ドイツ軍の小失敗の研究 -第二次世界大戦戦闘・兵器学教本- [ナチ/ヒトラー]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
三野 正洋 著の「ドイツ軍の小失敗の研究」を読破しました。
本書をご存知の方、または読まれた方も多いのではと思いますが、
このようなネガティブなタイトルの本はなんとなく内容が想像ができるので
今まで敬遠していました。
1996年に単行本、本書は2007年の新装版の文庫ですが、
300ページほどですから、まぁ軽い気持ちで読んでみました。
「まえがき」では、超重戦車「マウス」などの100㌧戦車については
前著に書いているため割愛すると宣言されているとおり、
著者は1995年に「日本軍の小失敗の研究」と、本書の後の1998年にも
「連合軍の小失敗の研究」も書いている、小失敗研究の専門家です。
そして第1章「総合的な失敗」では、第1次大戦における2正面戦争での敗北を教訓とせず、
「ヒトラー、ゲーリングらは僅か21年後、再び、英仏に宣戦を布告するのであった」。
う~ん。ドイツが英仏に宣戦布告したって本・・、たまにありますね。。
続いてスペイン内戦での戦車と航空機に触れ、ドイツ軍のⅡ号戦車の性能が
ソ連のT-26やBT5快速戦車の足元にも及ばなかったのに、
その後はソ連の軍事力、兵器開発力を過小評価して、1941年に攻め込んだとして、
「これは一体、どのような理由からなのであろうか」と結びます。
結局、著者が読んだ歴史書には「本当に知りたい事柄」が書かれていなかったようで、
疑問を抱えたまま、この件についてはスルー・・。
「最悪のナンバー2 ゲーリングの大罪」として、ダメ国家元帥が権力を握り続けた
ルフトヴァッフェについて語ります。
ミルヒを中心にウーデット、イェショネクといった高官2人が自殺するという内部の軋轢も紹介し、
「ヒトラーが冷静に側近たちを見つめ、より有能なケッセルリンク、リヒトホーフェン、
バウムバッハなどを空軍のトップに据えておけば、状況はかなり変わったはずである」。
それからイタリアを筆頭としたルーマニア、ハンガリーなどの同盟国の存在。
特にイタリアは戦力だけは充実しているのに、ギリシャや北アフリカで敗北を重ねたことで
ドイツ軍は救援に向かわねばならなかったという話。
暗号機「エニグマ」を解読したとされる連合軍の「ウルトラ」では、
「解読されたとはとうてい考えられない」として、
「一般の戦史に書かれている事柄は虚構と判断したい」そうです。
ほ~。。そうですか。ヴィトゲンシュタインはエニグマ本を読んだことがないので、
今度、「エニグマ・コード 史上最大の暗号戦」を読んでみますかねぇ。
ドイツ3軍の他に武装SSが存在し、陸軍との摩擦があったという定番以外にも
最弱歩兵師団である「空軍歩兵師団」にも触れて、
ゲーリングがこのような組織を作ろうと思い立った真の理由は、
「ヒトラーは直属の親衛隊を持っている。自分も直属の戦闘部隊を持ちたい・・という
単純な欲求によるものとしか考えられない」ということですが、
この役立たず師団創設の経緯は「ラスト・オブ・カンプフグルッペIII」にも書かれていましたし、
直属の戦闘部隊なら、降下猟兵や「ヘルマン・ゲーリング師団」がそれに当たると思います。
他にも原爆開発はユダヤ人排除によって遅延し、ウクライナなどでの立ち振る舞いから
ウラソフによる「ロシア解放軍」設立にも言及し、ナチス政策の不備を挙げています。
第2章は「戦闘車両と火砲」です。
ドイツ軍はⅢ号戦車からティーガーまでの4種類の戦車を合計2万3000両生産したのに対して、
米国はシャーマンを5万3000両、ソ連はT-34を5万両も作り、連合軍との差は5倍とします。
そういうわけで、作りなれているⅣ号戦車を量産し、高性能のパンターに絞っての
大量生産とするべきだったと、「ティーガーの二種は無用の長物・・」といった解釈です。
もちろんティーガーが強力な戦車であったことは認めたうえで、
生産に手間がかかり過ぎるという観点からですね。
ティーガーがダメであれば、「列車砲ドーラ」なんてのはお話になりません。
一応、その巨大さを「戦艦大和」と比較します。
口径は大和の460㎜に対して、ドーラは800㎜、砲身長は21.3mに対して、32.5メートル。
砲弾に至っては大和の5倍の重さを撃ち出す史上最大の怪物ですが、
せいぜい「セヴァストポリ要塞」に登場したり、
