ベルリン終戦日記 -ある女性の記録- [女性と戦争]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
アントニー・ビーヴァー (序文)の「ベルリン終戦日記」を読破しました。
ビーヴァー著「ベルリン陥落1945」でもテーマのひとつとして取り上げられていた、
ベルリンだけで10万人が被害に遭ったというソ連軍による婦女暴行が横行する
終戦前後のベルリンを舞台に、強く生きた匿名の女性の日記です。
1945年4月20日から始まるこの日記は、連合軍の空襲によって焼き出され、
知人の未亡人の住むアパートに居候する、34歳の女性ジャーナリストによって書かれたもので
彼女は職業柄、戦前から各国を訪れており、多少のロシア語も知っていました。
日々空襲に悩まされ、食料事情も最悪、既にラジオも聞くことは出来ないという状況で
アパートの住人たちが避難した地下室では、やがて来るであろうソ連兵の噂に
様々な反応を示します。
ケーニッヒスベルクから逃げてきた女性は、その凄まじさを語り、
新聞では「60歳の老女が襲われる」とか「24回も犯された!」など・・。
「誰が24回というのを数えてたの?」とジャーナリストらしい感想を書き記しています。
しかし同じ女性でも中年の女性から、ヴァージンとおぼしきティーンエージャーの娘も
混在するアパートでは、恐怖の度合いがまったく違います。
前者は「ソレで本物のコーヒーが飲めるなら「スターリン万歳!」と叫んでも良いわ」
と言うほど胆も据わっていますが、後者の娘はそういう訳にいきません。
両親や親類が壁に作った隠し部屋での生活を強いられます。
やがてソ連軍がベルリンを占拠すると、恐れていた事態の幕があがります。
酔っ払ったソ連兵は部屋へ乱入し、まず腕時計、そして「女、来い!」が
定番のやり方です。
この日記の女性も酔っ払った野蛮な下士官から暴行を受けてしまいます。
しかし彼らは特定の女性をモノにし、それを仲間に自慢したりというのが
習性であることに気づいた彼女は、日々、別の男から暴行、或いは
複数の男に輪姦されるよりはマシ・・ということで、
この野蛮な兵士の女になることを選択します。
ですが、やはり軍隊。階級というものが存在し、より高位の階級の兵士には
野蛮な下士官も勝ち目がなし。そこで今度は熊のような中尉を、
次には足の悪い紳士な少佐を相手にすることに・・。
彼らは仲間を連れては、毎晩のようにアパートを訪れます。
もちろんそこにはアルコールやバターなどの貴重な食料をプレゼントとして持参してきます。
居候先の未亡人はそんな食料を当てにして、「彼を引き止めておくのよ」と言う始末。
5月も何日かが過ぎるとソ連兵の獣のような暴行も落ち着きを見せ、
「ヒムラーが捕まった」とか「アドルフは行方知れず」などの噂も出てきます。
嫁さんにちょっかいを出したロシア兵を追っ払ったダンナが英雄扱いという話は
どれほどドイツ人男性が無力であったのかを物語るものです。
嫁さんがソ連兵の相手をしていることに耐えられなくなったダンナが
嫁さんを背後から撃ち殺し、自分も自殺・・という悲惨な話の方が多かったのかも知れません。
そういえば「最強の狙撃手」でも最悪なレイプがありましたね。。
ロシア語にも磨きかけた彼女は、可愛い少年兵から汚れのない女性を紹介してくれるよう
懇願されるまでになります。
ソ連兵に対する分析もしていて、例えばウクライナ人やモンゴル系などでの違いや
基本はロシアでの生活習慣から「女性は太めが好み」とか
平屋での生活に慣れているため、「4階や5階まで滅多に侵入しない」、
「アルコール(シュナップス)さえ飲まななければ、襲い掛かって来たりしない」など。
5月も後半になってくると工場などでの強制労働や突然の恋人の帰還と続き、
この日記も終わりを告げます。しかし決してハッピーエンドではありません。
2008年にドイツでは映画「ANONYMA - Eine Frau in Berlin 」として公開されているようです。
先ほど調べたところ、ニーナ・ホスという女優さんが演じていますが、
本書のイメージどおりの雰囲気です。
