帰ってきたヒトラー (上) [ナチ/ヒトラー]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ティムール・ヴェルメシュ著の「帰ってきたヒトラー (上)」を読破しました。
去年から海外でも話題になっていた本書を読むのを楽しみにしていましたが、
1月21日に発売されてからすぐではなく、無駄にちょっと我慢してから取り掛かりました。
現在、amazonでは「ア行の著者のベストセラー1位」になっていますね。
ヒトラーが現代に蘇って、コメディアンになる風刺小説・・という程度の情報しかあえて知らずに
256ページのこの上巻を楽しんでみたいと思います。
しかし区内の図書館では「14人待ち」と、これからの方も多いでしょうから、
極力、本質的なことは避けて、独破戦線らしく書いてみましょう。
第1章は「2011年8月30日-ヒトラー復活」です。
午後のまだ早い時間帯にがらんとした空き地で目覚めたヒトラー。
昨晩の記憶といえば、総統地下壕でエヴァと談笑し、手持ちの古いピストルを見せたことだけ・・。
この小説、ヒトラーの一人称です。そうきたか。。
またこれだけで、ヒトラーが自殺した日から蘇ったということが判る人なら本書はより楽しめます。
ヒトラーの気持ちになって読み進めることができるからです。
物音がする方を見ると、サッカーで遊んでいるヒトラー・ユーゲントの少年たち。
けばけばしい色のスポーツシャツに母親が縫い付けたと思われる少年の名を読み取ります。
「ロナウド! ヒトラー・ユーゲントのロナウド!通りにはどうすれば出られるのか?」
大通りをおぼつかない足取りで歩いていると、ベルの音と誰かが怒鳴る声・・。
「ちょっと、おっさん! 気を付けろよ! どこに目ぇつけてんだ!」
そこには自転車とその乗り手がおり、彼が防護用にかぶっているヘルメットは、
表面にたくさんの穴が空いています。
「敵の攻撃を受けてひどく損傷したせいなのだろう。つまり、今はまだ戦時中なのだ」。
事態を冷静に分析するために「民族の観察者(フェルキッシャー・ベオバハター)」紙か、
「突撃兵(デア・シュテュルマー)」紙、それが無理なら「パンツァーベア」紙でも手に入れようと、
キオスクを訪れます。
求める新聞はないものの、そこにある新聞の日付を見て卒倒するヒトラー。
しかし幸いにもキオスクの男がなかなか親切です。
「『ヒトラー~最期の12日間~』。主役のブルーノ・ガンツははまり役だったな。
でも、あんなの目じゃないね。おたくは全体のたたずまいが・・言っちゃなんだが、
まったく、あれの本人みたいなんだよね」。
一文無しのヒトラーはこのキオスクで寝泊まりし、「バルバロッサ作戦」から70周年というこの年、
多くの報道が書かれた新聞を読んで、自分が事実上死んだことになっていたり、
帝国の領土が縮小し、本来存在すべきでないポーランドですら、
そもそもドイツ領土だった場所までドサクサにまぎれて持ち去ったことを理解して激昂。。
しかし彼に言わせれば、「それでは、亡くなった総統の遺体はどこだ? 見せてみろ!」。
こうして、運命が彼を過去から呼び寄せたということであれば、一見平穏であるこのドイツが、
そのじつ、かつてより深刻な状況にあるのでは・・・? と解釈した彼は、
総統として再び立ち上がることを闇夜に誓うのでした。
数日後、テレビプロダクションの男2人がキオスクにやって来てヒトラーに面会。
もちろん彼らは噂に聞いた「そっくりさんの芸」を見てみようと思って来たものの、
内外の政治家や将軍連中もギャフンといわせてきた総統の話術と、その迫力に
思わずコーヒーを噴きだすほど。。
用意されたホテルでは1936年当時とは形も変わったテレビに驚き、
その内容の低俗さにも毒を吐き続けます。
しかも番組はたびたび唐突に打ち切られ、お得な保養旅行ができるだのの広告宣伝が・・。
