パリ解放 1944-49 [フランス]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
アントニー・ビーヴァー、アーテミス・クーパー著の「パリ解放 1944-49」を読破しました。
去年の8月に出たアントニー・ビーヴァーの560ページの最新刊です。
ですが、コレ、タイトルが微妙だなぁ・・と思っていました。
パリが開放されたのは確かに1944年ですが、なんで1949年まで・・? と疑問でしたが、
原題は「Paris after the Liberation 1944-1949」。
なるほど・・、「パリ開放"後"」というのが正解なんですね。
いつもの如く「訳者あとがき」を読んでみると、本書は最新刊ではないことがわかりました。
原著の初版は1994年で、ビーヴァーが一躍有名になった「スターリングラード」の4年前。。
ただし、2006年に「改訂版」が出て、本書はそちらの翻訳だということです。
また共著者のアーテミス・クーパーとは、ビーヴァーの奥さんです。
第1章は「元帥と将軍」。1944年から始まるのかと思いきや、
1940年6月のドイツ軍の猛攻の前に降伏寸前のフランス政府の様子からです。
2年ぶりに顔を合わせた84歳の英雄ペタン元帥に、
陸軍最年少准将のひとりである49歳のドゴール。
総司令官のウェイガンは休戦を主張するペタン寄りであり、
首相のレイノーはドゴールの予測に感銘を受け、戦争省次官に任命しているという関係です。
英首相チャーチルの提案する「英仏連合」をフランスを自国の領土に組み入れようとする
英国の陰謀と見なし、「ナチの州になった方がマシだ」と激高するペタン派。
結局レイノーは辞任し、もはや閣僚ではなくなったドゴールは後ろ盾を失って、
ひっそりとフランスから脱出することを余儀なくされます。
それは戦争を継続することは命令不服従を意味し、個人的にも政治的にも嫌われていた
ウェイガンによって軍法会議にかけられる恐れがあるためです。
いや~、フランス人の英国嫌いはハンパじゃありませんね。
このようにして誕生した対独協力政府である、通称「ヴィシー政府」。
ドイツ軍占領下のパリよりもはるかに閉鎖的だったと言われ、
戦前の極右政治結社「火の十字団」の追随者から、最終的には
1943年に「ミリス・ナショナル(国民親独義勇軍)」がヴィシーの政治警察として誕生。
彼らはひとりひとり誓いを立てます。
「私は民主主義、ドゴール派の謀反、ユダヤ人の疫病に対して闘うことを誓います」。
しかし連合軍が北アフリカに上陸すると、ヴィシー政府とペタン元帥は崩壊。
こんな一大作戦も知らされなかった英国のドゴールに、ダルラン提督、ジロー将軍も登場し、
フランス国内ではゲシュタポ・ミリス連合vsレジスタンスの戦いも暴力的に・・。
といった1944年8月の「パリ解放」までの経緯が50ページほど簡単に述べられます。
ただし、そこはビーヴァーですから、エピソードの積み重ねの展開であり、
ある程度、知識のある人でないと事態が複雑すぎてついて行けないかも知れません。
パリ解放の先陣争いに明け暮れるルクレール将軍と、ヒトラーに防衛を任されたコルティッツ将軍。
最終的に凱旋門に到着し、熱狂的に迎えられるドゴール。。
この辺りは「ノルマンディ上陸作戦1944」に書かれていたのと同じ記述もあります。
それでも本書の方がさらに細かい展開でしょうか。
一方のペタン元帥といえば、9月7日にヒトラーが亡命フランスの首都に指定した
小さな城下町であるジグマリンゲンに到着。
報復を恐れた「ミリス民兵」たちも妻子を連れてドイツへ逃亡を図りますが、
そこでは同盟者として扱われるどころか、最悪の強制収容所のような環境で監禁され、
多くの子供は栄養失調で死亡、体力がない男たちは強制労働に駆り出されます。
残りの2500人は、武装SS「シャルルマーニュ」に編入され、
ベルリン最終戦でノルウェー人やデンマーク人と共に戦い続けます。
そしてソ連装甲車6台を破壊した「元ミリス」のウージェーヌ・ウォロは、
