オレンジの呪縛 -オランダ代表はなぜ勝てないか?- [スポーツ好きなんで]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
デイヴィッド・ウィナー著の「オレンジの呪縛」を読破しました。
ワールドカップ期間中ということもあって、久しぶりの番外編です。
日本と同組になってクローズアップされたオランダですが、
昔からヨーロッパのサッカーを愛するヴィトゲンシュタインは
オランダとイングランド、そしてドイツを毎回応援しています。
2008年に発刊された本書は、1年前に購入していましたが、
今回良い機会なので一気読みしてみました。
一般的に勝負よりも美しい攻撃サッカーに拘るとされるオランダ代表と
ヨハン・クライフに代表されるオランダ人気質を探ったものです。
「独破戦線」的には、オランダ人のドイツに対する感情を知ることが出来ました。
中立国なのに占領された屈辱と戦後、10年以上経ってから判明してきた
オランダ系ユダヤ人に対する虐殺が若い世代にも悪印象を与えたようです。
74W杯の決勝が西ドイツであり、またそれに敗れたこともドイツに対する憎しみを
新たにしたようです。
また、アムステルダムの名門アヤックスが「ユダヤ人のクラブ」であることを解説し
戦時中、ユダヤ人の多かったアムステルダムがナチス・ドイツに受けた迫害と
ライバルであるロッテルダムのフェイエノールトのチャントでは「アウシュヴィッツ」や
「ガス室へ行け」などという過激なフレーズが今でも使われているそうです。
オランダはEURO'88で優勝したものの、W杯ではさっぱり・・。
その理由は以前から白人と黒人のチーム内部抗争が挙げられていました。
94W杯でも、大会前に白人系ボスのクーマンとスリナムの黒人系ボス、フリットとの
キャプテン争いがありましたが、今回はだいぶ白人が多くなってきて
まとまっているかも知れませんね。
今回、W杯をTV見ていて思うのは、どの国もほぼ同じフォーメーションに戦術ですし、
選手も個性がなくなってきているなぁ・・と。
90年代の中盤まではもっと国ごとの個性がありましたし、
ボスマン判決以降は日本人も含め、ヨーロッパの強豪リーグに
世界各国から選手が集まっていることも要因だと思います。
そんなことを考えていたら、昔好きだった個性的な選手たちを思い出しました。
いまや映画俳優のヴィニー・ジョーンズがポール・ガスコインのXXタマを
「むんず!」と掴んでいるこの有名な写真ですが、
どちらもアクが強く、特に”ガッザ”は大好きな選手でした。
90W杯で大泣きしたり、自分から無謀なタックル仕掛けては
足や顔面の骨折も当たり前、自分がロンドンに遊びに行ったときにも
肘打ちにいって自分の肘を骨折しては、痛くて泣きじゃくり、
酸素マスクを付けて、そのまま救急車で病院に運ばれる・・という
憎めない選手で、「ガッザの涙」という自伝も以前に読みました。
ドイツではヘビースモーカーでビール大好きというバスラーと
94W杯でドイツ・ファンに「中指を立てて」帰らされたエッフェンベルクが
テクニックのある荒くれ者として好きな選手でしたが、
東ドイツ出身のザマーは最終ラインからスルスル上がって来ては
ゴールを決めるという、最後のリベロとも言える存在です。
チャンピオンズリーグで額から大流血しても、鬼の形相でプレーを続けた姿は
いまだに忘れられません。まさに「ゲルマン魂」の権化です。
ちなみにTVでドイツ人の若い女性が「”ゲルマン魂”っていう言葉は
ドイツにはありませ~んねぇ」と言ってました。まぁ、知らないだけかもしれません。
自分も"大和魂"を説明しろと言われたら、困ってしまいますし・・。
マンチェスター・ユナイテッドの”アイリッシュ魂”ロイ・キーンも大好きだった選手です。
前回対戦したときに怪我をさせられたハーラントに、復讐のキックを膝にかまし
大怪我を負わせたうえ、「ざまーみやがれ!」と罵っています。
彼も自伝を出していて、しっかり読破しました。
そのロイ・キーンの前任者、フランス人の"キング"エリック・カントナといえば
「カンフー・キック」の達人としても良く知られています。
確かクリスタルパレスとのアウェー・ゲームだったと思いますが、
退場となったカントナが相手チームのファンに「カエル野郎!」(フランス人に対する蔑称)と
言われたことに腹を立て、「カンフー・キック」をお見舞いします。
このおかげで1年近く出場停止となりました。
ベッカムの前に「栄光の背番号7」を付けていた天才的な選手でしたが、
W杯には縁が無かったですねぇ。