どの店の名前も「www」という3文字で始まるのは、同じ親会社に属しており、
ロベルト・ライの「KdF(歓喜力行団)」の偽名なのかも・・と期待するのでした。
素晴らしい乗り心地の迎えの車。運転手曰く「メルセデスですよ。お客さん」。
「私も以前カブリオレを持っていた。運転手のケンプカは文句ひとつ言わなかった・・」と
郷愁が波のように襲います。
本書ではこのケンプカやライのように、ヒトラーは昔の人物をたびたび思い出します。
ここまでなら、フンク、ルスト、デーニッツ、シュペーア、ゲーリング、パウルス、シュタイナー。
基本的には彼らに対する悪口ですが、本書には(注)が一切ありません。
ヒトラーが語る最低限の説明しかない彼らを読者は知らなくても実害はないでしょうが、
第三帝国とドイツ軍に詳しい方が読めば、その面白さは倍増しますね。
プロダクションとの契約にこぎつけると、社会保険や銀行関連の書類作成に一悶着。
「アドルフ・ヒトラー」では絶対に書類が法務部を通りません。
パスポートか銀行通帳を・・という問い合わせにも嫌気がさし、
「そんなことはボルマンに聞いてくれ」。
大手プロダクションのフラッシュライト社に小さな仕事部屋を与えられ、
パートタイムの若い女性秘書も。
ヴェラ・クレマイヤーという名の彼女は、握手をして言います。
「やだほんと。ウソみたい。やっぱりそれって、<メソッド演技法>なんですか?
ほら、デ・ニーロとかパチーノみたいな。役に100%なりきるやつ・・」。
そんな現代っ子の秘書にも臆さないヒトラー。
「まず第一に、私は総統だ。だから「わが総統(Mein Führer)」と呼んでもらいたい。
それから部屋に入るときは右手を高く上げて、ドイツ式敬礼で挨拶をしてほしい」。
顔がパッと明るくなったクレマイヤー嬢。
「知ってます、それ! ほら、あれでしょ? ちょっと今、やってみせます?
おはようございまーす!わがソートー!」
そして机に置かれたパソコンと、マウスという装置の素晴らしさに驚愕します。
<インターネッツ>は閉館時間のない巨大な図書館であり、
「あの当時にこんなものがあったなら!」
お気に入りは、ゲルマン風の名前の付いた「ウィキペディア(Wikipedia)」です。
すこし考えればこれが「エンサイクロペディア(百科事典)」と、
古代ゲルマン人の「ヴァイキング(Wiking)」を掛け合わせた造語であるのは、一目瞭然。。
Eメールアドレスの登録ではクレマイヤー嬢とドタバタが続きます。
自分の名前にしたいという総統に対して、「あなたの名前は禁止されていますよ。わがソートー」。
あーだこーだの末、結局、「新総統官邸(Neue Reichskanzlei)」で落ち着くのでした。
研究熱心なヒトラーは空白であった戦後ドイツの歴史を<インターネッツ>で学びます。
「中途半端な自称「ドイツ再統一」を成し遂げたという首相は、
16年という長きにわたってこの国を統治。
16年といえば自分よりも4年も長い期間であり、ゲーリングの如くでっぷりと太ったその姿・・。
宿敵フランスは知らぬ間に、ドイツにとって最大の盟友に成り上がり、
EU連合はそのじつ、小学生が作るギャング団と同じほど幼稚な集団に過ぎない」。
「一方、東欧諸国でも負けず劣らずの愚行が繰り広げられてきたものの、西側との相違点は、
揉め事が起これば、ボルシェヴィキのソ連が涎を垂らして乗り込んでくる・・。
また、米国に引き抜かれた腰抜けで怪しげな日和見主義者のSS少佐フォン・ブラウンは、
「V2ロケット」の知識を最高入札者に高い値段で売りつけた・・」と辛辣ですねぇ。
それよりも彼にとって衝撃的なのが、ドイツ政治の現状です。
「なにしろ国の頂点に立つのが、女。
それも、陰気くさいオーラを自信満々に放っている不恰好な女だ。
東独育ちのこの女は、つまりは36年もボルシェヴィキの亡霊と共にあったというのに・・」。
遂にTV出演のときがやって来ました。
