SSブログ

ナチス親衛隊SS 軍装ハンドブック [軍装/勲章]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ロビン・ラムスデン著の「ナチス親衛隊SS 軍装ハンドブック」を読破しました。

SS創設当時の貴重な写真から制服、帽子、徽章類とカテゴリー別に分類した
とてもためになる一冊です。
著者は実物軍装品のコレクターで、これらの物は冒頭の数ページに
カラーで紹介されています。ただ本文の数多くの写真が白黒なのが残念ですね。
ちなみに表紙を飾るのはSS経済・管理本部長官オスヴァルト・ポールの物と
1935年頃の第88歩兵連隊のアルゲマイネSS(一般SS)曹長の物だそうです。

ナチス親衛隊SS 軍装ハンドブック.JPG

暗号や隠されたメッセージといった類が大好きだったヒムラーによって
神聖なまでに祀り挙げられた「ルーン文字」が詳細に解説されています。
ゲルマン神話の雷神をあらわす「ハーケンクロイツ」から勝利をあらわす「ジーク・ルーン」、
このジーク・ルーンを2つ並べたものが「SSルーン」で
1932年頃にグラフィック・デザイナーのSS隊員によるものだそうです。

SS_Rune.jpg

SSでは14個のルーン文字を使用し、1939年まではSS志願兵の
訓練期間中にルーン文字についての講義を行っていたそうですが、
隊員たちが関心を示さないのでこの講義は中止になったとか・・。

SSと言えば髑髏のイメージです。
自分も以前は国防軍戦車兵の髑髏の襟章を見て「SSだっ!」と思ったものです。
この髑髏(トーテンコップフ)における過去からの遍歴は大きなテーマとして取り上げられていて
特に有名な「髑髏リング」の解説は楽しめました。
異常なほど厳格な規定を持つ髑髏リングは除隊、または戦死した場合に返却されていましたが、
終戦間際までに戦死したSS隊員の指から抜き取られた膨大な数の髑髏リングは
ヒムラーの古城の神殿に祭られ、連合軍により奪われてしまうことを恐れたヒムラーは
ヴェーヴェルスブルクの山腹に埋めるよう命じ、これらは未だに発見されていないそうです。

totenkopfring.jpg

SS隊員といっても戦功などによる勲章類は国防軍と同様だったのは知っていましたが
SS独自の戦功勲章として「パルチザン・バッジ(対ゲリラ戦章)」が存在していました。
銅章、銀章、金章の3等級に分かれ、それぞれ対ゲリラ作戦に
20日間、50日間、100日間と参加する必要があったそうで、
受章基準が高いことで知られる「白兵戦章金章」が50日間ということから、
(コレを身に着けている人はたいがい修羅場をくぐり抜けて来たという凄い顔をしています・・)、
対ゲリラ戦章の金章を受章することはそれを2回受章するに等しいほどの至難の業で、
色こそ判りませんがバッハ=ツェレウスキはさすがに着けてますね。

bandenkampfabzeichen.JPG

ラインハルト・ハイドリヒものも突然出てきます。
ハイドリヒがチェコで暗殺された際にSSが発行した「追悼の書」や
そのデスマスクをあしらった「ハイドリヒ記念切手」です。

Reinhard_Heydrich_stamp.jpg

イタリアの降伏に伴い、多くの被服がドイツ軍に接収されたそうですが、
そのなかにはヒトラーがムッソリーニに提供したUボート乗組員用の革ジャケットなどがあり、
それらはライプシュタンダルテヒトラー・ユーゲント師団の戦車兵たちに
火傷から身を守る効果もあることから支給されたようです。
そういえばヴィレル・ボカージュの戦いの時の
ヴィットマンの有名な写真も革ジャケットですが、なにかUボート用のものだということを
聞いたことがありますね。

Wittmann_Villers-Bocage.jpg

SS落下傘部隊についての記述は別の意味で勉強になりました。
武装SSのなかでも特に知られていないこの部隊の軍装は謎だらけのようで
SSとしての特別な装備ではなく訓練なども受け持っていたルフトヴァッフェの
装備だったのではないかということですが、それよりも
スコルツェニーの率いたSS降下猟兵第500大隊によるムッソリーニ救出作戦、
1944年5月、ユーゴスラヴィアのチトー司令官を標的にしたグライダー作戦で
パルチザンとの戦闘により部隊はほぼ壊滅したというプチ戦記が印象的です。

その後もアルデンヌ攻勢や東部戦線など、「SS落下傘部隊は常に最悪の戦場に放り出され、
一種の「自殺部隊」と考えられていたと見て良いだろう」としています。

少ないながらも「SS婦人補助部隊」についても書かれています。
シルバーのSSルーンが描かれた黒い卵型の徽章ですが、
さすがに著者も持っていないのか、実物の写真はありません。。。

Women SS.jpg

外国人義勇兵の章では多数の独特の襟章について考察しています。
実際に認可されていなかったものもあるようで、市場には偽物も出回っているそうです。
このような偽物のキャッチフレーズは
「ダッハウの被服倉庫から未使用の状態で発見された」。
イギリス自由軍」もスリー・ライオンのデザインというのは知られていますが、
ヴィトゲンシュタインも当時の着用している写真や実物の写真は見たことがありません。

British Free Corps.jpg

定価2200円ですが、やはりフルカラーで読みたかったですね。
値段は倍以上してしまうかも知れませんが、個人的にはOKです。
洋書ではいろいろ出ているので、買ってみようかとも思っています。



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