ベルリン攻防戦Ⅱ 激闘 東部戦線(4) [戦記]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
グランドパワー別冊の「ベルリン攻防戦Ⅱ 激闘 東部戦線(4)」を読破しました。
2000年に発行された162ページで、定価2350円の本書。
いま気が付きましたが、「ベルリン攻防戦 激闘 東部戦線(3)」が2001年の発行で、
発行順が逆転していました。
実は「東部戦線(3)」は、「増補改訂版」で、本書はそうじゃないということなんですね。
しかし改めて「ベルリン攻防戦」を楽しく勉強しているところなので、
そのままの勢いで行ってみましょう。
巻頭は「第三帝国の崩壊・特選カラー写真集」として8ページ。
ドイツ軍捕虜の姿に、合流した米ソ将兵、ベルリンの廃墟といったカラー写真です。
その後、白黒写真の本文となりますが、24ページまでは戦略爆撃目標となったベルリンです。
ベルリンとハンブルクの高射砲塔の写真に、英空軍の夜間無差別爆撃の主役である、
ランカスター、ハリファックス、そしてモスキートといった爆撃機写真集。
米軍のB-17に、迎え撃つドイツ空軍の戦闘機も紹介します。
なかでもベルリンのフランス教会が被爆し、壮麗なドームが崩れ落ちる写真が良いですね。
続いては「鉄火のスチームローラー」。ソ連軍地上火砲の目標となったベルリンです。
T-34に始まり、KV-85、IS2重戦車、SU-76、SU-100といった自走砲に、
Yakや、Il-2といった航空機。
ここではソ連軍最大の野戦砲であったという「203㎜榴弾砲MB4」が印象的ですね。
キャタピラ付きなのに自走能力はなく、トラクターで牽引するそうですが、大迫力です。
そしてベルリンへと肉薄するソ連軍写真集。
2ページぶち抜きの写真では、東プロイセンやポーランドで強制労働させられていた
フランス兵捕虜と民間人がソ連軍によって解放され、西の故国へ向かうべく
トリコロール国旗を掲げた馬車を先頭にIS2重戦車の横を進み、
それを茫然と見守るドイツ人避難民の姿・・。
その他、交差点でトーチカと化したパンター、パンツァーファウストを担いだ国民突撃隊、
市電の残骸でバリケードを構築する姿など、以前に紹介した写真も多いですね。
こうして53ページから「凄惨、史上最悪な市街戦」へと進みます。
大型榴弾砲だけでなく、いつものカチューシャ・ロケット。
噴き上がる火炎で発射位置がバレるため、米国製のスチュードベーカーに搭載して、
すぐに移動するよう強く指導されていたそうです。
ドイツ軍抵抗拠点のビルに砲撃を浴びせるSU-76自走砲は良いアングルです。
ベルリンの中心部、アンハルター駅前広場には、88㎜高射砲やバリケード市電の残骸が散乱。
ミュンヘベルク装甲師団が遺棄したケーニッヒスティーガーと思われる写真や、
武装SSノルトラントの有名な写真もありますが、一番、ビックリした写真はコレ・・、
「第1次大戦の老兵、英軍のマークⅣ戦車」です。
キャプションでは「どこでどう入手したかは分からないが、
これとぶつかったソ連兵は新兵器登場かと思ったろう」と書かれています。
このマークⅣ戦車についてはいろいろと調べてみました。別の写真もあったり・・。
するとどうやら、第1次大戦の鹵獲戦車としてベルリンに運ばれ、
1919年の「スパルタクス団蜂起」で参戦しているようです。
その後は、ベルリンの博物館でず~と眠っていたところを起こされたって感じですね。
まさしく『戦車版国民突撃隊』と呼んでも差し支えないでしょう。しかも義勇兵・・。
75ページからは「栄光の勝者、敗者の屈辱」。
表紙の写真のようにブランデンブルク門を通ってウンター・デン・リンデンに入るIS2重戦車など、
ベルリンの象徴の無残な姿・・。
そのブランデンブルク門に赤旗を掲げるソ連兵。
4頭の馬のうち、3頭が銃砲撃で倒れ、ねじ曲がっていたそうです。
有名な国会議事堂(ライヒスターク)に赤旗を掲げるソ連兵の写真も様々な角度で・・。
そして武装解除されるドイツ兵、国民突撃隊の老兵たち、ヒトラー・ユーゲントの少年。。
そんな少年たちの運命は現場指揮官の自由裁量に任され、多くの場合、
「家に帰んな」の一言で解放された・・としています。良かったですね。
それにしても右端は女の子じゃないかなぁ??
