仏レジスタンスの真実 -神話・伝説・タブーの終わり- [フランス]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
アルベール・シャンボン著の「仏レジスタンスの真実」を読破しました。
今回は実に2年ぶりとなる「フランスもの」です。
ナチス・ドイツに占領されたフランスというのは、コレが結構ヤヤコシイんですね。
まず、北フランスはドイツ軍政下になりますが、南部はペタン元帥のヴィシー傀儡政権に・・。
本書の主題である抵抗組織レジスタンスも、有名な「マキ」とか、いろいろな組織があり、
そこにロンドンからドゴールが絡んできて・・と、レジスタンスだけ取ってみても、
名の知れたジャン・ムーランもゲシュタポの手にかかって死んでしまってますし、
いろいろとレジスタンス本は出ていますが、なにかピンと来ない・・。
そこで広い視野でフランス・レジスタンスが如何なるものだったのかを知るにあたって、
1997年発刊で229ページの本書を選んでみました。
まずは巻頭に写真が20枚ほど掲載されていました。
1940年6月のドイツ軍によるパリ入場から、有名なヒトラーとエッフェル塔、
同じくレジスタンスであるジャン・ムーランに、1944年、蜂起したパリ市民、
そして捕虜となったドイツ軍将校と、凱旋したドゴールとルクレール将軍・・。
一番、興味深かったのはルーヴル美術館で「ミロのヴィーナス」を見るルントシュテット元帥です。
ちなみに表紙は第二次世界大戦ブックスの「パリ陥落」と同じ写真ですね。。
本文の前に「訳者まえがき」という形で、フランスの抵抗運動に関わる事柄を年表と小文で辿ります。
コレは本文が編年体ではなく、著者が問題とする項目ごとに記述してあるためで、
日本人読者向けに親切な構成ですね。
なかでも1942年に始まった「リヨン裁判」というのは特に印象的です。
ヴィシー政府のペタンが前政権に敗戦の責任を問うという政治裁判で、
被告となったのはダラディエ、ポール・レイノーら首相に、ガムラン参謀総長ら・・。
しかし、被告らの活発な反論に合い、ヴィシー側に都合の悪い事実が明るみに出て、
2ヵ月で中断・・。この裁判は触れられたくない「占領中のエピソード」であり、
訴訟記録は未だに公開されていないそうです。
続いて本文・・の前に戦後、各国の駐在大使を歴任した著者の「まえがき」。。
「私はいかなる資格で本書を書くか」として、1909年生まれの著者が1939年の総動員に志願し、
「フランスの戦い」に参加、休戦後は地下に潜行して抵抗運動に従事し、ゲシュタポに逮捕されて、
ブッヘンヴァルト強制収容所送りとなったという経歴が紹介されます。
こうして40ページからようやく第1章「占領」が始まります。
独仏休戦調停を無視して戦い続けた運動家はいくつかの組織に属し、
それらは「P0~P2」の種類に分類できます。
まずP0は、フランス上空で撃墜された連合軍パイッロトを助ける逃走ルートで働くとか、
武器などがパラシュート投下されるのを手伝ったりとかする「臨時の専従」。
それからP1が国鉄職員、警官、市町村職員といった職業を平常通り続けながら、
レジスタンスに目覚ましい貢献をした人々。
そしてゲシュタポに正体を暴かれ、完全に地下に潜り、
姓名身分を偽って生きるフランス人がP2です。
映画「大脱走」で、カフェで寛ぐドイツ軍将校を皆殺しにして、
ジェームズ・コバーン演じるセジウィックの逃走を助けるのが「P0」でしょうかね。
ペタン元帥のヴィシー政府の存在と役割にも言及しています。
特に同政権が存在したおかげで解放まで、さまざまな分野でドイツの要求に
ある程度ブレーキがかかったのは事実であるとし、
「わが国の支配者としてドイツ人ガウライターが任命されるよりも
遥かにマシであったことは、今なお否定できない」。
具体例として、ペタンの下で実権を握っていたラヴァル首相が
フランスSSのトップ、オーベルクSS中将と交わした妥協案によって、
ドイツ側はフランス系ユダヤ人は拉致しないと約束し、その代償として、