このような暴力的な選手ではエヴァートンなどで活躍したスコットランド人、
ダンカン・ファーガソンが自分の知るところ、No.1でしょう。
数年前にリヴァプールのエヴァートン・ショップに行ったときにも人気No.1でしたが、
90年代には相手選手の顔面目掛けて、狙いすましたヘディングして懲役刑、
スコットランド代表でも協会と揉めた挙句、永久追放に・・・。
TVで見た場面では退場となった腹いせに、その当事者のドイツ人、
シュテファン・フロイントの首を「お前のせいだ!ムガー!!」と
折れよとばかりに絞めています。。。。
ヨーロッパのカップ戦でもどこか東欧のクラブと対戦した際、
ゴール前でハイボールを競り合った相手DFを「なんだお前」と軽く小突くと、
おそらくファーガソンを知らなかったその不幸なDFはやり返してしまいます。
次の瞬間、ファーガソンのパンチが炸裂し、あえなくKO・・。
慌てて寄ってくる主審に目を合わせることなく、自ら退場していくのでした・・。
このような不幸な人間はサッカー選手だけではありません。
リヴァプールでは有名なサッカー選手宅に押入る泥棒が多く、ジェラードも被害を受けていますが、
これは金持ちなのにアウェイ・ゲームで不在だということを誰でも知っているからです。
そんな泥棒2人組が知ってか知らずか、ファーガソン宅に盗みに入ります。
すると、そこに家の主人が登場・・・。出場停止だったのかはわかりませんが、
翌日の新聞では、「いくら泥棒相手とはいえ、あそこまでやる必要はないんじゃないか」という
泥棒に同情する論調だったという話もありました。
イングランドのルーニーなんかが「悪童」や「荒くれ者」って言われますが
(ちなみにオールドトラッフォードでは、みんなルーネイ(Rooney)って呼んでました)、
子供も出来て、すっかり落ち着いた感じです。ちょっと残念ですねぇ。
決勝トーナメントで、いきなりイングランドVSドイツという凄いカードになってしまいましたが、
今のドイツではシュヴァインシュタイガーがお気に入りです。
テクニックとキレのあるプレーも良いですが、ドイツで最も有名なワインのひとつ
「シュタインベルガー」や、もちろん「ティーガー戦車」を彷彿とさせるドイツ人らしいゴチャゴチャした
名前も良いですし、「ダス・ライヒ」の写真に出てきそうな顔つきもなかなかのものです。
ポジション的にはルーニーとやり合ったりしたら面白いですね。
デイヴィッド・ウィナー著の「オレンジの呪縛」を読破しました。
ワールドカップ期間中ということもあって、久しぶりの番外編です。
日本と同組になってクローズアップされたオランダですが、
昔からヨーロッパのサッカーを愛するヴィトゲンシュタインは
オランダとイングランド、そしてドイツを毎回応援しています。
2008年に発刊された本書は、1年前に購入していましたが、
今回良い機会なので一気読みしてみました。
一般的に勝負よりも美しい攻撃サッカーに拘るとされるオランダ代表と
ヨハン・クライフに代表されるオランダ人気質を探ったものです。
「独破戦線」的には、オランダ人のドイツに対する感情を知ることが出来ました。
中立国なのに占領された屈辱と戦後、10年以上経ってから判明してきた
オランダ系ユダヤ人に対する虐殺が若い世代にも悪印象を与えたようです。
74W杯の決勝が西ドイツであり、またそれに敗れたこともドイツに対する憎しみを
新たにしたようです。
また、アムステルダムの名門アヤックスが「ユダヤ人のクラブ」であることを解説し
戦時中、ユダヤ人の多かったアムステルダムがナチス・ドイツに受けた迫害と
ライバルであるロッテルダムのフェイエノールトのチャントでは「アウシュヴィッツ」や
「ガス室へ行け」などという過激なフレーズが今でも使われているそうです。
オランダはEURO'88で優勝したものの、W杯ではさっぱり・・。
その理由は以前から白人と黒人のチーム内部抗争が挙げられていました。
94W杯でも、大会前に白人系ボスのクーマンとスリナムの黒人系ボス、フリットとの
キャプテン争いがありましたが、今回はだいぶ白人が多くなってきて
まとまっているかも知れませんね。
今回、W杯をTV見ていて思うのは、どの国もほぼ同じフォーメーションに戦術ですし、
選手も個性がなくなってきているなぁ・・と。
90年代の中盤まではもっと国ごとの個性がありましたし、
ボスマン判決以降は日本人も含め、ヨーロッパの強豪リーグに
世界各国から選手が集まっていることも要因だと思います。
そんなことを考えていたら、昔好きだった個性的な選手たちを思い出しました。
