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ヒトラー・ジョーク -ジョークでつづる第三帝国史- [ジョーク本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

関 楠生 編訳の「ヒトラー・ジョーク」を読破しました。

ヒトラー・ジョークと言えば、「ベルリン・オリンピック1936」でもヒトラーが
「右腕を長時間挙げる・・という技で、自分は金メダルを貰う資格がある」
などと言っていた話を紹介しましたが、1980年発刊の本書も、
そんなヒトラーの語ったジョーク集・・だと今まで思っていました。
しかし何気に調べてみると、実は「ヒトラーをネタにしたジョーク集」であって
そういうことなら・・と、この212ページの本書を読んでみました。

ちなみに今回が記念すべき?「300」記事めになりました。我ながら良く読んでるなぁ・・と
思いますが、この成果をジョークで振り返るというのも、なかなかどうしてオツなものかな?
1年前の「200」記事めでは「顔出し」もしましたが、今回は・・。

ヒトラー・ジョーク.jpg

個人的にはヒトラーや側近、第三帝国をネタにした当時のドイツ国民のジョークは好きで、
それは、ソコから彼らの本音が読み取れるからでもあります。
この「独破戦線」でも過去にいくつか紹介していて、
ベルリン攻防戦で、路上に築かれたバリケードを突破するのにソ連軍は30分の時間を費やす、
というジョークで「みんなで大笑いするのに25分、戦車で吹き飛ばすのに5分・・」など。。。

Members of the Volksturm  building a barricade.jpg

本書ではプロローグとして、ヒトラー政権誕生前のジョーク、
主に"もうろく"したヒンデンブルク大統領がネタとなったジョークから紹介し、
時系列で、時代背景の簡単な説明をは挟みながら進んでいきます。
それでは、ヴィトゲンシュタインの気に入ったジョークをいくつか紹介してみましょう。

von Hindenburg hitler.jpg

1933年の政権掌握後、精神病院を訪れたヒトラー。
入院患者が全員「ハイル・ヒトラー」で迎えるものの、一人だけ加わりません。
ヒトラーは彼に近づき、「なぜ私に挨拶しないんだね?」
「私は気ちがいではありません。看護人なのです」

spectreman.jpg

労働者たちが、党幹部がいつも前にいるのに自分たちは後ろに立っていなければ
ならないと、ヒトラーに苦情を持ち込みます。
「まぁ、待ちたまえ。私が戦争を始めれば事態は逆になるだろう」

国会議事堂放火事件のジョークも2つありました。
ひとりのSS隊員が仲間に囁きます。
「おい、聞いたか?国会が火事だってさ」
「なんだって?火事は明日のハズだ」

Needless to say he had to leave Germany not long after this appeared in the communist magazine AIZ.jpg

駅前で盛大な歓迎を受けるヒトラー。
花を持ってつまずいた女の子をヒトラーが抱きかかえ、ひと言。。
みんなはヒトラーが何を言っていたのか、女の子に尋ねます。
「総統は、『ホフマン、急いで写真を!』と言っていたわ」

Hitler_with_a_small_visitor_of_Obersalzberg.jpg

ワリと有名な「理想的ドイツ人とは?」のジョークもちゃんとありました。
ヒトラーのようにブロンドで、
ゲッベルスのように大きく、
ゲーリングのようにスマートで、
レームのように純潔。

aryan-family-neues-volk.jpg

シュトライヒャーの発行する反ユダヤ新聞「シュテュルマー」もジョークのネタになっています。
その新聞を読んで満足げなユダヤ人に友人が尋ねます。
「どうしてこんな扇動新聞を読んで喜んでいるんだ?」
「だって、どこを読んでも我々ユダヤ人が世界を支配していると書いてあるじゃないか」

Der Stürmer1.jpg

ユダヤ人問題ではこんなのも・・・。
パリでは経験に富む妻が求められる。
ロンドンでは知的な妻が求められる。
ニューヨークでは金持ちの妻が求められる。
ベルリンではアーリア人の祖母が求められる。

オーストリア併合(アンシュルス)関連では・・
ドイツ人が言った。「ヒトラーはドイツ民族への神からの贈り物だよ」
オーストリア人は答えます。
「ヒトラー?あれは普墺戦争の復讐のために、君たちにけしかけた男さ」

