SSブログ

ナチからの脱出 -ドイツ軍将校に救出されたユダヤ人- [欧州諸国]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ブライアン・マーク リッグ著の「ナチからの脱出」を読破しました。

1939年のドイツ軍ポーランド侵攻時にその包囲網に取り残された
「超正統派」ユダヤ教指導者をアメリカ側からの要請を受けたドイツ軍が救出したという
ノンフィクションです。

ナチからの脱出.JPG

国防軍防諜本部(アプヴェーア)の本部長のカナリス提督が「やっぱり」という感じで絡んでおり
ユダヤ人の父を持つ、ブロッホ少佐を救出隊長に任命します。
しかし、ポーランド国内でSSを中心としたユダヤ人狩りの嵐が吹き荒れているなかで、
いくら国防軍といえドイツ軍兵士が一般のユダヤ人に「ユダヤ教指導者を助けたいから」と説明して
その隠れ家を聞き出すというのは無理があり、案の定、誰も信じてはくれません。
また、SSに先んじて発見、そして脱出しなければならず
まずベルリンへ行くという意表を付いた脱出行も、途中、数々のSSの検問をかい潜りながらであり
ここら辺はサスペンス物ばりの読み応えがあります。

Wilhelm Canaris.jpg

興味をそそられたのは、このブロッホ少佐のようなユダヤ人の血を持つ軍人でも
ヒトラーの権限により「アーリア化」できたということで、
実際、ブロッホの場合もカナリス提督が申請し「アーリア化」されたとのことです。
しかし戦局の悪化、SDやゲシュタポの権力拡大、さらにヒトラー暗殺未遂事件を頂点として
このようなことはなくなり、ブロッホも当時のロシア戦線における連隊長の地位も
突然解任~退役となっていきます。

なお、著者は前作に「ヒトラーのユダヤ系兵士」という題の本を書いており
邦訳されれば読んでみたいですね。



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