外国籍ユダヤ人の引き渡しを承認するという「恐ろしい取引」を紹介。
これによってパリにいた75000名のユダヤ人が助かり、
非占領地域から27000名が引き渡されるのでした。
第2部はメインとなる「抵抗」です。
ロンドンへと亡命したドゴールの「自由フランス」は、「戦うフランス」と改名しますが、
彼に対してはチャーチルでけではなく、ルーズヴェルト大統領も敵意を持っています。
それは憲法上の合法性はヴィシーにあって、ロンドンにはなく、
これは米国のような民主国とってなにより重要です。
さらに「精神的合法性」を主張するドゴールの態度は、好機を待って権力奪取を目論む
個人的野心の表れにしか見えません。
レジスタンスの諜報活動では、一般的に1944年のノルマンディ上陸作戦に貢献したことが
良く知られていますが、本書では1940年の「バトル・オブ・ブリテン」において、
英空軍が勝利を収めたのはフランス国内の基地から飛び立つ、ルフトヴァッフェの詳細な情報と、
襲撃地点を彼らから事前に知ることができたことが大きかったとしています。
最近、「バトル・オブ・ブリテン」読んでますので、印象的な話ですね。
そのノルマンディ上陸作戦でも、南から救援に駆け付けようとする武装SSの「ダス・ライヒ」が
レジスタンスの執拗な攻撃を連日受けた結果、腹立ちまぎれに「オラドゥール村」で
560人の女子供を教会で惨殺してしまう件まで書かれています。
ダス・ライヒ師団長ラマーディングが第58装甲軍団に送った報告書も登場し、
「鉄道網はテロリストによって支離滅裂状態にあり、容赦ない鎮圧を断行しないために
身動きが取れず、まったく腹立たしい」。
部下で百戦錬磨のオットー・ヴァイディンガーSS少佐も次のように書いています。
「ハーグ条約を無視して、兵士一人一人を常時標的にする"マキ"の
予測できない卑劣で卑怯な行動が、部下の士気をひどく低下させている」。
この時期、統合されたレジスタンスの武装勢力は「フランス国内軍(FFI)」となり、
「秘密軍(AS)」、「軍抵抗組織(ORA)」、「義勇兵パルチザン(FTP)」の
3つの勢力で構成されています。
しかし、「義勇兵パルチザン」とは、フランス共産党が指導する「国民戦線」の軍事部門であり、
他のレジスタンスとは大きく立場が違います。
それを理解するにはフランスが占領された1940年6月というのが、
独ソ不可侵条約によってドイツとソ連が、まだ同盟国であったことを思い出す必要があります。
当然、フランス共産党員はドイツ軍に抵抗などしてはならず、
翌年、ドイツ軍が「バルバロッサ作戦」を発動したことによって、フランス国内においても
党として味方の占領軍が、はじめて敵へと変貌を遂げるわけですね。
そして戦後、共産党はこの当初戦わなかった事実を
「欺瞞工作」によって隠ぺいしようとするのでした。
ドゴールの命を受けていたジャン・ムーランが逮捕された後には、
ドゴールの政治顧問を務めていたピエール・ブロソレットもゲシュタポに逮捕されます。
しかし秘密を語るのを恐れた彼はゲシュタポ・ビルの6階から身を投げるのでした。
う~む。。さすがこの人、アンディ・ガルシア似だけのことはあります。。
後半はドゴールのアピールに呼応して抵抗に決起していたのであり、
国内レジスタンスはロンドンから組織され、「戦うフランス」とは解放まで絆で結ばれていた・・
という、いまでもフランスで広く信じられている伝説と神話に挑みます。
1940年6月18日にロンドンBBC放送でドゴールが行った呼びかけを聞いたフランス人は
極めて少数であり、聞いた者も悲劇的な時期に外国から語りかける無名の将軍のアピールには
たいした注意を払わなかった・・ということです。
実際、地下活動をしている国内レジスタンスのことなどロンドンでは1942年にならないと
知ることもできず、情報がもたらされるようになってからも、
その貴重な情報を英国政府に伝え、おのれを売り込む手段としか見ていません。
そして解放されたパリに凱旋し、シャンゼリゼをパレードするドゴールは
