切手が語るナチスの謀略 [切手/ポスター]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
伊達 仁郎 編著の「切手が語るナチスの謀略」を読破しました。
「切手シリーズ」第2弾は、先日の「切手が伝える第二次世界大戦」が
第二次世界大戦全般が対象だったのに対して、今回はタイトル通り、
第三帝国の切手類に特化した、190ページの大判の1冊です。
本書は1995年の発刊ですが、編著者である伊達氏はその2年前に他界されていて
その伊達氏の遺品によって構成されたものです。
まずは切手コレクターである伊達氏がナチス・ドイツの切手に魅せられた経緯や
そのコレクションを切手展覧会に出品した話から・・。
ヒトラーやゲッベルスが切手収集を激励し、これを国民の教育や啓発の手段に
利用したとして、それが他国に比べ、その時代をハッキリと映し出していると述べています。
このようなナチス切手を絵葉書や解説文などをレイアウトしたアルバム・リーフという形式で
数十枚にまとめて展示することで、1983年、「JAPEX」という展覧会で金賞を受賞。
2年後の国際切手展では銀銅賞を受賞という有数のコレクターのようです。
続いて、1933年にナチ党政権が確立してから発行された切手の簡単な説明では、
その年の11月に早くもヒトラーの大好きなワーグナーのオペラ切手を発行し、お得意の
「血の信仰」を象徴するものとして、サラブレッドの血統を重視する競走馬切手を16種も発行。
1938年からはヒトラー自身の誕生日記念切手を1944年まで連続で・・。
国家元首が自分の誕生日に拘って、このように発行した例は見当たらない・・ということです。
そして最後のナチス切手は1945年4月21日、まさにベルリンが陥落しようとするその時まで
郵便局で数時間販売されますが、その2種の切手の図柄は「SA隊員」と「SS隊員」です・・。
ここから本書のメインである「JAPEX'89」に伊達氏が出品した「ねつ造されたナチスのイベント」
というタイトルのアルバム・リーフ36枚が1ページづつ、カラーで紹介されます。
「国民の労働祭」や、ニュルンベルクの「党大会」に「英雄記念日」。
ヒトラー・ユーゲント強制加入を祝う「青年の義務の祭典」、もちろん1936年のオリンピックも登場。
歓喜力行団(KdF)の「余暇とリクリエーション」では、
当時、労働者への豪華海外旅行に使われた
あの、「ヴィルヘルム・グストロフ号」の切手まで・・。
「母の日」を祝う子宝キャンペーンでは「造形芸術家は家族を描く場合、
少なくとも4人のドイツ児童を描くことを目標とすべき・・」という御触れも紹介されます。
そして最後には「戦争開始」。シュトゥーカ急降下爆撃機と進撃する自動車化装甲部隊・・。
次の「謀略切手」の章は、ヴィトゲンシュタインが大好きな切手です。
ナチス・ドイツではユーモアのセンスが欠けているためか、あまり作られていませんが、
英国は、まぁ、皮肉を込めて、いろいろと楽しくやっています。
ヒトラーの肖像切手をヒムラーやポーランド総督のハンス・フランクに変えてみたり、
1923年のミュンヘン一揆の「一揆20年記念」切手を
1944年7月20日の「ヒトラー暗殺未遂事件記念」としてヴィッツレーベン元帥に変更・・。
イタリアで発行された、ヒトラーとムッソリーニが向かい合う、
「2つの民族、1つの戦争」切手は、
「2つの民族、1人の指導者」となって、リーダーは私だ!と叫ぶヒトラー。。
初めて見たものでは、「顔面破壊の兵士」とゲーリングにシュトライヒャーという切手。
そして個人的最高傑作は「冬季貧民救済」切手のパロディの
にこやかな表情をしつつ、銃と毒ガスで募金集めをするヒムラー切手でしょう。
ちなみに、このような「謀略切手」をどのように使用したのか・・・ということでは、
この切手を貼った封筒をドイツ本土上空から、英空軍機が爆弾よろしく、ばら撒いたり・・
という程度の謀略だそうですが、その効果は不明のようです。。。
ここから暫くは各国の絵葉書が紹介され、ほとんどがプロパガンダ中心ですが
いつものように真剣な図柄で訴えるナチスに比べ、
連合軍側は徹底的にヒトラーとドイツ軍をこき下ろすという構図が極端に違いますねぇ。
後半は1991年の世界切手展に出品され、銀賞を獲得した「ヒトラーとナチス・ドイツの興亡」。
ここから白黒になってしまうのが残念ですが、切手としては
前半とダブっているものも多いので、しょうのないところでしょうか。
ただ、こちらにはナチス・ドイツ切手だけではなく、各国の切手も登場し、
1944年にもなると「パリ解放」でドゴールが、ルクセンブルクの切手ではパットンも登場。
一方のドイツの英雄と言えば「国民突撃隊」という、まことにせつない切手で奮起しています・・。
いや~、実に楽しい一冊で、一度も休憩することなく一気読みしてしまいました。
特に本書の大きな特徴である伊達氏が作成した「アルバム・リーフ」という形式が素晴らしく、
大きなテーマと1枚毎に整理されたレイアウトの美しさも申し分ありません。
このような見事なコレクションを拝見してしまうと、沸々と湧き上がっていたコレクター熱が
逆に冷めてしまった感もありますが、今もいろいろと相場などを調べているところです。
当時と違い、Webで海外からも購入出来るので、収集はしやすそうですね。
値段も1枚、1ユーロとか、結構、手の出しやすいものですが、
コレクターというのはある程度集まってくると、どうしても珍しい、レアなものが欲しくなります。
そして、こういうのがとんでもない値段だったりするもんなんですよねぇ。
