切手が伝える第二次世界大戦 -メディアとしての切手- [切手/ポスター]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
印南 博之 著の「切手が伝える第二次世界大戦」を読破しました。
今回はちょっと変わったテーマで第二次世界大戦をお勉強です。
それは「切手」・・。この「独破戦線」では独英のニセ切手戦争の行われた「ヒトラーの贋札」、
チェコで暗殺されたハイドリヒのデスマスクをあしらった「ハイドリヒ記念切手」や、
そして1936年の冬季オリンピックでの「スキージャンプ切手」を紹介していますが、
実のところヴィトゲンシュタインは幼少の頃、切手コレクターだったんですね。。
なので、このような切手と第二次世界大戦・・というものにはとても興味がありました。

「スペイン内戦」から始まる本書は、有名なピカソの「ゲルニカ」切手やフランコ切手が登場し、
その後の500点以上の切手もすべてカラー、キャプションでは切手の簡単な説明と
発行国が書かれています。そしてページ下段には、
各々の戦役もダイジェスト的に解説されていて、なかなか丁寧な印象ですね。
「日中戦争」と「ノモンハンの戦い」に続いて、いよいよ1939年の「ポーランド戦役」です。
ドイツ発行の「シュトゥーカ爆撃機」切手、ソ連の勝手な解釈である「解放記念」切手、
占領されたポーランド発行の「瓦礫の中のワルシャワ」切手なども出てきますが、
これらはさすがに戦後の発行でしょうね。

続いては「フィンランド戦争」をソ・フィン双方の切手で紹介し、
「ラプラタ沖海戦」ではポケット戦艦グラーフ・シュペーと、その相手の英艦隊を
美しいカラーの絵の4枚綴りで出てきます。
「潜望鏡を除くUボート艦長」切手はエーリッヒ・トップだなぁ。。

「バトル・オブ・ブリテン」も独英の戦闘機の美しいカラーの絵の4枚綴りで、
これはマーシャル諸島の発行だそうです。戦後のシリーズもののようで
これ以外にも、「バルバロッサ作戦」や「クルスク戦」など、有名な戦役は
ほとんど網羅しているほど、頻繁に登場します。

なぜマーシャル諸島なのか・・?ということは、「はじめに」に書かれていて、
現在でも国営事業として切手を発行している国がほとんどであり、
特にマーシャル諸島などは、外国のマニアに販売することで国庫を潤すことを
目的としているそうです。

「イタリア軍砂漠で敗走」となると、ヒトラーとムッソリーニ共同の切手が発売され、
「真珠湾攻撃」からは太平洋戦争が幅を利かせ始めます。
しかしここでは珍しく日本の「真珠湾攻撃」切手や「マレーの"鉄牛部隊"」切手が登場します。
これは、日本では戦時中、軍事関連の切手は十指に満たないほどしか発行しなかった・・
という理由によるもので、エース戦闘機の「零戦」も登場させなかったということです。
そして戦後しばらくたってから、外国で30種以上の「零戦」切手が発行され、
戦時中の名作というべきシリーズ切手を発行していたドイツでも、
メッサーシュミットBf-109などが戦後の鉤十字NG法律のため、発行されていないそうです。

「スターリングラード」ではさすがに勝敗の決した戦役だけあってか、ドイツの切手はなく、
戦後のソ連切手がほとんどですが、「スターリングラードで戦うルーマニア軍」という
ルーマニアで発行された切手がなんとも物悲しい気持ちになりました…。
この後に出てくる有名な独ソ戦役は、もちろん「モスクワ攻防戦」です。。。
まぁ、事実は1年前ですが、このスターリングラード戦と同時に行われている
「タイフーン作戦」というのも、想像したら笑ってしまいました。

1943年の「イタリア本土戦」でも、なぜか1年前の「ハイドリヒ暗殺」関連切手が登場しますが、
ドイツで発行された例のデスマスク「ハイドリヒ記念切手」の他にも、
チェコで発行された「英雄」切手、ヤン・クビシュとヨゼフ・ガブチックが描かれた切手も・・。
ふ~ん、こんなのもあるんですねぇ。
殺った方、殺られた方という双方に記念切手があるというのも不思議な感じです。。

ここからは戦局は完全にソ連寄り・・。レニングラードも開放されて「解放記念」切手も当然、
「ベルリン陥落記念」切手では白馬のジューコフ元帥の図柄もありました。
「ワルシャワ解放」でのポーランド蜂起軍といったポーランドの切手も気になるなぁ。