いまや映画俳優のヴィニー・ジョーンズがポール・ガスコインのXXタマを
「むんず!」と掴んでいるこの有名な写真ですが、
どちらもアクが強く、特に”ガッザ”は大好きな選手でした。
90W杯で大泣きしたり、自分から無謀なタックル仕掛けては
足や顔面の骨折も当たり前、自分がロンドンに遊びに行ったときにも
肘打ちにいって自分の肘を骨折しては、痛くて泣きじゃくり、
酸素マスクを付けて、そのまま救急車で病院に運ばれる・・という
憎めない選手で、「ガッザの涙」という自伝も以前に読みました。
ドイツではヘビースモーカーでビール大好きというバスラーと
94W杯でドイツ・ファンに「中指を立てて」帰らされたエッフェンベルクが
テクニックのある荒くれ者として好きな選手でしたが、
東ドイツ出身のザマーは最終ラインからスルスル上がって来ては
ゴールを決めるという、最後のリベロとも言える存在です。
チャンピオンズリーグで額から大流血しても、鬼の形相でプレーを続けた姿は
いまだに忘れられません。まさに「ゲルマン魂」の権化です。
ちなみにTVでドイツ人の若い女性が「”ゲルマン魂”っていう言葉は
ドイツにはありませ~んねぇ」と言ってました。まぁ、知らないだけかもしれません。
自分も"大和魂"を説明しろと言われたら、困ってしまいますし・・。
マンチェスター・ユナイテッドの”アイリッシュ魂”ロイ・キーンも大好きだった選手です。
前回対戦したときに怪我をさせられたハーラントに、復讐のキックを膝にかまし
大怪我を負わせたうえ、「ざまーみやがれ!」と罵っています。
彼も自伝を出していて、しっかり読破しました。
そのロイ・キーンの前任者、フランス人の"キング"エリック・カントナといえば
「カンフー・キック」の達人としても良く知られています。
確かクリスタルパレスとのアウェー・ゲームだったと思いますが、
退場となったカントナが相手チームのファンに「カエル野郎!」(フランス人に対する蔑称)と
言われたことに腹を立て、「カンフー・キック」をお見舞いします。
このおかげで1年近く出場停止となりました。
ベッカムの前に「栄光の背番号7」を付けていた天才的な選手でしたが、
W杯には縁が無かったですねぇ。
このような暴力的な選手ではエヴァートンなどで活躍したスコットランド人、
ダンカン・ファーガソンが自分の知るところ、No.1でしょう。
数年前にリヴァプールのエヴァートン・ショップに行ったときにも人気No.1でしたが、
90年代には相手選手の顔面目掛けて、狙いすましたヘディングして懲役刑、
スコットランド代表でも協会と揉めた挙句、永久追放に・・・。
TVで見た場面では退場となった腹いせに、その当事者のドイツ人、
シュテファン・フロイントの首を「お前のせいだ!ムガー!!」と
折れよとばかりに絞めています。。。。
ヨーロッパのカップ戦でもどこか東欧のクラブと対戦した際、
ゴール前でハイボールを競り合った相手DFを「なんだお前」と軽く小突くと、
おそらくファーガソンを知らなかったその不幸なDFはやり返してしまいます。
次の瞬間、ファーガソンのパンチが炸裂し、あえなくKO・・。
慌てて寄ってくる主審に目を合わせることなく、自ら退場していくのでした・・。
このような不幸な人間はサッカー選手だけではありません。
リヴァプールでは有名なサッカー選手宅に押入る泥棒が多く、ジェラードも被害を受けていますが、
これは金持ちなのにアウェイ・ゲームで不在だということを誰でも知っているからです。
そんな泥棒2人組が知ってか知らずか、ファーガソン宅に盗みに入ります。
すると、そこに家の主人が登場・・・。出場停止だったのかはわかりませんが、
翌日の新聞では、「いくら泥棒相手とはいえ、あそこまでやる必要はないんじゃないか」という
泥棒に同情する論調だったという話もありました。
イングランドのルーニーなんかが「悪童」や「荒くれ者」って言われますが
(ちなみにオールドトラッフォードでは、みんなルーネイ(Rooney)って呼んでました)、
子供も出来て、すっかり落ち着いた感じです。ちょっと残念ですねぇ。
決勝トーナメントで、いきなりイングランドVSドイツという凄いカードになってしまいましたが、
今のドイツではシュヴァインシュタイガーがお気に入りです。
テクニックとキレのあるプレーも良いですが、ドイツで最も有名なワインのひとつ
「シュタインベルガー」や、もちろん「ティーガー戦車」を彷彿とさせるドイツ人らしいゴチャゴチャした
名前も良いですし、「ダス・ライヒ」の写真に出てきそうな顔つきもなかなかのものです。
ポジション的にはルーニーとやり合ったりしたら面白いですね。