SS‐DAS REICH ― 第2SS師団の歴史 1939‐1945 [武装SS]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
グレゴリー・L・マトソン著の「SSダス・ライヒ- 第2SS師団の歴史」を読破しました。
独破戦線では若干評判の上がってきた、リイド社出版の武装SS師団シリーズものです。
有名な師団ですから、様々な戦記や武装SSものに登場していますが、
このような師団史としては他になく、結構発見も多くありました。
前半はダス・ライヒ師団の母体ともなる「ドイチュラント連隊」、「ゲルマニア連隊」、
そして「デア・フューラー連隊」がSS-VT(SS特務部隊)として、
ポーランドからフランス侵攻作戦に参加するまでが解説されています。
特に第1次大戦の経験から、画期的で斬新な訓練を行ったドイチュラント連隊長、
フェリックス・シュタイナーがこの前半での主役です。
これらSS連隊はその後「SS特務師団」として再編成され、後に「ドイチュラント師団」、
「ライヒ師団」と名称は変わりますが、フェリックス・シュタイナーが新設のヴィーキングに
師団長として転出すると、デア・フューラーで大隊長を務めていたビットリッヒが
ドイチュラント連隊を引き継ぎます。
また、フリッツ・ヴィットも一時こちらにもいたんですね。知りませんでした。
続くバルカン作戦ではパウル"パパ"ハウサー師団長のもと、「ベオグラードを攻略した男」
として知られるクリンゲンベルクSS大尉の活躍が繰り広げられます。
しかし、この笑い事のような話も当時の武装SSの名を一躍広めることに
(特に国内と国防軍に対して)大変な貢献をしたという気が改めてしました。
バルバロッサ作戦以降のロシアにおける戦いはハリコフからクルスクといった
重要な会戦にも当然参加し、怪我での離脱や、その後軍団長となったハウサーに変わり
ビットリッヒからヴァルター・クリューガーという正に「武装SSの顔役」とも言える人物が
代々師団長を務めています。
ノルマンディではエルンスト・バルクマンのパンター戦車が頑張る一方で
ディークマンSS少佐が「オラドゥールの大虐殺」を実行しています。
このフランス・レジスタンスに対する制裁は、これ以外にも解説されていて
本書は全体的に公正な書きっぷりという印象を持ちました。
このノルマンディで戦死した、最近、個人的なファンである戦車連隊長の
クリスチャン・タイクゼンSS中佐を楽しみにしていたのですが、1行だけの登場でした・・。
アルデンヌ攻勢にも目立たないようにコッソリ参加しています。
自軍の陣地へ撤退していたところに、ばったりアメリカ軍と鉢合わせしてしまい
「アメリカ人か?」という間抜けな質問に「そうだ・・」とやはり間抜けな回答。
結局、お互い戦闘を避けたいのでそのまま何もなかったことに・・。
こういう話は東部戦線における斥候同士でも度々あったと聞きますね。
最後はデア・フューラー連隊長のオットー・ヴァイディンガーによるチェコでの
ドイツ人救出作戦で、ダス・ライヒ師団の戦いは幕を閉じます。
相変わらず「誤字」と「表記の統一性」のないシリーズですが(あまり人のことを言えませんが・・)、
いい加減に慣れてきたのか、なかなか楽しめました。
入れ替わり立ち変わりに登場する、名の知れた人物たちが
非常に興味深いことがその理由かも知れません。
オラドゥールの大虐殺は今度、勉強してみようと思います。
グレゴリー・L・マトソン著の「SSダス・ライヒ- 第2SS師団の歴史」を読破しました。
独破戦線では若干評判の上がってきた、リイド社出版の武装SS師団シリーズものです。
有名な師団ですから、様々な戦記や武装SSものに登場していますが、
このような師団史としては他になく、結構発見も多くありました。
前半はダス・ライヒ師団の母体ともなる「ドイチュラント連隊」、「ゲルマニア連隊」、
そして「デア・フューラー連隊」がSS-VT(SS特務部隊)として、
ポーランドからフランス侵攻作戦に参加するまでが解説されています。
特に第1次大戦の経験から、画期的で斬新な訓練を行ったドイチュラント連隊長、
フェリックス・シュタイナーがこの前半での主役です。
これらSS連隊はその後「SS特務師団」として再編成され、後に「ドイチュラント師団」、
「ライヒ師団」と名称は変わりますが、フェリックス・シュタイナーが新設のヴィーキングに
師団長として転出すると、デア・フューラーで大隊長を務めていたビットリッヒが
ドイチュラント連隊を引き継ぎます。
また、フリッツ・ヴィットも一時こちらにもいたんですね。知りませんでした。