レジスタンスの代表ビドーに対し、「一歩、下がってくれたまえ」と言うのでした。
また、レジスタンスによって行われた対独協力者への略式処刑の実態にも触れています。
この数字は諸説ありますが、本書では「占領中の処刑」が5234件。
「解放中、解放後の処刑」が3114件、という数字を支持しています。
結局、副題となっている「神話・伝説・タブーの終わり」というのは
ほとんどドゴールに対するものであり、
「レジスタンスはロンドンからドゴールが組織、指導した」という神話に異を唱えるものです。
本書は現代のフランス人向けに書かれたものですから、
ヴィトゲンシュタインのようなレベルの日本人としては、もともと
「ドゴール神話」なるものを知らなかったので、本書の展開はちょっと違和感がありました。
また、そういった意味では、戦時中から戦後のフランスで起こったことの
ある程度の知識がないと、読んでいて苦しいかも知れません。
それに原文なのか、訳に問題があるのかはわかりませんが、
いまひとつ読みにくいハッキリしない表現が多くて、
2行くらいの文章でもナニが言いたいのか良くわからず、読み直すこと18回はありました。。
と、今回はレジスタンスの行動というよりも、ドゴールを中心とした政治的背景、
個人的には共産党と、その背後にいるソ連の存在が大変勉強になりました。
本書にも触れられている「パリ開放」については、アントニー・ビーヴァーの
「パリ解放 1944-49」という560ページの大作が8月末に出ましたが、
フランスといえば「ココ・シャネル」ということで、去年の12月に
「戦場のクリスマス -20世紀の謎物語-」のコメントで教えていただいた、
「ココ・シャネルはナチスのスパイだった」という本も8月末に発売されていました。
タイトルは「誰も知らなかったココ・シャネル」というもので、さすがに
原題の「敵と寝て-ココ・シャネルの秘密戦争」とか、「シャネルとナチス・・うんぬん」といった
センセーショナルなタイトルではありませんが、とても気になります。
アルベール・シャンボン著の「仏レジスタンスの真実」を読破しました。
今回は実に2年ぶりとなる「フランスもの」です。
ナチス・ドイツに占領されたフランスというのは、コレが結構ヤヤコシイんですね。
まず、北フランスはドイツ軍政下になりますが、南部はペタン元帥のヴィシー傀儡政権に・・。
本書の主題である抵抗組織レジスタンスも、有名な「マキ」とか、いろいろな組織があり、
そこにロンドンからドゴールが絡んできて・・と、レジスタンスだけ取ってみても、
名の知れたジャン・ムーランもゲシュタポの手にかかって死んでしまってますし、
いろいろとレジスタンス本は出ていますが、なにかピンと来ない・・。
そこで広い視野でフランス・レジスタンスが如何なるものだったのかを知るにあたって、
1997年発刊で229ページの本書を選んでみました。
まずは巻頭に写真が20枚ほど掲載されていました。
1940年6月のドイツ軍によるパリ入場から、有名なヒトラーとエッフェル塔、
同じくレジスタンスであるジャン・ムーランに、1944年、蜂起したパリ市民、
そして捕虜となったドイツ軍将校と、凱旋したドゴールとルクレール将軍・・。
一番、興味深かったのはルーヴル美術館で「ミロのヴィーナス」を見るルントシュテット元帥です。
ちなみに表紙は第二次世界大戦ブックスの「パリ陥落」と同じ写真ですね。。
本文の前に「訳者まえがき」という形で、フランスの抵抗運動に関わる事柄を年表と小文で辿ります。
コレは本文が編年体ではなく、著者が問題とする項目ごとに記述してあるためで、
日本人読者向けに親切な構成ですね。
なかでも1942年に始まった「リヨン裁判」というのは特に印象的です。
ヴィシー政府のペタンが前政権に敗戦の責任を問うという政治裁判で、
被告となったのはダラディエ、ポール・レイノーら首相に、ガムラン参謀総長ら・・。
しかし、被告らの活発な反論に合い、ヴィシー側に都合の悪い事実が明るみに出て、