内容的に日本で公開することはないでしょうが、DVDくらい出れば嬉しいですね。
追記:DVD出ました。
アントニー・ビーヴァー (序文)の「ベルリン終戦日記」を読破しました。
ビーヴァー著「ベルリン陥落1945」でもテーマのひとつとして取り上げられていた、
ベルリンだけで10万人が被害に遭ったというソ連軍による婦女暴行が横行する
終戦前後のベルリンを舞台に、強く生きた匿名の女性の日記です。
1945年4月20日から始まるこの日記は、連合軍の空襲によって焼き出され、
知人の未亡人の住むアパートに居候する、34歳の女性ジャーナリストによって書かれたもので
彼女は職業柄、戦前から各国を訪れており、多少のロシア語も知っていました。
日々空襲に悩まされ、食料事情も最悪、既にラジオも聞くことは出来ないという状況で
アパートの住人たちが避難した地下室では、やがて来るであろうソ連兵の噂に
様々な反応を示します。
ケーニッヒスベルクから逃げてきた女性は、その凄まじさを語り、
新聞では「60歳の老女が襲われる」とか「24回も犯された!」など・・。
「誰が24回というのを数えてたの?」とジャーナリストらしい感想を書き記しています。
しかし同じ女性でも中年の女性から、ヴァージンとおぼしきティーンエージャーの娘も
混在するアパートでは、恐怖の度合いがまったく違います。
前者は「ソレで本物のコーヒーが飲めるなら「スターリン万歳!」と叫んでも良いわ」
と言うほど胆も据わっていますが、後者の娘はそういう訳にいきません。
両親や親類が壁に作った隠し部屋での生活を強いられます。
やがてソ連軍がベルリンを占拠すると、恐れていた事態の幕があがります。
酔っ払ったソ連兵は部屋へ乱入し、まず腕時計、そして「女、来い!」が
定番のやり方です。
この日記の女性も酔っ払った野蛮な下士官から暴行を受けてしまいます。
しかし彼らは特定の女性をモノにし、それを仲間に自慢したりというのが
習性であることに気づいた彼女は、日々、別の男から暴行、或いは
複数の男に輪姦されるよりはマシ・・ということで、
この野蛮な兵士の女になることを選択します。
ですが、やはり軍隊。階級というものが存在し、より高位の階級の兵士には
野蛮な下士官も勝ち目がなし。そこで今度は熊のような中尉を、
次には足の悪い紳士な少佐を相手にすることに・・。
彼らは仲間を連れては、毎晩のようにアパートを訪れます。
もちろんそこにはアルコールやバターなどの貴重な食料をプレゼントとして持参してきます。
居候先の未亡人はそんな食料を当てにして、「彼を引き止めておくのよ」と言う始末。
5月も何日かが過ぎるとソ連兵の獣のような暴行も落ち着きを見せ、
「ヒムラーが捕まった」とか「アドルフは行方知れず」などの噂も出てきます。
嫁さんにちょっかいを出したロシア兵を追っ払ったダンナが英雄扱いという話は
どれほどドイツ人男性が無力であったのかを物語るものです。
嫁さんがソ連兵の相手をしていることに耐えられなくなったダンナが
嫁さんを背後から撃ち殺し、自分も自殺・・という悲惨な話の方が多かったのかも知れません。
そういえば「最強の狙撃手」でも最悪なレイプがありましたね。。
ロシア語にも磨きかけた彼女は、可愛い少年兵から汚れのない女性を紹介してくれるよう
懇願されるまでになります。
ソ連兵に対する分析もしていて、例えばウクライナ人やモンゴル系などでの違いや
基本はロシアでの生活習慣から「女性は太めが好み」とか
平屋での生活に慣れているため、「4階や5階まで滅多に侵入しない」、
「アルコール(シュナップス)さえ飲まななければ、襲い掛かって来たりしない」など。
5月も後半になってくると工場などでの強制労働や突然の恋人の帰還と続き、
この日記も終わりを告げます。しかし決してハッピーエンドではありません。
2008年にドイツでは映画「ANONYMA - Eine Frau in Berlin 」として公開されているようです。
先ほど調べたところ、ニーナ・ホスという女優さんが演じていますが、
本書のイメージどおりの雰囲気です。
内容的に日本で公開することはないでしょうが、DVDくらい出れば嬉しいですね。
追記:DVD出ました。