続くバルカン作戦ではパウル"パパ"ハウサー師団長のもと、「ベオグラードを攻略した男」
として知られるクリンゲンベルクSS大尉の活躍が繰り広げられます。
しかし、この笑い事のような話も当時の武装SSの名を一躍広めることに
(特に国内と国防軍に対して)大変な貢献をしたという気が改めてしました。
バルバロッサ作戦以降のロシアにおける戦いはハリコフからクルスクといった
重要な会戦にも当然参加し、怪我での離脱や、その後軍団長となったハウサーに変わり
ビットリッヒからヴァルター・クリューガーという正に「武装SSの顔役」とも言える人物が
代々師団長を務めています。
ノルマンディではエルンスト・バルクマンのパンター戦車が頑張る一方で
ディークマンSS少佐が「オラドゥールの大虐殺」を実行しています。
このフランス・レジスタンスに対する制裁は、これ以外にも解説されていて
本書は全体的に公正な書きっぷりという印象を持ちました。
このノルマンディで戦死した、最近、個人的なファンである戦車連隊長の
クリスチャン・タイクゼンSS中佐を楽しみにしていたのですが、1行だけの登場でした・・。
アルデンヌ攻勢にも目立たないようにコッソリ参加しています。
自軍の陣地へ撤退していたところに、ばったりアメリカ軍と鉢合わせしてしまい
「アメリカ人か?」という間抜けな質問に「そうだ・・」とやはり間抜けな回答。
結局、お互い戦闘を避けたいのでそのまま何もなかったことに・・。
こういう話は東部戦線における斥候同士でも度々あったと聞きますね。
最後はデア・フューラー連隊長のオットー・ヴァイディンガーによるチェコでの
ドイツ人救出作戦で、ダス・ライヒ師団の戦いは幕を閉じます。
相変わらず「誤字」と「表記の統一性」のないシリーズですが(あまり人のことを言えませんが・・)、
いい加減に慣れてきたのか、なかなか楽しめました。
入れ替わり立ち変わりに登場する、名の知れた人物たちが
非常に興味深いことがその理由かも知れません。
オラドゥールの大虐殺は今度、勉強してみようと思います。
ワイルド・ブルー [USA]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
スティーヴン・E.アンブローズ著の「ワイルド・ブルー 」を読破しました。
先日「空対空爆撃戦隊」を読破して気になっていた連合軍爆撃機ものです。
著者はあの戦争TVシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」の原作者で、
長年の友人であり、大統領選挙にも立候補したことのあるジョージ・マクガヴァンを中心にした
アメリカ陸軍第8航空軍と第15航空軍の爆撃機クルーたちの物語です。
開戦当時、アメリカの陸軍航空部隊は全てにおいて他国に劣っていましたが、
大西洋単独無着陸飛行のチャールズ・リンドバーグに憧れていた少年達が
我も我もとパイロットを目指して志願していたそうです。
陸軍第8航空軍にはジェームズ・スチュアートやクラーク・ゲーブルという名優の名前も・・。
特にジェームズ・スチュアートは腕の良い爆撃機操縦士だったそうで、
そういえば「翼よ!あれが巴里の灯だ」でリンドバーグを演じたのも彼でしたね。
国内での訓練は事故の相次ぐ厳しいもので、特にB-24リベレーターという代物は
操縦が難しく、操縦士の体力もかなり必要だったそうで、
着陸後は消耗し切って操縦席から1人で出られない者も・・。
この訓練中は、ダンナが墜落事故で死亡した報告を
基地に住む奥さんにするシーンが出てきます。
思いっきり「ライトスタッフ」ばりの展開ですね。
暫くあのテーマ曲が頭のなかを流れてました。。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
当初は爆撃任務は「25回」というものでしたが、
ルーマニアのプロイェシュティ油田への再三の攻撃などで大損害を受けたこともあり、
この任務の回数は主人公が搭乗する1944年には「35回」へ引き上げられます。
対空砲火は「地獄でもこれほど酷くはないのでは・・」と語られるほどのもので
何度か登場するこの対空砲火の真っ只中に突入する場面や
あまりの凄まじさに諦めるといったこともあり、
密集の編隊飛行の難しさは、投下した爆弾が誤って
真下の仲間のB-24に直撃したという話も紹介されています。
パイロットに対してロマンチックな感情を抱いているゲーリングは、
撃墜された捕虜をそれなりに扱い、特に下士官以上の待遇はよかったそうです。
これを知っていた連合軍は乗組員の階級を「軍曹」以上にしていました。
