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へんな商標? [ジョーク本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

友利 昴 著の「へんな商標?」を読破しました。

なにかの拍子に気になってしまった本書。
2010年に出た192ページの単行本で定価1500円です。
まえがきでは年間11万~12万件も出願されるという登録商標とはなんぞや??
と、簡単に解説し、さまざまな名商標、珍商標を集め、
その登録に至った事情や権利の強弱、商標制度の課題をわかりやすく考察しよう
という趣旨であることが述べられます。
今回、記念すべき500回目の記事ですが、300回400回とジョーク本ですし、
こういうタイミングの巡り合わせなんでしょう。
そんな話はさて置いて、早速、行ってみましょう。

へんな商標.jpg

一発目に登場する商標は、『1・2・3・ダァーッ』。
2002年に登録された、この有名な掛け声。。
権利者は「インタナショナル・エンタテイメント・エージェンシー」で、
アントニオ猪木の肖像権などを管理する資産管理会社です。
普通、商標と聞くと、商品名とか、ロゴマークを想像しますが、
いきなり「掛け声」で始まるところが、本書も只者ではないですね。

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「あの人の意外な商標」というのがこの第一章で、続いて『デヴィ夫人』とか、
イチロー』、『どこでもドア』と続きます。
1992年に『新・民主党』が登録されますが、権利者は中松義郎という方です。
東京に住んでいる方なら誰でも知っているであろう大発明家の「ドクター中松」ですね。
面白いのは出願日1989年というのが、管直人らが今の民主党を結成する7年も前・・。
当選したこともないのに、さすが考えることが凡人とは違います。

Dr.nakamatsu.jpg

2009年に東映が登録したのは、『仮面サイダー』です。
飲料メーカーとの協業によるサイダーの商品名だそうですが、全然、知りませんでした。
ショッカー戦闘員はなかなか良い図柄ですね。

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第二章は「その商標を取る意味は?」で、まずは『へっ』。
審査において拒絶査定とされたものの、コレに不服を申し立てた菊水酒造。
「『へっ』は人が驚いた時などに発する言葉の一つで、ちゃんと意味がある」。
そして3年後に登録されますが、特に『へっ』ていうお酒があるわけじゃなさそうです。

1935年には『ルナヨシナ』が登録・・。
時代が古くて右から読むんですね。

National.jpg

有名な権利者では任天堂の『Vii』があります。
大ヒット商品である『Wii』のインチキ商品対策によるものですが、
実際は『Vii』だけでなく、『Mii』とか『Yii』とか、17種類も登録済み。
『G-SHOCK』のカシオ計算機も、『A-SHOCK』から『Z-SHOCK』まで、
アルファベット26文字を登録しているそうです。

また、インチキ商品は商品名だけでなく、そのブランド(企業)名もパクるものです。
となれば『リニー』を登録したのは、「ソニー(SONY)」です。
もちろん『SOMY』や、『ZONY』も商標登録していますが、
ニセモノ大国中国では『SQNY』のラジオや乾電池が売られているのでした。

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任天堂の『ファミコン』は一筋縄とはいきません。
それは1979年にシャープがオーブンレンジ『ファミコン』を発売していたからです。
結局1985年に任天堂がシャープから商標を譲渡されたそうですが、買取額は不明なり。
本書ではこの『ファミコン』以外、商品が載っていないのが惜しいですね。

シャープ レンジ ファミコン.jpg

1945年の戦時中登録には、あの『ヒロポン』が・・。
2001年登録の『ゴリラの鼻くそ』は、上野動物園近辺で良く売っていますね。
最近は「ゴリラの鼻くそアイス」とか、「パンダの鼻くそ」なんてのも続々発売中だとか。。
ヴィトゲンシュタインは食べる勇気がありません。