低俗なお笑い番組で持ち時間5分、「トルコ人問題」などについての演説を冷静に・・。
しかし、100人の観客は微妙な反応です。
翌日は新聞に少しだけ記事になっていますが、
「昔も、最初は底辺の底辺、聴衆は20人足らずだった。その時のことを思えば・・」と、
振り返るヒトラー。
ドイツ再建のために切実に演説したい彼ですが、周りは全員ジョークだと思っているのです。
そんなとき突然、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」が鳴り響きます。
秘書のクレマイヤー嬢が設定してくれた携帯電話の着信音なのです。
「こちらヒトラー! こちら総統大本営!」。
電話の要件は昨日のTV出演が「YouTube」にアップされ、アクセス数70万回と爆発中とのこと。
プロダクションは、この人気に大急ぎでヒトラーの突撃取材コーナーなど製作し始めます。
カメラマンを携えて、街行くご婦人方にインタビュー取材するヒトラー。
そして彼女たちの反応は・・。
いや~、コレは予想以上に面白い。
この256ページの上巻を3時間ほどで一気読みしました。
おそらく1時間42分ほどはニヤケ顔だったでしょう。
実在した、或いはする登場人物についての余計な注釈がないのでサクサクいけますし、
さすがにこんな小説を書くだけあって、著者のヒトラーと第三帝国に関する知識は、
なかなかのものだと思いました。
少なくとも、「それはないだろ・・」というヒトラーの発言はありませんし、
プロダクションの若手社員であるザヴァツキくんとの食事の席でベジタリアンを語る際、
「ライオンは2,3㌔、時間にしたら20分そこらで、もうぐったり疲れ果ててしまう・・」
なんて話は、「ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944〈上〉」からの抜粋だったりします。
これくらいボリュームなら上下巻にする必要は無いんじゃないでしょうか。
帯には「映画化決定!!」とありますが、大丈夫かな?? こういう話はすぐ立ち消えになるし・・。
本当はこんなレビューを書いているヒマがあったら、サッサと下巻を読みたいところですが、
そこはグッと堪えて、楽しみを取っておきます。
ティムール・ヴェルメシュ著の「帰ってきたヒトラー (上)」を読破しました。
去年から海外でも話題になっていた本書を読むのを楽しみにしていましたが、
1月21日に発売されてからすぐではなく、無駄にちょっと我慢してから取り掛かりました。
現在、amazonでは「ア行の著者のベストセラー1位」になっていますね。
ヒトラーが現代に蘇って、コメディアンになる風刺小説・・という程度の情報しかあえて知らずに
256ページのこの上巻を楽しんでみたいと思います。
しかし区内の図書館では「14人待ち」と、これからの方も多いでしょうから、
極力、本質的なことは避けて、独破戦線らしく書いてみましょう。
第1章は「2011年8月30日-ヒトラー復活」です。
午後のまだ早い時間帯にがらんとした空き地で目覚めたヒトラー。
昨晩の記憶といえば、総統地下壕でエヴァと談笑し、手持ちの古いピストルを見せたことだけ・・。
この小説、ヒトラーの一人称です。そうきたか。。
またこれだけで、ヒトラーが自殺した日から蘇ったということが判る人なら本書はより楽しめます。
ヒトラーの気持ちになって読み進めることができるからです。
物音がする方を見ると、サッカーで遊んでいるヒトラー・ユーゲントの少年たち。
けばけばしい色のスポーツシャツに母親が縫い付けたと思われる少年の名を読み取ります。
「ロナウド! ヒトラー・ユーゲントのロナウド!通りにはどうすれば出られるのか?」
大通りをおぼつかない足取りで歩いていると、ベルの音と誰かが怒鳴る声・・。
「ちょっと、おっさん! 気を付けろよ! どこに目ぇつけてんだ!」
そこには自転車とその乗り手がおり、彼が防護用にかぶっているヘルメットは、
