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重戦車大隊記録集〈2〉SS編 [パンツァー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ヴォルフガング・シュナイダー著の「重戦車大隊記録集〈2〉SS編」を読破しました。

ボリュームたっぷりのティーガー戦車写真集です。
著者のシュナイダーは、ドイツ連邦軍、機甲部隊の現役士官という人物で
その専門知識と人脈を活用して、本書の執筆と写真の収集をしているようです。
本書は〈2〉SS編であり、当然、〈1〉陸軍編も出ていますが、
なぜかこのSS編は本屋で見当たらず、amazonでもプレミア価格となっていたので、
以前になんとか定価の¥6000で購入していました。

重戦車大隊記録集〈2〉SS編.JPG

まずは1942年11月から編成が始まった武装SSの3個師団の各重戦車中隊からです。
第1SS師団"ライプシュタンダルテ"は「第13中隊」、初代中隊長はクリングSS大尉、
2代目は言わずと知れたヴィットマン、3代目はヴェンドルフと、その期間や
騎士十字章受章者もしっかり載っています。
写真も初見のものがほとんどで、「装甲兵総監」グデーリアンが訪れた際の
ティーガーの砲塔にいるのがヴィットマンだというのは初めて知りました。
また、本書は日ごとの戦闘日誌がページ下部に紹介されていて、これが結構楽しめます。

Guderian during an inspection to Leibstandarte Tiger at the Eastern Front, April 1943b.jpg

第2SS師団"ダス・ライヒ"は「第8中隊」です。
ハリコフ近郊での航空写真・・。数10メートル上空から写したティーガーの姿も素晴らしい。
SS全国指導者ヒムラーが砲塔に納まっている写真も初めてです。
また、この中隊は各車に独自のマーキングをしていることも紹介され
有名な逆さに書かれた「福」の字、「倒福」もしっかり出てきます。
ちなみに表紙の写真もその車両(S33号)で、良く見るとキチンと帯の上に写っています。

Charkow 1943.jpg

空軍将校を交えた飲み会で「渡れる」賭けをした中隊長が、氷結した小川に
ティーガーを乗り入れた結果、水没・・。この件が総統大本営にも報告され、
中隊長は罷免・・。そして懲罰人事で訓練課程に転属・・という記録が出てきます。
この中隊長は本書の時期によるとヘルツィッヒSS大尉という人物のようです。

Tiger Tiger.jpg

第3SS師団"トーテンコープフ"の重戦車中隊は「第9中隊」です。
ソ連軍のM3グラント戦車で記念撮影・・やパンツァー戦記で良く読む、
戦車の下に潜り込んで熟睡中のクルーたち、という写真も面白いですが、
この重戦車中隊は終戦まで戦っていたこともあってか、はたまたトーテンコープフらしい
別の理由があってか、戦闘日誌が非常に興味深いものとなっています。
撃破されたティーガーの戦車長がロシア兵にスコップで撲殺されたり、
SS第4警察師団とおぼしき味方対戦車砲が命中し、SS大尉が即死・・、
その他、ワルシャワ蜂起にも駆けつけています。

Kübelwagen of the Totenkopf Division.jpg

続いては1943年7月から編成された本書の主役、SS重戦車大隊です。
SS第101(後に501)重戦車大隊はフォン・ヴェスターンハーゲンSS少佐が
大隊長に任命されるものの、傷が癒えずに合流が大きく遅れます。
この大隊にも当然ライプシュタンダルテの戦車キラー、ヴィットマンが移籍してきたこともあって、
ヴィレル・ボカージュの戦い、そして彼の最後まで多数の写真とともに紹介されています。

TigerⅠ.jpg

その後の「バルジの戦い」こと、アルデンヌ攻勢でのケーニッヒスティーガーも暴れまわる
パイパー戦闘団も出てきますが、印象的だったのは
大隊長ヴェスターンハーゲンが病気による衰弱でその任を解かれ、
ピストル自殺を遂げた・・という日誌でしょう。

heinz von Westernhagen.jpg

他にも終戦間際には、国防軍兵士によるパンツァーファウストの誤射により、
戦車長とクルー3人が死亡。そしてこの国防軍兵士は逃亡しますが、
後日、射殺されたそうです。

Volkssturm, Übungsschießen mit Panzerfaust.jpg

SS第102(502)、SS第103(503)重戦車大隊も続いて紹介されますが、
さすがにこのティーガーⅠ、ティーガーⅡが数両いるだけで、その戦果もハンパじゃありません。
ノルマンディではカナダ軍の50両からなる戦車を迎え撃ち、完膚無きまでに叩きのめしたり、
ベルリン攻防戦でもJS戦車中隊と100両を超すT-34戦車の群れが
密集しているところに襲い掛かり、このソ連戦車旅団を殲滅します。
しかもケールナーSS上級曹長という戦車長だけで39両も撃破・・!
ヒトラーが自殺しようという4月28日には、この総統官邸付近の防衛司令官である
モーンケSS少将から騎士十字章を授与されたそうです。

Hongrie-Budapest-Konigtiger-1945-1.jpg

ティーガーの砲身内に敵弾が命中するという珍事も書かれていて、
この結果、装填手は「肉片と化した」そうです。。。
また、ダス・ライヒで懲罰を喰らった、先のヘルツィッヒと思われるSS少佐が
1945年からこの503重戦車大隊の大隊長に就任しています。良かったですねぇ。

SS-Sturmbannführer Friedrich Herzig.JPG

SS師団シャルルマーニュを支援しながらベルリンの中心で戦い続ける
第503重戦車大隊の残余は、5月2日に突破作戦では、凄まじい砲撃を受け、
車外の政府高官らもやはり「肉片と化す」。。
ゲッベルスの副官であったSS少尉によると、この政府高官はマルティン・ボルマンのようであった
と明かす・・など、本当に戦闘日誌がおもしろいものです。
戦車兵たちが見た、ベルリン攻防戦ですから、それも当然ですね。

最後には武装SS以外のティーガーを擁する部隊が紹介されます。
グロースドイッチュランドの「第13中隊」~「第Ⅲ大隊」では、やっぱり有名人も登場です。
戦車伯爵シュトラハヴィッツラングカイトマントイフェル師団長の初見の写真も数枚。

Langkeit & Hassom von Manteufell.jpg

とにかく写真が素晴らしい1冊で、意味の無いものはほとんどありません。
イマイチだな~と思うティーガーの写真も、その撮影者が実はヴィットマンだったりと
いちいち感動したり・・。
それでも「写真集」ではなく、「記録集」であるわけで、これら部隊ごとのティーガー保有数などの
情報も細かく記されていて、写真、情報、戦記のすべてが充実した見事な本じゃないでしょうか。

Michael Wittmann_hitler.jpg

〈1〉の陸軍編も買うことにしました。
しかし、その前にさらにボリュームたっぷりな
「第653重戦車駆逐大隊戦闘記録集」をやっつけねば・・。




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