしたねぇ。
本書のストーリーはというと、1944年の冬、ルクセンブルクでの「バルジの戦い」で
ドイツ軍に捕らえられた主人公のビリーら米国兵たち。
大戦末期のドイツ軍による悲惨な捕虜列車の輸送・・、
辿り着いた平和な都市ドレスデンで巻き込まれる味方による大空襲・・。
と書けば、まるで戦争小説のようですが、実はそんなことはありません。
四次元の宇宙人トラルファマドール星人に拉致されて、
彼らの星の動物園で見世物になったり、時空を越えてビリーの過去、未来が頻繁に往復する展開。
トラルファマドール星人は手に眼があったり、
小学生の時によく読んだ星新一や筒井康隆のショートSFを思い出させます。
いや~、このとんでもない本のレビューを上手く書けたらプロになれますね。
そんなわけで、文庫でも267ページの本書ですが、いつものようなレビューはさっさと諦めます。。
amazonでは23件のレビューがありますし、wikiにも内容が書かれていますから
興味のある方はそちらを参照ください・・。
日本で本書が発刊されたのは1973年で、タイトルはそのまま翻訳した「屠殺場5号」です。
本書でも「シュラハトホーフ=フュンフ」と呼ばれる主人公の米軍捕虜たちが
収容所代わりに入れられたドレスデンの屠殺場のことなんですね。
表紙は前年に制作された映画の主人公ビリーの写真なので、ソレに合わせて発刊されたのかと
思ったものの、映画のタイトルと違うのはナゼ? と思って調べてみると、
映画が日本で公開されたのは1975年だったようです。
そしてこの文庫版は1978年に映画と原著のタイトルで発刊されたという歴史ですね。
映画の監督ジョージ・ロイ・ヒルはこの映画の前に名作「明日に向って撃て!」を撮っており、
この「スローターハウス5」の次に、ヴィトゲンシュタインの大好きな
「スティング」を撮っているという名監督です。
映画のDVDも、もはや買ってみるしかありませんが、
いったい、この原作をどのように料理しているのか、
コメントで教えていただいていますが、なおさら興味津々です。
ココでおまけとして年末らしく「独破戦線2012-年間ベスト10」を発表してみましょう。
独破戦線初の試みですよ!
と、威勢の良いワリには考えれば考えるほど、順位をつけるのが難しい・・。
なので順位付けはやめて、「独破戦線が選ぶ 2012年、この10冊」にします。。
1945年・ベルリン解放の真実 戦争・強姦・子ども
ドイツ参謀本部
第二次世界大戦 リデル・ハート
健康帝国ナチス
グラーグ -ソ連集中収容所の歴史-
イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45
君はヒトラー・ユーゲントを見たか?
スターリン -赤い皇帝と廷臣たち-
ヒットラーを焼いたのは俺だ
ノルマンディー上陸作戦1944
う~む。。今年はソ連モノにも本格的に挑戦しましたので、3冊がランクインです。
順番はあくまで読んだ順なので意味はありません。
戦争小説はランク外ですが「反逆部隊」が一番面白かったですし、
番外編で紹介した「ロシアから来たエース」も結構、感動しました。
実はレビューは書きませんでしたが、巨人入団までのスタルヒンの前半生が描かれた
「白球に栄光と夢をのせて」もコッソリ読んだくらいです。。
コレはやってみると、なかなか楽しいなぁ・・ということで、去年の
「独破戦線が選ぶ 2011年、この10冊」もやってみましょう。
死刑執行人との対話
第二次世界大戦 ヒトラーの戦い 全10巻
パンツァー・ユニフォーム -第2次大戦ドイツ機甲部隊の軍装-
Uボート部隊の全貌 -ドイツ海軍・狼たちの実像-
切手が語るナチスの謀略
電撃戦という幻
ヒトラー最後の十日間
普通の人びと -ホロコーストと第101警察予備大隊-
ヒトラーを操った男 -マルチン・ボルマン-
エヴァ・ブラウン -ヒトラーの愛人-
まさにナチス・ドイツ・・ですね。
ついでに「独破戦線が選ぶ 2010年、この10冊」
ベルリン終戦日記 -ある女性の記録-
最終戦 -1945年ドイツ-
始まりと終り -栄光のドイツ空軍-
デーニッツと「灰色狼」 -Uボート戦記-
ドイツ装甲師団とグデーリアン
捕虜 -誰も書かなかった第二次大戦ドイツ人虜囚の末路-
髑髏の結社 SSの歴史
戦争は女の顔をしていない
ジューコフ元帥回想録 -革命・大戦・平和-
重戦車大隊記録集〈2〉SS編
いや~、名著がズラリ・・。
最終戦にハマっていた時期だったかな??
