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ナチスがUFOを造っていた -ついに突き止めた超兵器- [ジョーク本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

矢追純一 著の「ナチスがUFOを造っていた」を読破しました。

「独破戦線」トンデモ本シリーズの第2回目が遂にやってまいりました。
栄えある第1回目は「こちら」でしたが、もう大昔のようですねぇ。
本書の存在は「ナチスの発明」を読んだときから知っていましたが、
今回、読んでみようと魔が差したのは、その恐るべき「目次」を知ってしまったからなんですね。
「ナチスが造っていたUFOの証拠写真をついに発見!」とか、
「Vロケット工場跡地にUFOの大編隊が飛来!」とか、
「自殺したはずのヒトラーが南極のナチス秘密基地にいた」とか、
コレくらいでは食指は動きませんが、
「UFOから降り立ったその男はナチスSSの制服を着ていた」にやられました。。

ナチスがUFOを造っていた.jpg

まずは「UFO本」であることが、イコール「トンデモ本」ではないことを
個人的にハッキリさせておかなければなりません。
ヴィトゲンシュタインは少年時代にTVで、「矢追純一のUFOもの」や
「川口浩探検隊シリーズ」を見て立派に育った世代ですし、
「スター・ウォーズ」を筆頭にした宇宙SF映画ブームにも充分、影響を受けています。
よく言われることですが、そもそも「UFO」=「宇宙人の乗り物」ではなく、
あくまで「未確認飛行物体」の略であり、
例えば極秘開発中の新型戦闘機を偶然見かけたら、それは「UFO」と呼んで良いと思うんですね。
では「宇宙人が存在しているか?」については、存在していないという証拠がない以上、
「存在している」とロマンチックに考えます。
まぁ、その宇宙人が「UFO」に乗って地球に来ているか・・? というのは、また別の話ですが・・。

以上のように「UFO」を考えるヴィトゲンシュタインからしても、
本書は「トンデモ本」臭がプンプンしたもので、早速、その具合を楽しんでみましょう。

UFOhitler.jpg

第1章では1944年12月14日付のニューヨーク・タイムズ紙に「連合軍最高司令部発」として
「ヨーロッパ最前線の上空に銀色の球体をしたドイツの新兵器が現る。」
という記事が掲載されていたことをロサンゼルスの怪しいUFO研究家から教えられた著者。
コレは無人コントロールのUFOで「空飛ぶ亀」として連合軍パイロットから恐れられたということで、
決して「ガメラ」ではありません。
今まさに「バルジ大作戦」が始まろうか・・という時期ですね。

空飛ぶ亀.JPG

次の章ではドイツにおける円盤型飛行機開発は1934年に
「RFZ-1」というのが完成していたという驚くべき事実が明かされます。

そしていよいよ第3章「UFOから降り立ったその男はナチスSSの制服を着ていた」。
1964年、米国ネバダ州に着陸した巨大なUFOから降り立ったのは、
ナチスSSの制服をパリっと着込んだ2mはあろうかという大男。
そしてドル札を差出して、「腹が減ったから何か喰うものを買って来てくれ」と
もの凄いドイツ訛の英語でいきなり頼む、その男の顔には大きな傷が・・。
ここまでくればお察しのとおり、この男の名はオットー・スコルツェニーです。
著者はこの証言者に尋ねます。「なぜ彼は自分で買いに行かなかったのでしょう?」
「ナチスSSの制服で、外をうろうろと歩くわけにはいかなかったんじゃないでしょうか・・」。

Otto Skorzeny.jpg

次の情報提供者はネオナチ運動を強力に推進するエルンスト・ズンデル氏です。
まぁ、こんな人からナチスの秘密計画を聞こう・・ということ自体、いけませんが、
最初はマトモなV-1、V-2ロケット開発の話で始まります。
フォッケウルフのトリープフリューゲルにも触れて(飛んでる白黒写真付き)、
テスト機は音速以上で飛んだ・・とか、
「太陽砲」の運用では、ヨーロッパは天気が悪くて上空の敵機に対する効果はなかったものの、
暑い北アフリカでは、戦果は上々・・。
「音響砲(音波砲)」では実験に使われた何百匹の犬や豚がバタバタと死んだり・・。

nazisuperscience.JPG

また、本書では「ナチス親衛隊の秘密部隊が"SS"」とされていますが、
もちろん、ナチス親衛隊自体が"SS"なので、著者が勘違いしているか、
またはナチス親衛隊は"ナチ党"のことを指しているのかも知れません。

