呪われた海 ―ドイツ海軍戦闘記録― [ドイツ海軍]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
カーユス・ベッカー 著の「呪われた海」を読破しました。
第二次大戦におけるドイツ海軍滅亡史とも言える内容で
特に1939~1942までの水上艦における戦いが詳細に書かれています。
勿論、Uボート戦についてや終戦間近の避難民救出まで書かれていますが
この本のテーマは如何にしてドイツ海軍は敗れたのかであり、
それは戦争初期から始まっていたということが良くわかります。
ヒトラーに振り回される海軍指令レーダー元帥、その元帥も基本は戦艦巨砲主義であり
航空機による戦艦への攻撃や制空権の確保、Uボートの重要性を理解しておらず、
また、その性格において部下の提督との本音でのコミニュケーション不足から
いくつかの作戦が失敗となったことが原因とされています。
航空機に関しては海軍航空隊の創設や空軍の偵察などの要望は挙げるものの
やっぱり登場の国家元帥ゲーリングによって水泡に帰してしまいます。
しかし改めて感じたのは、戦争初期の陸海空による兵器生産の重要性です。
この本ではヒトラーは陸のことしか知らず、海図を見ると気分が悪くなるほどだとして
ソ連侵攻を目指して戦車等の生産に比重を置き、
イギリス本土上陸のあしか作戦などはまったくやる気はなし。
ソ連を屈服させることで、イギリスも和解に応じるだろうという考えだったとしています。
このような上層部の軋轢以外にも
巡洋戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ、
ポケット戦艦アドミラル・シェアとグラーフ・シュペー、
そして戦艦ビスマルクとティルピッツという有名艦の戦い。
さらには駆逐艦などのマイナー艦の奮戦ぶりも伝わってきます。
巻末の付録もなかなか充実しています。
カーユス・ベッカー 著の「呪われた海」を読破しました。
第二次大戦におけるドイツ海軍滅亡史とも言える内容で
特に1939~1942までの水上艦における戦いが詳細に書かれています。
勿論、Uボート戦についてや終戦間近の避難民救出まで書かれていますが
この本のテーマは如何にしてドイツ海軍は敗れたのかであり、
それは戦争初期から始まっていたということが良くわかります。
ヒトラーに振り回される海軍指令レーダー元帥、その元帥も基本は戦艦巨砲主義であり
航空機による戦艦への攻撃や制空権の確保、Uボートの重要性を理解しておらず、
また、その性格において部下の提督との本音でのコミニュケーション不足から
いくつかの作戦が失敗となったことが原因とされています。
航空機に関しては海軍航空隊の創設や空軍の偵察などの要望は挙げるものの
やっぱり登場の国家元帥ゲーリングによって水泡に帰してしまいます。
しかし改めて感じたのは、戦争初期の陸海空による兵器生産の重要性です。
この本ではヒトラーは陸のことしか知らず、海図を見ると気分が悪くなるほどだとして
ソ連侵攻を目指して戦車等の生産に比重を置き、
イギリス本土上陸のあしか作戦などはまったくやる気はなし。
ソ連を屈服させることで、イギリスも和解に応じるだろうという考えだったとしています。
このような上層部の軋轢以外にも
巡洋戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ、
ポケット戦艦アドミラル・シェアとグラーフ・シュペー、
そして戦艦ビスマルクとティルピッツという有名艦の戦い。
さらには駆逐艦などのマイナー艦の奮戦ぶりも伝わってきます。
巻末の付録もなかなか充実しています。
ラプラタ沖海戦 [ドイツ海軍]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ダドリー・ポープ著の「ラプラタ沖海戦」を読破しました。
映画「シュペー号の最後」でも有名なポケット戦艦グラーフ・シュペー号の
通商破壊作戦から巡洋艦エクセターなどの英国艦船団との海戦、
そして劇的に自沈するまでをドイツ・英国双方から描いた一冊です。
前半の通商破壊戦においてはラングスドルフ艦長の騎士道精神溢れる戦いで
常に相手側に死者を出すこともなく戦果を挙げていきます。
そして英国艦船団との戦いで50発もの命中弾を受け、傷ついたグラーフ・シュペー号は
中立国であるウルグアイに逃げ込んでしまいます。
英国から圧力を受けるウルグアイ政府との外交的な駆け引きや
戦艦アークロイヤルをはじめとする強力な英国艦船団が
モンテビデオ港から出てくるグラーフ・シュペー号を