ゴリラの鼻くそアイス_パンダの鼻くそ.jpg

第三章は「それどんな商品だよ!」。
ある意味、本書のメインとなる章でありますが、
最初の商品はコチラ。『草刈機まさお』。
筑水キャニコムが1997年に登録した、二枚目の草刈機です。

kusakariki masao.jpg

そういえば今年、マキタ草刈り機のCMが突然流れてきて、大笑いしました。
草刈正雄本人がタキシード姿で爽やかダンディに草を刈るCMです。



同じ筑水キャニコムが2005年に登録した『草刈機まさお』の後継機は、
1000/masao』。
・・・・ど~も、草刈は関係なく、「まさお」ブランドが確立しているようです。

1000masao.jpg

2004年にセパレーター協同組合が登録したのは、『梁ポッター』です。
ワーナー・ブラザースから異議申請が提起されたものの、無事、却下された逸品。。

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男前豆腐』も出てきました。
近所のスーパーに売っていて、何度か買ったことがあります。
確かに購買意欲をそそるネーミングですねぇ。

男の3連チャン 男前豆腐.jpg

第四章「勘違いされちゃうだろう!」で気になったのは、『切腹最中』ですね。
切腹っていうのは、映画やドラマみたいに腹切ってバッタリ死んでしまうわけではなく、
腸が飛び出して、介錯してもらわなければ痛さにのたうつ、実にグロい行為です。
そんな腹から臓物が飛び出したような商品が『切腹最中』です。
「切腹さいちゅう」ではなく、「切腹もなか」。
新橋の名物だそうですが、一度もお目に掛かったことがありません。おかしいなぁ。

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1952年に出願された「ほも」も良いですねぇ。
トンボ鉛筆が昭和27年に発売した最高級鉛筆「HOMO」の商標で、
その由来は英語の「Homogeneous(均質な)」から来ているそうです。
しかし徐々に「ホモ」と言えば「同性愛者」ということになり、衰退。。

Tombow_HOMO.jpg

本書ではその他の「ホモ商品として、「ホモ牛乳」に、「ホモソーセージ」を挙げていますが、
確かに子供の頃、飲んだり食ったりした記憶が・・。

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最後の第五章は「その商標に逸話あり」。
ミッキーマウスに良く似たシルエットの『Lucky Mouse』。
当然のようにディズニーからクレームが付いて、権利消滅します。
そして『ミッキーランド/MICKYLAND』にもディズニーは黙っていません。
登録無効を求める主張は、
「『ミッキー』はミッキーマウスの略称として広く知られている」、
「『ランド』も開園以来、ディズニーランドへの連想性が強い」という横暴なもので、
それでは「ミッキー吉野」や、「よみうりランド」の立場がないじゃないか・・と。
最終的に特許庁はディズニーの主張を退けるのでした。
にしても、ディズニーは世界中で何勝何敗なんでしょうね??

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HOUND DOG』はメンバー間のゴタゴタによって、商標出願争いを繰り広げています。
結果として特許庁は誰の申請も認めず、
「6人組のバンドとして知られているのだから、6人全員の承諾が必要」と、
「商標登録をしたければ、仲直りをしなさい」と諭された形に・・。

本書では「ff(フォルテシモ)」等のヒット曲で知られるロックバンドとして紹介されていますが、
パッと思い浮かぶのは、1982年の「浮気な、パレット・キャット」ですね。
ヴィトゲンシュタインはHOUND DOGを一度だけライブで観たことがあります。
たぶん、1981年の日比谷野音での「100円コンサート」だったと思いますが、
今でいうところの「ジャパン・ロック・フェス」みたいなもんです。
中学生だったから、100円でいろいろなバンドが観れて嬉しかったですね。
他にはシーナ&ザ・ロケッツとか、ARB、トリはアナーキーだったような・・。
昔、カラオケ歌いましたが、今聞くと、ちょっと恥ずかしい。。



本書の大トリを飾るのは、コチラ、『KUMA』です。
もう説明するのは野暮ってもんですね。
「クマ」なのに、どうしても「クーマ」と読んでしまうあなたは、負けています。
面白いのはコレ、OKなんですよ。

