SSブログ

狼群作戦の黄昏 [Uボート]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

G・ジョーンズ著の「狼群作戦の黄昏」を読破しました。

大作のあとなので、ちょっと軽い感じを選んで、久々の「朝日ソノラマ」です。
タイトルの「狼群」とは、いわゆる「ウルフパック」、Uボート集団ということですね。
羊の群れである「輸送船団」に襲い掛かる、狼たち・・。
本書は英国人の著者が、この「輸送船団」vs「Uボート」の戦いを個々に取り上げ、
連合軍の船団護衛強化によって、ドイツの「狼群作戦」がどのように「黄昏」ていったのか・・
を解説したものです。

狼群作戦の黄昏.jpg

第1章は1939年の開戦からの4年間・・Uポートが主導権を取っていた時代を簡単に紹介し、
ほとんど名の知られていないUボートと、その艦長の戦いと続いていきます。

ポケット戦艦「グラーフ・シュペー」の砲術士官だったロルフ・シャウエンブルク大尉が
U-536の艦長になると、デーニッツから特殊作戦を命ぜられます。
これは、かの大エースでカナダの収容所に捕えられているオットー・クレッチマー
救出しようという野心溢れた作戦です。
残念ながらこの作戦は失敗し、海軍のスコルツェニーに成り損ねたシャウエンブルクと
U-536のその後が書かれています。

A surrendered German submarine in the Atlantic.jpg

カナダからの帰途、船団攻撃に挑むU-333のクレーマー艦長らの「狼群」に合流したU-536。
しかし、この頃登場した連合軍の「アスディック」に探知され、
強烈な爆雷攻撃の前に損傷/浮上を余儀なくされ、さらには
コルヴェットやフリゲートを擁する護衛艦グループからの砲撃の前にU-536は沈んでいきます。
生存者は艦長シャウエンブルクを含め、20名弱・・。なんともツキのない人のようです。。

time_doenitz_karl_1943.jpg

ちなみに「アスディック」とは英独の言い方で、現在では一般的な「ソナー」のことです。
また、本書はこの時期、優勢なりつつある連合軍側のUボート狩りも並行して詳しく書かれていて、
特に空からの攻撃に英米海軍のB-24リベレーターが活躍し、Uボートにとっては
かなりの脅威となっていることがわかりました。
読み終えた後に気付きましたが、表紙もそんな雰囲気ですね。

Heinz Otto Schultze und Admiral.jpg

このような典型的な例としては、U-432の艦長として戦果を挙げ、騎士十字章を持つ、
ハインツ=オットー・シュルツェ大尉が新艦U-849でキール港から出動します。
しかし浮上航行中、B-24リベレーターからの爆弾6発による攻撃と後部から機銃掃射によって
激しく損傷し、艦長のシュルツェも息絶えてしまいます。

U849 under Air Attack.jpg

読み進めるにつれ、どんどんUボートが不利になっていく展開で、
個々の戦闘もUボート撃沈・・連合軍の勝利・・というストーリーが増えてきますが、
著者は双方の記録から誰が誰と戦ったのかを解明しようとしています。
そして駆逐艦の爆雷攻撃から逃れたUボートが、21ヶ月後にその駆逐艦を魚雷で仕留める・・
という偶然も紹介。
飛行機とUボートが「相討ち」に終わり、双方とも海の藻屑となって消えた戦いも印象的でした。

有名どころではU-81のグッゲンベルガーも出てきたりしますが、
一番印象的だったのは、英軍による「チャリオット作戦」の章です。
1942年、ドイツ海軍の新型戦艦ティルピッツが動き出すのを懸念した英軍は、
この巨大戦艦がフランスの乾ドック入りすることを阻止するため、
巨大なドックのあるサン・ナゼールを急襲し、乾ドックを破壊する作戦を実行します。

Operation Chariot.jpg

砲艦や魚雷艇、数隻の駆逐艦の英軍攻撃部隊は海軍と陸軍コマンドの混成部隊です。
ドイツの水雷艇に偽装した「キャンベルタウン」の船首に遅延爆弾を仕掛けて
見事、水門の爆破に成功・・。しかし、英独ともに多くの人命を失います。
この話はほとんど知らなかったんですが、何かに書いてあったかなぁ。

St. Nazaire, britische Kriegsgefangene_1.jpg

「朝日ソノラマ」は今回で15冊目くらいだと思いますが、我が家の在庫はあと3冊、
「戦う翼」と「ノルマンディの激闘」、「危うし空挺部隊」だけです。
そんなわけで、かなり真剣に残る「朝日ソノラマ」たちを研究した結果、
今後の購入予定にチェックが入ったのは「最後の特派員、「ドイツ装甲師団」など 11冊・・。
ちなみに同様に研究した在庫切れの「第二次世界大戦ブックス」は17冊という数字が出ました・・。
まだまだ読みたい本が沢山あることがわかって、嬉しくなりました。



この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。