てぐすね引いて待ち構えているといった欺瞞情報を流すことによって、
「自沈の道しかない」とラングスドルフ艦長に思わせたことが英国の勝利であるとしており、
「グラーフ・シュペーは自沈する必要はなかった」ということが
この本の真のテーマであることに気づきます。
その後、床に大きく広げられた旧ドイツ帝国海軍の軍艦旗の上で
拳銃自決を遂げた艦長ラングスドルフ大佐の葬儀には、
シュペー号の捕虜となっていた英国人船長も参列し、花輪を添えたという逸話も心に残ります。
同じポケット戦艦として活躍した「アドミラル・シェア」とは対照的なまさに悲運の艦といえます。
ダドリー・ポープ著の「ラプラタ沖海戦」を読破しました。
映画「シュペー号の最後」でも有名なポケット戦艦グラーフ・シュペー号の
通商破壊作戦から巡洋艦エクセターなどの英国艦船団との海戦、
そして劇的に自沈するまでをドイツ・英国双方から描いた一冊です。
前半の通商破壊戦においてはラングスドルフ艦長の騎士道精神溢れる戦いで
常に相手側に死者を出すこともなく戦果を挙げていきます。
そして英国艦船団との戦いで50発もの命中弾を受け、傷ついたグラーフ・シュペー号は
中立国であるウルグアイに逃げ込んでしまいます。
英国から圧力を受けるウルグアイ政府との外交的な駆け引きや
戦艦アークロイヤルをはじめとする強力な英国艦船団が
モンテビデオ港から出てくるグラーフ・シュペー号を
てぐすね引いて待ち構えているといった欺瞞情報を流すことによって、
「自沈の道しかない」とラングスドルフ艦長に思わせたことが英国の勝利であるとしており、
「グラーフ・シュペーは自沈する必要はなかった」ということが
この本の真のテーマであることに気づきます。
その後、床に大きく広げられた旧ドイツ帝国海軍の軍艦旗の上で
拳銃自決を遂げた艦長ラングスドルフ大佐の葬儀には、
シュペー号の捕虜となっていた英国人船長も参列し、花輪を添えたという逸話も心に残ります。
同じポケット戦艦として活躍した「アドミラル・シェア」とは対照的なまさに悲運の艦といえます。
高速戦艦脱出せよ! [ドイツ海軍]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ジョン・ディーン・ポター著の「高速戦艦脱出せよ!」を読破しました。
巡洋戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ、重巡洋艦プリンツ・オイゲンを
フランスのブレストからドーバー海峡を白昼堂々、強行突破を成功させた
「ツェルベルス作戦」の記録です。
当時ブレスト港ではイギリス空軍による空爆が活発であり、
シャルンホルストとグナイゼナウも被弾と修理が相次いで、身動きの取れない状況でした。
そして対ロシア戦線を憂慮するヒトラーはイギリス軍の北方攻略を危惧し、
海軍指令レーダー元帥にブレスト艦隊のノルウェーへの移動を命じます。
しかし、2つのルートのうちスコットランド迂回するルートはスカパ・フローのイギリス艦隊の
餌食になることが明白であることから、結局、ドーバー海峡のルートが選択されます。
ヒトラーの「ブレスト艦隊はガン患者であり、放って置けば必ず死ぬ。
しかし手術をすれば助かるかも知れぬ。ならば手術をしようではないか!」と
「イギリス人というものは、突発的な出来事にまともに対応できるような人種ではない!」の
二言がこの作戦の全てを物語っており、また、結果としてその通りであったことが非常に興味深く、
ヒトラー戦術の代名詞である「電撃戦」のように大胆な発想が
保守的な考え(レーダー元帥をも)を凌駕したと言えるでしょう。
艦隊指令に任命されたチリアックス提督もこの作戦には懐疑的であり、
3隻のうち、1隻失うのはやむなしとの命令を受けていました。
このような事情もあって自ら乗艦している旗艦シャルンホルストが
機雷の被害により停止した際、あっという間に駆逐艦に乗り移ってしまい・・、
というエピソードは状況判断としては個人的に致し方ない気もする次第です。
元々、チリアックス提督というのは人間的に評判が悪いことも手伝って、
このようなことが艦隊指令としてあるまじき行為のように言われています。
また、実はこの本はイギリス軍側からの視点の方が多く、
空軍、海軍のドタバタ振りが詳細に書かれており、
「なぜドーバー海峡突破をさせてしまったのか?」というのが本来のテーマとなっています。
ジョン・ディーン・ポター著の「高速戦艦脱出せよ!」を読破しました。
