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世界の戦車 1915~1945 [パンツァー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

P.チェンバレン/C.エリス共著の「世界の戦車 1915~1945 」を読破しました。

1996年発刊で375ページ、定価3990の本書を古書で1600円で購入したのがちょうど4年前・・。
買ってはみたものの、これは敷居が高そうだな・・と、そのまま本棚に眠り続けていましたが、
ここまでヴィトゲンシュタインの培ってきた戦車に対する知識を確認する意味でも
今回、挑戦してみました。著者は「ジャーマンタンクス」と同じ方ですね。
アレはなかなか勉強になりました。

世界の戦車.jpg

まず、最初の20ページほどは「小林源文イラストエッセイ」と題して、
第一次大戦における戦車の登場から、フラーやグデーリアン
ドイツが農業用トラクターの名目で開発した戦車の操縦訓練に対戦車障害物、
戦車の装甲などが解説されます。これはなかなかタメになりますねぇ。
小林源文氏のまんが、ちょっと物色中です・・。
本文の紹介順はアルファベットの生産国順で、最初はオーストラリア、カナダと続き、
かつ試作戦車を含む、開発の古い順です。
この順番は系統だてて理解ができるので良いですね。

NSKK.jpg

「チェコスロヴァキア」では、ドイツ軍が大いに使用した35(t)戦車と38(t)戦車
登場してきましたが、38(t)戦車ってシュコダ(スコダ)社製じゃないんですね・・。
てっきり、35(t)戦車の直系の後継車だと思っていました。

PzKpfw 35(t) of the 6th Panzer Division in France-1940.jpg

各国の戦車の紹介の前には、その国での開発の歴史が数ページ書かれていますが、
「フランス」くらいになると、それは6ページにもなってきます。
第一次大戦中に実戦に投入されたシュナイダー突撃戦車とサン・シャモン突撃戦車。
そしてこのような大型の突撃戦車とは別の2人乗り歩兵支援用戦車、ルノーFT17軽戦車
これが世界初の360度旋回式砲塔を搭載した戦車だったんですね。。
う~ん。自分の知識の無さに驚きつつ、勉強になりました。

French FT-17.jpg

「ドイツ」では、第一次大戦末期に開発された18人乗りの「A7V」から始まり、
Ⅰ号戦車からⅣ号戦車まで、それぞれF型やらナニ型まで、写真つきで細かく紹介。
Ⅴ号パンターⅥ号ティーガーマウスまで続きますが、
本書は「世界の戦車」というように、突撃砲や駆逐戦車は対象外となっています。

A7V_1918.jpg

最後にはドイツ軍戦車として活躍した、各国の鹵獲戦車が写真で登場。
オチキスやアフリカ戦線と思しきマチルダ、雪をかぶったM4戦車も珍しい・・。

Hotchkiss, Fra_Bel 1944.jpg

面白いのは、「監修者注」というのが結構多く、場合によっては
著者による本文が4行なのに対して、それを否定しながら10行くらいガッチリ書いてたり、
本文の記述を「意味不明」と片付けていたり・・。
最初は「訳者注」かと思ってましたが、どうも原著における「監修者注」のようで、
原著の内容そのまんまで、翻訳をしているんでしょうか?
これはちょっと読みにくいというか、いったん読んだことをすぐ否定されたりすると
理解するのもシンドイですし、著者と監修者は仲悪いのか・・?
などと余計なことまで考えてしまいました。

Pz38t, Fra 1940.jpg

「イギリス」は戦車の種類が多いんですね。
第一次大戦の有名な菱形戦車に始まり、英国初の全周旋回可能な砲塔を持ったビッカース
クルセイダーにクロムウェル、ヴァレンタインチャーチルと、その地雷処理車も出てきます。
ページ数もブッチギリの第1位。
ちなみにドイツの40ページに対して、74ページとなっています。
そのくせアフリカ軍団を苦しめたエース格のグラント
ヴィットマンを屠ったとされるファイアフライは、もともとアメリカ製・・。

churchill captured during Dieppe raid.jpg

軽戦車王国「イタリア」ではムッソリーニの要望によって開発された「重戦車」、
カルロ・アルマートP26/40というのが興味深いですね。
重戦車といっても75㎜砲は備えているものの、重量は26トンで、
しかも生産が開始されたのは1943年からであり、9月の休戦までには21両が完成しただけ・・。
さらに工場のある北イタリアはドイツ占領下となり、200両分の資材はそのままドイツの手に落ちて、
100両単位のこの戦車がドイツ軍によって使用されたといわれているそうです。
なんとも不思議な運命を持った戦車ですね。

Carro Armato P26 40.jpg

「日本」の戦車はまったくと言っていいほど知らなかったんですが、
「チハ」とか、「九五式」なんかの意味もはじめて知りました。
軽戦車の「ケ」、中戦車の「チ」と、まるでモジモジくんのような付け方で、
次のコードがイロハ順・・。「チハ」だと、中戦車3型ということです。

「九五式」は、「皇紀」という初代天皇、神武天皇が即位したとされる年を元年とする暦で、
「西暦」よりも660年古いため、1935年の戦車は、660年を足した2595年となり、
その下2桁を使用したものだそうです。
1940年代(2600年代)になると、下一桁で「四式」などになるようですが
むぅ~。日本人なのに、余計にわかりにくい・・。暗号のようですね。
砲塔の「せ」とかも、意味不明・・。

type97_chi-ha.jpg

「ポーランド」、「スウェーデン」と小国も紹介され、続いて「アメリカ」、「ソ連」と大国が。
しかし「フランス」のルノー FT-17 軽戦車は本書の後半まで各国が輸入しており、
また出てきた・・という感じがしましたが、
それだけ、この旋回砲塔を搭載した最初の戦車というのは革新的だったのでしょうか。
それとビッカース6㌧戦車も同様ですね。

KV-2a.jpg

ヴィトゲンシュタインとしては、本書も勉強になりました。
ドイツ戦車は「ジャーマンタンクス」などを読んでいたのでアレですが、
特にフランス、イギリス、アメリカの戦車開発とその歴史、またはネーミングなど、
今まであまり知らなかったこともある程度、理解できました。
各国の装甲部隊についても書かれた名著「ドイツ装甲師団」も再読したくなりましたが、
やっぱり4年前に読んでいたら、途中で寝てたでしょうね。
今のタイミングで正解でしたが、知識のなさを暴露したお恥ずかしいレビューになりました。。



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