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焦土作戦 -独ソ戦史- (上) [戦記]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

パウル・カレル著の「焦土作戦 (上)」を再度読破しました。

部分的にはちょくちょく読み返すことのあった本書ですが、
今回、久しぶりに最初からキッチリと再読です。

カレルは「バルバロッサ作戦」もそうですが、本書は自分が
この「独破」の世界に入るキッカケになったものであるのは間違いなく、
そういう意味では、この本に出会わなかったら、いま、こうして
「ブログ」を書いていることも、おそらくなかったでしょう。

1941年夏の攻勢「バルバロッサ作戦」が1943年初頭のスターリングラード
その終焉を向かえ、続くドイツ軍敗走の戦記を著者のカレルは
1943年の夏季攻勢「クルスク戦」からとしています。
これはドイツ軍が反撃を出来ないような損害を蒙ったのは、
スターリングラードではなく、クルスクであったという理由からです。

焦土作戦上.JPG

と言うことで、いきなりハイライトになりそうな「クルスク戦」から本書は始まります。
第9軍のモーデルを中心としたフォン・クルーゲの北部戦区、
第4装甲軍のホトを中心としたフォン・マンシュタインの南部戦区ですが、
やはり「プロホロフカの大戦車戦」でも有名な南部戦区が大幅に取り上げられています。

Deutsche Sturmgeschützverband in der Schlacht bei Kursk.jpg

アダルベルト・シュルツフランツ・ベーケオッペルン=ブロニコフスキーといった
戦車戦には欠かせないメンバーも当然ながら
ルーデルの急降下爆撃機も大活躍し、
グロースドイッチュランドでは、伯爵シュトラハヴィッツや初登場のパンターなども・・。

hermannvon_oppeln-bronikowski.jpg

しかし、俳優バリの2枚目で知られる?
突撃砲の専門家フランツ少佐」が出てきたのには一番驚きました。
可愛い顔をしていますが、ペーター・フランツはグロースドイッチュランド突撃砲大隊長として、
柏葉騎士十字章を持つお気に入りの人物です。

Hauptmann Peter Frantz.jpg

ご存知のように、この攻勢も西側連合軍がシチリアに上陸したことで中止となりますが、
この「ツィタデレ作戦」の計画時に起こったクルーゲとグデーリアンの決闘の話も
本書に出ていました。う~ん、すごいですね。
そして計画自体がソ連側に筒抜けだったという話にかなりのページを割いて
独ソ戦におけるスパイ活動を解説しています。

特に名の知れたスパイであったルドルフ・レスラーの「ルーシー」は
東京のゾルゲに匹敵するとしています。
また、謎の大スパイ「ヴェルテル」については実名こそ明かさないものの、
「総統大本営の機密に近づくことの出来た、ある騎兵大尉」ということだそうです。

Rudolf Roessler, left, the Soviet Union's master spy of World War II.jpg

基本的に時系列で進むカレルですが、ここからは1942年の末に話が戻ります。
スターリングラード以上の戦果を望むスターリンが、そのドイツ軍の南翼、
7個軍を壊滅せんがため大攻勢に打って出ます。

そして、それを察したドン軍集団指令官マンシュタインの
「東部戦史上燦然と輝く作戦戦略」が詳細に語られます。
カフカスからの撤退~第3次ハリコフ戦に至るまでの各戦線の状況、
ヒトラー対マンシュタインの攻防も織り込み、ドラマチックに描かれています。
こうして読むと、確かにクルスクよりこちらの方がハイライトかも知れませんね。
確かフォン・メレンティンも大絶賛していました。

SS-Division Das Reich im Kampfraum Charkow.jpg

第3次ハリコフ攻防戦では、死守命令を放棄するパウル・ハウサーと、
彼が率いるSS装甲軍団の攻防がこの上巻の最後を飾り、
これによって東部戦線南翼は一旦、安定しますが、
北翼と中央の状況は中巻に続きます。

黒海における戦いでのソ連軍政治将校に自分にとっては
物心ついた時からの「ソ連の顔=悪の権化」ブレジネフも出てきます。

Khrushchev_and_Brezhnev.jpg

有名な政治将校では、本書にも度々登場するフルシチョフがいますが、
ブレジネフ書記長が出ていたとは憶えていませんでした。
相変わらず、カレルは読み返す度に発見がありますね。



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