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バラトン湖の戦い -写真集 ドイツ軍最後の戦車戦1945年1月~3月- [パンツァー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

M.スヴィーリン、M.コロミーエツ他著の「バラトン湖の戦い」を読破しました。

本書はソ連崩壊後、新たに世に出てきた大祖国戦争時の戦記写真集といわれる、
ロシア国立映画写真資料館や中央軍事博物館の所蔵写真などを用いた一冊で、
「独破戦線」でも以前に何冊か紹介した「独ソ戦車戦シリーズ」の前に発売されたものです。

バラトン湖の戦い.JPG

この戦役「バラトン湖の戦い」は、「春の目覚め作戦」としても知られていますが、
本書はまず、1944年暮れのソ連の攻勢によるハンガリーの首都、ブダペスト包囲の様子から
それを救出しようとするトーテンコップヴィーキングギレSS中将率いる第4SS戦車軍団と
フェルトヘルンハレ装甲擲弾兵師団第8SS騎兵師団 フロリアン・ガイエル等の
決死の脱出が結構詳細に前半の戦いとして紹介されます。

fhh-budapest.jpg

そして後半は3月、ゼップ・ディートリッヒ率いる、SS第6戦車軍による
「春の目覚め作戦」の終焉までが戦況図とともに解説されます。
しかし、このせっかくの戦況図ですが、「図1参照」と出てきても、
これがどこにあるのか不明だったりして、
普段見ない「目次」を見て、やっとわかるといった具合です。

まぁ、しかし東側の本ですから、第2ウクライナ方面軍のマリノフスキーと
第3ウクライナ方面軍、トルブーヒン隷下の砲兵部隊の大活躍が話の中心で
クルスク戦と比較をして、そのゼップ・ディートリッヒを軸としたドイツ軍の
戦術のダメさ加減も検証しています。

152-мм МЛ-20.jpeg

そんなソ連側でも思わず笑ってしまったのが「捕獲戦車大隊」のエピソードです。
正規の部隊ではないので、かなり信憑性には疑問符が付きますが、
このⅢ号とⅣ号突撃砲というドイツの鹵獲戦車で挑んだ「捕獲戦車大隊」は
いきなり味方戦闘機に攻撃されてしまい、2両が炎上、5両がぬかるみにはまり込み、
与えられた任務をまっとう出来ず・・。
逆にドイツ軍がこれらの突撃砲を曳きだし、その後の戦闘に用いた・・。

掲載されている写真はすべて白黒で、撃破されたドイツ軍の装甲車両がほとんどですが、
なかにはハンガリー軍の戦車も出てきます。
トゥラーンという名の戦車ですが、初めて見ましたね。

Turán II crossing a river.jpg

Ⅳ号戦車からパンターティーガーケーニッヒスティーガーのドイツ戦車。
自走砲もマーダーⅡやフンメルヴェスペ
Ⅲ号突撃砲にⅣ号突撃砲、ヘッツァーにヤークトパンターの駆逐戦車。
対空戦車ヴィルベルヴィントも何枚か写っているのは、制空権が支配されていたという
本文の記述を裏付けている気もします。

Jagdpanther.jpg

これらのなかでは個人的にあまり見たことの無かったⅣ号駆逐戦車が興味深かったですね。
なんとなくバランスの悪い、巨大な虫(カブトムシとムカデのあいのこ)みたいな外観で
できればカラーでその迷彩まで見たかったところです。

Jagdpanzer IV.jpg

行動中のティーガー、撃破されたティーガーを良く「生きてる虎」や「死んだ虎」などと形容しますが、
ドイツで発刊されたものは前者の写真が多く、旧ソ連からのものは後者がほとんどです。
本書のような後者の写真集は以前はあまり好きじゃありませんでしたが、
今回、この終戦間際の戦いにおける、ドイツ軍の後期の戦闘車両が多数掲載され、
それらは当然「死んだ」車両にもかかわらず、なにかしみじみと見入ってしまいました。

buda_tank.jpg

この自分の変化はやはり、いくつかの戦車戦記を読んできたことで、
その撃破された戦車=壊れた機械というものより、その中の戦車兵たち・・
も想像できるようになったからかも知れません。
戦車のそばで戦死している戦車兵や、砲塔から脱出できずに、焼け焦げた
戦車兵の写真も見たことはありますが、それよりも、本書のような
デッカい口径の直撃弾の穴が砲塔横に空いている「死んだ」パンターを見ると、
その瞬間、そこにいたであろう車長の運命を想像せずにはいられません。

泥にはまり込んだまま、何発もの直撃弾を喰らい「死んだ」戦車の写真も、
そのときのクルーたちの様子・・狭い車内で起こったであろうパニックなど・・、
彼らにとって、一瞬の出来事で終わったのだと思いたくなります。

Operation Frühlingserwachen.jpg

本書は2000年4月に発刊されたものですが、
翌月にも「写真集 バラトン湖の戦い」として発刊されています。
なにか問題があったのか、この2冊の内容に違いがあるのかはわかりません。
表紙はちょっと違っていたような記憶がありますが・・。



と・・、いつもはここで終わる「独破戦線」ですが、今回はもうちょっとだけ・・。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」が公開されましたが、
いわゆる「ヤマト世代」といわれているヴィトゲンシュタインも
これについては多少なりとも気になっています。

まぁ、観ることはないとは思っていますが、
その理由はやはり、子供のころのイメージをぶち壊されたくない・・ということなんでしょう。

ただ、今の世代の子供たちにとっては、良い映画であって欲しいと思います。

映画の「ヤマト」といえば、「さらば宇宙戦艦ヤマト」が最高でした。
小学生のとき、ロードショーで大泣きして、そのまま続けてもう一度観ました。
確か、1週間後に友達とまた観に行って、大泣きしたと・・。




これは、好きだった真田さんや森雪もみんな死んで、最後には特攻・・という
悲しい展開なのが大きな要因ですが、
このラスト・シーンにかかる「大いなる愛」という曲が実に素晴らしい・・。



映画自体はもう10年か15年以上観ていませんが、
この曲だけはたまに聞いては、それだけで軽く涙します。
酔っ払っていたりしたら、軽くどころか、ダラダラ出てきます。
特にそのシーンを思い出して泣くわけではないんですが、
なんというか、その当時の大泣きした感情が蘇ってくるのかも知れません。

昔は「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち [Soundtrack] 」のLPも持ってましたが
今や手元になく、このCDもロクに売ってないんですね。残念。



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