ライプチヒ北東のトルガウで肩を組んで交歓する米軍第69歩兵師団と、
ソ連軍第58親衛狙撃師団。
カイテルやヨードルが降伏文書に署名するシーン。
大量の瓦礫に立ち向かうベルリンの女性たち・・。
そんなベルリン市民たちに野戦炊事車で炊き出しを行うソ連軍。
疲弊しきったソ連国内から穀物10万㌧、ジャガイモ6万㌧を緊急輸送したそうで、
あたりまえですが、ベルリンのソ連兵全員が強姦魔ということはありません。
こうして106ページで写真集は終わり、「ヒトラーの自決と帝都ベルリンの陥落」と題した、
文章中心の最終戦が最後まで続きます。
総統ブンカーでの様子は「ヒトラー 最期の12日間」や、「ヒトラー最期の日」、
「ヒトラー最後の十日間」、「ヒットラーを焼いたのは俺だ」から抜粋した感じで進みます。
ヒトラーの遺体については、2000年にヒトラーのものとみられる頭蓋骨の一部を
モスクワの連邦公文書館が初公開したことが書かれていました。
そんな話、あったっけ?? と調べてみると、2009年、米コネチカット大学の調査結果は、
「20~40歳の間の女性のもの」だそうな・・。実はエヴァだったりして。。
ソ連軍vsドイツ軍の攻防戦もかなり詳しいですね。
第1白ロシア方面軍などの作戦準備に始まり、各軍ごとの戦闘状況まで・・。
一方のドイツ軍はベルリン防衛の指揮官ヴァイトリンクの第56装甲軍団隷下まで細かく、
高射砲部隊、ラウヒ少将の第18装甲擲弾兵師団、モーンケSS少将の総統警護旅団、
武装SSシャルルマーニュなどの各兵力までを記載しています。
例えばヒトラー・ユーゲント突撃大隊なら、兵力約2000名といった具合です。
さらにミュンヘベルク装甲師団と武装SSノルトラントの奮戦も詳しく書かれています。
ヒトラーが自殺しようとしている4月30日に行われた国会議事堂争奪戦では、
正面玄関の大扉がレンガで補強されていて、爆破が失敗。
そこで203㎜榴弾砲を持ってきて、射距離ゼロで1mの大穴を開けてから突入。
立て籠もるSS部隊と手榴弾、銃剣による白兵戦を繰り広げます。
5月1日の朝、遂に白旗を掲げて、第150狙撃師団に降伏を申し出て、停戦となりますが、
その直後、約束を反故にして戦闘を再開、建物に放火して抵抗するSS部隊・・。
ここにはSS部隊の他に、ロストクの海軍兵学校から空輸されてきた
海軍小銃中隊も踏ん張っていたそうで、最終的に翌日降伏した時には、
死者・負傷者2500名、捕虜2604名を出したそうです。
最後のオマケは独ソ両軍の戦闘序列を表にして掲載。
ソ連の各方面軍は4月16日現在の師団指揮官までわかる限り記載され、
ドイツ軍ベルリン防衛軍、ヴァイクセル/中央軍集団の戦闘序列も
4月30日現在として、戦闘団指揮官まで書かれています。たいしたもんだ。。
正直言って「激闘 東部戦線(3)」より断然、面白かったですねぇ。
あくまで個人的な興味がこちらの方が多かったという理由からですが・・。
この「激闘 東部戦線」シリーズは、「激闘 東部戦線(1)1941~43」と、
「激闘 東部戦線(2) 1943~45」が前2作としてありますから、一度、読んでみたいところです。
ただし、本書だけはamazonでも古書が手に入らないようで、
ヤフオクとか、一般の古書店で入手するしかないようです。
それにしてもベルリン最終戦はいろんな意味でドラマチックですね。
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グランドパワー別冊の「ベルリン攻防戦Ⅱ 激闘 東部戦線(4)」を読破しました。
2000年に発行された162ページで、定価2350円の本書。
いま気が付きましたが、「ベルリン攻防戦 激闘 東部戦線(3)」が2001年の発行で、
発行順が逆転していました。
