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ナチス映画電撃読本 [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

別冊映画秘宝編集部著の「ナチス映画電撃読本」を読破しました。

9月の「ナチスがUFOを造っていた」で、ちょうど公開される「アイアン・スカイ」の話から、
本書が気になったわけですが、たまたま本屋さんに売ってましたので購入しました。
ムックという雑誌と一般書籍が混じった形式の一冊ですが、
222ページで「アイアン・スカイ」以外にも、古いナチス映画も満載。
写真もタップリでこういうのも楽しそうですね。

ナチス映画電撃読本.jpg

16ページの巻頭カラーは、表紙の通りの「アイアン・スカイ」特集です。
以降、白黒になる57ページまではこの映画の関係者インタビューなど、
面白おかしく書かれています。「別冊映画秘宝」って初めて読みましたが、
もっと重々しい感じなのかと思ってましたから、弾けたような書きっぷりにビックリ・・。
攻撃型円盤が「ワルキューレ」、宇宙空母が「グラーフ・ツェッペリン」、
超ド級円盤が「神々の黄昏」と、ネーミングも良いんですねぇ。
対する地球連合軍も「英国宇宙戦艦 スピットファイア」に、「日本宇宙戦艦 漢字1号」。。

iron_sky.jpg

第2章は「ナチスドイツとは何だったのか?」
戦後、軍事マニアに歴史、オカルト・マニアを誘蛾灯に吸い寄せ、
掘っても掘っても尽きることのないディテールの深さ、究極の悪イメージがもたらす背徳感・・。
といったナチス人気の秘密に言及し、簡単な「早わかりナチス入門」もついています。
また「ナチスにまつわる都市伝説」も紹介し、ブラジルで双子が沢山生まれる「メンゲレ村」や、
実物のナチス軍服を購入すると怪奇現象に襲われる話・・、
それから「ヒトラー生存説」などにも触れますが、まぁ、そんなに真剣なものではありません。

nazi hitler.jpg

「ナチスになりたい人々」では、世界的なナチス・コスプレ事件も・・。
以前に紹介した「氣○團」の中途半端なコスプレに、
ヘンリー王子が友人の誕生会でナチ・コスプレに挑戦した新聞写真も掲載。
罰として「シンドラーのリスト」を観ること・・と父に命ぜられたそうですが、
このナチの腕章も良く見るとハーケンクロイツの角度がいい加減な代物ですね。

Prince-Harry-As-A-Nazi.jpg

このようなナチスの基礎知識を踏まえて第3章「ナチスドイツと娯楽映画」へ進みます。
「戦争映画の悪役として、ナチスはずっと起用され続けてきた。
それは戦勝国アメリカの作った「お約束事」だ。エロ映画では美女たちを八つ裂きにし、
怪奇映画では古代の魔人を呼び出す狂気の集団として重宝されてきた」。
というわけで、まずはナチス系エロ映画の歴史です。
1974年の米映画「ナチ女収容所/悪魔の生体実験」を永遠の傑作とし、
主演の熟女女優ダイアン・ソーン扮する好色冷血な女看守長イルザの囚人のチン切り刑など、
悪行の数々を紹介します。このモデルとなったのはやっぱり、イルゼ・コッホでした。。

ilsa-she-wolf-of-the-ss.jpg

この「イルザ物」はシリーズ化され、なかには「イルザ対ブルース・リー」という怪作も。。
ヨーロッパでもスイス=ドイツ合作の「ナチ女親衛隊/全裸大作戦」に始まり、
恐怖の「マカロニ・ナチ映画」が大量に発生していきます。
1980年代にかけて日本でも封切られたこれらの作品も丁寧に解説。
「ナチ卍第三帝国/残酷女収容所」、スマッシュヒットを飛ばした「ゲシュタポナチ収容所」、
「ゲシュタポ卍第5収容所/女体セックス実験」、
あの「サロン・キティ」を激安再現した「ナチ(秘)女体飼育館・ゲシュタポ慰安部隊」などなど・・。

Casa Privata per le SS.jpg

そして実在した美貌のSS看守、イルマ・グレーゼが登場し、
彼女がモデルとなっているケースにも言及。
ただ、SSの制服を着た彼女と犬だとされる写真もちょっと怪しいですし、
他の当時の写真のキャプションもちょっとテキトーですかねぇ。
どちらもこのBlogで使った写真なんですが・・。

鬼のような女看守というのは、イルザとか、オルガとか、ヘルザとか3文字の名前で、
オッパイの裾野がナチの制服からハミ出ていないといけない・・と述べられているとおり、
オッパイはともかく、イルゼ・コッホにイルマ・グレーゼもルール通り・・。
エーファやシュテフィーなんて可愛らしい名前ではいけません。。

Irma grese_Ilse Koch.jpg

以前から観たかったヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」も詳しく書かれ、
ヴィトゲンシュタインはロードショーで観た2006年の「ブラックブック」や
ヒトラー 最期の12日間」と続いていきます。

The Damned AKA La caduta degli dei (1969)  Luchino Visconti.jpg

「ナチス兵隊残酷物語」と題して、1993年のドイツ映画「スターリングラード」や
ジェームズ・コバーンの「戦争のはらわた」といった名作戦争映画を紹介します。
その他「レマゲン鉄橋」と、「パリは燃えているか」。
後者はDVDが出ないので、いまだに観ていません。。くやし~。