地下鉄の駅での蝋燭の光のもと、クリーケンベルク将軍から騎士十字章を授かるのでした。
う~む。この辺りは「ベルリン陥落1945」を彷彿とさせますが、
ミリスの話、以前から気になっているだけに興味深いですね。
解放されたパリではフランス人以外の人の姿もあります。
ヘミングウェイにジョージ・オーウェル、ロバート・キャパ、ウィリアム・シャイラー等々。
そんななか「対独協力者」に対してレジンスタンスが粛清を実行します。
ドイツ人と寝たとされる女性から、アパートの隣人や管理による匿名の告発・・。
まぁ最近、日本でも女の子が望んで??丸刈りになったりもしてますがね。。
そして劇的に増加した「ガス爆発」の死者の多さは、発見されたドイツ軍のパリ破壊用の
爆薬によるものだと推測し、年の明けた1月、2月になっても
アルデンヌ攻勢に対する恐怖感の影響で、その殺人件数は再び、膨れ上がるのでした。
連合軍は準備してきた「フランス地域ハンドブック」に、パリ娼館案内をコッソリ掲載し、
米兵たちは気前の良い情報を大いに活用・・。
しかし1年もしないうちに兵舎にはポスターが張り出されます。
「家庭を持ちたくないか? 淋病に感染した男性の12%は子供ができなくなる」。
英軍は厳格なモントゴメリーが娼館への立ち入りを禁止し、
赤線地帯に憲兵を配置するものの、野営地近くの野原が利用されることまでは防げません。
また、空っぽのフランスの商店に目を付ける一部の米軍補給将校らは、
帰国前にひと財産作ろうと、コーヒー、煙草、ガソリン、タイヤ、石鹸、薬品、ウイスキーなど、
全ての品々を闇市に転売してぼろ儲け・・。
当初は歓迎していたパリ娘たちも1945年の春になると、高慢な態度の米兵への情熱は消え、
口笛とラッキー・ストライクで呼び止められたある娘は、GIの手から煙草を取って足で踏みつけ、
周りのフランス人から、やんやの喝采を受けるのでした。
ココ・シャネルの話にも触れながら、アウシュヴィッツやラーヴェンスブリュックといった
強制収容所から帰ってきた女性たちの話へ・・。
歓迎委員会の前に現れた彼女たちは、骸骨のような想像を絶した姿であり、
かすれ声で「ラ・マルセイエーズ」を唄い始めると、聴衆は激しい衝撃を受けます。
「大裁判」の章では、まずフランス人ゲシュタポについてです。
1940年にドイツ軍によって釈放された犯罪者ラフォンと、その右腕の元警察官ボニーの
悪名高き「ボニー=ラフォン団」は、ゲシュタポの汚れ仕事を引き受け、
逮捕、告発、脅迫、窃盗、密売、拷問、ときには殺害して財産を作ります。
こういう連中がいたのは以前に「ゲシュタポ・狂気の歴史」でもそれとなく書かれていましたねぇ。
続いてヴィシー政府のペタンに、首相のラヴァルらの裁判の様子も・・。
彼らの主張は「二枚舌」を使い、ドイツを騙してフランスを守ろうとした・・というものです。
と、ここまででも様々なエピソードが語られる本書ですが、実はまだ半分にも達していません。。
中盤からはドゴールと、最大政党であるフランス共産党の対立。
それに介入する米国と、国務長官になったジョージ・マーシャルの
有名な「マーシャル・プラン」などの政治情勢が1949年まで続く展開です。
そして章ごとに、おそらくビーヴァーが書く「政治」の章と、
奥さんが書く「文化」の章が交互に登場しながら最後まで進みます。
例えば、クリスチャン・ディオールのドレスの贅沢さは、
5年間の貧困を経験した人々にとっては我慢ができないものであり、
モンマルトルの市場での写真撮影の際には、モデルに侮辱の言葉をかけながら
女性たちが飛びかかり、モデルを殴り、髪を引っ張り、服をひきちぎろうとします。
巻頭に ↓ の怖い写真が掲載されていましたが、1947年になってもパリは落ち着きません。
他には共産党を中心とした資本主義の象徴との戦いである「コカコーラ戦争」。
コカコーラ輸入が自分たちの生活の糧を破壊すると考えるワイン生産者に、
エッフェル塔にネオンサインを取り付けようとするコカコーラ社。。
また共産党に入党したピカソの話も所々で登場してきます。
