バルジの戦い (下) [戦記]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ジャン・ポール・パリュ著の「バルジの戦い (下)」を読破しました。
この下巻ではいきなり「パイパー戦闘団」の終焉から始まります。
そしてすっかり消耗してしまったライプシュタンダルテとヒトラー・ユーゲントの
SS第Ⅰ戦車軍団に替わり、ビットリッヒSS中将のSS第Ⅱ戦車軍団の
ダス・ライヒとホーエンシュタウフェンが主役となるべく奮戦します。
有名どころではバルクマンのパンターがここでも活躍していました。
しかし、特に気になったのは、上巻でも「予備部隊」として存在していた
「総統親衛旅団」(総統護衛旅団とも・・)です。
この旅団についてはまったく知識が無かったので、ちょっと調べてみましたが
もともとは1939年に戦時における総統大本営の警護部隊として
「グロースドイッチュランド」と「ゲネラル・ゲーリング」からの分遣隊で
創設されたものだそうですが、あの1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂事件の際に
ベルリンの警備大隊「グロースドイッチュランド」の大隊長で大活躍をした、
オットー・レーマー少佐を新編成の「総統親衛旅団」の旅団長へ
(一気に大佐へ特進)抜擢したという部隊です。
部隊名が部隊名なので、その戦力も凄そうなんですが、
本書ではもともと予備であるものの、第5戦車軍や第7軍にちょこちょこ編入されて
チラッと戦ってはすぐまた予備に・・という良くわからない部隊として所々に登場してきます。
この部隊は最終的には師団までに拡大したそうですが、
その戦いざまは今まで読んだ記憶がありません。
ちょっと脇道に逸れました。本書の中盤にかけてはバストーニュを巡る攻防が中心です。
映画「バルジ大作戦」でもエピソードとして登場した「Nuts!」について掘り下げています。
この降伏文書の件については戦車教導師団長バイエルライン中将による話とは違い、
第5戦車軍司令官フォン・マントイフェル大将は一切知らないという立場であったそうで、
結局、第47装甲軍団長のフォン・リュットヴィッツ中将の承認によって、
バストーニュを包囲したとしてアメリカ軍守備隊に降伏文書を持って行かせたとのことです。
本書ではこの時の軍使のひとり、ヘンケ中尉の見事なポートレート写真と
その降伏文書の原文までが掲載され、
またアメリカ軍のアンソニー・マコーリフ准将の「Nuts!」発言と
その後の推移も詳細でなかなか楽しめました。
最終的には完全に行き詰った「ラインの守り」作戦に続き、
アルザスをターゲットとしたG軍集団による「ノルトヴィント」作戦における
SS第17装甲擲弾兵師団ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの戦いや
第Ⅱ戦闘航空軍団長、ディートリッヒ・ペルツ少将による
「ボーデンプラッテ」作戦までが紹介されています。
そしてほとんどが撃破されたものではありますが、パンターやケーニッヒスティーガー
さらにはヴィルベルヴィントやヤークトパンターといった貴重な初見の写真は
それだけでも楽しめるものだと思います。
ラ・グレースに保存されているケーニッヒスティーガーに対する由来も面白く、
この「パイパー戦闘団」が遺棄していったものをアメリカ軍から村の婦人が買い取り
(価格はコニャック1本!)、失われていた砲身のマズルブレーキは
スコルツェニーの第150戦車旅団でM10駆逐戦車に化けていた
パンターのマズルブレーキで修復したものだそうです。
世界遺産になってもおかしくない逸品ですね。。。
また、事実上、この「ラインの守り」作戦の司令官だったモーデル元帥は
その後ルール・ポケットにおいて自決しますが、戦後、ヒュルトゲンの森の近くの
ドイツ軍戦役者墓地に移されて、かつて率いた兵士たちと一緒に眠り、
アメリカ第3軍を率いた相手側のパットンも、かねてから部下の多くが戦死した