実は「東部戦線(3)」は、「増補改訂版」で、本書はそうじゃないということなんですね。
しかし改めて「ベルリン攻防戦」を楽しく勉強しているところなので、
そのままの勢いで行ってみましょう。
巻頭は「第三帝国の崩壊・特選カラー写真集」として8ページ。
ドイツ軍捕虜の姿に、合流した米ソ将兵、ベルリンの廃墟といったカラー写真です。
その後、白黒写真の本文となりますが、24ページまでは戦略爆撃目標となったベルリンです。
ベルリンとハンブルクの高射砲塔の写真に、英空軍の夜間無差別爆撃の主役である、
ランカスター、ハリファックス、そしてモスキートといった爆撃機写真集。
米軍のB-17に、迎え撃つドイツ空軍の戦闘機も紹介します。
なかでもベルリンのフランス教会が被爆し、壮麗なドームが崩れ落ちる写真が良いですね。
続いては「鉄火のスチームローラー」。ソ連軍地上火砲の目標となったベルリンです。
T-34に始まり、KV-85、IS2重戦車、SU-76、SU-100といった自走砲に、
Yakや、Il-2といった航空機。
ここではソ連軍最大の野戦砲であったという「203㎜榴弾砲MB4」が印象的ですね。
キャタピラ付きなのに自走能力はなく、トラクターで牽引するそうですが、大迫力です。
そしてベルリンへと肉薄するソ連軍写真集。
2ページぶち抜きの写真では、東プロイセンやポーランドで強制労働させられていた
フランス兵捕虜と民間人がソ連軍によって解放され、西の故国へ向かうべく
トリコロール国旗を掲げた馬車を先頭にIS2重戦車の横を進み、
それを茫然と見守るドイツ人避難民の姿・・。
その他、交差点でトーチカと化したパンター、パンツァーファウストを担いだ国民突撃隊、
市電の残骸でバリケードを構築する姿など、以前に紹介した写真も多いですね。
こうして53ページから「凄惨、史上最悪な市街戦」へと進みます。
大型榴弾砲だけでなく、いつものカチューシャ・ロケット。
噴き上がる火炎で発射位置がバレるため、米国製のスチュードベーカーに搭載して、
すぐに移動するよう強く指導されていたそうです。
ドイツ軍抵抗拠点のビルに砲撃を浴びせるSU-76自走砲は良いアングルです。
ベルリンの中心部、アンハルター駅前広場には、88㎜高射砲やバリケード市電の残骸が散乱。
ミュンヘベルク装甲師団が遺棄したケーニッヒスティーガーと思われる写真や、
武装SSノルトラントの有名な写真もありますが、一番、ビックリした写真はコレ・・、
「第1次大戦の老兵、英軍のマークⅣ戦車」です。
キャプションでは「どこでどう入手したかは分からないが、
これとぶつかったソ連兵は新兵器登場かと思ったろう」と書かれています。
このマークⅣ戦車についてはいろいろと調べてみました。別の写真もあったり・・。
するとどうやら、第1次大戦の鹵獲戦車としてベルリンに運ばれ、
1919年の「スパルタクス団蜂起」で参戦しているようです。
その後は、ベルリンの博物館でず~と眠っていたところを起こされたって感じですね。
まさしく『戦車版国民突撃隊』と呼んでも差し支えないでしょう。しかも義勇兵・・。
75ページからは「栄光の勝者、敗者の屈辱」。
表紙の写真のようにブランデンブルク門を通ってウンター・デン・リンデンに入るIS2重戦車など、
ベルリンの象徴の無残な姿・・。
そのブランデンブルク門に赤旗を掲げるソ連兵。
4頭の馬のうち、3頭が銃砲撃で倒れ、ねじ曲がっていたそうです。
有名な国会議事堂(ライヒスターク)に赤旗を掲げるソ連兵の写真も様々な角度で・・。
そして武装解除されるドイツ兵、国民突撃隊の老兵たち、ヒトラー・ユーゲントの少年。。
そんな少年たちの運命は現場指揮官の自由裁量に任され、多くの場合、
「家に帰んな」の一言で解放された・・としています。良かったですね。
それにしても右端は女の子じゃないかなぁ??