ナチスの開発したUFOの写真では、その真下の付いているものに言及。
それはティーガーパンター戦車の砲塔という、実に恐るべき武器です。。
砲塔が逆さに取り付けられ、下向きになったハッチから出入りするそうですが、
ヴィットマンの名砲手、ヴァルタザール・ヴォルが逆さ吊りになって訓練してるところを
思わず想像してしまいました。。

ナチスがUFOを造っていた_2.jpg

1934年に「RFZ-1」を完成させていたのは、ナチスとは別の秘密結社「ヴリル協会」というもので
ここからは数千年の歴史を持つ「秘密結社」の謎に迫ります。
しかしここまで読んでいて、なかなか良くできているなぁ・・という感想を持ちました。
例えば、「実はヒトラーが死んだという証拠は無いのです」という衝撃的な証言も、
焼け焦げたヒトラーの遺体はソ連軍の手に落ち、東ドイツ領に埋められていたものが
東西統一の際に掘り返されて捨てられたということが様々な書物に書かれているとおりだとすると、
西側ではヒトラーが死んだという物的証拠は持っていないわけです。

Adolf-Hitler-Death.jpg

実際に開発運用された世界初の新兵器と、計画だけで終わったものでも
その設計されたという事実を大きく膨らましながら、円盤型の新兵器へと進んでいきますし、
ヒトラーが超能力者だったというオカルト話も、第1次大戦後に存在し、
ナチ党の基盤でもあった秘密結社「トゥーレ協会」や、ルドルフ・ヘスが信奉し、
あのゾルゲも日本に行く前に尋ねたハウスホーファー教授まで登場させたりと、
事実をベースにして、構築されているんですね。

hitler_with_alien_ufo_vril_haunhebu_ww2_nazi.JPG

しかし、火星に移住していた、68光年離れた太陽系にあるアルデバラン星人と
ヴェーヴェルスブルク城でチャネリングをしていたのが、優れた霊能者である、
SSの最高司令官ヒムラー・・となってくると、だいぶ苦しくなってきますね。
ヒムラーが瞑想してハインリヒ1世と・・というのは聞いたことがありますが、
まさかアルデバラン星人だとは。。

wewelsburg_SS.JPG

著者もこの城や、SSが運営していた「ミッテルバウ=ドーラ強制収容所」の地下にある
V2ロケット組立工場を訪れたりして頑張ってますが、
やっぱりココでUFOも組み立てられていたという証言も得ます。

NAZI_UFO.jpg

そしてクライマックスで「南極でヒトラーを見た」という章になると、
コレがすでに死んだSS情報部員の爺さんの手紙に書かれていたという話で、
総統ブンカーでボルマンがヒトラーのソックリさんを殺しておいて、
本物ヒトラーに麻酔を打って運び出し・・。
その後、頭もすっかり禿げ上がったヨレヨレのヒトラーと南極で対面しますが、
その様子は、過去にいくつか読んだ1945年のヒトラーを描いたものと一緒です。

hitler alive.jpg

この手紙の信憑性は1945年4月21日にドーニッツ(デーニッツ)元帥が総統ブンカーにいた
というのが理由だそうで、面白いのはそれを間違いないと太鼓判を押すのが、
当時のデーニッツ護衛隊長で、U-333の艦長だった「生命保険」クレーマーなんですね。
でも前日がヒトラーの誕生日で、デーニッツもお祝いに駆けつけたなんて話は
いろいろ読んだ気がしますけどね。。

終戦後にアルゼンチンに辿り着き、ヒトラーやボルマンを乗せて南極へ行ったと噂された
2隻のUボートについても本書は喰いつきます。
このUボートがまるで最新型の「エレクトロ・ボート」であったかのような書きっぷりに始まり、
しかもU-530の定員が「18名のところに58名」も乗っていたとか、
U-977の乗組員の年齢が「ほとんど20歳代」であることに疑問を投げかけますが、
U-530は「IX型」ですから、定員50名くらいですし、
U-977も艦長シェッファー自身が25歳という、終戦間際のUボートクルーはそんなもんです。。

Nazi UFOs and Secret Bases at the South Pole.jpg

結局、最後は前半のナチスから、裏で世界を牛耳る秘密結社とアルデバラン星人のお話に
シュメール文明とか、火星の人面石とかグダグダな展開となっていきますが、
ナチスの兵器などにお詳しい方なら、ドコまでが事実で、ドコまでが計画のみで、
ドコが完全なウソであるかを切り分けながら読むのも楽しいかも知れません。
いま日本を騒がせているV-22 オスプレイも、実はナチスの設計だった・・
なんてオチもあったりして。。