ここまできたらこのBlogが始まった、「独破戦線が選ぶ 2009年、この10冊」
不屈の鉄十字エース
失われた勝利
最強の狙撃手
大西洋の脅威U99 -トップエース クレッチマー艦長の戦い-
脱出記 -シベリアからインドまで歩いた男たち-
鷲は舞い降りた [完全版]
極限に生きる -疎外され死ぬ以外の権利を剥奪された一団の物語-
ヒトラー最後の戦闘
詳解 武装SS興亡史 -ヒトラーのエリート護衛部隊の実像-
10年と20日間 -デーニッツ回想録-
巡洋艦インディアナポリス号の惨劇
電撃戦 -グデーリアン回想録-
忘れられた兵士 -ドイツ少年兵の手記-
初年は数が多かったですし、マンシュタイン、デーニッツ、グデーリアンの
回想録なんてのはどうやっても外せませんから、足が出てしまいました。
やっぱり戦記が多い気がしますね。
小説は個人的に大好きなBest.2が入っています。
さてさて、勢いで決めてみたベスト10ですが、もちろん読み返したりして
決めたわけもなく、タイトルだけ見て、パッと挙げてみました。
よって、明日、同じことをやってみれば、違う結果になるでしょうね。。
今年はこれにて閉店です。
コメントしていただいた方々も、そうでない方々もご訪問ありがとうございました。
それでは皆さん、ど~ぞ良いお年を。
カート・ヴォネガット・ジュニア著の「スローターハウス5」を読破しました。
先月の「ドレスデン逍遥」以来、気になっていた本書。
原著は1969年に発表され、翌年の「ヒューゴー賞」を受賞したSF小説の古典です。
出版当時は、まだドレスデンの無差別爆撃は連合国によって秘密扱いとされ、
1945年2月にドレスデンで捕虜となっていた著者の体験がベースとなっているそうです。
この「スローターハウス5」というタイトルは昔から聞き覚えがありますが、
1972年のジョージ・ロイ・ヒルの映画も観たことがありませんし、
記憶を辿ってみると、やっと思い出しました。
1990年ごろ、NFLのヒューストン・オイラーズが黒人QBウォーレン・ムーンを擁し、
5人のレシーバーを走らせるラン&シュート・オフェンスをやっていたとき、
そのレシーバー陣をニックネームで「スローターハウス5」とTVで呼んでいたと思います。
なかでもタッチダウンした時にエレクトリック・スライドと名付けられたビリビリ感電したかのような
セレブレーションをするアーネスト・ギビンズが大好きでしたねぇ。
本書のストーリーはというと、1944年の冬、ルクセンブルクでの「バルジの戦い」で
ドイツ軍に捕らえられた主人公のビリーら米国兵たち。
大戦末期のドイツ軍による悲惨な捕虜列車の輸送・・、
辿り着いた平和な都市ドレスデンで巻き込まれる味方による大空襲・・。
と書けば、まるで戦争小説のようですが、実はそんなことはありません。
四次元の宇宙人トラルファマドール星人に拉致されて、
彼らの星の動物園で見世物になったり、時空を越えてビリーの過去、未来が頻繁に往復する展開。
トラルファマドール星人は手に眼があったり、
小学生の時によく読んだ星新一や筒井康隆のショートSFを思い出させます。
いや~、このとんでもない本のレビューを上手く書けたらプロになれますね。
そんなわけで、文庫でも267ページの本書ですが、いつものようなレビューはさっさと諦めます。。
amazonでは23件のレビューがありますし、wikiにも内容が書かれていますから
興味のある方はそちらを参照ください・・。