表面にたくさんの穴が空いています。
「敵の攻撃を受けてひどく損傷したせいなのだろう。つまり、今はまだ戦時中なのだ」。
事態を冷静に分析するために「民族の観察者(フェルキッシャー・ベオバハター)」紙か、
「突撃兵(デア・シュテュルマー)」紙、それが無理なら「パンツァーベア」紙でも手に入れようと、
キオスクを訪れます。
求める新聞はないものの、そこにある新聞の日付を見て卒倒するヒトラー。
しかし幸いにもキオスクの男がなかなか親切です。
「『ヒトラー~最期の12日間~』。主役のブルーノ・ガンツははまり役だったな。
でも、あんなの目じゃないね。おたくは全体のたたずまいが・・言っちゃなんだが、
まったく、あれの本人みたいなんだよね」。
一文無しのヒトラーはこのキオスクで寝泊まりし、「バルバロッサ作戦」から70周年というこの年、
多くの報道が書かれた新聞を読んで、自分が事実上死んだことになっていたり、
帝国の領土が縮小し、本来存在すべきでないポーランドですら、
そもそもドイツ領土だった場所までドサクサにまぎれて持ち去ったことを理解して激昂。。
しかし彼に言わせれば、「それでは、亡くなった総統の遺体はどこだ? 見せてみろ!」。
こうして、運命が彼を過去から呼び寄せたということであれば、一見平穏であるこのドイツが、
そのじつ、かつてより深刻な状況にあるのでは・・・? と解釈した彼は、
総統として再び立ち上がることを闇夜に誓うのでした。
数日後、テレビプロダクションの男2人がキオスクにやって来てヒトラーに面会。
もちろん彼らは噂に聞いた「そっくりさんの芸」を見てみようと思って来たものの、
内外の政治家や将軍連中もギャフンといわせてきた総統の話術と、その迫力に
思わずコーヒーを噴きだすほど。。
用意されたホテルでは1936年当時とは形も変わったテレビに驚き、
その内容の低俗さにも毒を吐き続けます。
しかも番組はたびたび唐突に打ち切られ、お得な保養旅行ができるだのの広告宣伝が・・。
どの店の名前も「www」という3文字で始まるのは、同じ親会社に属しており、
ロベルト・ライの「KdF(歓喜力行団)」の偽名なのかも・・と期待するのでした。
素晴らしい乗り心地の迎えの車。運転手曰く「メルセデスですよ。お客さん」。
「私も以前カブリオレを持っていた。運転手のケンプカは文句ひとつ言わなかった・・」と
郷愁が波のように襲います。
本書ではこのケンプカやライのように、ヒトラーは昔の人物をたびたび思い出します。
ここまでなら、フンク、ルスト、デーニッツ、シュペーア、ゲーリング、パウルス、シュタイナー。
基本的には彼らに対する悪口ですが、本書には(注)が一切ありません。
ヒトラーが語る最低限の説明しかない彼らを読者は知らなくても実害はないでしょうが、
第三帝国とドイツ軍に詳しい方が読めば、その面白さは倍増しますね。
プロダクションとの契約にこぎつけると、社会保険や銀行関連の書類作成に一悶着。
「アドルフ・ヒトラー」では絶対に書類が法務部を通りません。
パスポートか銀行通帳を・・という問い合わせにも嫌気がさし、
「そんなことはボルマンに聞いてくれ」。
大手プロダクションのフラッシュライト社に小さな仕事部屋を与えられ、
パートタイムの若い女性秘書も。
ヴェラ・クレマイヤーという名の彼女は、握手をして言います。
「やだほんと。ウソみたい。やっぱりそれって、<メソッド演技法>なんですか?
ほら、デ・ニーロとかパチーノみたいな。役に100%なりきるやつ・・」。
そんな現代っ子の秘書にも臆さないヒトラー。
「まず第一に、私は総統だ。だから「わが総統(Mein Führer)」と呼んでもらいたい。
それから部屋に入るときは右手を高く上げて、ドイツ式敬礼で挨拶をしてほしい」。
顔がパッと明るくなったクレマイヤー嬢。
「知ってます、それ! ほら、あれでしょ? ちょっと今、やってみせます?
