SSブログ

戦場のピアニスト [戦争映画の本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ウワディスワフ・シュピルマン著の「戦場のピアニスト」を読破しました。

ロマン・ポランスキー監督の映画でも有名な一冊です。
公開当時に観に行きました。だいぶ原作に忠実な映画だったんですね。
読んでいるうちに、当時観た映像が蘇ってきました。
ですが比較すると、当事者の一人称であるこの原作のほうが、
どうしてもその映像では表現しきれない心理面の印象が大きく
とても複雑な心境で読み終えました。

戦場のピアニスト.JPG

ポランスキー自身もこの本の著者と同様にゲットーで過ごした経験があるようです。
映画少年だったヴィトゲンシュタインとしては、ポランスキーといえば、
イコール「ローズマリーの赤ちゃん」のホラー映画監督というイメージですが。。

舞台となるポーランドではウクライナとリトアニア兵が中心にゲットーを荒らしまわっていたり、
ワルシャワ蜂起の場面では、コイツらはひょっとして「カミンスキー旅団」か?と
思わせるところもあって、近隣諸国との過去の様々な歴史も感じました。

warschau2.jpg

一番やりきれないのが、ドイツ軍よりもゲットー内のユダヤ人警察の横暴です。
SSに媚び諂いながら、同胞のポーランド人を虐待する様は
アウシュヴィッツなどの強制収容所でもそうだった(残虐な囚人のブロック長を配置した)ように
ドイツ人、またはSSの負担を減らすべく考案された、巧妙な計画なのでしょう。
いわゆる人間の心理、「いじめ」と同じですね。いじめられている友達を助けると、
自分もいじめっ子から狙われてしまう。だからいじめる側に付く、という。。。

Adrien Brody in The Pianist.jpg

その絶望的な逃亡生活のなかで、著者のピアニストは薬による自殺を図りますが、
翌朝、無事に目覚めてしまい、結局「生きてて良かった」と思うシーンでは
人間の、或いはこの過酷な状況を生き延びた著者の生への執着というか
なにか考えさせられるものがあります。

Władysław Szpilman.jpg

この本のテーマのひとつである、著者のシュピルマンを救ったドイツ軍将校ですが、
映画を観て知っていたせいか、それほど特別な印象は受けませんでした。
実際、このような(オスカー・シンドラーとか)ドイツ人がどれほどいたのか。。
それは実行するのと、その気持ちはあっても出来なかったというのでは
どれほど違うものなのでしょうか?
力(権力や地位)のある人物と違い、そうでない人物では出来ることが限られます。
力がなくて救うことが出来なかった当時の一般のドイツ人を「何もしなかった傍観者」と
評価するのは安直だな~と改めて思いました。

まず、自分(の命、立場、名誉)、家族、親類と守るべきものがあり、
それを踏まえて赤の他人を命がけで助けようとする(考える)ことは、
現代に生きる日本人としては想像すらできません。
と、、、いろいろ考えさせられる本でした。





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