第二次世界大戦〈2〉 W.チャーチル [英国]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
W.S.チャーチル著の「第二次世界大戦〈2〉」を読破しました。
第2巻 -単独で- は、1940年5月のドイツ軍による西方作戦に対するベルギー軍、オランダ軍、
そしてフランス軍と英国の大陸派遣軍の、果敢な抵抗を詳しく振り返るところからです。
フォン・ボックとフォン・ルントシュテットの指揮するドイツ装甲部隊による近代戦に対して
フランス軍も戦車を差し向けるものの、その運用は分散し、戦車発祥の地である英国も
やっと最初の装甲師団の編成と訓練が、本国で完了したばかりです。
空においてもドイツ空軍が優勢です。ハリケーン戦闘機の10個中隊をはじめとして
474機あったものが、瞬く間に206機になってしまうと、
英国本土を無防備にして、どれほどの戦力をフランスに送ることができるのか・・が
重要な問題となってきます。
本土防衛戦闘機隊総指揮官のダウディング空軍元帥は、戦闘機中隊25個が
ドイツ空軍の総攻撃から本土防衛出来る限界とチャーチルに語ります。
フランス首相レイノーは早々と「我々は敗れました」とチャーチルに電話をかけ、
ペタン元帥を副首相に、ガムラン将軍に代えてウェイガンを起用するなど
内閣と最高司令部の大改造を行います。
しかし、そんなことでドイツ軍の怒涛の前進は止められるものではなく、
英国はダンケルクからの大陸派遣軍の撤退、「ダイナモ作戦」を発動。
英国本土沿岸に住む住民もが蒸気船や帆船でダンケルクへと向かい、
海軍省地図室長のビム大佐ら数名の顔が見えなくなったのにチャーチルが気付くと、
彼らはオランダの快速艇を手に入れ、4日間で800名の兵士を運んでいた・・という
海の男たちによる、まさに人海戦術です。
イタリア外相チアーノが「5000年に一度しかやってこない機会」と語ったという、イタリアの参戦・・。
獲物であるフランスの背後を突く、ムッソリーニのイタリア軍ですが、
フランス軍のアルプス部隊の陣地は意外に難攻不落で、あっさり阻止。。。。
この西方戦役で特に印象的だったのが、フランスに戦争継続を要求する英国が、
逆にフランス側から英空軍の増援を再三要求され、チャーチルが苦しむ場面でしょう。
それはこの問題を総括し、もしヒトラーに超自然的な知恵があったならば・・として
「ダンケルクの後、数週間セーヌ戦線にとどまり、その間に英本土進攻の準備を始めたならば、
それは恐るべき選択となり、苦悶するフランスを見殺しにすべきか、それとも我々が
将来生き延びるための必要な最後の手段まで使い果たすか、拷問にかけることにもなったはずだ」。
う~ん。以前に読んだ「ヒトラー対チャーチル -80日間の激闘-」を思い出しますね。
結局、本土防衛に必要な戦闘機隊を確保できた英国は、来るべきバトル・オブ・ブリテンで
Me-109を相手にスピットファイアとハリケーンが果敢な航空戦を繰り広げ、
チャーチルの下院での有名な演説が行われることになります。
「人類の闘争の場において、このように多数の人間が、このように大きな恩恵を、
このような少数の人間によって受けたことは、未だかつてなかったのであります」。
この当時のロンドン空襲を振り返る部分は、なかなか興味深いものです。
「戦争の最後の3年間にドイツ人が受けた試練と比較することは難しい」としつつも、
ドイツへの空爆では爆弾の威力が遥かに大きくなったが、彼らはドイツらしい鉄の規律によって
対爆避難所や地下の巨大な回廊で寝ており、多くの場合、ただ地上の瓦礫の山を
吹き飛ばしていたに過ぎないと語っています。
後半に出てくるであろう、ハンブルクやドレスデンへの無差別爆撃では、なにを語るのか
気になるところです。
「戦争中、真に私に不安を与えたものといえば、それはUボートだった」と語るチャーチル。
Uボート艦隊司令官デーニッツによって生み出された「狼群戦術」を解説し、