この超有名画家の存在はソ連にとっても意味があることですが、
こと絵画という意味では「社会主義リアリズム」が認められている世界で、
ピカソは共産主義の画家ではなく、共産主義者である画家というヤヤコシイ扱い。
そのピカソの描いたスターリンのデッサンも掲載されていましたが、
初めて見ましたねぇ。共産党内でも賛否両論となっています。
前半は確かに「パリ解放」といった趣のビーヴァーらしい本書でしたが、
後半は、今回、思いっきり端折ったように、戦後のフランス政治と文化について書かれています。
ですから、よっぽどフランスについて興味がある方でないとキビシイと思いますね。
ヴィトゲンシュタインは戦後の東西ドイツの歴史についても、「ニセドイツ」で楽しく勉強している
程度なので、初めて知ったことが多い反面、ちょっと苦労しました。
思い起こしてみると、この「独破戦線」のキッカケになったのはビーヴァーの影響が大ですね。
2000年に公開されたジュード・ロウ、エド・ハリスの映画「スターリングラード」が印象に残っていて、
それまで小説専門だったヴィトゲンシュタインが本屋で偶然見つけたのが、
ビーヴァーの「スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943」でした。
それから第二次大戦のドイツ軍ノンフィクションに走り始めて、
パウル・カレルの「バルバロッサ作戦」と、「焦土作戦」へ・・という経歴でしょうか。
ちなみに2012年6月には「ノルマンディー上陸作戦1944」以来の最新作が出たそうで、
調べてみるとタイトルは「The Second World War」・・まるで集大成のようなタイトルですね。。
邦訳は、白水社より刊行予定・・のようで、今年か、来年か、ボリュームにもよるのかなぁと
原著のページ数を確認してみたら、ハードカバーで880ページです。。
「ノルマンディー上陸作戦1944」の原著が632ページですから、
下手をすると、上・中・下の3巻にもなりかねないですな・・。
アントニー・ビーヴァー、アーテミス・クーパー著の「パリ解放 1944-49」を読破しました。
去年の8月に出たアントニー・ビーヴァーの560ページの最新刊です。
ですが、コレ、タイトルが微妙だなぁ・・と思っていました。
パリが開放されたのは確かに1944年ですが、なんで1949年まで・・? と疑問でしたが、
原題は「Paris after the Liberation 1944-1949」。
なるほど・・、「パリ開放"後"」というのが正解なんですね。
いつもの如く「訳者あとがき」を読んでみると、本書は最新刊ではないことがわかりました。
原著の初版は1994年で、ビーヴァーが一躍有名になった「スターリングラード」の4年前。。
ただし、2006年に「改訂版」が出て、本書はそちらの翻訳だということです。
また共著者のアーテミス・クーパーとは、ビーヴァーの奥さんです。
第1章は「元帥と将軍」。1944年から始まるのかと思いきや、
1940年6月のドイツ軍の猛攻の前に降伏寸前のフランス政府の様子からです。
2年ぶりに顔を合わせた84歳の英雄ペタン元帥に、
陸軍最年少准将のひとりである49歳のドゴール。
総司令官のウェイガンは休戦を主張するペタン寄りであり、
首相のレイノーはドゴールの予測に感銘を受け、戦争省次官に任命しているという関係です。
英首相チャーチルの提案する「英仏連合」をフランスを自国の領土に組み入れようとする
英国の陰謀と見なし、「ナチの州になった方がマシだ」と激高するペタン派。
結局レイノーは辞任し、もはや閣僚ではなくなったドゴールは後ろ盾を失って、
ひっそりとフランスから脱出することを余儀なくされます。
それは戦争を継続することは命令不服従を意味し、個人的にも政治的にも嫌われていた
ウェイガンによって軍法会議にかけられる恐れがあるためです。
いや~、フランス人の英国嫌いはハンパじゃありませんね。
このようにして誕生した対独協力政府である、通称「ヴィシー政府」。