目標に達せずに残った爆弾はアドリア海へ投棄して、
イタリアの基地へ着陸するルールも引っ掛かった爆弾をなんとか切り離した際、
オーストリアの民家を直撃してしまったことを
主人公のマクガヴァンは悔やみ続けます。
昼間の精密爆撃とはいえ、当然、目標に百発百中などということはないと
知っていた彼は、少なくともヒトラーの協力者を殺しているのだと
言い聞かせていたそうです。
昼間の精密爆撃にこだわるアメリカと、
それを無謀な行為と考え夜間爆撃を実行に移す英国。
最終的な損害率といった比較はありませんが、この本を読む限り、
ハンブルクやケルン、ドレスデンといった連合軍の爆撃によって
壊滅するほどの被害を受けた都市の名前は一切出てきません。
その意味では、この本に登場するクルーは無差別テロ爆撃には関与していないという
印象を(というよりも前提条件)受けてしまいます。
いつでもハリウッド映画になりそうな面白い一冊でした。
しかし、個人的には都市に対する戦略爆撃を
爆撃機クルーたちがどのように考えていたのか・・が
最後まで知ることが出来なかったのが残念です。
スティーヴン・E.アンブローズ著の「ワイルド・ブルー 」を読破しました。
先日「空対空爆撃戦隊」を読破して気になっていた連合軍爆撃機ものです。
著者はあの戦争TVシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」の原作者で、
長年の友人であり、大統領選挙にも立候補したことのあるジョージ・マクガヴァンを中心にした
アメリカ陸軍第8航空軍と第15航空軍の爆撃機クルーたちの物語です。
開戦当時、アメリカの陸軍航空部隊は全てにおいて他国に劣っていましたが、
大西洋単独無着陸飛行のチャールズ・リンドバーグに憧れていた少年達が
我も我もとパイロットを目指して志願していたそうです。
陸軍第8航空軍にはジェームズ・スチュアートやクラーク・ゲーブルという名優の名前も・・。
特にジェームズ・スチュアートは腕の良い爆撃機操縦士だったそうで、
そういえば「翼よ!あれが巴里の灯だ」でリンドバーグを演じたのも彼でしたね。
国内での訓練は事故の相次ぐ厳しいもので、特にB-24リベレーターという代物は
操縦が難しく、操縦士の体力もかなり必要だったそうで、
着陸後は消耗し切って操縦席から1人で出られない者も・・。
この訓練中は、ダンナが墜落事故で死亡した報告を
基地に住む奥さんにするシーンが出てきます。
思いっきり「ライトスタッフ」ばりの展開ですね。
暫くあのテーマ曲が頭のなかを流れてました。。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
当初は爆撃任務は「25回」というものでしたが、
ルーマニアのプロイェシュティ油田への再三の攻撃などで大損害を受けたこともあり、
この任務の回数は主人公が搭乗する1944年には「35回」へ引き上げられます。
対空砲火は「地獄でもこれほど酷くはないのでは・・」と語られるほどのもので
何度か登場するこの対空砲火の真っ只中に突入する場面や
あまりの凄まじさに諦めるといったこともあり、
密集の編隊飛行の難しさは、投下した爆弾が誤って
真下の仲間のB-24に直撃したという話も紹介されています。
パイロットに対してロマンチックな感情を抱いているゲーリングは、
撃墜された捕虜をそれなりに扱い、特に下士官以上の待遇はよかったそうです。
これを知っていた連合軍は乗組員の階級を「軍曹」以上にしていました。
目標に達せずに残った爆弾はアドリア海へ投棄して、
イタリアの基地へ着陸するルールも引っ掛かった爆弾をなんとか切り離した際、
オーストリアの民家を直撃してしまったことを
主人公のマクガヴァンは悔やみ続けます。
昼間の精密爆撃とはいえ、当然、目標に百発百中などということはないと
知っていた彼は、少なくともヒトラーの協力者を殺しているのだと
言い聞かせていたそうです。
昼間の精密爆撃にこだわるアメリカと、
それを無謀な行為と考え夜間爆撃を実行に移す英国。
最終的な損害率といった比較はありませんが、この本を読む限り、
ハンブルクやケルン、ドレスデンといった連合軍の爆撃によって
壊滅するほどの被害を受けた都市の名前は一切出てきません。
その意味では、この本に登場するクルーは無差別テロ爆撃には関与していないという
印象を(というよりも前提条件)受けてしまいます。
いつでもハリウッド映画になりそうな面白い一冊でした。
しかし、個人的には都市に対する戦略爆撃を
爆撃機クルーたちがどのように考えていたのか・・が
最後まで知ることが出来なかったのが残念です。