「恐るべきプリーン」と「優秀な将校に指揮されたU-99、U-100」が沈められ、
この3名の卓越した指揮官が除かれたことがUボート戦の転機となったとしています。
さらには「Uボート艦長で冷酷な能力と大胆さにおいて、彼らに匹敵するものはほとんどいなかった」と
名前こそ書いていませんが、クレッチマーとシェプケも最高の評価ですね。
この時期、イタリア軍がエジプトへ、さらにはギリシャまで侵攻をはじめます。
ギリシャではあっさり駆逐され、アルバニアまで押し返されたイタリア軍ですが、
ドイツ軍が助っ人に参戦。ユーゴスラヴィアと最近、気になっている若き国王ペータル2世も
登場しながら、地中海の話は進み、ダンケルクに続いて英軍は海路撤退を余儀なくされます。
一方、北アフリカでも、エジプトの英軍の大逆襲により、大損害を被って西へと逃げ惑う
イタリア軍を救うため、「一人の新しい人物が世界の舞台に踊り出た」。
ご存知"砂漠のキツネ"ロンメルの登場ですが、本書ではだいたいこんな感じで紹介されています。
「彼こそ素晴らしい戦争の賭博師であり、機動部隊の操縦において、急速に再編成を行い、
勝ちに乗じてさらに進む点では、全く達人であることを立証した」。
また、チャーチルが公式にロンメルを賞賛した・・といわれる件もちゃんと書かれていて、
1942年1月の下院で次のように述べたそうです。
「我々には非常に大胆な、そして巧妙な敵手がおります。
戦争の大破壊を越えて、偉大な将軍と申してよいかと思います」。
そして英国の恐れるドイツ降下猟兵による、クレタ島奪取・・。
この激戦で最終的にクレタ島はドイツの手に落ちたものの、ゲーリングは愚かにも、
このようなかけがえのない兵力を英国戦士たちとの死闘によって捨て去ったのだ・・
としています。
ここまで前半部分の2冊を読んだ印象としては、ドイツ側が良く書かれているなぁというものです。
予想はもっと英国内の政治問題とか、閣僚との軋轢とかが多いのかと思っていましたが、
それらの方が完全な脇役です。
後半は、米ソとの関係が中心になりそうですが、どうなるでしょうか?
W.S.チャーチル著の「第二次世界大戦〈2〉」を読破しました。
第2巻 -単独で- は、1940年5月のドイツ軍による西方作戦に対するベルギー軍、オランダ軍、
そしてフランス軍と英国の大陸派遣軍の、果敢な抵抗を詳しく振り返るところからです。
フォン・ボックとフォン・ルントシュテットの指揮するドイツ装甲部隊による近代戦に対して
フランス軍も戦車を差し向けるものの、その運用は分散し、戦車発祥の地である英国も
やっと最初の装甲師団の編成と訓練が、本国で完了したばかりです。
空においてもドイツ空軍が優勢です。ハリケーン戦闘機の10個中隊をはじめとして
474機あったものが、瞬く間に206機になってしまうと、
英国本土を無防備にして、どれほどの戦力をフランスに送ることができるのか・・が
重要な問題となってきます。
本土防衛戦闘機隊総指揮官のダウディング空軍元帥は、戦闘機中隊25個が
ドイツ空軍の総攻撃から本土防衛出来る限界とチャーチルに語ります。
フランス首相レイノーは早々と「我々は敗れました」とチャーチルに電話をかけ、
ペタン元帥を副首相に、ガムラン将軍に代えてウェイガンを起用するなど
内閣と最高司令部の大改造を行います。
しかし、そんなことでドイツ軍の怒涛の前進は止められるものではなく、
英国はダンケルクからの大陸派遣軍の撤退、「ダイナモ作戦」を発動。
英国本土沿岸に住む住民もが蒸気船や帆船でダンケルクへと向かい、
海軍省地図室長のビム大佐ら数名の顔が見えなくなったのにチャーチルが気付くと、
彼らはオランダの快速艇を手に入れ、4日間で800名の兵士を運んでいた・・という
海の男たちによる、まさに人海戦術です。
イタリア外相チアーノが「5000年に一度しかやってこない機会」と語ったという、イタリアの参戦・・。
獲物であるフランスの背後を突く、ムッソリーニのイタリア軍ですが、