伊達 仁郎 編著の「切手が語るナチスの謀略」を読破しました。
「切手シリーズ」第2弾は、先日の「切手が伝える第二次世界大戦」が
第二次世界大戦全般が対象だったのに対して、今回はタイトル通り、
第三帝国の切手類に特化した、190ページの大判の1冊です。
本書は1995年の発刊ですが、編著者である伊達氏はその2年前に他界されていて
その伊達氏の遺品によって構成されたものです。
まずは切手コレクターである伊達氏がナチス・ドイツの切手に魅せられた経緯や
そのコレクションを切手展覧会に出品した話から・・。
ヒトラーやゲッベルスが切手収集を激励し、これを国民の教育や啓発の手段に
利用したとして、それが他国に比べ、その時代をハッキリと映し出していると述べています。
このようなナチス切手を絵葉書や解説文などをレイアウトしたアルバム・リーフという形式で
数十枚にまとめて展示することで、1983年、「JAPEX」という展覧会で金賞を受賞。
2年後の国際切手展では銀銅賞を受賞という有数のコレクターのようです。
続いて、1933年にナチ党政権が確立してから発行された切手の簡単な説明では、
その年の11月に早くもヒトラーの大好きなワーグナーのオペラ切手を発行し、お得意の
「血の信仰」を象徴するものとして、サラブレッドの血統を重視する競走馬切手を16種も発行。
1938年からはヒトラー自身の誕生日記念切手を1944年まで連続で・・。
国家元首が自分の誕生日に拘って、このように発行した例は見当たらない・・ということです。
そして最後のナチス切手は1945年4月21日、まさにベルリンが陥落しようとするその時まで
郵便局で数時間販売されますが、その2種の切手の図柄は「SA隊員」と「SS隊員」です・・。
ここから本書のメインである「JAPEX'89」に伊達氏が出品した「ねつ造されたナチスのイベント」
というタイトルのアルバム・リーフ36枚が1ページづつ、カラーで紹介されます。
「国民の労働祭」や、ニュルンベルクの「党大会」に「英雄記念日」。
ヒトラー・ユーゲント強制加入を祝う「青年の義務の祭典」、もちろん1936年のオリンピックも登場。
歓喜力行団(KdF)の「余暇とリクリエーション」では、
当時、労働者への豪華海外旅行に使われた
あの、「ヴィルヘルム・グストロフ号」の切手まで・・。
「母の日」を祝う子宝キャンペーンでは「造形芸術家は家族を描く場合、
少なくとも4人のドイツ児童を描くことを目標とすべき・・」という御触れも紹介されます。
そして最後には「戦争開始」。シュトゥーカ急降下爆撃機と進撃する自動車化装甲部隊・・。
次の「謀略切手」の章は、ヴィトゲンシュタインが大好きな切手です。
ナチス・ドイツではユーモアのセンスが欠けているためか、あまり作られていませんが、
英国は、まぁ、皮肉を込めて、いろいろと楽しくやっています。
ヒトラーの肖像切手をヒムラーやポーランド総督のハンス・フランクに変えてみたり、
1923年のミュンヘン一揆の「一揆20年記念」切手を
1944年7月20日の「ヒトラー暗殺未遂事件記念」としてヴィッツレーベン元帥に変更・・。
イタリアで発行された、ヒトラーとムッソリーニが向かい合う、
「2つの民族、1つの戦争」切手は、
「2つの民族、1人の指導者」となって、リーダーは私だ!と叫ぶヒトラー。。
初めて見たものでは、「顔面破壊の兵士」とゲーリングにシュトライヒャーという切手。
そして個人的最高傑作は「冬季貧民救済」切手のパロディの
にこやかな表情をしつつ、銃と毒ガスで募金集めをするヒムラー切手でしょう。
ちなみに、このような「謀略切手」をどのように使用したのか・・・ということでは、
この切手を貼った封筒をドイツ本土上空から、英空軍機が爆弾よろしく、ばら撒いたり・・
という程度の謀略だそうですが、その効果は不明のようです。。。
ここから暫くは各国の絵葉書が紹介され、ほとんどがプロパガンダ中心ですが
いつものように真剣な図柄で訴えるナチスに比べ、
連合軍側は徹底的にヒトラーとドイツ軍をこき下ろすという構図が極端に違いますねぇ。
後半は1991年の世界切手展に出品され、銀賞を獲得した「ヒトラーとナチス・ドイツの興亡」。
ここから白黒になってしまうのが残念ですが、切手としては
前半とダブっているものも多いので、しょうのないところでしょうか。
ただ、こちらにはナチス・ドイツ切手だけではなく、各国の切手も登場し、
1944年にもなると「パリ解放」でドゴールが、ルクセンブルクの切手ではパットンも登場。
一方のドイツの英雄と言えば「国民突撃隊」という、まことにせつない切手で奮起しています・・。
いや~、実に楽しい一冊で、一度も休憩することなく一気読みしてしまいました。
特に本書の大きな特徴である伊達氏が作成した「アルバム・リーフ」という形式が素晴らしく、
大きなテーマと1枚毎に整理されたレイアウトの美しさも申し分ありません。
このような見事なコレクションを拝見してしまうと、沸々と湧き上がっていたコレクター熱が
逆に冷めてしまった感もありますが、今もいろいろと相場などを調べているところです。
当時と違い、Webで海外からも購入出来るので、収集はしやすそうですね。
値段も1枚、1ユーロとか、結構、手の出しやすいものですが、
コレクターというのはある程度集まってくると、どうしても珍しい、レアなものが欲しくなります。
そして、こういうのがとんでもない値段だったりするもんなんですよねぇ。
2011-08-29 07:08
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