おはようございまーす!わがソートー!」
そして机に置かれたパソコンと、マウスという装置の素晴らしさに驚愕します。
<インターネッツ>は閉館時間のない巨大な図書館であり、
「あの当時にこんなものがあったなら!」
お気に入りは、ゲルマン風の名前の付いた「ウィキペディア(Wikipedia)」です。
すこし考えればこれが「エンサイクロペディア(百科事典)」と、
古代ゲルマン人の「ヴァイキング(Wiking)」を掛け合わせた造語であるのは、一目瞭然。。
Eメールアドレスの登録ではクレマイヤー嬢とドタバタが続きます。
自分の名前にしたいという総統に対して、「あなたの名前は禁止されていますよ。わがソートー」。
あーだこーだの末、結局、「新総統官邸(Neue Reichskanzlei)」で落ち着くのでした。
研究熱心なヒトラーは空白であった戦後ドイツの歴史を<インターネッツ>で学びます。
「中途半端な自称「ドイツ再統一」を成し遂げたという首相は、
16年という長きにわたってこの国を統治。
16年といえば自分よりも4年も長い期間であり、ゲーリングの如くでっぷりと太ったその姿・・。
宿敵フランスは知らぬ間に、ドイツにとって最大の盟友に成り上がり、
EU連合はそのじつ、小学生が作るギャング団と同じほど幼稚な集団に過ぎない」。
「一方、東欧諸国でも負けず劣らずの愚行が繰り広げられてきたものの、西側との相違点は、
揉め事が起これば、ボルシェヴィキのソ連が涎を垂らして乗り込んでくる・・。
また、米国に引き抜かれた腰抜けで怪しげな日和見主義者のSS少佐フォン・ブラウンは、
「V2ロケット」の知識を最高入札者に高い値段で売りつけた・・」と辛辣ですねぇ。
それよりも彼にとって衝撃的なのが、ドイツ政治の現状です。
「なにしろ国の頂点に立つのが、女。
それも、陰気くさいオーラを自信満々に放っている不恰好な女だ。
東独育ちのこの女は、つまりは36年もボルシェヴィキの亡霊と共にあったというのに・・」。
遂にTV出演のときがやって来ました。
低俗なお笑い番組で持ち時間5分、「トルコ人問題」などについての演説を冷静に・・。
しかし、100人の観客は微妙な反応です。
翌日は新聞に少しだけ記事になっていますが、
「昔も、最初は底辺の底辺、聴衆は20人足らずだった。その時のことを思えば・・」と、
振り返るヒトラー。
ドイツ再建のために切実に演説したい彼ですが、周りは全員ジョークだと思っているのです。
そんなとき突然、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」が鳴り響きます。
秘書のクレマイヤー嬢が設定してくれた携帯電話の着信音なのです。
「こちらヒトラー! こちら総統大本営!」。
電話の要件は昨日のTV出演が「YouTube」にアップされ、アクセス数70万回と爆発中とのこと。
プロダクションは、この人気に大急ぎでヒトラーの突撃取材コーナーなど製作し始めます。
カメラマンを携えて、街行くご婦人方にインタビュー取材するヒトラー。
そして彼女たちの反応は・・。
いや~、コレは予想以上に面白い。
この256ページの上巻を3時間ほどで一気読みしました。
おそらく1時間42分ほどはニヤケ顔だったでしょう。
実在した、或いはする登場人物についての余計な注釈がないのでサクサクいけますし、
さすがにこんな小説を書くだけあって、著者のヒトラーと第三帝国に関する知識は、
なかなかのものだと思いました。
少なくとも、「それはないだろ・・」というヒトラーの発言はありませんし、
プロダクションの若手社員であるザヴァツキくんとの食事の席でベジタリアンを語る際、
「ライオンは2,3㌔、時間にしたら20分そこらで、もうぐったり疲れ果ててしまう・・」
なんて話は、「ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944〈上〉」からの抜粋だったりします。
これくらいボリュームなら上下巻にする必要は無いんじゃないでしょうか。
帯には「映画化決定!!」とありますが、大丈夫かな?? こういう話はすぐ立ち消えになるし・・。
本当はこんなレビューを書いているヒマがあったら、サッサと下巻を読みたいところですが、
そこはグッと堪えて、楽しみを取っておきます。