急降下爆撃 [ドイツ空軍]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ハンス・U・ルデル著の「急降下爆撃」を読破しました。
出撃回数2500回、ソ連戦車500両を撃破し、ドイツ軍人で唯一
「黄金ダイヤモンド剣柏葉付き騎士十字章」を受章したルーデル大佐の自伝です。
あまりに有名なこの本は街の本屋でいつでも手に入るという余裕から
手を出していませんでしたが、気が付いてみるといつの間にか廃刊になっていました。
そしてプレミア価格にもなっています。焦って神保町の古書店を巡っても全然見つからない・・。
結局、学研M文庫ではなく、昔の朝日ソノラマの古書をなんとか購入しました。
元の翻訳版は昭和28年という古いものだそうで、昭和58年の再刊時に多少、
文言を新しくしていますが、それでも確かに古臭さ(読めない漢字も!)も否めません。
でも、古書に慣れている方ならそれほど違和感は感じないでしょう。
パイロットの回想録では定番である、子供の頃からの飛行機に対する憧れから始まり、
1936年空軍学校に入学。当時はすべての生徒たちが戦闘機乗りを目指していて
ルーデルも例外ではありません。
しかし、ちょっとした勘違いから急降下爆撃隊に志願してしまいます。
ルーデルが語るように寡黙な性格で、あまり周囲の人間と和気藹々とやるのが苦手
ということも手伝ってなかなか戦闘出撃の機会が得られず、
ポーランド、フランスといった侵攻作戦も
主に遠距離偵察任務がほとんどという辛い時期を過ごします。
しかしバルバロッサ作戦と共に、ついに急降下爆撃機(シュトゥーカ)Ju 87で戦果を挙げ、
ここから「スターリン最大の敵」と呼ばれた執念の男の戦いの幕が開きます。
そういえば、この機の「急降下制動器」はあのハンナ・ライチュがグライダーでテストをした
という話もありましたね。
このシュトゥーカによる空戦の模様が中心に描かれ、戦闘機ものと一味も二味も違う
戦術は大変勉強になりました。まぁ、シュトゥーカが複座であるのもそうですが、
スピードの遅いJu 87を敵戦闘機から守るため、出撃するシュトゥーカ部隊の倍以上の
フォッケウルフが護衛に付くことや、対地戦のための地上部隊との連携、
ソ連軍と友軍のルーマニア軍の軍服の色が一緒で間違いそうになったり・・と
興味深い話が続くので、飽きることがありません。
ルーデル自身は戦闘機に撃墜されたことはないそうですが、
高射砲によって30回も撃墜され、
スターリングラードでは捕虜の証言から女性のみで編成された高射砲部隊も
あったそうです。
有名なチェルカッシィ包囲陣からの友軍救出作戦の模様も語られますが、
一番の読みどころは、ソ連陣地に不時着した際、ソ連兵に発見され
ドニエステル河を決死の覚悟で渡河する場面でしょう。
長年後部機銃手を務める、相棒のヘンツェル兵長が溺れ、沈んでいきます。。。
ヒトラーの手によりダイヤモンド章や黄金ダイヤモンド章を受け渡される度に
地上勤務に就くよう言い渡されますが、「ならば勲章は結構です」と一言。
苦笑いするヒトラーに了承させますが、後々ゲーリングからもこの総統命令を
言い渡され、やむなくナイショで出撃を続け、戦果の報告も誤魔化したりと
ともかく、敗走するドイツ軍を救うため異常な数の出撃を続け、
それは高射砲により、右足を切断という事態になっても
わずか2ヶ月で戦線に復帰するという、凄まじい執念を最後まで見せつけます。
翻訳においていくらか原文から削っているそうで、あまりボリュームがありませんが、
とても面白い、典型的な「一気読み本」です。
ルーデルが個人的な当初のイメージと違っていたことも要因かも知れませんね。
例えて言うなら、現役にこだわり、最下位のチームのためにボロボロになるまで続ける