Face on Mars.jpg

そういえば、新兵器UFOを戦時中に日本に運んだという話も出てきましたが、
本書ではコレを運んだのが「軍艦アトランティス」という船で、
実際、「仮装巡洋艦アトランティス」というのはありましたが、
横浜に来たのは同じ仮装巡洋艦でも「トール号」です。
あえてUFO好きが興味を示しそうな「アトランティス」という名前を持ってくるあたりも
「やってんなぁ・・」という気がしましたね。。

SS_UFO.jpg

本書は1994年当時、TVでも放映されたと思いますが、見た記憶は・・??
ひょっとしたら、本書を読まれた方より、TVをご覧になった方の方が多いのかも。。
そのかわり、ナチスが月から攻めて来た! 最期に笑うのは、月面ナチスか、地球防衛軍か!?
ナチス第四帝国、月面より宣戦布告! という「アイアン・スカイ」というトンデモ映画が
日本でも公開されます。さすがにお金払って観に行く気はしませんが、
ノベライズ本も出ているので、また魔が差したら読んでみるかも知れません。

Iron Sky.jpg

また余談ですが、この映画の公開に合わせてか、「別冊映画秘宝」という雑誌で
「ナチス映画電撃読本」というのも出ます。
内容は不明ですが、結構、マニアックなナチス映画が紹介されそうで、
コッチは買ってみるつもりです。







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ヒトラー・ジョーク -ジョークでつづる第三帝国史- [ジョーク本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

関 楠生 編訳の「ヒトラー・ジョーク」を読破しました。

ヒトラー・ジョークと言えば、「ベルリン・オリンピック1936」でもヒトラーが
「右腕を長時間挙げる・・という技で、自分は金メダルを貰う資格がある」
などと言っていた話を紹介しましたが、1980年発刊の本書も、
そんなヒトラーの語ったジョーク集・・だと今まで思っていました。
しかし何気に調べてみると、実は「ヒトラーをネタにしたジョーク集」であって
そういうことなら・・と、この212ページの本書を読んでみました。

ちなみに今回が記念すべき?「300」記事めになりました。我ながら良く読んでるなぁ・・と
思いますが、この成果をジョークで振り返るというのも、なかなかどうしてオツなものかな?
1年前の「200」記事めでは「顔出し」もしましたが、今回は・・。

ヒトラー・ジョーク.jpg

個人的にはヒトラーや側近、第三帝国をネタにした当時のドイツ国民のジョークは好きで、
それは、ソコから彼らの本音が読み取れるからでもあります。
この「独破戦線」でも過去にいくつか紹介していて、
ベルリン攻防戦で、路上に築かれたバリケードを突破するのにソ連軍は30分の時間を費やす、
というジョークで「みんなで大笑いするのに25分、戦車で吹き飛ばすのに5分・・」など。。。

Members of the Volksturm  building a barricade.jpg

本書ではプロローグとして、ヒトラー政権誕生前のジョーク、
主に"もうろく"したヒンデンブルク大統領がネタとなったジョークから紹介し、
時系列で、時代背景の簡単な説明をは挟みながら進んでいきます。
それでは、ヴィトゲンシュタインの気に入ったジョークをいくつか紹介してみましょう。

von Hindenburg hitler.jpg

1933年の政権掌握後、精神病院を訪れたヒトラー。
入院患者が全員「ハイル・ヒトラー」で迎えるものの、一人だけ加わりません。
ヒトラーは彼に近づき、「なぜ私に挨拶しないんだね?」
「私は気ちがいではありません。看護人なのです」

spectreman.jpg

労働者たちが、党幹部がいつも前にいるのに自分たちは後ろに立っていなければ
ならないと、ヒトラーに苦情を持ち込みます。
「まぁ、待ちたまえ。私が戦争を始めれば事態は逆になるだろう」

国会議事堂放火事件のジョークも2つありました。
ひとりのSS隊員が仲間に囁きます。
「おい、聞いたか?国会が火事だってさ」
「なんだって?火事は明日のハズだ」

Needless to say he had to leave Germany not long after this appeared in the communist magazine AIZ.jpg

駅前で盛大な歓迎を受けるヒトラー。
花を持ってつまずいた女の子をヒトラーが抱きかかえ、ひと言。。
みんなはヒトラーが何を言っていたのか、女の子に尋ねます。
「総統は、『ホフマン、急いで写真を!』と言っていたわ」