パリは燃えているか.jpg

ホラー映画にもナチスは登場します。
ゴシック・ホラー「ザ・キープ」はホラー映画マニアだった少年時代に観に行きましたが、
いまいち、良くわからない映画でした。
そして史上最悪の残虐ナチス映画として紹介されるのは「炎628」です。
タイトルだけは聞いたことがありましたが、ドイツに占領されていた白ロシアで
628もの村が住民ごと焼き払われたという凄惨な記憶を描いた1985年のソ連映画です。
いや~、コレは観てみたいですね~。でもDVDはプレミア価格・・。

Come_and_See 1985.jpg

パラレルワールド映画としては、あの「ファーザーランド」が・・。
これもDVDが出ていないので未見ですが、本書では
「幻の世界首都ゲルマニアのビジュアルだけでも、この映画を観る価値がある」。
そして「オデッサ・ファイル」に「マラソンマン」、
最近、TVで放映されたので録画した「ブラジルから来た少年」、
「ゴールデンボーイ」はスティーヴン・キングの原作だけは読みましたが、映画は・・??

fatherland-photo.jpg

レニ・リーフェンシュタールのナチ党大会の記録映画「意志の勝利」が
2009年に日本で上映され、ロングランを記録した件などは興味深かったですね。
ヒトラーの演説の凄さを興奮した様子で語るご婦人・・。
ヴィトゲンシュタインもDVDで観ましたが、まさに同感です。

Triumph_des_Willens_poster.jpg

第4章は映画から離れて「ナチスの遺産とサブカルチャー」です。
ナチスとロック、反抗のシンボルとしてのナチスと書かれているように、
ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズがSSの制服に身を包んだ写真に、
セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスもハーケンクロイツのTシャツ姿。
10代の頃、ピストルズ・マニアだったヴィトゲンシュタインはジョニー・ロットンが着ていた
「DESTROY」Tシャツのレプリカを愛用していましたが、本書ではそのピストルズの曲、
「さらばベルリンの陽」と「ベルゼンの毒ガス室」の歌詞にも触れています。

Sex Pistols – Original 1976 Destroy T Shirt.jpg

「10冊のナチスSF」本では、やっぱりフィリップ・K・ディックの「高い城の男」が
気になりましたね。SS-GB、ファーザーランドの次は、やっぱりコレですか。

「海外TVドラマのナチス」ではスタートレックで主役たちが、
ワケあってナチの制服を着込まざるを得ない展開があったそうです。

startrek_Nazi Episode.jpg

もちろん日本でもナチスはTVで子供たちの前に姿を現します。
プロレスでは「アイアン・スカイ」ならぬ、「アイアン・クロー(鉄の爪)」を必殺技に持つ、
フリッツ・フォン・エリックが我が兄弟の中でも人気を博していましたし、
この「悪役のドイツ人でございます」という名前もいま調べてみたら
実はリングネームであって、この人、実際はテキサス出身でした・・。
今の今までず~と、騙されていたのね。。
油断して兄貴に「ストマック・クロー」を喰らわないように腹筋鍛えたりしたのに。。

Fritz Von Erich_Iron Claw.jpg

ショッカーは当初の設定では「ナチスの残党」であり、ゾル大佐もバリバリの制服姿。
そして変身すればその姿は人狼部隊を彷彿とさせる「狼男」。。
この写真を見ると、2級鉄十字章受章した国防軍通信将校といった感じです。

Oberst_Zol.jpg

「宇宙戦艦ヤマト」ならデスラー総統など、いくらでもナチス・ネタがありますが、
極めつけは仮面ライダーXの「ヒトデヒットラー」だそうです。
コレは第三帝国の偉大な総統に、でっかい腔腸動物を張り付けたデザインで、
そもそも「ヒトデとヒトラーが合体して何のメリットがあるのか・・」。
う~む。。コレは知らなかったので写真を探してみましたが、エゲツなさ過ぎるぜ。。

Seesterne_Hitler.jpg

漫画では手塚治虫の「アドルフに告ぐ」や、水木しげるの「劇画ヒットラー」を筆頭に、
いろいろと紹介。
最後は再びカラー写真となって、「プラモ箱絵に見るナチス超兵器集」です。
海外のプラモを中心に、「飛行船ツェッペリン号」に始まり、
ギガント」、「シュトゥーカ」、「He-177 グライフ」、「V-1」、「V-2」
Me-262」、「Me-163」、「He-162」といったジェット機、ロケット機に、計画機も。
Uボート」に「巨大列車砲ドーラ」まで・・。いつの日か、ドーラを作るのは夢ですね。。

German_Dora.jpg

ということで、本書は当初、想像していたナチス映画に限定したモノではなく、
日本におけるナチス文化にもかなりのページを割いた1冊ですが、
個人的にはソレが逆に楽しめました。
ホロコーストとネオナチ思想にはあえて一切触れずに、幅広く戦後のナチス文化を取り上げ、
そこから映画のなかのナチスを楽しもうという姿勢が徹底しています。
ナチス入門書としても面白いですし、戦争映画好きも楽しめる、
バランスの良い1冊でかなり満足しました。
ただ、「アイアン・スカイ」を観に行くか・・は、まだ悩んでますが。。































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