スポーツ選手のようなものでしょうか。
ハンス・U・ルデル著の「急降下爆撃」を読破しました。
出撃回数2500回、ソ連戦車500両を撃破し、ドイツ軍人で唯一
「黄金ダイヤモンド剣柏葉付き騎士十字章」を受章したルーデル大佐の自伝です。
あまりに有名なこの本は街の本屋でいつでも手に入るという余裕から
手を出していませんでしたが、気が付いてみるといつの間にか廃刊になっていました。
そしてプレミア価格にもなっています。焦って神保町の古書店を巡っても全然見つからない・・。
結局、学研M文庫ではなく、昔の朝日ソノラマの古書をなんとか購入しました。
元の翻訳版は昭和28年という古いものだそうで、昭和58年の再刊時に多少、
文言を新しくしていますが、それでも確かに古臭さ(読めない漢字も!)も否めません。
でも、古書に慣れている方ならそれほど違和感は感じないでしょう。
パイロットの回想録では定番である、子供の頃からの飛行機に対する憧れから始まり、
1936年空軍学校に入学。当時はすべての生徒たちが戦闘機乗りを目指していて
ルーデルも例外ではありません。
しかし、ちょっとした勘違いから急降下爆撃隊に志願してしまいます。
ルーデルが語るように寡黙な性格で、あまり周囲の人間と和気藹々とやるのが苦手
ということも手伝ってなかなか戦闘出撃の機会が得られず、
ポーランド、フランスといった侵攻作戦も
主に遠距離偵察任務がほとんどという辛い時期を過ごします。
しかしバルバロッサ作戦と共に、ついに急降下爆撃機(シュトゥーカ)Ju 87で戦果を挙げ、
ここから「スターリン最大の敵」と呼ばれた執念の男の戦いの幕が開きます。
そういえば、この機の「急降下制動器」はあのハンナ・ライチュがグライダーでテストをした
という話もありましたね。
このシュトゥーカによる空戦の模様が中心に描かれ、戦闘機ものと一味も二味も違う
戦術は大変勉強になりました。まぁ、シュトゥーカが複座であるのもそうですが、
スピードの遅いJu 87を敵戦闘機から守るため、出撃するシュトゥーカ部隊の倍以上の
フォッケウルフが護衛に付くことや、対地戦のための地上部隊との連携、
ソ連軍と友軍のルーマニア軍の軍服の色が一緒で間違いそうになったり・・と
興味深い話が続くので、飽きることがありません。
ルーデル自身は戦闘機に撃墜されたことはないそうですが、
高射砲によって30回も撃墜され、
スターリングラードでは捕虜の証言から女性のみで編成された高射砲部隊も
あったそうです。
有名なチェルカッシィ包囲陣からの友軍救出作戦の模様も語られますが、
一番の読みどころは、ソ連陣地に不時着した際、ソ連兵に発見され
ドニエステル河を決死の覚悟で渡河する場面でしょう。
長年後部機銃手を務める、相棒のヘンツェル兵長が溺れ、沈んでいきます。。。
ヒトラーの手によりダイヤモンド章や黄金ダイヤモンド章を受け渡される度に
地上勤務に就くよう言い渡されますが、「ならば勲章は結構です」と一言。
苦笑いするヒトラーに了承させますが、後々ゲーリングからもこの総統命令を
言い渡され、やむなくナイショで出撃を続け、戦果の報告も誤魔化したりと
ともかく、敗走するドイツ軍を救うため異常な数の出撃を続け、
それは高射砲により、右足を切断という事態になっても
わずか2ヶ月で戦線に復帰するという、凄まじい執念を最後まで見せつけます。
翻訳においていくらか原文から削っているそうで、あまりボリュームがありませんが、
とても面白い、典型的な「一気読み本」です。
ルーデルが個人的な当初のイメージと違っていたことも要因かも知れませんね。
例えて言うなら、現役にこだわり、最下位のチームのためにボロボロになるまで続ける
スポーツ選手のようなものでしょうか。
どーも!