最後は「原爆」切手で締め括られます。
これらは当時存在しなかった国によって、原爆投下図案の切手が発行され続けているそうですが、
米国は「大戦50周年シリーズ」切手にそれを含める予定であったものの、
日本の反対にあって、変更せざるを得なくなったそうです。
120ページの本書は、ヨーロッパでの戦争と太平洋戦争の割合は半々・・といったところでしょうか。
やっぱりオールカラーというのが嬉しい一冊で、「コレ欲しいなぁ・・」なんて思いながら、
ジックリ楽しみました。
ただ、個人的には、「戦中に発行された切手」に興味があるので、
キャプションに発行年を記載して欲しかったですね。

ちなみに小学生の時に集めていた切手は、「日本郵便」の未使用切手に限定していて、
近くの郵便局に「1円切手を1枚ください」と買いに行ったときには、
局のお姉さま方に笑われた記憶が残っています。
そのコレクションはすべて従弟に譲ってしまいましたが、
今回、沸々と切手コレクター魂に火が付きつつあります・・。
もし集めるなら、第二次世界大戦当時のドイツの未使用切手限定ですね。
ヤフオクで調べてみましたが、そんなトンデモなく高いもんでもないようで、
「ハイドリヒ記念切手」が800円、「ヒトラー骸骨切手」が5000円。。
予想の1/5くらいでビックリしました。

これは本書の「あとがき」で述べられていることに関係があるのかも知れません。
「このようなテーマの切手は日本の世情に合わないせいか、展覧会の他にアピールの場がなく、
美術、スポーツ、乗り物などほとんどの切手に収集者の団体があるのに、
軍事、戦争だけは存在しない」。
ナチス・ドイツ関係の切手、葉書、封筒に絞った「切手が語るナチスの謀略」という本も
あるようなので、もう少し勉強してみます。
印南 博之 著の「切手が伝える第二次世界大戦」を読破しました。
今回はちょっと変わったテーマで第二次世界大戦をお勉強です。
それは「切手」・・。この「独破戦線」では独英のニセ切手戦争の行われた「ヒトラーの贋札」、
チェコで暗殺されたハイドリヒのデスマスクをあしらった「ハイドリヒ記念切手」や、
そして1936年の冬季オリンピックでの「スキージャンプ切手」を紹介していますが、
実のところヴィトゲンシュタインは幼少の頃、切手コレクターだったんですね。。
なので、このような切手と第二次世界大戦・・というものにはとても興味がありました。

「スペイン内戦」から始まる本書は、有名なピカソの「ゲルニカ」切手やフランコ切手が登場し、
その後の500点以上の切手もすべてカラー、キャプションでは切手の簡単な説明と
発行国が書かれています。そしてページ下段には、
各々の戦役もダイジェスト的に解説されていて、なかなか丁寧な印象ですね。
「日中戦争」と「ノモンハンの戦い」に続いて、いよいよ1939年の「ポーランド戦役」です。
ドイツ発行の「シュトゥーカ爆撃機」切手、ソ連の勝手な解釈である「解放記念」切手、
占領されたポーランド発行の「瓦礫の中のワルシャワ」切手なども出てきますが、
これらはさすがに戦後の発行でしょうね。

続いては「フィンランド戦争」をソ・フィン双方の切手で紹介し、
「ラプラタ沖海戦」ではポケット戦艦グラーフ・シュペーと、その相手の英艦隊を
美しいカラーの絵の4枚綴りで出てきます。
「潜望鏡を除くUボート艦長」切手はエーリッヒ・トップだなぁ。。

「バトル・オブ・ブリテン」も独英の戦闘機の美しいカラーの絵の4枚綴りで、
これはマーシャル諸島の発行だそうです。戦後のシリーズもののようで
これ以外にも、「バルバロッサ作戦」や「クルスク戦」など、有名な戦役は
ほとんど網羅しているほど、頻繁に登場します。

なぜマーシャル諸島なのか・・?ということは、「はじめに」に書かれていて、
現在でも国営事業として切手を発行している国がほとんどであり、
特にマーシャル諸島などは、外国のマニアに販売することで国庫を潤すことを
目的としているそうです。

「イタリア軍砂漠で敗走」となると、ヒトラーとムッソリーニ共同の切手が発売され、
「真珠湾攻撃」からは太平洋戦争が幅を利かせ始めます。
しかしここでは珍しく日本の「真珠湾攻撃」切手や「マレーの"鉄牛部隊"」切手が登場します。
これは、日本では戦時中、軍事関連の切手は十指に満たないほどしか発行しなかった・・
という理由によるもので、エース戦闘機の「零戦」も登場させなかったということです。
そして戦後しばらくたってから、外国で30種以上の「零戦」切手が発行され、
戦時中の名作というべきシリーズ切手を発行していたドイツでも、
メッサーシュミットBf-109などが戦後の鉤十字NG法律のため、発行されていないそうです。