Hitler_with_a_small_visitor_of_Obersalzberg.jpg

ワリと有名な「理想的ドイツ人とは?」のジョークもちゃんとありました。
ヒトラーのようにブロンドで、
ゲッベルスのように大きく、
ゲーリングのようにスマートで、
レームのように純潔。

aryan-family-neues-volk.jpg

シュトライヒャーの発行する反ユダヤ新聞「シュテュルマー」もジョークのネタになっています。
その新聞を読んで満足げなユダヤ人に友人が尋ねます。
「どうしてこんな扇動新聞を読んで喜んでいるんだ?」
「だって、どこを読んでも我々ユダヤ人が世界を支配していると書いてあるじゃないか」

Der Stürmer1.jpg

ユダヤ人問題ではこんなのも・・・。
パリでは経験に富む妻が求められる。
ロンドンでは知的な妻が求められる。
ニューヨークでは金持ちの妻が求められる。
ベルリンではアーリア人の祖母が求められる。

オーストリア併合(アンシュルス)関連では・・
ドイツ人が言った。「ヒトラーはドイツ民族への神からの贈り物だよ」
オーストリア人は答えます。
「ヒトラー?あれは普墺戦争の復讐のために、君たちにけしかけた男さ」

Hitler in Wien.jpg

ピカソの「ゲルニカ」・・。
ドイツ空軍の将校がパリのピカソのアトリエを訪れ、ゲルニカの絵を見て尋ねます。
「これはあなたのお仕事ですか?」
「いいえ、あなた方のお仕事です」

イタリア軍とムッソリーニは、さすがに結構ありますね。ひとつだけ・・。
イタリアがギリシャに最後通牒を突きつけた。
「降伏しなければ、ドイツ軍を呼びますぞ」

Cheering crowds in Florence during Hitler's state visit to Italy in May 1938.jpg

結構ある・・といえば、副総裁ルドルフ・ヘスも以前に
チャーチル・・『つまりあんたが例の気違いかね?』
ヘス・・『いいえ、気違いの公式代理です』
を紹介していますが、本書ではコレも含め、いくつか出てきます。

ナチ党本部へ、ヘスの代わりに・・と総統代理を志願してきた男。。。
「君は狂っているのか?」と面接した全国指導者が怒鳴りつけます。
「どうしてです?それが条件ですか?」

Ribbentrop, Mussolini (almost hidden), Hitler, Hess, Lammers.jpg

全ページの下部は補足エリアとなっていて、ちょっとした知識を有するジョークの説明
(第三帝国内外の人物や、ドイツ語の言葉遊びなど)や、ナチの下部組織を含めた編成表、
また、なかなか面白い写真や皮肉の効いたポスターなどが白黒で小さいながらも
非常に興味深いものが多くありました。

nsdap_organisation_vergr.jpg

シュタウフェンベルク大佐の写真が、知らないおじいちゃんというのはちょっと笑えましたが、
これもひょっとしたらジョークなのかも・・。
しかし国防軍最高司令官旗や、海軍、空軍の最高司令官旗なんかが
イラストで紹介されており、コレはなかなか勉強になりましたね。

Flagge des Oberbefehlsharber des Heeres_Flagge des Oberbefehlshaber der Kriegsmarine, sofern er nicht Grossadmiral ist_Flagge des Reichsminister der Luftfahrt und Oberbefehlshaber der Luftwaffe.jpg

東部戦線がスターリングラードで敗北を喫すると、ジョークも変化してきます。
「書籍市場からの新刊案内」では・・
アルフレート・ローゼンベルク
「切れ長の目をした北方人種」-なぜ我々は日本軍の勝利を喜ぶのか-
ヘルマン・ゲーリング著
「馬子にも衣装」-制服と勲章に関する論文。著者による自画像多数所載-
アドルフ・ヒトラー著
「わが電撃戦の最初の3年」-以下続刊-

Hermann Göring.jpg

国民突撃隊は以前にこんなのを紹介しています。
ある老人が招集され、第1次大戦に参加した時の所属兵科を聞かれて、こう答えます。
「いや、第1次大戦には参加しませんでした。年を取りすぎていましたんで・・」

そして本書ではこんなのが・・。
スコップを持った男が墓地を歩いていると、老人が後ろから叫んだ。
「国民突撃隊の補充兵を掘り出すつもりかい?」

Volkssturm_1.jpg

このように戦局も悪化し、終戦後も見据えたジョーク・・。
「戦争が終わったら、ドイツ全国を自転車で旅行して周るよ」
「それはいいな。で、午後には何をするつもりだね?」