1944年8月の「ワルシャワにおけるユダヤ人蜂起」に姿を見せたということです。。
著者は兵器には詳しいんでしょうが、わけわからん表現も所々に見受けられます。
あ~、1943年の「ワルシャワ・ゲットー蜂起」とゴッチャになってるんですねぇ。
第3章は「ドイツ空軍の小失敗」。
1940年の「バトル・オブ・ブリテン」におけるBf-109の戦いぶりにおいて、
1930年代の中頃に日本海軍が「増槽」と呼んでいた、ドロップタンクを装着しなかったことに
疑問を呈し、中型の双発爆撃機、He-111、Do-17、Ju-88の3種の性能もイマイチかつ、
同程度の大きさの爆撃機を複数生産したことも失敗とします。
4発爆撃機もFw-200コンドルは所詮、旅客機からの改造であり、
He-177グライフも2基のエンジンを1つにまとめるなどという凝ったことをやらず、
4つのプロペラという当たり前の設計を最初からしていればよかったということですね。
ジェット戦闘機では、有名なMe-262ではなく、ハインケルが先行開発していた
He-280を生産しなかったドイツ軍首脳の無能ぶりを詳しく検証します。
急降下爆撃機が英国戦艦を1隻も沈めることができなかった・・という話は、
面白かったですね。
上空からの爆弾では防御力のある戦艦を沈めるのは困難であり、
それを成し遂げるには「魚雷攻撃」、すなわち雷撃機が必要ということです。
確かにドイツの雷撃機って聞いたことがないですね。
「マルタ島攻防戦」でもイタリアの雷撃機が頑張ってたのが印象的だったくらいです。
高射砲をいくら増やしても連合軍爆撃機編隊への損害は頭打ちという件では、
米国が開発していた近接信管(マジックヒューズ)を開発できなかったのが残念・・として、
「もしこのマジックヒューズ付き砲弾があれば、撃墜率は5倍~10倍まで上昇したはずであった」
と断言します。
この信管は知りませんでしたが、そんな凄い代物なんですか。
ロケット戦闘機やナッター、ミステルにも触れながら、様々な試作機も紹介。
なかでもブローム・ウント・フォスBV141偵察機は左右非対称の変わりモノで、
操縦は極端に難しいであろうことはシロウトでもわかります。
こんな ↓ 写真を見ると、とても完成形とは思えませんね。
第4章は「ドイツ海軍の失敗」。「小失敗」じゃなく「失敗」なのは
英国の海軍力と比較して、「戦う前についていた勝負」としているからなんですね。
特に空母グラーフ・ツェッペリンの建造が始まっては中止を繰り返し、
遂には完成を見なかったことが大きな失策であったとします。
しかしその要因は「翼のあるものは自分のもの」と公言するゲーリングによる
政治的圧力と見るべき」としていますが、コレはどうかなぁ。。
最後の第5章では「ドイツ軍の優れていた部分」を無理やり紹介します。
個々の兵士としては特に粘り強く、「電撃戦」を編み出し、突撃砲も1万台量産。
車両の修理・回収部隊の手腕は超一流といった具合。
空軍ではV-2を含めたV-1、に、誘導ミサイルHs-293、誘導爆弾「フリッツX」の開発。
海軍の水上艦隊には著者はなぜか厳しく、よってUボートのⅦC型を量産を進め、
そのUボート・ブンカーの耐久性を褒めるくらいです。
読んでいて思ったのは「小失敗」の基準が一定ではないことです。
著者の考える良い兵器とはコストが安く、大量生産が可能で、革新的なアイデアで、
1950年台以降も古くならずに役に立つような素晴らしい兵器が、然るべき時に完成し、
効率よく運用できるモノ・・といった具合に感じました。
そしてうまく開発できなかった理由が不明だと、たくさん読んだ本に書かれていないとか、
やれヒトラーが悪い、ゲーリングが悪いと、短絡的な推測に終始します。
ドイツ軍全体としても1939年から戦争がはじまり、しかもそれが1945年まで続く・・
などと考えていた人間は皆無ですし、戦局も相手も刻々と変化。
後付けでもって、「あの時、これを選択していれば・・」ってことならば、
ヴィトゲンシュタインでさえ、ほとんどの兵器と戦略、戦術にダメ出しできますよ。。
巻末の参考文献を見てみると、パウル・カレルの戦記に始まり、
朝日ソノラマの戦史シリーズ、第二次世界大戦ブックスがかなり多く、
「ジャーマンタンクス」や、「第三帝国の興亡」なども挙げられていますが、
それらの本はこの「独破戦線」でも半分は紹介したモノでもありますし、