Hitler in Wien.jpg

ピカソの「ゲルニカ」・・。
ドイツ空軍の将校がパリのピカソのアトリエを訪れ、ゲルニカの絵を見て尋ねます。
「これはあなたのお仕事ですか?」
「いいえ、あなた方のお仕事です」

イタリア軍とムッソリーニは、さすがに結構ありますね。ひとつだけ・・。
イタリアがギリシャに最後通牒を突きつけた。
「降伏しなければ、ドイツ軍を呼びますぞ」

Cheering crowds in Florence during Hitler's state visit to Italy in May 1938.jpg

結構ある・・といえば、副総裁ルドルフ・ヘスも以前に
チャーチル・・『つまりあんたが例の気違いかね?』
ヘス・・『いいえ、気違いの公式代理です』
を紹介していますが、本書ではコレも含め、いくつか出てきます。

ナチ党本部へ、ヘスの代わりに・・と総統代理を志願してきた男。。。
「君は狂っているのか?」と面接した全国指導者が怒鳴りつけます。
「どうしてです?それが条件ですか?」

Ribbentrop, Mussolini (almost hidden), Hitler, Hess, Lammers.jpg

全ページの下部は補足エリアとなっていて、ちょっとした知識を有するジョークの説明
(第三帝国内外の人物や、ドイツ語の言葉遊びなど)や、ナチの下部組織を含めた編成表、
また、なかなか面白い写真や皮肉の効いたポスターなどが白黒で小さいながらも
非常に興味深いものが多くありました。

nsdap_organisation_vergr.jpg

シュタウフェンベルク大佐の写真が、知らないおじいちゃんというのはちょっと笑えましたが、
これもひょっとしたらジョークなのかも・・。
しかし国防軍最高司令官旗や、海軍、空軍の最高司令官旗なんかが
イラストで紹介されており、コレはなかなか勉強になりましたね。

Flagge des Oberbefehlsharber des Heeres_Flagge des Oberbefehlshaber der Kriegsmarine, sofern er nicht Grossadmiral ist_Flagge des Reichsminister der Luftfahrt und Oberbefehlshaber der Luftwaffe.jpg

東部戦線がスターリングラードで敗北を喫すると、ジョークも変化してきます。
「書籍市場からの新刊案内」では・・
アルフレート・ローゼンベルク
「切れ長の目をした北方人種」-なぜ我々は日本軍の勝利を喜ぶのか-
ヘルマン・ゲーリング著
「馬子にも衣装」-制服と勲章に関する論文。著者による自画像多数所載-
アドルフ・ヒトラー著
「わが電撃戦の最初の3年」-以下続刊-

Hermann Göring.jpg

国民突撃隊は以前にこんなのを紹介しています。
ある老人が招集され、第1次大戦に参加した時の所属兵科を聞かれて、こう答えます。
「いや、第1次大戦には参加しませんでした。年を取りすぎていましたんで・・」

そして本書ではこんなのが・・。
スコップを持った男が墓地を歩いていると、老人が後ろから叫んだ。
「国民突撃隊の補充兵を掘り出すつもりかい?」

Volkssturm_1.jpg

このように戦局も悪化し、終戦後も見据えたジョーク・・。
「戦争が終わったら、ドイツ全国を自転車で旅行して周るよ」
「それはいいな。で、午後には何をするつもりだね?」

そして遂に第三帝国の終焉・・・。
「時のたつのはなんと早いことか!
もう千年が過ぎてしまった」

Nazi Party eagle symbol.jpg

212ページのボリュームですから、一気読みしてしまいましたが、
個人的な"ツボ"に入ったのは2つかな?シラフでも大笑いしてしまいました。
自分は長いのはあまり好きじゃなく、「一発芸」のような簡単な2~3行のジョークが好きなんですね。
ストーリー仕立ての1ページ程度の長いジョークもいくつか出てきますが、
どういうのが好きか・・は人それぞれですから、今回紹介しなかったジョークで
大笑いできるかも知れません。
すでに絶版なのが残念ですけど、文庫で再刊しても良いんじゃないでしょうか。



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