ドイツ軍占領下のパリよりもはるかに閉鎖的だったと言われ、
戦前の極右政治結社「火の十字団」の追随者から、最終的には
1943年に「ミリス・ナショナル(国民親独義勇軍)」がヴィシーの政治警察として誕生。
彼らはひとりひとり誓いを立てます。
「私は民主主義、ドゴール派の謀反、ユダヤ人の疫病に対して闘うことを誓います」。
しかし連合軍が北アフリカに上陸すると、ヴィシー政府とペタン元帥は崩壊。
こんな一大作戦も知らされなかった英国のドゴールに、ダルラン提督、ジロー将軍も登場し、
フランス国内ではゲシュタポ・ミリス連合vsレジスタンスの戦いも暴力的に・・。
といった1944年8月の「パリ解放」までの経緯が50ページほど簡単に述べられます。
ただし、そこはビーヴァーですから、エピソードの積み重ねの展開であり、
ある程度、知識のある人でないと事態が複雑すぎてついて行けないかも知れません。
パリ解放の先陣争いに明け暮れるルクレール将軍と、ヒトラーに防衛を任されたコルティッツ将軍。
最終的に凱旋門に到着し、熱狂的に迎えられるドゴール。。
この辺りは「ノルマンディ上陸作戦1944」に書かれていたのと同じ記述もあります。
それでも本書の方がさらに細かい展開でしょうか。
一方のペタン元帥といえば、9月7日にヒトラーが亡命フランスの首都に指定した
小さな城下町であるジグマリンゲンに到着。
報復を恐れた「ミリス民兵」たちも妻子を連れてドイツへ逃亡を図りますが、
そこでは同盟者として扱われるどころか、最悪の強制収容所のような環境で監禁され、
多くの子供は栄養失調で死亡、体力がない男たちは強制労働に駆り出されます。
残りの2500人は、武装SS「シャルルマーニュ」に編入され、
ベルリン最終戦でノルウェー人やデンマーク人と共に戦い続けます。
そしてソ連装甲車6台を破壊した「元ミリス」のウージェーヌ・ウォロは、
地下鉄の駅での蝋燭の光のもと、クリーケンベルク将軍から騎士十字章を授かるのでした。
う~む。この辺りは「ベルリン陥落1945」を彷彿とさせますが、
ミリスの話、以前から気になっているだけに興味深いですね。
解放されたパリではフランス人以外の人の姿もあります。
ヘミングウェイにジョージ・オーウェル、ロバート・キャパ、ウィリアム・シャイラー等々。
そんななか「対独協力者」に対してレジンスタンスが粛清を実行します。
ドイツ人と寝たとされる女性から、アパートの隣人や管理による匿名の告発・・。
まぁ最近、日本でも女の子が望んで??丸刈りになったりもしてますがね。。
そして劇的に増加した「ガス爆発」の死者の多さは、発見されたドイツ軍のパリ破壊用の
爆薬によるものだと推測し、年の明けた1月、2月になっても
アルデンヌ攻勢に対する恐怖感の影響で、その殺人件数は再び、膨れ上がるのでした。
連合軍は準備してきた「フランス地域ハンドブック」に、パリ娼館案内をコッソリ掲載し、
米兵たちは気前の良い情報を大いに活用・・。
しかし1年もしないうちに兵舎にはポスターが張り出されます。
「家庭を持ちたくないか? 淋病に感染した男性の12%は子供ができなくなる」。
英軍は厳格なモントゴメリーが娼館への立ち入りを禁止し、
赤線地帯に憲兵を配置するものの、野営地近くの野原が利用されることまでは防げません。
また、空っぽのフランスの商店に目を付ける一部の米軍補給将校らは、
帰国前にひと財産作ろうと、コーヒー、煙草、ガソリン、タイヤ、石鹸、薬品、ウイスキーなど、
全ての品々を闇市に転売してぼろ儲け・・。
当初は歓迎していたパリ娘たちも1945年の春になると、高慢な態度の米兵への情熱は消え、
口笛とラッキー・ストライクで呼び止められたある娘は、GIの手から煙草を取って足で踏みつけ、
周りのフランス人から、やんやの喝采を受けるのでした。
ココ・シャネルの話にも触れながら、アウシュヴィッツやラーヴェンスブリュックといった
強制収容所から帰ってきた女性たちの話へ・・。
歓迎委員会の前に現れた彼女たちは、骸骨のような想像を絶した姿であり、