決して悪い本ではないものの、言ってしまえば古典の入門編のような書籍たちで、
コレらを元本にして「研究」とか、「教本」って謳っていいのか・・? と疑問に感じました。
特に戦略空軍についての分析は「東部戦線の独空軍」や「最後のドイツ空軍」の
パクリにも近いですし、T-34戦車の優越性の部分は読んでいても
「無敵! T34戦車」の受け売りであるとすぐにわかります。
「重戦車大隊記録集」を喜んで読んでしまうような人間にとっては、生産台数から
「ティーガーの二種は無用の長物・・」という評価をアッサリ下されると、
冷静に読もうとするのはなかなか大変です。
ドイツ軍の兵器ファンでも若干「Mっ気」があれば、悶絶しながら楽しめるかも知れません。
三野 正洋 著の「ドイツ軍の小失敗の研究」を読破しました。
本書をご存知の方、または読まれた方も多いのではと思いますが、
このようなネガティブなタイトルの本はなんとなく内容が想像ができるので
今まで敬遠していました。
1996年に単行本、本書は2007年の新装版の文庫ですが、
300ページほどですから、まぁ軽い気持ちで読んでみました。
「まえがき」では、超重戦車「マウス」などの100㌧戦車については
前著に書いているため割愛すると宣言されているとおり、
著者は1995年に「日本軍の小失敗の研究」と、本書の後の1998年にも
「連合軍の小失敗の研究」も書いている、小失敗研究の専門家です。
そして第1章「総合的な失敗」では、第1次大戦における2正面戦争での敗北を教訓とせず、
「ヒトラー、ゲーリングらは僅か21年後、再び、英仏に宣戦を布告するのであった」。
う~ん。ドイツが英仏に宣戦布告したって本・・、たまにありますね。。
続いてスペイン内戦での戦車と航空機に触れ、ドイツ軍のⅡ号戦車の性能が
ソ連のT-26やBT5快速戦車の足元にも及ばなかったのに、
その後はソ連の軍事力、兵器開発力を過小評価して、1941年に攻め込んだとして、
「これは一体、どのような理由からなのであろうか」と結びます。
結局、著者が読んだ歴史書には「本当に知りたい事柄」が書かれていなかったようで、
疑問を抱えたまま、この件についてはスルー・・。
「最悪のナンバー2 ゲーリングの大罪」として、ダメ国家元帥が権力を握り続けた
ルフトヴァッフェについて語ります。
ミルヒを中心にウーデット、イェショネクといった高官2人が自殺するという内部の軋轢も紹介し、
「ヒトラーが冷静に側近たちを見つめ、より有能なケッセルリンク、リヒトホーフェン、
バウムバッハなどを空軍のトップに据えておけば、状況はかなり変わったはずである」。
それからイタリアを筆頭としたルーマニア、ハンガリーなどの同盟国の存在。
特にイタリアは戦力だけは充実しているのに、ギリシャや北アフリカで敗北を重ねたことで
ドイツ軍は救援に向かわねばならなかったという話。
暗号機「エニグマ」を解読したとされる連合軍の「ウルトラ」では、
「解読されたとはとうてい考えられない」として、
「一般の戦史に書かれている事柄は虚構と判断したい」そうです。
ほ~。。そうですか。ヴィトゲンシュタインはエニグマ本を読んだことがないので、
今度、「エニグマ・コード 史上最大の暗号戦」を読んでみますかねぇ。
ドイツ3軍の他に武装SSが存在し、陸軍との摩擦があったという定番以外にも
最弱歩兵師団である「空軍歩兵師団」にも触れて、
ゲーリングがこのような組織を作ろうと思い立った真の理由は、
「ヒトラーは直属の親衛隊を持っている。自分も直属の戦闘部隊を持ちたい・・という
単純な欲求によるものとしか考えられない」ということですが、
この役立たず師団創設の経緯は「ラスト・オブ・カンプフグルッペIII」にも書かれていましたし、
直属の戦闘部隊なら、降下猟兵や「ヘルマン・ゲーリング師団」がそれに当たると思います。
他にも原爆開発はユダヤ人排除によって遅延し、ウクライナなどでの立ち振る舞いから
ウラソフによる「ロシア解放軍」設立にも言及し、ナチス政策の不備を挙げています。
第2章は「戦闘車両と火砲」です。
ドイツ軍はⅢ号戦車からティーガーまでの4種類の戦車を合計2万3000両生産したのに対して、
米国はシャーマンを5万3000両、ソ連はT-34を5万両も作り、連合軍との差は5倍とします。
そういうわけで、作りなれているⅣ号戦車を量産し、高性能のパンターに絞っての
大量生産とするべきだったと、「ティーガーの二種は無用の長物・・」といった解釈です。