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いや~、笑った、笑った。。
嘘八百」や、「戦う広告」にも通じるところがあり、実に楽しめました。
特に『草刈機まさお』の次に、『1000/masao』が出てきたときには。。

今回、取り上げなかったものの、楽しめた商標を以下に記してみます。
チンチンシェイク』、『貼っといて!Cool』、『のどちん子』、『シャツを着たケーキ』、
ねまきを着たりんご』、『セフレ』、『お魚くわえたどら猫』、『メタボニート』・・。
どんな商品なのか?? 想像するのも楽しいですが、あくまで商標であって、
全て商品化されているわけではありません。
ですから、著者によるグダグダな推理が、本書の読みどころでもあるんです。

10月に第三章のタイトル「それどんな商品だよ!」として、文庫化されたようです。
ページ数も増えて、増強改訂版なのかもしれませんが、
とりあえず、続編の「へんな商標?2」を読んでみます。



と、いつもなら終わるところですが、そんな悠長なことは言ってられず、
勢い余って「へんな商標?2」も読んでしまいました。。

へんな商標2.jpg

一発目は『鉄子の部屋』。。
1992年に登録され、指定商品は清涼飲料ですが、なんなんでしょう??
著者は「鉄骨飲料」大ヒットしていた時期だ・・と推測しています。
この「徹子」ならぬ、「鉄子」って、今では鉄道女子の俗称でもあるんですねぇ。
愛称だと男性の場合は「鉄ちゃん」ですが、女性形もあるんでしょうか?



続いて『カレーなる一族』。
株式会社オリエンタルのカレールーのようですが、ちょっと調べてみたら、
あの田代まさしがやっていたカレー屋さんが「カレーなる一族」でした。
やばいネタだな。。

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同じカレーでは『18禁カレー』が登場。
これは去年、どこかのスーパーで見かけて驚いたことがあります。
本書でもどこらへんが18禁なのか??
もしかしたら具の形があんなことやこんなことになっているのかも・・と
心配しつつも、購入して食した結果、超激辛カレーであることが判明したそうです。
amazonでも売ってますよ。大人の方はチャレンジしてみてはどうでしょうか。



モッコリホラーズ』も危険な商標名です。
「モッコリ」がどのように「ホラー」なのかを著者は冷静に検討します。
夜道、会社帰りのOLの目の前に、ロングコートの中年男性が立ちはだかる。
おもむろにコートの前をはだけると、そこには・・
モッコリ・・・。
ギャ~~!
現実には踏んづけてもすぐに元の形に「モッコリ」と戻る、お化け人形なのでした。

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第三章では「昔のへんな商標」と題して、明治大正などの古い商標を紹介。
薬剤なのに単なる『エロ』とか、薬剤なのに『悪魔祓』、
馬鹿石鹸』に、『強力殺虫粉 絶滅』などなど。まさに「嘘八百」の世界です。

後半のお気に入りは『熟女ライス』です。
権利者はソフト・オン・デマンドと、どこかで聞いたことのある会社だと思ったら、
AVメーカーでした。うぇ~、知ってたのが恥ずかしい。。
いわゆる「レンジでチンするごはん」なわけですが、
どのあたりが「熟女」なのかというと、前年収穫の「古米」なんだそうです。
しかしパッケージには「アダルト米」、そして「今が食べ頃・・」がソソラレます。 
でもやっぱり「新米」のほうが良いなぁ。つやつやしてて。。お米の話ですよ。

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吉本興業が販売差し止めを喰らった『面白い恋人』と、なぜかOKな『黒い恋人』など
まぁ、他にも紹介したいのがあるんですが、
あんまり書き過ぎると著者の方に怒られそうなので、この辺で・・。
それでも最後にひとつだけ・・、
先の『まさおブランド』で有名な??筑水キャニコムが1997年に登録した乗り物、
その名も『駆動静香』。

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ちゃんちゃん。







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