かすれ声で「ラ・マルセイエーズ」を唄い始めると、聴衆は激しい衝撃を受けます。
「大裁判」の章では、まずフランス人ゲシュタポについてです。
1940年にドイツ軍によって釈放された犯罪者ラフォンと、その右腕の元警察官ボニーの
悪名高き「ボニー=ラフォン団」は、ゲシュタポの汚れ仕事を引き受け、
逮捕、告発、脅迫、窃盗、密売、拷問、ときには殺害して財産を作ります。
こういう連中がいたのは以前に「ゲシュタポ・狂気の歴史」でもそれとなく書かれていましたねぇ。
続いてヴィシー政府のペタンに、首相のラヴァルらの裁判の様子も・・。
彼らの主張は「二枚舌」を使い、ドイツを騙してフランスを守ろうとした・・というものです。
と、ここまででも様々なエピソードが語られる本書ですが、実はまだ半分にも達していません。。
中盤からはドゴールと、最大政党であるフランス共産党の対立。
それに介入する米国と、国務長官になったジョージ・マーシャルの
有名な「マーシャル・プラン」などの政治情勢が1949年まで続く展開です。
そして章ごとに、おそらくビーヴァーが書く「政治」の章と、
奥さんが書く「文化」の章が交互に登場しながら最後まで進みます。
例えば、クリスチャン・ディオールのドレスの贅沢さは、
5年間の貧困を経験した人々にとっては我慢ができないものであり、
モンマルトルの市場での写真撮影の際には、モデルに侮辱の言葉をかけながら
女性たちが飛びかかり、モデルを殴り、髪を引っ張り、服をひきちぎろうとします。
巻頭に ↓ の怖い写真が掲載されていましたが、1947年になってもパリは落ち着きません。
他には共産党を中心とした資本主義の象徴との戦いである「コカコーラ戦争」。
コカコーラ輸入が自分たちの生活の糧を破壊すると考えるワイン生産者に、
エッフェル塔にネオンサインを取り付けようとするコカコーラ社。。
また共産党に入党したピカソの話も所々で登場してきます。
この超有名画家の存在はソ連にとっても意味があることですが、
こと絵画という意味では「社会主義リアリズム」が認められている世界で、
ピカソは共産主義の画家ではなく、共産主義者である画家というヤヤコシイ扱い。
そのピカソの描いたスターリンのデッサンも掲載されていましたが、
初めて見ましたねぇ。共産党内でも賛否両論となっています。
前半は確かに「パリ解放」といった趣のビーヴァーらしい本書でしたが、
後半は、今回、思いっきり端折ったように、戦後のフランス政治と文化について書かれています。
ですから、よっぽどフランスについて興味がある方でないとキビシイと思いますね。
ヴィトゲンシュタインは戦後の東西ドイツの歴史についても、「ニセドイツ」で楽しく勉強している
程度なので、初めて知ったことが多い反面、ちょっと苦労しました。
思い起こしてみると、この「独破戦線」のキッカケになったのはビーヴァーの影響が大ですね。
2000年に公開されたジュード・ロウ、エド・ハリスの映画「スターリングラード」が印象に残っていて、
それまで小説専門だったヴィトゲンシュタインが本屋で偶然見つけたのが、
ビーヴァーの「スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943」でした。
それから第二次大戦のドイツ軍ノンフィクションに走り始めて、
パウル・カレルの「バルバロッサ作戦」と、「焦土作戦」へ・・という経歴でしょうか。
ちなみに2012年6月には「ノルマンディー上陸作戦1944」以来の最新作が出たそうで、
調べてみるとタイトルは「The Second World War」・・まるで集大成のようなタイトルですね。。
邦訳は、白水社より刊行予定・・のようで、今年か、来年か、ボリュームにもよるのかなぁと
原著のページ数を確認してみたら、ハードカバーで880ページです。。
「ノルマンディー上陸作戦1944」の原著が632ページですから、
下手をすると、上・中・下の3巻にもなりかねないですな・・。
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