日本で本書が発刊されたのは1973年で、タイトルはそのまま翻訳した「屠殺場5号」です。
本書でも「シュラハトホーフ=フュンフ」と呼ばれる主人公の米軍捕虜たちが
収容所代わりに入れられたドレスデンの屠殺場のことなんですね。
表紙は前年に制作された映画の主人公ビリーの写真なので、ソレに合わせて発刊されたのかと
思ったものの、映画のタイトルと違うのはナゼ? と思って調べてみると、
映画が日本で公開されたのは1975年だったようです。
そしてこの文庫版は1978年に映画と原著のタイトルで発刊されたという歴史ですね。
映画の監督ジョージ・ロイ・ヒルはこの映画の前に名作「明日に向って撃て!」を撮っており、
この「スローターハウス5」の次に、ヴィトゲンシュタインの大好きな
「スティング」を撮っているという名監督です。
映画のDVDも、もはや買ってみるしかありませんが、
いったい、この原作をどのように料理しているのか、
コメントで教えていただいていますが、なおさら興味津々です。
ココでおまけとして年末らしく「独破戦線2012-年間ベスト10」を発表してみましょう。
独破戦線初の試みですよ!
と、威勢の良いワリには考えれば考えるほど、順位をつけるのが難しい・・。
なので順位付けはやめて、「独破戦線が選ぶ 2012年、この10冊」にします。。
1945年・ベルリン解放の真実 戦争・強姦・子ども
ドイツ参謀本部
第二次世界大戦 リデル・ハート
健康帝国ナチス
グラーグ -ソ連集中収容所の歴史-
イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45
君はヒトラー・ユーゲントを見たか?
スターリン -赤い皇帝と廷臣たち-
ヒットラーを焼いたのは俺だ
ノルマンディー上陸作戦1944
う~む。。今年はソ連モノにも本格的に挑戦しましたので、3冊がランクインです。
順番はあくまで読んだ順なので意味はありません。
戦争小説はランク外ですが「反逆部隊」が一番面白かったですし、
番外編で紹介した「ロシアから来たエース」も結構、感動しました。
実はレビューは書きませんでしたが、巨人入団までのスタルヒンの前半生が描かれた
「白球に栄光と夢をのせて」もコッソリ読んだくらいです。。
コレはやってみると、なかなか楽しいなぁ・・ということで、去年の
「独破戦線が選ぶ 2011年、この10冊」もやってみましょう。
死刑執行人との対話
第二次世界大戦 ヒトラーの戦い 全10巻
パンツァー・ユニフォーム -第2次大戦ドイツ機甲部隊の軍装-
Uボート部隊の全貌 -ドイツ海軍・狼たちの実像-
切手が語るナチスの謀略
電撃戦という幻
ヒトラー最後の十日間
普通の人びと -ホロコーストと第101警察予備大隊-
ヒトラーを操った男 -マルチン・ボルマン-
エヴァ・ブラウン -ヒトラーの愛人-
まさにナチス・ドイツ・・ですね。
ついでに「独破戦線が選ぶ 2010年、この10冊」
ベルリン終戦日記 -ある女性の記録-
最終戦 -1945年ドイツ-
始まりと終り -栄光のドイツ空軍-
デーニッツと「灰色狼」 -Uボート戦記-
ドイツ装甲師団とグデーリアン
捕虜 -誰も書かなかった第二次大戦ドイツ人虜囚の末路-
髑髏の結社 SSの歴史
戦争は女の顔をしていない
ジューコフ元帥回想録 -革命・大戦・平和-
重戦車大隊記録集〈2〉SS編
いや~、名著がズラリ・・。
最終戦にハマっていた時期だったかな??
