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ヒトラーの贋札 -悪魔の工房- [収容所/捕虜]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アドルフ・ブルガー著の「ヒトラーの贋札」を読破しました。

スロヴァキア人の著者の体験談です。同名の映画の原案ともなりました。
親ナチとなったスロヴァキア政府のドイツSSを模範としたフリンカ親衛隊に逮捕された
印刷工の著者は、いきなりアウシュヴィッツへ収容されてしまいます。
同じアウシュヴィッツ強制収容所でも、そのそばに新たに建設された
アウシュヴィッツ=ビルケナウはまったく別の次元の巨大収容所であったことを知りました。
中盤までこの死の収容所の凄まじい生活の様子を豊富な写真と共に振り返ります。
安易に「贋札作り本」と思って買ってしまうとホロコーストの凄惨さに
度肝を抜かれてしまいますので注意して下さい。。。

ヒトラーの贋札.JPG

そして1944年、ベルリン近郊のザクセンハウゼン強制収容所へ移送され、
ここでいよいよ被収容者による贋札作りチームに加わることになります。
ここでの責任者であるベルンハルト・クリューガーSS少佐にちなんで
「ベルンハルト作戦」と名付けられた紙幣偽造は
ポンド紙幣から、最も難しいとされるドル紙幣への挑戦と移って行きます。

Bernhard Krüger.jpg

もともとこの外国紙幣偽造計画を立案したのは、
SDのスパイ指導者として名の知られたアルフレット・ナウヨックスSS少佐で
1939年にはSD長官のハイドリヒから正式に責任者に任命され、
計画自体もヒムラーからヒトラーへと認知されました。
しかしその後、ナウヨックスはハイドリヒの不興を買い、
武装SSのライプシュタンダルテに転出となり前線に送られ、
そのハイドリヒはプラハで暗殺されてしまいますが、作戦は続行されていきます。

Naujocks_Heydrich.jpg

偽造計画は外国紙幣には留まらず、パスポート等の書類も手掛けていますが、
個人的には連合軍との「ニセ切手戦争」がとても楽しめました。
バリエーションは色々あるものの、ナチのデザインはドイツらしいというかアイデアが硬く、
それに比べると、ニセ切手の先手を打った連合軍側の
ヒトラーの肖像をヒムラーにしたり、ヒトラーを骸骨にしたりとセンスはあります。

himmler Stamp.jpg
Hitler Stamp.jpg

他にも、贋ポンド紙幣の刷版を作った秘密工場の責任者が
オットー・スコルツェニーSS少佐という新たな発見もあり、充実した内容の一冊です。
「ヒトラー・マネー」もそのうちに読んでみたいと思います。





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