アルデンヌに埋葬されることを望み、その希望は叶えられているということです。
ジャン・ポール・パリュ著の「バルジの戦い (下)」を読破しました。
この下巻ではいきなり「パイパー戦闘団」の終焉から始まります。
そしてすっかり消耗してしまったライプシュタンダルテとヒトラー・ユーゲントの
SS第Ⅰ戦車軍団に替わり、ビットリッヒSS中将のSS第Ⅱ戦車軍団の
ダス・ライヒとホーエンシュタウフェンが主役となるべく奮戦します。
有名どころではバルクマンのパンターがここでも活躍していました。
しかし、特に気になったのは、上巻でも「予備部隊」として存在していた
「総統親衛旅団」(総統護衛旅団とも・・)です。
この旅団についてはまったく知識が無かったので、ちょっと調べてみましたが
もともとは1939年に戦時における総統大本営の警護部隊として
「グロースドイッチュランド」と「ゲネラル・ゲーリング」からの分遣隊で
創設されたものだそうですが、あの1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂事件の際に
ベルリンの警備大隊「グロースドイッチュランド」の大隊長で大活躍をした、
オットー・レーマー少佐を新編成の「総統親衛旅団」の旅団長へ
(一気に大佐へ特進)抜擢したという部隊です。
部隊名が部隊名なので、その戦力も凄そうなんですが、
本書ではもともと予備であるものの、第5戦車軍や第7軍にちょこちょこ編入されて
チラッと戦ってはすぐまた予備に・・という良くわからない部隊として所々に登場してきます。
この部隊は最終的には師団までに拡大したそうですが、
その戦いざまは今まで読んだ記憶がありません。
ちょっと脇道に逸れました。本書の中盤にかけてはバストーニュを巡る攻防が中心です。
映画「バルジ大作戦」でもエピソードとして登場した「Nuts!」について掘り下げています。
この降伏文書の件については戦車教導師団長バイエルライン中将による話とは違い、
第5戦車軍司令官フォン・マントイフェル大将は一切知らないという立場であったそうで、
結局、第47装甲軍団長のフォン・リュットヴィッツ中将の承認によって、
バストーニュを包囲したとしてアメリカ軍守備隊に降伏文書を持って行かせたとのことです。
本書ではこの時の軍使のひとり、ヘンケ中尉の見事なポートレート写真と
その降伏文書の原文までが掲載され、
またアメリカ軍のアンソニー・マコーリフ准将の「Nuts!」発言と
その後の推移も詳細でなかなか楽しめました。
最終的には完全に行き詰った「ラインの守り」作戦に続き、
アルザスをターゲットとしたG軍集団による「ノルトヴィント」作戦における
SS第17装甲擲弾兵師団ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの戦いや
第Ⅱ戦闘航空軍団長、ディートリッヒ・ペルツ少将による
「ボーデンプラッテ」作戦までが紹介されています。
そしてほとんどが撃破されたものではありますが、パンターやケーニッヒスティーガー
さらにはヴィルベルヴィントやヤークトパンターといった貴重な初見の写真は
それだけでも楽しめるものだと思います。
ラ・グレースに保存されているケーニッヒスティーガーに対する由来も面白く、
この「パイパー戦闘団」が遺棄していったものをアメリカ軍から村の婦人が買い取り
(価格はコニャック1本!)、失われていた砲身のマズルブレーキは
スコルツェニーの第150戦車旅団でM10駆逐戦車に化けていた
パンターのマズルブレーキで修復したものだそうです。
世界遺産になってもおかしくない逸品ですね。。。
また、事実上、この「ラインの守り」作戦の司令官だったモーデル元帥は
その後ルール・ポケットにおいて自決しますが、戦後、ヒュルトゲンの森の近くの
ドイツ軍戦役者墓地に移されて、かつて率いた兵士たちと一緒に眠り、
アメリカ第3軍を率いた相手側のパットンも、かねてから部下の多くが戦死した
アルデンヌに埋葬されることを望み、その希望は叶えられているということです。