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第二次世界大戦 -ムッソリーニの戦い- [イタリア]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

B.パルミーロ・ボスケージ著の「ムッソリーニの戦い」を読破しました。

「独破戦線」初登場となるイタリアものです。
ドイツ戦記から見たイタリア軍というのは「北アフリカ」しかり、「ロシア戦線」しかり
貧弱な装備で兵士たちはやる気なしという「お荷物」的扱いです。
今回はイタリア人の歴史家である著者のこの一冊で
出来る限り先入観なく、公平にイタリア軍を勉強してみました。

ムッソリーニの戦い.JPG

内容はタイトルどおり、1940年の宣戦布告から1943年にムッソリーニが失脚するまでを
ヒトラーとムッソリーニの間で交わされた書簡や演説、
また、娘婿のチアーノ外相の日記などを中心にイタリア軍の戦いを追ったものです。

まずはドイツ軍のフランスへの電撃戦に遅れまじ、と
すでに死に体のフランスの背後に一撃を加えるという有名な場面です。
当時の参謀総長バドリオ元帥は「あまりに卑劣な行為である」として
反対を表明したものの、ムッソリーニに説得された経緯が語られます。

mussolini.JPG

続くイタリア独断でのギリシャ侵攻も、良く言われるように
相談なく既成事実を突きつけるヒトラーのやり方に憤慨したムッソリーニの政治的な思惑が大きく、
ここでも軍上層部からは反対されるものの
それを押し切って作戦を進めた結果、ギリシャ軍の反撃に遭い、
にっちもさっちも行かなくなるとヒトラーには叱責を受けた挙句、
バドリオ元帥の参謀総長の座を解任して、責任を転嫁するという状況です。

Pietro Badoglio.jpg

北アフリカ戦線も楽しめました。いつもドイツ/アフリカ軍団から見た戦いでしたが、
ガリボルディや後任のバスティコ将軍といったロンメルの敵役を中心に戦局が描かれ、
その若干、子供扱いぎみとも思えるロンメル評や
退却の際にドイツ軍がイタリア軍の車両を強奪した等の恨みつらみが述べられています。

gariboldi&rommel.jpg

あまり知られていないイタリア海軍の戦いも登場します。
しかし、悲しいほど弱く、常に惨敗です。。。
これは海軍だけの問題ではなく、イタリア軍全般に対して思ったことですが、
基本的に軍という組織の考え方・・戦術も含めて・・が前大戦から抜け切っておらず、
さらに連合軍の最新の兵器や装備の前に敗れるのは仕方がないと思い込んでいるようです。

外相チアーノ日記は反ドイツ感情に溢れていて、
1941年の時点で「イタリアはドイツの属国に成り下がった」として
東方戦線でドイツが負けるか和平でしか、イタリアの独立は守られないと書き記しています。
また、ムッソリーニのヒトラーに対する本音も書かれていて
この日記、ぜひ全て読んでみたいものですね。

Ciano and Ribbontrop.jpg

この日記で思わず笑ってしまったのは、独伊軍事首脳会談の様子で、
ヒトラーがのべつ幕なしに、歴史や芸術のことまで延々に喋りはじめると、
「ムッソリーニは慣れっこになっていたが、可哀想なのはドイツの将軍たちで
毎日、こんな切ない思いをしなければならないとは・・。ヨードル将軍
睡魔と闘った挙句、とうとう机に突っ伏し、カイテル元帥も体をぐらつかせたものの
さすがに頭だけは真っ直ぐ持ちこたえていた」。

mussolini jodl Hitler keitel.JPG

ムッソリーニは(ヒトラーより)なかなか人間味があるという印象で、
戦果を出してヒトラーに「どうだ!」と言ってやりたいのに、やることなすこと
ことごとく裏目に出てしまい、段々アタマが上がらなくなる・・という
知れば知るほど可哀想になってくるオヤジです。
さらにムッソリーニものを2冊ほど購入しましたので、近々、読破してみます。



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