巡洋戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ、重巡洋艦プリンツ・オイゲンを
フランスのブレストからドーバー海峡を白昼堂々、強行突破を成功させた
「ツェルベルス作戦」の記録です。
当時ブレスト港ではイギリス空軍による空爆が活発であり、
シャルンホルストとグナイゼナウも被弾と修理が相次いで、身動きの取れない状況でした。
そして対ロシア戦線を憂慮するヒトラーはイギリス軍の北方攻略を危惧し、
海軍指令レーダー元帥にブレスト艦隊のノルウェーへの移動を命じます。
しかし、2つのルートのうちスコットランド迂回するルートはスカパ・フローのイギリス艦隊の
餌食になることが明白であることから、結局、ドーバー海峡のルートが選択されます。
ヒトラーの「ブレスト艦隊はガン患者であり、放って置けば必ず死ぬ。
しかし手術をすれば助かるかも知れぬ。ならば手術をしようではないか!」と
「イギリス人というものは、突発的な出来事にまともに対応できるような人種ではない!」の
二言がこの作戦の全てを物語っており、また、結果としてその通りであったことが非常に興味深く、
ヒトラー戦術の代名詞である「電撃戦」のように大胆な発想が
保守的な考え(レーダー元帥をも)を凌駕したと言えるでしょう。
艦隊指令に任命されたチリアックス提督もこの作戦には懐疑的であり、
3隻のうち、1隻失うのはやむなしとの命令を受けていました。
このような事情もあって自ら乗艦している旗艦シャルンホルストが
機雷の被害により停止した際、あっという間に駆逐艦に乗り移ってしまい・・、
というエピソードは状況判断としては個人的に致し方ない気もする次第です。
元々、チリアックス提督というのは人間的に評判が悪いことも手伝って、
このようなことが艦隊指令としてあるまじき行為のように言われています。
また、実はこの本はイギリス軍側からの視点の方が多く、
空軍、海軍のドタバタ振りが詳細に書かれており、
「なぜドーバー海峡突破をさせてしまったのか?」というのが本来のテーマとなっています。
ポケット戦艦 -アドミラル・シェアの活躍- [ドイツ海軍]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
T・クランケ著の「ポケット戦艦」を読破しました。
ポケット戦艦としてグラーフ・シュペー号と共に有名なアドミラル・シェア号の戦記です。
第2次大戦初期の通商破壊作戦において大西洋からインド洋まで航海し、
無事、数々の戦果を挙げたシェアの海洋冒険ものです。
著者である艦長のテオドール・クランケ大佐のチェスのような戦術をもって、
英海軍の裏の裏を突きながら、戦果を重ねていきます。
開戦初期ということもあって、艦長から一水兵に至るまで、皆、騎士道精神の持ち主であり、
国籍様々な捕虜(イギリス人、オランダ人、ノルウェー人、インド人などなど・・)の扱いにも
興味深い洞察力と可能な限り快適な居住を提供しようとする努力とあいまって、
微笑ましくも感動的ですらあります。
この本の大部分は艦上での生活におけるエピソードの積み重ねであり、
赤道を越える際の伝統的な赤道祭の大イベントから日々の食事に関わるちょっとしたエピソード
などが散りばめられて飽きることがありません。
ともかく、戦史にありがちな悲惨な展開もなく、海の男たちの冒険という色合いで
読み終わった暁には「卵」を食べたくなること請け合いです。
T・クランケ著の「ポケット戦艦」を読破しました。
ポケット戦艦としてグラーフ・シュペー号と共に有名なアドミラル・シェア号の戦記です。
第2次大戦初期の通商破壊作戦において大西洋からインド洋まで航海し、
無事、数々の戦果を挙げたシェアの海洋冒険ものです。
著者である艦長のテオドール・クランケ大佐のチェスのような戦術をもって、
英海軍の裏の裏を突きながら、戦果を重ねていきます。
開戦初期ということもあって、艦長から一水兵に至るまで、皆、騎士道精神の持ち主であり、
国籍様々な捕虜(イギリス人、オランダ人、ノルウェー人、インド人などなど・・)の扱いにも
興味深い洞察力と可能な限り快適な居住を提供しようとする努力とあいまって、
微笑ましくも感動的ですらあります。
この本の大部分は艦上での生活におけるエピソードの積み重ねであり、
赤道を越える際の伝統的な赤道祭の大イベントから日々の食事に関わるちょっとしたエピソード
などが散りばめられて飽きることがありません。
ともかく、戦史にありがちな悲惨な展開もなく、海の男たちの冒険という色合いで
読み終わった暁には「卵」を食べたくなること請け合いです。