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ドキュメント ヒトラー暗殺計画 [ナチ/ヒトラー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

グイド・クノップ著の「ドキュメント ヒトラー暗殺計画」を読破しました。

久しぶりのクノップものです。
これは2004年にドイツのTVシリーズで放映されたもので
日本でもいろいろ出版されている「ヒトラー暗殺未遂」ものとしては最新の一冊でしょう。

映画では今年公開されて、ほいほいロードショーに行った「ワルキューレ」はもちろん
ドイツ製作の「オペレーション・ワルキューレ」、「ヒトラー暗殺」とDVDも持っていますので、
だいたいの内容は理解しつつ、読んでみました。

ヒトラー暗殺計画.JPG

本書の中核となるのはクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐ですが、
まずは1939年にミュンヘンのビアホール「ビュルガーブロイケラー」で起きた
ゲオルグ・エルザーによる暗殺未遂事件から語られ、
その後のフランツ・ハルダー参謀総長をも含んだ軍部による、
ヒトラー排除計画へと進んで行きます。
しかし、チェコ問題の強引な解決からフランス電撃戦まで、
やることなすこと大成功を収めるヒトラーに対して、
クーデターを起すキッカケを掴めないまま、時は過ぎて行きます。

そして1941年のバルバロッサ作戦とともに、アインザッツグルッペンによる
ユダヤ人虐殺の情報が各軍集団司令部にもたらされるようになると、
主に敬虔なキリスト教徒の貴族軍人たちから反発が起き始めます。

von Tresckow.jpg

その筆頭は中央軍集団司令部の作戦参謀ヘニング・フォン・トレスコウ大佐で
司令官であるフォン・ボック上級大将に訴えかけますが、あえなく拒否されてしまいます。
フォン・マンシュタインに対しても甥のシュタールベルクを副官にし、
ヒトラー暗殺計画への賛同を求めますが、やっぱり拒否・・。
ここら辺は「回想の第三帝国」でもありましたね。

von Bock.jpg

フォン・ボックに変わり新たな中央軍集団司令官となったフォン・クルーゲ元帥
このヒトラー暗殺計画に最も関与していた将軍なのかも知れません。
トレスコウはクルーゲをクーデター・グループに巻き込むことに成功し、
1943年3月、スモレンスクを訪問するヒトラーを将校クラブで銃殺する計画を立てますが、
ヒトラーの隣に座ることで、巻き添えになる可能性もあるクルーゲから反対されてしまいます。

von Kluge2.jpg

ならばと、ヒトラーの帰りの飛行機に爆弾を乗せますが、これも不発。
ベルリンの鹵獲兵器展示会や軍服発表会での暗殺計画も尽く失敗します。
それでもこのベルリンでの暗殺計画では、ヒトラーと共に自爆することを覚悟していた
軍人たちを知ることが出来ました。
また、チェコでハイドリヒの暗殺に成功した英国のS.O.Eによる
ヒトラー暗殺計画も紹介されていて、ポーランドの総統特別列車を爆破するハズが
見事に失敗し、兵士を乗せた列車を爆破してしまったということです。

von_stauffenberg_Hitler.jpg

こうして、いよいよ主役であるシュタウフェンベルク大佐が登場してきます。
ですが、この「ヴァルキューレ作戦」は有名かつ、
映画でも描かれていたものとも変わらないので、ここでは割愛します。
それにしてもこのヴォルフスシャンツェでのヒトラー暗殺未遂事件の犠牲者に
触れられたものは少ないですね。
クルーゲも巻き添えをビビッていたように、ある意味、以前からトレスコウに協力していた
ヒトラーの首席副官のルドルフ・シュムント少将も実に可哀想な気がします。

Hitler Visits General Schmundt in the Hosptial.JPG

シュタウフェンベルクをはしょる分、非常に気になったのは、
パリで起こった前代未聞の国防軍対SSの一件です。
フランス軍政部長官でクーデター派のフォン・シュテルプナーゲル将軍は
「ベルリンでゲシュタポがクーデターを起こし、ヒトラーが死んだ」との理由から
SSとゲシュタポの逮捕命令を出し、オーベルクSS中将を含む1200人を
首尾よく逮捕、監禁しました。
しかし、この時またも西方軍司令官という立場にあり、
ヒトラーの生存を知らされていたクルーゲにより、逮捕者の即時解放命令が出され、
シュテルプナーゲルはSSを釈放の後、自殺を図りますが、
結局は重傷を負ったものの、一命を取りとめ(てしまい・・)処刑されてしまいます。

Karl-Heinrich von Stülpnagel.jpg

この時の国防軍対SSの様子は最終的に「演習」ということで、解決したそうですが、
実際、両者の心境や普段からの対立の様相はどのようなものだったのでしょうか?
本書ではそこまで書かれていないので、特に気になりました。

Hermann Lindemann Facing Roland Freisler.JPG

最後はフライスラー裁判長の独壇場です。
片っ端から暴言を浴びせ、絞首刑送りとして行く様が詳細に再現され、
あのカルテンブルンナーも「あのどさまわりの三文役者」と呼び、
隠し撮りした裁判の様子を映画で公開しようとしたゲッベルスさえ考え直したほどです。
これは最近DVDで発売されたみたいです。
さすがにあまり見る気はしませんね。。。









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