ヒトラー対チャーチル -80日間の激闘- [英国]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ジョン・ルカーチ著の「ヒトラー対チャーチル」を読破しました。
ヒトラーのフランス電撃戦とほぼ同時に新たに英国首相に任命されたチャーチルの
政治的、個人的な駆け引きを掘り下げ、如何に英国が崖っぷちに追い込まれていたか、
ヒトラーの対英方針とは如何なるものだったのかを、双方シンクロさせながら
1940年夏の80日間を検証した一冊です。

ヒトラーが英国に対して尊敬の念を抱いており、決して戦いたくはなかったという話は
良く知られているところですが、この本においてもなぜ「ダンケルク」が起こったのかを中心に
その英国の大陸派遣軍がドーバー海峡から生還した経緯について分析しています。
しかし、やはり本書でも・・と言うか、ルントシュテットの慎重になった説、
ゲーリングのルフトヴァッフェに任せろ説、ヒトラー自身の英国に対する
「スポーツマンシップ」説?というお馴染みの疑問は解消されません。
本書の印象ではルントシュテットの「ヒトラーの命令によるもの」と言う発言や
ヒトラーの陸軍副官だったエンゲルやイタリア外相のチアーノの日記などから
限りなく、ヒトラーが英国と戦うことなく、和平を結ぼうとしたと伝わってきます。

一方の新首相チャーチルは前首相のチェンバレンをアドバイザー的に地位に置き、
新内閣の組閣や首相の座を争ったライバルでやや弱腰なハリファックス外相と共に
議会の反対派やフランス政府との問題、
アメリカへの支援要請、そしてダンケルクからの撤退作戦と
その後の本土防衛計画に至るまで悪戦苦闘します。
特にハリファックスの未だ静観しているイタリアと接触するべきだとの進言に対し、
「英国にお手柔らかに・・とヒトラー氏に伝えるよう、ムッソリーニ氏にお願いするような
弱い立場に追い込まれてはならない」と最初から強硬な姿勢です。

チャーチルも含め、英国国民は地続きではないことからかフランスをあっという間に席巻した
ドイツ戦車の進撃よりも、オランダを降伏させた降下猟兵による
南部の沿岸やロンドン市内への侵攻をより現実的に恐れていたようです。
そのような事情もあってか、とにかく国民の士気を上げようとダンケルクからの帰還兵も
敗残兵ではなく英雄として扱い、「ダンケルク」と記された肩章が配られたそうです。
コレに対してモントゴメリー将軍は「ダンケルクを勝利と見る国民が多いのにウンザリ」だとして
「彼らは英雄ではなく、ダンケルクで軍が負けたのだということが理解されないなら
重大な危機である」と政治家と軍人の立場の違いが良く伝わってきますね。

ヒトラーとチャーチル五分五分に扱った本書ですが、真意の不明なままのヒトラーより、
いやがうえにも知られざるチャーチルの苦悩と強気の姿勢が伝わってきて、
率直に、チャーチルでなく保守派の首相であったら歴史は大きく変わっていたと思わせます。
この勢いでチャーチル著の「第二次世界大戦」を読んでみるか!と思ってます・・・。
ジョン・ルカーチ著の「ヒトラー対チャーチル」を読破しました。
ヒトラーのフランス電撃戦とほぼ同時に新たに英国首相に任命されたチャーチルの
政治的、個人的な駆け引きを掘り下げ、如何に英国が崖っぷちに追い込まれていたか、
ヒトラーの対英方針とは如何なるものだったのかを、双方シンクロさせながら
1940年夏の80日間を検証した一冊です。
ヒトラーが英国に対して尊敬の念を抱いており、決して戦いたくはなかったという話は
良く知られているところですが、この本においてもなぜ「ダンケルク」が起こったのかを中心に
その英国の大陸派遣軍がドーバー海峡から生還した経緯について分析しています。
しかし、やはり本書でも・・と言うか、ルントシュテットの慎重になった説、
ゲーリングのルフトヴァッフェに任せろ説、ヒトラー自身の英国に対する
「スポーツマンシップ」説?というお馴染みの疑問は解消されません。
本書の印象ではルントシュテットの「ヒトラーの命令によるもの」と言う発言や
ヒトラーの陸軍副官だったエンゲルやイタリア外相のチアーノの日記などから
限りなく、ヒトラーが英国と戦うことなく、和平を結ぼうとしたと伝わってきます。
一方の新首相チャーチルは前首相のチェンバレンをアドバイザー的に地位に置き、
新内閣の組閣や首相の座を争ったライバルでやや弱腰なハリファックス外相と共に
議会の反対派やフランス政府との問題、
アメリカへの支援要請、そしてダンケルクからの撤退作戦と
その後の本土防衛計画に至るまで悪戦苦闘します。
特にハリファックスの未だ静観しているイタリアと接触するべきだとの進言に対し、
「英国にお手柔らかに・・とヒトラー氏に伝えるよう、ムッソリーニ氏にお願いするような
弱い立場に追い込まれてはならない」と最初から強硬な姿勢です。

チャーチルも含め、英国国民は地続きではないことからかフランスをあっという間に席巻した
ドイツ戦車の進撃よりも、オランダを降伏させた降下猟兵による
南部の沿岸やロンドン市内への侵攻をより現実的に恐れていたようです。
そのような事情もあってか、とにかく国民の士気を上げようとダンケルクからの帰還兵も
敗残兵ではなく英雄として扱い、「ダンケルク」と記された肩章が配られたそうです。
コレに対してモントゴメリー将軍は「ダンケルクを勝利と見る国民が多いのにウンザリ」だとして
「彼らは英雄ではなく、ダンケルクで軍が負けたのだということが理解されないなら
重大な危機である」と政治家と軍人の立場の違いが良く伝わってきますね。

ヒトラーとチャーチル五分五分に扱った本書ですが、真意の不明なままのヒトラーより、
いやがうえにも知られざるチャーチルの苦悩と強気の姿勢が伝わってきて、
率直に、チャーチルでなく保守派の首相であったら歴史は大きく変わっていたと思わせます。
この勢いでチャーチル著の「第二次世界大戦」を読んでみるか!と思ってます・・・。
この「ヒトラー対チャーチル」は、私も読みました。
なかなかの名著だと思います。
もしチャーチルが、ヒトラーの和平提案に応じていれば、
間違いなく、歴史は変わっていたでしょう。
しかしイギリスは、ナポレオン以来、
伝統的に、ヨーロッパ大陸に
支配的な国家が出現することを、阻止してきたので、
あの時、チャーチル以外の人物が、
イギリス首相だったとしても、
ヒトラーのヨーロッパ支配を
容認することにつながる和平提案に、応じることは、
おそらく難しかったと思われます。
by 伝記.com (2010-06-26 16:45)
この本、そういえば昔わたしが編集した本です。とてもなつかしく思いました。タイトルの英文にえらい誤植があって、大汗をかきました。ルカーチには、もうひとつ80日間ではなく、たしかヒトラーとチャーチルの3日間をあつかった本があるはずです。この本も翻訳出版したらよかったのにと悔やまれます。
by だいだらぼっち (2011-07-29 18:00)
だいだらぼっちさん。はじめまして。
編集者でいらしたんですか?
本書を読んでチャーチル著の「第二次世界大戦」を・・と思いましたが、結局、1年半もかかってしまいました。。。
>ヒトラーとチャーチルの3日間をあつかった本
これは気になりますねぇ。特に「いつの3日間」なのかってことが・・。
by ヴィトゲンシュタイン (2011-07-29 20:11)