2ヵ月で中断・・。この裁判は触れられたくない「占領中のエピソード」であり、
訴訟記録は未だに公開されていないそうです。
続いて本文・・の前に戦後、各国の駐在大使を歴任した著者の「まえがき」。。
「私はいかなる資格で本書を書くか」として、1909年生まれの著者が1939年の総動員に志願し、
「フランスの戦い」に参加、休戦後は地下に潜行して抵抗運動に従事し、ゲシュタポに逮捕されて、
ブッヘンヴァルト強制収容所送りとなったという経歴が紹介されます。
こうして40ページからようやく第1章「占領」が始まります。
独仏休戦調停を無視して戦い続けた運動家はいくつかの組織に属し、
それらは「P0~P2」の種類に分類できます。
まずP0は、フランス上空で撃墜された連合軍パイッロトを助ける逃走ルートで働くとか、
武器などがパラシュート投下されるのを手伝ったりとかする「臨時の専従」。
それからP1が国鉄職員、警官、市町村職員といった職業を平常通り続けながら、
レジスタンスに目覚ましい貢献をした人々。
そしてゲシュタポに正体を暴かれ、完全に地下に潜り、
姓名身分を偽って生きるフランス人がP2です。
映画「大脱走」で、カフェで寛ぐドイツ軍将校を皆殺しにして、
ジェームズ・コバーン演じるセジウィックの逃走を助けるのが「P0」でしょうかね。
ペタン元帥のヴィシー政府の存在と役割にも言及しています。
特に同政権が存在したおかげで解放まで、さまざまな分野でドイツの要求に
ある程度ブレーキがかかったのは事実であるとし、
「わが国の支配者としてドイツ人ガウライターが任命されるよりも
遥かにマシであったことは、今なお否定できない」。
具体例として、ペタンの下で実権を握っていたラヴァル首相が
フランスSSのトップ、オーベルクSS中将と交わした妥協案によって、
ドイツ側はフランス系ユダヤ人は拉致しないと約束し、その代償として、
外国籍ユダヤ人の引き渡しを承認するという「恐ろしい取引」を紹介。
これによってパリにいた75000名のユダヤ人が助かり、
非占領地域から27000名が引き渡されるのでした。
第2部はメインとなる「抵抗」です。
ロンドンへと亡命したドゴールの「自由フランス」は、「戦うフランス」と改名しますが、
彼に対してはチャーチルでけではなく、ルーズヴェルト大統領も敵意を持っています。
それは憲法上の合法性はヴィシーにあって、ロンドンにはなく、
これは米国のような民主国とってなにより重要です。
さらに「精神的合法性」を主張するドゴールの態度は、好機を待って権力奪取を目論む
個人的野心の表れにしか見えません。
レジスタンスの諜報活動では、一般的に1944年のノルマンディ上陸作戦に貢献したことが
良く知られていますが、本書では1940年の「バトル・オブ・ブリテン」において、
英空軍が勝利を収めたのはフランス国内の基地から飛び立つ、ルフトヴァッフェの詳細な情報と、
襲撃地点を彼らから事前に知ることができたことが大きかったとしています。
最近、「バトル・オブ・ブリテン」読んでますので、印象的な話ですね。
そのノルマンディ上陸作戦でも、南から救援に駆け付けようとする武装SSの「ダス・ライヒ」が
レジスタンスの執拗な攻撃を連日受けた結果、腹立ちまぎれに「オラドゥール村」で
560人の女子供を教会で惨殺してしまう件まで書かれています。
ダス・ライヒ師団長ラマーディングが第58装甲軍団に送った報告書も登場し、
「鉄道網はテロリストによって支離滅裂状態にあり、容赦ない鎮圧を断行しないために
身動きが取れず、まったく腹立たしい」。
部下で百戦錬磨のオットー・ヴァイディンガーSS少佐も次のように書いています。
「ハーグ条約を無視して、兵士一人一人を常時標的にする"マキ"の
予測できない卑劣で卑怯な行動が、部下の士気をひどく低下させている」。
この時期、統合されたレジスタンスの武装勢力は「フランス国内軍(FFI)」となり、
「秘密軍(AS)」、「軍抵抗組織(ORA)」、「義勇兵パルチザン(FTP)」の
3つの勢力で構成されています。