ここまできたらこのBlogが始まった、「独破戦線が選ぶ 2009年、この10冊」
不屈の鉄十字エース
失われた勝利
最強の狙撃手
大西洋の脅威U99 -トップエース クレッチマー艦長の戦い-
脱出記 -シベリアからインドまで歩いた男たち-
鷲は舞い降りた [完全版]
極限に生きる -疎外され死ぬ以外の権利を剥奪された一団の物語-
ヒトラー最後の戦闘
詳解 武装SS興亡史 -ヒトラーのエリート護衛部隊の実像-
10年と20日間 -デーニッツ回想録-
巡洋艦インディアナポリス号の惨劇
電撃戦 -グデーリアン回想録-
忘れられた兵士 -ドイツ少年兵の手記-
初年は数が多かったですし、マンシュタイン、デーニッツ、グデーリアンの
回想録なんてのはどうやっても外せませんから、足が出てしまいました。
やっぱり戦記が多い気がしますね。
小説は個人的に大好きなBest.2が入っています。
さてさて、勢いで決めてみたベスト10ですが、もちろん読み返したりして
決めたわけもなく、タイトルだけ見て、パッと挙げてみました。
よって、明日、同じことをやってみれば、違う結果になるでしょうね。。
今年はこれにて閉店です。
コメントしていただいた方々も、そうでない方々もご訪問ありがとうございました。
それでは皆さん、ど~ぞ良いお年を。
今年もたくさんのレビューで楽しませていただき、ありがとうございました!(いつも仕事から帰って、一杯やりながらのお楽しみの時間です。)
来年も、よろしくお願いします。よいお年をお迎えください(^^ゞ
そうそう、正月休みはスローターハウス5のDVDをぜひご覧くださいね!
by ハッポの父 (2012-12-30 19:00)
ハッポの父さん。
たくさんのウィットに富んだコメントをありがとうございました。
来年も大事な時間に楽しんでいただけるよう頑張りマス。
by ヴィトゲンシュタイン (2012-12-31 17:11)
初めまして。
ナチス本が大好きな主婦です。
幼稚園の娘が居るのですが、ママ友には「ナチス好き」とはなかなか言えず(笑)、こちらのブログにお邪魔するのが日課になっています。
内容が濃いのと写真が豊富で、ほんとに読むのが楽しいです。
今年も読みごたえのある記事楽しみにしています。
by ちい (2013-01-01 23:16)
Frohes neues Jahr でございます。今年もどうぞよろしく、と「独破戦線が選ぶ10冊」のタイトルを見ながら 「こちらを知ってもう2年にもなるんだなー」としみじみ思った次第であります。
年末の大掃除の時にたまった新聞のスクラップを整理してたら案の定ブログ記事にしてなかった記事も沢山出てきたので、面白そうなのをまたピックアップしたいです。
ドレスデン物を、ワタシも早く手をつけなければ~と思いつつ最近読書がなかなか進まないダメッぷりです。
by IZM (2013-01-02 08:10)
ちいさん。はじめまして。ヴィトゲンシュタインです。
このBlog、なぜか女性にも人気あるんですね。
>ママ友には「ナチス好き」とはなかなか言えず
なはは、そりゃそうですね。娘さんも敬遠されてしまいそうです。。そう言うボクも、友達に 「ナチス好き」なんて言っていません。ただ、遊びに来られると、本棚見られてバレてしまいます。。
今年もガンバリマスので、また遊びに来てください。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-01-02 13:11)
IZMさん。明けましておめでとうございます。今年もよろしくど~ぞ。
そうですねぇ。だいぶ長いお付き合いになりました。
ローカル新聞ネタ、良いですね。楽しみです。
ボクは今日から始動です。明日には一発目がいけるかな??
今年は新たなジャンルの取り組みにも挑戦する予定ですよ。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-01-02 13:16)