もちろんティーガーが強力な戦車であったことは認めたうえで、
生産に手間がかかり過ぎるという観点からですね。
ティーガーがダメであれば、「列車砲ドーラ」なんてのはお話になりません。
一応、その巨大さを「戦艦大和」と比較します。
口径は大和の460㎜に対して、ドーラは800㎜、砲身長は21.3mに対して、32.5メートル。
砲弾に至っては大和の5倍の重さを撃ち出す史上最大の怪物ですが、
せいぜい「セヴァストポリ要塞」に登場したり、
1944年8月の「ワルシャワにおけるユダヤ人蜂起」に姿を見せたということです。。
著者は兵器には詳しいんでしょうが、わけわからん表現も所々に見受けられます。
あ~、1943年の「ワルシャワ・ゲットー蜂起」とゴッチャになってるんですねぇ。
第3章は「ドイツ空軍の小失敗」。
1940年の「バトル・オブ・ブリテン」におけるBf-109の戦いぶりにおいて、
1930年代の中頃に日本海軍が「増槽」と呼んでいた、ドロップタンクを装着しなかったことに
疑問を呈し、中型の双発爆撃機、He-111、Do-17、Ju-88の3種の性能もイマイチかつ、
同程度の大きさの爆撃機を複数生産したことも失敗とします。
4発爆撃機もFw-200コンドルは所詮、旅客機からの改造であり、
He-177グライフも2基のエンジンを1つにまとめるなどという凝ったことをやらず、
4つのプロペラという当たり前の設計を最初からしていればよかったということですね。
ジェット戦闘機では、有名なMe-262ではなく、ハインケルが先行開発していた
He-280を生産しなかったドイツ軍首脳の無能ぶりを詳しく検証します。
急降下爆撃機が英国戦艦を1隻も沈めることができなかった・・という話は、
面白かったですね。
上空からの爆弾では防御力のある戦艦を沈めるのは困難であり、
それを成し遂げるには「魚雷攻撃」、すなわち雷撃機が必要ということです。
確かにドイツの雷撃機って聞いたことがないですね。
「マルタ島攻防戦」でもイタリアの雷撃機が頑張ってたのが印象的だったくらいです。
高射砲をいくら増やしても連合軍爆撃機編隊への損害は頭打ちという件では、
米国が開発していた近接信管(マジックヒューズ)を開発できなかったのが残念・・として、
「もしこのマジックヒューズ付き砲弾があれば、撃墜率は5倍~10倍まで上昇したはずであった」
と断言します。
この信管は知りませんでしたが、そんな凄い代物なんですか。
ロケット戦闘機やナッター、ミステルにも触れながら、様々な試作機も紹介。
なかでもブローム・ウント・フォスBV141偵察機は左右非対称の変わりモノで、
操縦は極端に難しいであろうことはシロウトでもわかります。
こんな ↓ 写真を見ると、とても完成形とは思えませんね。
第4章は「ドイツ海軍の失敗」。「小失敗」じゃなく「失敗」なのは
英国の海軍力と比較して、「戦う前についていた勝負」としているからなんですね。
特に空母グラーフ・ツェッペリンの建造が始まっては中止を繰り返し、
遂には完成を見なかったことが大きな失策であったとします。
しかしその要因は「翼のあるものは自分のもの」と公言するゲーリングによる
政治的圧力と見るべき」としていますが、コレはどうかなぁ。。
最後の第5章では「ドイツ軍の優れていた部分」を無理やり紹介します。
個々の兵士としては特に粘り強く、「電撃戦」を編み出し、突撃砲も1万台量産。
車両の修理・回収部隊の手腕は超一流といった具合。
空軍ではV-2を含めたV-1、に、誘導ミサイルHs-293、誘導爆弾「フリッツX」の開発。
海軍の水上艦隊には著者はなぜか厳しく、よってUボートのⅦC型を量産を進め、
そのUボート・ブンカーの耐久性を褒めるくらいです。
読んでいて思ったのは「小失敗」の基準が一定ではないことです。
著者の考える良い兵器とはコストが安く、大量生産が可能で、革新的なアイデアで、
1950年台以降も古くならずに役に立つような素晴らしい兵器が、然るべき時に完成し、
効率よく運用できるモノ・・といった具合に感じました。
そしてうまく開発できなかった理由が不明だと、たくさん読んだ本に書かれていないとか、
やれヒトラーが悪い、ゲーリングが悪いと、短絡的な推測に終始します。
ドイツ軍全体としても1939年から戦争がはじまり、しかもそれが1945年まで続く・・
などと考えていた人間は皆無ですし、戦局も相手も刻々と変化。