しかし、「義勇兵パルチザン」とは、フランス共産党が指導する「国民戦線」の軍事部門であり、
他のレジスタンスとは大きく立場が違います。
それを理解するにはフランスが占領された1940年6月というのが、
独ソ不可侵条約によってドイツとソ連が、まだ同盟国であったことを思い出す必要があります。
当然、フランス共産党員はドイツ軍に抵抗などしてはならず、
翌年、ドイツ軍が「バルバロッサ作戦」を発動したことによって、フランス国内においても
党として味方の占領軍が、はじめて敵へと変貌を遂げるわけですね。
そして戦後、共産党はこの当初戦わなかった事実を
「欺瞞工作」によって隠ぺいしようとするのでした。
ドゴールの命を受けていたジャン・ムーランが逮捕された後には、
ドゴールの政治顧問を務めていたピエール・ブロソレットもゲシュタポに逮捕されます。
しかし秘密を語るのを恐れた彼はゲシュタポ・ビルの6階から身を投げるのでした。
う~む。。さすがこの人、アンディ・ガルシア似だけのことはあります。。
後半はドゴールのアピールに呼応して抵抗に決起していたのであり、
国内レジスタンスはロンドンから組織され、「戦うフランス」とは解放まで絆で結ばれていた・・
という、いまでもフランスで広く信じられている伝説と神話に挑みます。
1940年6月18日にロンドンBBC放送でドゴールが行った呼びかけを聞いたフランス人は
極めて少数であり、聞いた者も悲劇的な時期に外国から語りかける無名の将軍のアピールには
たいした注意を払わなかった・・ということです。
実際、地下活動をしている国内レジスタンスのことなどロンドンでは1942年にならないと
知ることもできず、情報がもたらされるようになってからも、
その貴重な情報を英国政府に伝え、おのれを売り込む手段としか見ていません。
そして解放されたパリに凱旋し、シャンゼリゼをパレードするドゴールは
レジスタンスの代表ビドーに対し、「一歩、下がってくれたまえ」と言うのでした。
また、レジスタンスによって行われた対独協力者への略式処刑の実態にも触れています。
この数字は諸説ありますが、本書では「占領中の処刑」が5234件。
「解放中、解放後の処刑」が3114件、という数字を支持しています。
結局、副題となっている「神話・伝説・タブーの終わり」というのは
ほとんどドゴールに対するものであり、
「レジスタンスはロンドンからドゴールが組織、指導した」という神話に異を唱えるものです。
本書は現代のフランス人向けに書かれたものですから、
ヴィトゲンシュタインのようなレベルの日本人としては、もともと
「ドゴール神話」なるものを知らなかったので、本書の展開はちょっと違和感がありました。
また、そういった意味では、戦時中から戦後のフランスで起こったことの
ある程度の知識がないと、読んでいて苦しいかも知れません。
それに原文なのか、訳に問題があるのかはわかりませんが、
いまひとつ読みにくいハッキリしない表現が多くて、
2行くらいの文章でもナニが言いたいのか良くわからず、読み直すこと18回はありました。。
と、今回はレジスタンスの行動というよりも、ドゴールを中心とした政治的背景、
個人的には共産党と、その背後にいるソ連の存在が大変勉強になりました。
本書にも触れられている「パリ開放」については、アントニー・ビーヴァーの
「パリ解放 1944-49」という560ページの大作が8月末に出ましたが、
フランスといえば「ココ・シャネル」ということで、去年の12月に
「戦場のクリスマス -20世紀の謎物語-」のコメントで教えていただいた、
「ココ・シャネルはナチスのスパイだった」という本も8月末に発売されていました。
タイトルは「誰も知らなかったココ・シャネル」というもので、さすがに
原題の「敵と寝て-ココ・シャネルの秘密戦争」とか、「シャネルとナチス・・うんぬん」といった
センセーショナルなタイトルではありませんが、とても気になります。
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