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ヒトラーの秘密警察 -ゲシュタポ・恐怖と狂気の物語- [SS/ゲシュタポ]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ルパート・バトラー著の「ヒトラーの秘密警察」を読破しました。

まずは「訳者あとがき」から抜粋すると、
「秘密警察ゲシュタポがタイトルとなっているように、警察国家の恐怖政治を性格を
掘り起こすことが主題ではあるが、ナチ党の政権掌握からニュルンベルク裁判まで
おもだった出来事を時系列に追っているので、ナチス通史として読むことが出来る」
ということに集約された本書です。
著者は「SS‐HITLERJUGEND―第12SS師団の歴史1943-45」等も書いていますが
どうも、たまたまなのか、タイトルが内容に負けているというか、緩い感じがします。

ヒトラーの秘密警察.JPG

ゲーリングが創設し、SSのヒムラーに引き継がれた「秘密国家警察ゲシュタポ」ですが
ナチ党の情報機関である「SD(親衛隊保安情報部)」も存在しており
やがてはその他の刑事警察などと統合されて
「RSHA(国家保安本部)」の一部署となっていきます。
特にSDとの線引きが曖昧なこともあって、その任務の範疇が区別しづらく、
こうなると、ゲシュタポというよりRSHAの物語と化していきます。

Heinrich Müller.jpg

本来、このタイトルならばゲシュタポ長官のハインリッヒ・ミュラーが主役であっても
良いと思いますが、期待するほど登場してきません。
ミュラーが謎の多い人物であり、戦後も行方知れずであることが要因かもしれませんが
だったら、もうちょっと独自の調査や追及をしてみては・・と言いたくなりますね。

Nebe, Huber, Himmler, Heydrich, Müller.JPG

SDおよびRSHA長官のラインハルト・ハイドリヒ
その後任のカルテンブルンナーの出番のほうがずっと多く
結局は特別行動隊(アインザッツグルッペン)からハイドリヒ暗殺の物語、
そして有名な「白バラ」やアイヒマン、ヒトラー暗殺未遂事件まで幅広い内容となっています。

Ernst Kaltenbrunner.jpg

それなりに知られていることを様々な著書から抜粋し、だらだら書いている雰囲気で
新たな発見があるわけでもなく、特別に印象に残るような章があるわけでもありません。
この世界のベテランの方には非常に物足りなく感じるでしょう。
逆に言えば、確かに「ナチス通史」の入門編といえるかも知れません。



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ヒトラーの親衛隊 [SS/ゲシュタポ]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「ヒトラーの親衛隊」を読破しました。

親衛隊をテーマにしたものは日本でもいくつか出版されていますが、
この本はある意味「決定版」と言えるかも知れません。
親衛隊の成り立ちから始まり、ヒムラーの異常な思想についても
1章ガッチリ書かれています。
同じクノップの「ヒトラーの共犯者」におけるヒムラーの章よりボリュームもありますが
残念ながら、重複部分もあるのは否めません。

ヒトラーの親衛隊.JPG

次はラインハルト・ハイドリヒです。これも1章まるまるハイドリヒとなっており、
特に奥さんへのインタビューが印象的です。
これによれば、夫ラインハルトはベッドてもロクに眠れないほど苛まれていたことが
あったようで、決して冷酷なサディストではなかったと証言しています。
個人的にハイドリヒは一番興味ある人物なので、このハイドリヒだけで一冊欲しいくらいです。

Reinhard Heydrich.jpg

この本での最大の山場「髑髏部隊」の章では、強制収容所から
アインザッツグルッペによるユダヤ人大量虐殺についてこれでもかと書かれています。
言葉は悪いですが、ホロコーストに対する入門編としては最適かもしれません。

武装親衛隊についても客観的に述べられており、
例えばヴィットマンの戦車撃破数等についても宣伝である可能性に注意とか、
パンツァー・マイヤーやヨッヘン・パイパーの捕虜殺害命令についても言及しています。

Joachim Peiper.jpg

最後には戦後の秘密組織オデッサについて。
フォーサイスが「オデッサ・ファイル」として書いたことでも良く知られていますね。
ムッソリーニ救出で有名なオットー・スコルツェニーがリーダーであるという
噂に対しても調査をしていますが、結論からいえば、やはり謎の組織のままです。

Otto Skorzeny.jpg

しかし、大量のSS隊員が海外逃亡に成功した大きな理由はヴァチカンと国際赤十字にあり、
オデッサがどれだけのことをしたとしても、所詮アマチュアであるとしています。

この本は日本で2003年の出版ですが、原書も最近のもので親衛隊における最新の調査結果と
いえるでしょう。



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ナチスドイツ支配民族創出計画 [SS/ゲシュタポ]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

キャトリーン・クレイ著の「ナチスドイツ支配民族創出計画」を読破しました。

なにやら仰々しいタイトルですが、いわゆる「レーベンスボルン(生命の泉)」として
知られる計画を扱った一冊です。
この計画とは、人種として優れているとする「北方アーリア人種」を支配人種として
作り上げようという「生殖計画」のことで
ユダヤ人絶滅計画(ホロコースト)の表裏をなすものとされています。

支配民族創出計画.JPG

SS全国指導者ヒムラーの妄想的な構想により1935年に創設された当初は
エリートとして選ばれたSS隊員を対象とし、こちらも厳格な検査をパスした
女性を相手に性交、及び出産から保育までを計画的に行う
「生命の泉」ホームとしてドイツ国内数箇所で運営されていました。
しかし、いくらSS隊員といってもほとんどがキリスト教徒として育っていることもあってか
実際のところヒムラーの求める出産率には遠く及ばず、
しかも部外者からは「SSの売春宿」的なイメージも持たれていたようです。

そして開戦後はポーランドなどの占領国における金髪、青い目等の複数の
人種的要素を満たしている子供を強制的に拉致し、「ドイツ化」して
そうとは知らぬドイツ人夫婦に養子に出すというプランに変更していきます。

Himmler.jpg

この本では、「ドイツ化」された過去を持つ生存者からインタビューを行い、
その実態を暴いていきます。
特に戦後、ポーランドの母親が拉致された子供の行方を突き止め、
現在のドイツ人の親に対し、子供の返還を求めるあたりは双方の親にとって
悲惨な現実であり、いきなり事実を突きつけられた子供もまた然りです。
なにやら北朝鮮の拉致問題を彷彿とさせられました。

また、このような健全な血統で人類を改良しようという「優生学理論」は
ナチ固有のものではなく、19世紀から存在・研究され、
特にアメリカなどでは顕著であったということです。



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