後付けでもって、「あの時、これを選択していれば・・」ってことならば、
ヴィトゲンシュタインでさえ、ほとんどの兵器と戦略、戦術にダメ出しできますよ。。
巻末の参考文献を見てみると、パウル・カレルの戦記に始まり、
朝日ソノラマの戦史シリーズ、第二次世界大戦ブックスがかなり多く、
「ジャーマンタンクス」や、「第三帝国の興亡」なども挙げられていますが、
それらの本はこの「独破戦線」でも半分は紹介したモノでもありますし、
決して悪い本ではないものの、言ってしまえば古典の入門編のような書籍たちで、
コレらを元本にして「研究」とか、「教本」って謳っていいのか・・? と疑問に感じました。
特に戦略空軍についての分析は「東部戦線の独空軍」や「最後のドイツ空軍」の
パクリにも近いですし、T-34戦車の優越性の部分は読んでいても
「無敵! T34戦車」の受け売りであるとすぐにわかります。
「重戦車大隊記録集」を喜んで読んでしまうような人間にとっては、生産台数から
「ティーガーの二種は無用の長物・・」という評価をアッサリ下されると、
冷静に読もうとするのはなかなか大変です。
ドイツ軍の兵器ファンでも若干「Mっ気」があれば、悶絶しながら楽しめるかも知れません。
ヴィトゲンシュタイン様、こんばんは。
三野氏の著書はよく書店で見かけるので立ち読みはしましたがちょっと買う気にはなれませんでした。あまりに幼稚で・・・。事実誤認は初心者向けとはいえ絶対やってはいけないことですし。
後知恵で「たられば」本が書ければこんなに楽なことはないですよね。これをやっていくと最後には仮想戦記になってしまい虚しくなりそうです。第一、技術開発などは数%がモノになれば良いうほうではないでしょうか。むしろあの時代にあれほどの革新的技術が現実化したのは驚異的と言ってもいいと私は感じます。そして数か月後すら予想もできない激動の時代に翻弄された人々の行動や生き様に私は感動すら覚えます。ナチの親玉連中を擁護するつもりは毛頭ありませんけど。
米国が多大な予算をかけて開発したVT信管は弾丸の中にレーダーをつけるようなもので、当時の高射砲弾の砲弾時限式信管に比べ格段の精度で爆発します。攻撃する日本航空機は米軍艦船から撃ち出されるVT信管付きの高射砲弾で壊滅的な損害を受けたということです。
ナチス組織の支離滅裂さは少し戦記を読んだ人には常識ですが、その背景まで調べるのが研究者の役割でしょう。合理的に考えれば答えが出るんですがそうもいかないのが何故なのか。現在の日本でも幼稚園と保育園の統合すらできないのですからドイツ空軍にも装甲師団があるのもそれなりの理由があるんでしょうね。
by レオノスケ (2013-02-23 21:32)
ど~も。レオノスケさん。
VT信管の解説ありがとうございました。
本書はこの件のようにボクの知らない話もいくつかありました・・けど、「研究」っていうのはどうもねぇ。。
もうレオノスケさんに代弁していただきましたから、あまり書くこともありませんが、「ソコを調べろよっ!」って突っ込みたくなる一冊でしたね。
そうそう、立ち読みっていえば、amazonが執拗にオススメしてくる「萌えよ! 戦車学校」を先日、本屋さんでちょっと立ち読みしました・・。コンビニでエロ雑誌立ち読みするより恥ずかしくて、勉強になるのかは結局わからずじまい。。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-02-24 09:44)
こんにちは。
早速のレスありがとうございます。
私はドイツ製品を扱ってる仕事をしてるので、彼らの頻繁な改良や発想のユニークさを見てるとあきれるほどです。ドイツはやっぱり職人の国なんですね。
「萌えよ!戦車学校」ですか。本屋さんで立ち読みするのも躊躇しますよね。「ガールズ&パンツァー」というアニメもすごい内容でYouTubeで爆笑してしまいました。4号戦車や突撃砲がアニメ化され大人気とは恐ろしい時代になったもんです(笑)
by レオノスケ (2013-02-24 11:23)
ほほう、 レオノスケさんて、ある意味"プロ"だったんですねぇ。
>「ガールズ&パンツァー」というアニメ
いや~、そうですか。いろいろあるもんですねぇ。観るのがちょっと怖いですが、レオノスケさんが爆笑・・というのであれば、コッソリ観てみます。でも変な方向に走らないようにも気を付けないと。。
by ヴィトゲンシュタイン (2013-02-24 17:45)