ライプチヒ北東のトルガウで肩を組んで交歓する米軍第69歩兵師団と、
ソ連軍第58親衛狙撃師団。
カイテルやヨードルが降伏文書に署名するシーン。
大量の瓦礫に立ち向かうベルリンの女性たち・・。
そんなベルリン市民たちに野戦炊事車で炊き出しを行うソ連軍。
疲弊しきったソ連国内から穀物10万㌧、ジャガイモ6万㌧を緊急輸送したそうで、
あたりまえですが、ベルリンのソ連兵全員が強姦魔ということはありません。
こうして106ページで写真集は終わり、「ヒトラーの自決と帝都ベルリンの陥落」と題した、
文章中心の最終戦が最後まで続きます。
総統ブンカーでの様子は「ヒトラー 最期の12日間」や、「ヒトラー最期の日」、
「ヒトラー最後の十日間」、「ヒットラーを焼いたのは俺だ」から抜粋した感じで進みます。
ヒトラーの遺体については、2000年にヒトラーのものとみられる頭蓋骨の一部を
モスクワの連邦公文書館が初公開したことが書かれていました。
そんな話、あったっけ?? と調べてみると、2009年、米コネチカット大学の調査結果は、
「20~40歳の間の女性のもの」だそうな・・。実はエヴァだったりして。。
ソ連軍vsドイツ軍の攻防戦もかなり詳しいですね。
第1白ロシア方面軍などの作戦準備に始まり、各軍ごとの戦闘状況まで・・。
一方のドイツ軍はベルリン防衛の指揮官ヴァイトリンクの第56装甲軍団隷下まで細かく、
高射砲部隊、ラウヒ少将の第18装甲擲弾兵師団、モーンケSS少将の総統警護旅団、
武装SSシャルルマーニュなどの各兵力までを記載しています。
例えばヒトラー・ユーゲント突撃大隊なら、兵力約2000名といった具合です。
さらにミュンヘベルク装甲師団と武装SSノルトラントの奮戦も詳しく書かれています。
ヒトラーが自殺しようとしている4月30日に行われた国会議事堂争奪戦では、
正面玄関の大扉がレンガで補強されていて、爆破が失敗。
そこで203㎜榴弾砲を持ってきて、射距離ゼロで1mの大穴を開けてから突入。
立て籠もるSS部隊と手榴弾、銃剣による白兵戦を繰り広げます。
5月1日の朝、遂に白旗を掲げて、第150狙撃師団に降伏を申し出て、停戦となりますが、
その直後、約束を反故にして戦闘を再開、建物に放火して抵抗するSS部隊・・。
ここにはSS部隊の他に、ロストクの海軍兵学校から空輸されてきた
海軍小銃中隊も踏ん張っていたそうで、最終的に翌日降伏した時には、
死者・負傷者2500名、捕虜2604名を出したそうです。
最後のオマケは独ソ両軍の戦闘序列を表にして掲載。
ソ連の各方面軍は4月16日現在の師団指揮官までわかる限り記載され、
ドイツ軍ベルリン防衛軍、ヴァイクセル/中央軍集団の戦闘序列も
4月30日現在として、戦闘団指揮官まで書かれています。たいしたもんだ。。
正直言って「激闘 東部戦線(3)」より断然、面白かったですねぇ。
あくまで個人的な興味がこちらの方が多かったという理由からですが・・。
この「激闘 東部戦線」シリーズは、「激闘 東部戦線(1)1941~43」と、
「激闘 東部戦線(2) 1943~45」が前2作としてありますから、一度、読んでみたいところです。
ただし、本書だけはamazonでも古書が手に入らないようで、
ヤフオクとか、一般の古書店で入手するしかないようです。
それにしてもベルリン最終戦はいろんな意味でドラマチックですね。
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