フランス軍のアルプス部隊の陣地は意外に難攻不落で、あっさり阻止。。。。
この西方戦役で特に印象的だったのが、フランスに戦争継続を要求する英国が、
逆にフランス側から英空軍の増援を再三要求され、チャーチルが苦しむ場面でしょう。
それはこの問題を総括し、もしヒトラーに超自然的な知恵があったならば・・として
「ダンケルクの後、数週間セーヌ戦線にとどまり、その間に英本土進攻の準備を始めたならば、
それは恐るべき選択となり、苦悶するフランスを見殺しにすべきか、それとも我々が
将来生き延びるための必要な最後の手段まで使い果たすか、拷問にかけることにもなったはずだ」。
う~ん。以前に読んだ「ヒトラー対チャーチル -80日間の激闘-」を思い出しますね。
結局、本土防衛に必要な戦闘機隊を確保できた英国は、来るべきバトル・オブ・ブリテンで
Me-109を相手にスピットファイアとハリケーンが果敢な航空戦を繰り広げ、
チャーチルの下院での有名な演説が行われることになります。
「人類の闘争の場において、このように多数の人間が、このように大きな恩恵を、
このような少数の人間によって受けたことは、未だかつてなかったのであります」。
この当時のロンドン空襲を振り返る部分は、なかなか興味深いものです。
「戦争の最後の3年間にドイツ人が受けた試練と比較することは難しい」としつつも、
ドイツへの空爆では爆弾の威力が遥かに大きくなったが、彼らはドイツらしい鉄の規律によって
対爆避難所や地下の巨大な回廊で寝ており、多くの場合、ただ地上の瓦礫の山を
吹き飛ばしていたに過ぎないと語っています。
後半に出てくるであろう、ハンブルクやドレスデンへの無差別爆撃では、なにを語るのか
気になるところです。
「戦争中、真に私に不安を与えたものといえば、それはUボートだった」と語るチャーチル。
Uボート艦隊司令官デーニッツによって生み出された「狼群戦術」を解説し、
「恐るべきプリーン」と「優秀な将校に指揮されたU-99、U-100」が沈められ、
この3名の卓越した指揮官が除かれたことがUボート戦の転機となったとしています。
さらには「Uボート艦長で冷酷な能力と大胆さにおいて、彼らに匹敵するものはほとんどいなかった」と
名前こそ書いていませんが、クレッチマーとシェプケも最高の評価ですね。
この時期、イタリア軍がエジプトへ、さらにはギリシャまで侵攻をはじめます。
ギリシャではあっさり駆逐され、アルバニアまで押し返されたイタリア軍ですが、
ドイツ軍が助っ人に参戦。ユーゴスラヴィアと最近、気になっている若き国王ペータル2世も
登場しながら、地中海の話は進み、ダンケルクに続いて英軍は海路撤退を余儀なくされます。
一方、北アフリカでも、エジプトの英軍の大逆襲により、大損害を被って西へと逃げ惑う
イタリア軍を救うため、「一人の新しい人物が世界の舞台に踊り出た」。
ご存知"砂漠のキツネ"ロンメルの登場ですが、本書ではだいたいこんな感じで紹介されています。
「彼こそ素晴らしい戦争の賭博師であり、機動部隊の操縦において、急速に再編成を行い、
勝ちに乗じてさらに進む点では、全く達人であることを立証した」。
また、チャーチルが公式にロンメルを賞賛した・・といわれる件もちゃんと書かれていて、
1942年1月の下院で次のように述べたそうです。
「我々には非常に大胆な、そして巧妙な敵手がおります。
戦争の大破壊を越えて、偉大な将軍と申してよいかと思います」。
そして英国の恐れるドイツ降下猟兵による、クレタ島奪取・・。
この激戦で最終的にクレタ島はドイツの手に落ちたものの、ゲーリングは愚かにも、
このようなかけがえのない兵力を英国戦士たちとの死闘によって捨て去ったのだ・・
としています。
ここまで前半部分の2冊を読んだ印象としては、ドイツ側が良く書かれているなぁというものです。
予想はもっと英国内の政治問題とか、閣僚との軋轢とかが多いのかと思っていましたが、
それらの方が完全な脇役です。
後半は、米ソとの関係が中心になりそうですが、どうなるでしょうか?