そして遂に第三帝国の終焉・・・。
「時のたつのはなんと早いことか!
もう千年が過ぎてしまった」

Nazi Party eagle symbol.jpg

212ページのボリュームですから、一気読みしてしまいましたが、
個人的な"ツボ"に入ったのは2つかな?シラフでも大笑いしてしまいました。
自分は長いのはあまり好きじゃなく、「一発芸」のような簡単な2~3行のジョークが好きなんですね。
ストーリー仕立ての1ページ程度の長いジョークもいくつか出てきますが、
どういうのが好きか・・は人それぞれですから、今回紹介しなかったジョークで
大笑いできるかも知れません。
すでに絶版なのが残念ですけど、文庫で再刊しても良いんじゃないでしょうか。



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エヴァ・ブラウンの日記 -ヒトラーとの8年の記録- [ジョーク本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アラン・F. バートレット著の「エヴァ・ブラウンの日記」を読破しました。

世間一般的にはインチキな「トンデモ本」と云われている一冊です。
噂ではヒトラーの性的な問題が書かれていたり、ナチ党高官のスキャンダラスな
話が盛りだくさん・・ということで、本来、そういうネタにあまり興味がないんですが、
まぁ、安く売っていたので、どの程度のインチキっぷりなのかを
確認する意味でも今回、あえて読破してみました。

エヴァ・ブラウンの日記.JPG

序文では、この日記がエヴァ・ブラウンのものに間違いないという(やや悲しい)根拠を
著者がいくつか挙げています。
ちなみに、この学研が発刊した日本版でも、訳者あとがきを含めて
その信憑性には逃げ腰になっている印象です。。。

続いて、「日記」の前にヒトラーの過去の数々の女性関係が解説されます。
姪のゲリ・ラウバルから始まり、英国女性のユニティ・ミトフォード
女優で映画監督のレニ・リーフェンシュタールまで・・。

LeniWithAdolf.jpg

75頁からやっと「日記」の全貌が明らかになります。
1937年から始まる日記は、まずは「H」ことヒムラーに呼ばれた話からですが
多くは食事会などでの高官たちの話題・・・例えば
リッベントロップゲッベルスゲーリング、シュトライヒャー、シーラッハといった面々に
彼らの伴侶との女性同士のライバル争いも書かれています。
云われていたようなスキャンダラスなシーンはあまりありません。

Abendgesellschaft auf dem Berghof.jpg

1938年には後の国家保安本部(RSHA)長官となるカルテンブルンナー
ポーランドの絶滅収容所を監督したグロボクニク
残虐な若手の有望株として紹介されるのは面白かったですね。
また、いつもヒトラーに逃げられてばかりの海軍のレーダー元帥
怒りを爆発させているシーンも楽しめます。

Otilo Globocnik and Friedrich Rainer in Vienna, 1938.jpg

イタリア外相のチアーノはマナー知らずの男として嫌われているものの、
彼の奥さん対してはヒトラーも素晴らしい・・と。
確かチアーノの奥さんはイタリアが寝返ったおかげで、結構苦労したような気が・・。
彼女の人生には興味がありますねぇ。

CianoeEdda.jpg

ヒトラーとの夜の生活もさらりと触れられ、その際のヒトラーの趣味や
ムッとすると口を利かなくなるという性格も紹介。
副総裁ルドルフ・ヘスとヒトラーのあまりの親密さをエヴァが疑う場面も出てきます。

hess_27_mit_hitler.jpg

そしてヒトラーのXXチンがいわゆる完全な「反ユダヤ主義」であり、
手術が必要であった"らしい"ことやエヴァが妊娠し、
密かに出産していた"らしい"記述も出てきます。

エヴァが告白した浮気相手をヒトラー自ら射殺し、その家族も全員強制収容所送り、
同行したSS隊員も最前線送りというシーンや
エヴァとドライブ中のヒトラーが暗殺者に襲われ、軽やかな身のこなしで見事返り討ちに・・。
さすが、かつての一級鉄十字章はダテではない・・というアクション・シーンまで登場。。。

Eva Braun _ Hitler.jpg

正直読み終えた感想としては、完全なゴーストライターによるもの
という根拠は見つかりません。
かと言って間違いなくエヴァが書いたものだとも思えません。

だいたい人を騙す方法というのは真実の中にウソを織り込むものだと思っていますので
(昔読んだスパイ小説の手口です。最初しばらくは、どうでも良い真実を語り、
相手が信用したところを見計らってウソ(ニセ情報)を提供する)、
本書も日記の日時や人物が正しいとされる(それもエヴァのものだとする根拠のひとつ)
ところが逆に死んだ2人しか知らない部分を怪しく感じさせます。

Eva Braun9.jpg

「独破戦線」的には特にオススメもしませんが、2~3時間で読めるので
興味のある方は話のネタに読むのも一興じゃないでしょうか。


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