「ナチ占領下のパリ」→「大虐殺リディツェ村」→「欧州危険男スコルツェニー」ときてこちら独破しました。
いやぁ〜、面白かった。ヴィトゲンさんのレビューにある通りまさに一気読み。頼りになる男ですね。ホレました。今後空軍モノもちゃんと読んでみようかと思わせるいいきっかけにもなりましたし。
少々ドイツからは遠ざかりますが空モノかつ痛快男繋がりということで、次は「Mr.ブラウン」に進むことにしました。これからの季節はどす黒いナチモノや絶望感あふれる最終戦モノはどうにも頭に入ってこないので、スカっと行きたい所です。
では。
by コメコン (2011-04-05 08:23)
いや~、独破しまくってますねぇ~。
全部、自分が楽しんだヤツです。。。
コメコンさんが空軍ものなら「203の勝利」や「攻撃高度4000」かなっと思いましたけど、「Mr.ブラウン」か・・。実はコレ、何処の誰なのか、全く知らないんですよ。今度、教えてください。
自分の読んだ中では、この「急降下爆撃」ほどルフトヴァッフェで爽快かつ、血沸き肉躍るものはなかったと思いますが、強いて挙げれば、ハルトマン伝「不屈の鉄十字エース」ですか・・。
by ヴィトゲンシュタイン (2011-04-05 20:34)
ご無沙汰しております。
「急降下爆撃」はその武侠的な語り口もあり、スラスラ読めてしまいますね。また、ルーデルはその後の人生も含めて正に「破天荒」という形容がピッタリの、題材にしやすいキャラです。さすがは「ソ連人民最大の敵」です。
私の好きな漫画に「花の慶次」がありますが、ルーデルを形容する言葉として 、「傾奇者」がピッタリだと常々思っております。
by H・グデーリアン (2011-04-12 22:18)
H・グデーリアンさん。お久しぶりです。
そういえば以前に「独破リスト」でも、この「急降下爆撃」にコメントいただきましたね。
しかしプレミア価格です。。新しい学研M文庫もスゴイ値段が付いてますねぇ。
by ヴィトゲンシュタイン (2011-04-13 06:47)
独破しました~~~。ヴィト様ありがとうございました(泣
ルデルすごい。。。
>ソ連兵に発見されドニエステル河を決死の覚悟で渡河
ここ、本当にすごかったです。もし自分だったら即降参>射殺されてるよ。。。、とルデルの超人っぷりに完全KOされました。自分は好き勝手なページから読み始めたりするのですが、読書中、最後のページは何度も繰り返し読みました。カコイイし、何かとても自分が励まされました。。。
降伏の際の仲間への訓示も立派でした。「悔いは無い」っていうのは、ここまでやった人しかいえない言葉なんだなあと、しみじみ。。。
よむ事が出来て本当によかった1冊でした。いつか原著にも挑戦できたらと思います。
by IZM (2013-05-29 15:36)
独破ご苦労さまでした。
楽しんでもらえてよかったです。
ふつうパイロットって、もっとスマートというか、線が細いイメージがあるんですが、ルーデルはまさに「骨太パイロット」ですね。
まぁ、1人で空戦する戦闘機乗りではなく、あくまでシュトゥーカ乗りだから、その辺の違いもあるかも知れませんが・・。それに大佐だし。。
ルーデルは戦後の立ち位置も含めて、いろいろな評価があるわけですが、ルーデル個人の良し悪しは置いといて、本書は戦記として「名著」といえると思いますね。
>いつか原著にも挑戦できたら
おおっ、本書は原著を削ってあるし、翻訳も古く、しかも廃刊のプレミア物。
いっそのこと、IZMさんがドイツ語完全版、完全新訳で出されては??
ルフトヴァッフェ回想録では、最近の流行ですよ。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-05-29 19:09)
>いっそのこと、IZMさんがドイツ語完全版
ご冗談を~、日本語すらまともでないのにwww
でも、原著のTrotzdemがなかなか見つからないので、「Mein Kriegstagebuch. Aufzeichnungen eines Stukafliegers」(わたしの従軍日記、あるスツーカ飛行士の記録)をゲットしてみる所から始めます。。。
この人戦後に登山記録の本も出していたとは。。。
http://www.amazon.de/Stukas-Anden-h%C3%B6chsten-Vulkan-Erde/dp/3877250912/ref=pd_sim_sbs_b_2
「スツーカからアンデスへ、-世界一の火山にて」もうタイトルからして。。。。とこの時点でクラクラします。www
by IZM (2013-06-02 09:56)
ほほぅ・・。ルーデルってそんなに本書いてるんですねぇ。初めて知った。。登山記録の本までかぁ。
「Mein Kriegstagebuch」、日記形式なんでしょうか?? 287ページですが、「急降下爆撃」の原著は474ページもありますね! 確かにamazonでも売り切れですが・・。なんとなく意味深です。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-06-02 11:23)