「スターリングラード」ではさすがに勝敗の決した戦役だけあってか、ドイツの切手はなく、
戦後のソ連切手がほとんどですが、「スターリングラードで戦うルーマニア軍」という
ルーマニアで発行された切手がなんとも物悲しい気持ちになりました…。
この後に出てくる有名な独ソ戦役は、もちろん「モスクワ攻防戦」です。。。
まぁ、事実は1年前ですが、このスターリングラード戦と同時に行われている
「タイフーン作戦」というのも、想像したら笑ってしまいました。

1943年の「イタリア本土戦」でも、なぜか1年前の「ハイドリヒ暗殺」関連切手が登場しますが、
ドイツで発行された例のデスマスク「ハイドリヒ記念切手」の他にも、
チェコで発行された「英雄」切手、ヤン・クビシュとヨゼフ・ガブチックが描かれた切手も・・。
ふ~ん、こんなのもあるんですねぇ。
殺った方、殺られた方という双方に記念切手があるというのも不思議な感じです。。

ここからは戦局は完全にソ連寄り・・。レニングラードも開放されて「解放記念」切手も当然、
「ベルリン陥落記念」切手では白馬のジューコフ元帥の図柄もありました。
「ワルシャワ解放」でのポーランド蜂起軍といったポーランドの切手も気になるなぁ。

最後は「原爆」切手で締め括られます。
これらは当時存在しなかった国によって、原爆投下図案の切手が発行され続けているそうですが、
米国は「大戦50周年シリーズ」切手にそれを含める予定であったものの、
日本の反対にあって、変更せざるを得なくなったそうです。
120ページの本書は、ヨーロッパでの戦争と太平洋戦争の割合は半々・・といったところでしょうか。
やっぱりオールカラーというのが嬉しい一冊で、「コレ欲しいなぁ・・」なんて思いながら、
ジックリ楽しみました。
ただ、個人的には、「戦中に発行された切手」に興味があるので、
キャプションに発行年を記載して欲しかったですね。

ちなみに小学生の時に集めていた切手は、「日本郵便」の未使用切手に限定していて、
近くの郵便局に「1円切手を1枚ください」と買いに行ったときには、
局のお姉さま方に笑われた記憶が残っています。
そのコレクションはすべて従弟に譲ってしまいましたが、
今回、沸々と切手コレクター魂に火が付きつつあります・・。
もし集めるなら、第二次世界大戦当時のドイツの未使用切手限定ですね。
ヤフオクで調べてみましたが、そんなトンデモなく高いもんでもないようで、
「ハイドリヒ記念切手」が800円、「ヒトラー骸骨切手」が5000円。。
予想の1/5くらいでビックリしました。

これは本書の「あとがき」で述べられていることに関係があるのかも知れません。
「このようなテーマの切手は日本の世情に合わないせいか、展覧会の他にアピールの場がなく、
美術、スポーツ、乗り物などほとんどの切手に収集者の団体があるのに、
軍事、戦争だけは存在しない」。
ナチス・ドイツ関係の切手、葉書、封筒に絞った「切手が語るナチスの謀略」という本も
あるようなので、もう少し勉強してみます。
昨日突然我が家の2号が切手収集の話題を持ち出してきたばかりので、この記事を見て未だにシンクロパワーが衰えていないのを確信、みたいな。Ww
切手もちゃんと宣伝効果がある媒体だったんですね。
軍事、戦争テーマの切手に人気がないということは、逆に今収集を始めても日本一のコレクターになるチャンスがある、ということでしょうか?Ww
アメリカの原爆切手は、公に流通する物だから、日本側からストップかけられたんでしょうね。。。。
どっかのハイスクールの校章が、原爆のキノコ雲で、しかも生徒達が自主的に選んだマーク、というのがなんというかある意味とてもアメリカらしいと思った事がありましたが。
by IZM (2011-07-05 20:04)
たぶん、自分が切手に興味を持ったのは2号くん位の歳だったんじゃないかなぁ。理由はハッキリ覚えてませんが、おそらく何十枚もくっ付いた「シート切手」がインパクトがあったのかも・・。
それに何と言っても安い!!
額面の切手なら、1円切手は1円で買えますし、せいぜい100円ですよねぇ。子供がお小遣いで最初にコレクションできるのが万国共通「切手」なのかもしれませんね。
日本一の軍事、戦争切手コレクター・・。いや~、悩むなぁ。
独破戦線が切手のブログになっちゃたらゴメンナサイ・・。
ゴメンナサイと言えば、今回の記事、今読み返すと本のレビューというより、完全に欲しい切手の話になってますね。ちょっと反省しました。。。
by ヴィトゲンシュタイン (2011-07-05 20:42)