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パンツァー・ユニフォーム -第2次大戦ドイツ機甲部隊の軍装- [軍装/勲章]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

マイケル・H. プルット著の「パンツァー・ユニフォーム」を読破しました。

ドイツ戦車兵の黒の戦闘服というのは、世界中にファンが多いと思いますが
ヴィトゲンシュタインもご多分に漏れず、そのうちの一人です。
本書はややお高いですが、以前に1300円で古書を購入・・。
380点に及ぶらしい写真も含め、週末に家でジックリと楽しみました。

パンツァー・ユニフォーム.jpg

第1章は「野戦服、記章、帽子類」の紹介です。
しかし、写真はほとんどなく、文章による非常にマニアックな解説が続きます。
「んん?」と思っていると、どうやらこの20ページの解説のあとに、
50ページに及ぶ「白黒写真」がこの解説文の実例として紹介されるという構成のようです。

初期の戦車師団・・フランス戦役までのベレー帽をかぶった戦車兵たちの写真から
柏葉騎士十字章のローエ少尉の特注戦車服・・、大きなダブルの合わせが特徴的な
この戦車服を仕立て直したファスナー式という、物凄く珍しい写真まで・・。

Panzer crewman uniform.jpg

この戦車兵たちの写真のキャプションでは、身に着けている「戦車突撃章」の他、
珍しいものにも触れられており、例えばスペイン内戦での「コンドル軍団戦車突撃章」も
415個のみが授与された・・と書かれています。

Tank Combat Badge of Legion Condor.jpg

裏表紙の写真の人物、スコルツェニーをも遥かに凌ぐ「スカーフェイス」である、
第5戦車師団の戦車連隊長ロルフ・リッパート大佐は強烈な印象を残します。
1945年にはこの師団長となったようですが、東部戦線で戦死・・。

Rolf Lippert.jpg

アダルベルト・シュルツやフランツ・ベーケ、突撃砲兵もペーター・フランツ
シェーンボルンなど、以前にココでも登場した面々の姿も・・。
特にアダルベルト・シュルツ少将は特注の凄い戦車帽をかぶったポートレートがありました。

1943年以降に現れた、師団ごとのエンブレムの小さな記章を帽子につける話もあり、
第5戦車師団の「柏葉」や、第116戦車師団の有名な「グレイハウンド」なども・・。
ちなみにヴィトゲンシュタインはこの第116戦車師団「グレイハウンド」のTシャツ持ってます・・。

pz div 116.jpg

第2章の「戦車部隊」では、いきなり「パンツァー・フォー」にもチョロっと書かれていた
1940年にブローニュで英駆逐艦との一騎打ちの末、見事撃沈したとされる
第3戦車連隊のⅣ号戦車とクルーのデカい写真が出てきて、ビックリしました。
まぁ、これは魚雷艇だったとか、フランスのだったとか、諸説ありますが、
砲塔に描かれた駆逐艦が可愛らしい・・。

パン・ユニ_1.jpg

更にここでも、騎士十字章の戦車兵が珍しいものを付けています。
それは「ヒトラー青年団優等章」ですが、こんなの付けたドイツ兵士自体、初めてです。

Hitler Youth Proficiency Badge.jpg

この章ははあくまで「戦車部隊」であって、その後、「対戦車部隊」、そして「装甲列車部隊」と
続きます。いや~、装甲列車の写真も嬉しいですが、特に部隊のユニフォームは明確ではなく、
戦車服から突撃砲など様々ですね。
このようなことは、特に1943年以降になると、物資不足、度重なる規則の改定などで、
エリート装甲師団でも正規の軍装などは「死語」のような感じです。
そしてそれこそが、このような軍装研究家の頭を悩ます、大きな要因のようです。

また、「オートバイ狙撃兵部隊」、「機械化偵察大隊」、「機甲工兵部隊」、「機甲通信部隊」と
紹介されていくなかでは、その兵科色も詳しく書かれています。
戦車部隊が「ローズピンク」、突撃砲部隊が「赤」、そして通信部隊が「レモンイエロー」というのは
わりと知られていますが、戦車服を着た「機甲工兵部隊」が当初「黒」であり、
結果、「黒の戦車服に黒のパイピング」では意味がないことから、黒白、士官は黒シルバーの
より糸になったということです。

パン・ユニ_4.jpg

第10章には「装甲ロケット自走砲中隊(パンツァーヴェルファー?)」なんていうのも出てきます。
この兵科色をご存知の方はいるんでしょうか??
本書によると自動車輸送部隊の「ライトブルー」と砲兵の「赤」を合わせた「紫」で
「ワインレッド」と呼ばれていたそうです。

途中、この黒い戦車服を着た有名な女の子の写真も出てきました。
この娘と第3戦車師団の伍長が写った写真もあって、この写真が撮られた経緯が
なんとなくわかりましたが、彼と彼女、どっちが着てみようと言い出したんでしょうかねぇ。
個人的な経験では、女性の方がコスプレ好きというか、男物であっても、
着れるものがあれば、とりあえず1回着てみたい・・と思うようですが。。

panzer woman.jpg

「機甲宣伝部隊」をトリに、いよいよお楽しみ、カラー写真ページに突入です。
下襟にボタンホールの空いてない第1号戦車服から、デニムのものまで紹介。
アフリカ軍団などの熱帯用も出てきます。
もちろんプロイセン軽騎兵の伝統を引き継ぐ「ドクロ」の襟章から肩章、
ベレー帽まで、実にカラフルな30ページです。

パン・ユニ_3.jpg

カラー写真は確かに後半だけではありますが、前半の細かく書かれた部隊ごとの
ユニフォームや兵科色の遍歴などの文章部分も、非常に楽しく読めました。
白黒写真も珍しいものばかりでしたし、こういうのを読むと、
やっぱり洋書の軍装カラー写真集を欲しくなりますね。

ちなみに本書では武装SSが対象外となっています。
モデルになってもらったヴィットマンSS少尉のパンツァー・ユニフォームはこんな感じ・・。
国防軍との違いはいろいろありますが、一見でわかる大きな違いは、
SSは襟章が「ドクロではなく」階級章というところですね。

Michael_Wittmann.jpg

参考までに最近TVに出て、ナチだの、SSだの・・と、サイモン・ウィーゼンタール・センターから
「ダメ出し」を喰らった、氣○團はこんな感じだったそうです。

Kishidan-SS-uniform.jpg

まぁ基本はSSではなく、右胸のアドラーなど、本書の国防軍パンツァー・ユニフォームですね。
ただ、他の写真を見ても徽章類はメチャクチャだし、赤い腕章がナチ党員ぽいっですから、
この「ドイツ国防軍戦車兵の制服」が、ナチ、SSを連想させる(ひょっとしてSSと思って着てる??)
のもしょうがないですね。
彼らもマニアックに着ているわけではなく、ファッションとして着ているのも、
この残念な着こなしから充分、伝わってきますから・・。




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