秘密警察 ゲシュタポ -ヒトラー帝国の兇手- [SS/ゲシュタポ]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
E.クランクショウ著の「秘密警察 ゲシュタポ」を読破しました。
遂に4冊目となった「ゲシュタポ本」の紹介となります。
原著は「ゲシュタポ・狂気の歴史」よりもさらに古い、1956年というものですが、
あちらの翻訳版が2000年に再刊されたのに対して、1972年発刊で294ページの本書は、
なかなか綺麗な古書が見つからなかったために、お預け状態となっていました。
今回は帯付きの綺麗なものを800円で購入できましたが、
我ながらゲシュタポ好きだなぁ・・と呆れ気味です。。
第1章で「ゲシュタポの誕生」に4ページ触れた後、「ヒムラーとSS」の章で
本格的に本文が始まります。
簡単にヒムラーの生い立ちを紹介しますが、いきなり
「ヒムラーの人間性を分析しようとする試みはすべて失敗に終わっており、
成功するはずがないと思っている」と、
正常な人間が、狂人を理解することは不可能・・ということのようですね。
ユダヤ=ボルシェヴィキが「人間以下の動物」であるという信念のもとに、
強制収容所で身の毛もよだつ人体実験を行ったとして、ヒムラーの秘蔵っ子である
「ダッハウの勇者」ジークムント・ラシャー空軍医師が行った低体温実験なども紹介。
しかし「単なる動物」に対しては心優しいヒムラーは、狩り愛好家のゲーリングを非難します。
「あの血に飢えた犬の畜生は動物と見れば手当たり次第に殺してる」と
鹿狩りで失われる命を「可哀想に・・」と専属マッサージ師のケルステンに語るのでした。
本書は主にニュルンベルク裁判の公式記録を参考にしていますが、
このようにケルステンや、V2ロケット開発のドルンベルガーの回想録も引用して進みます。
続く章は「ハイドリヒとSD」です。
ゲシュタポ物では常にヒムラーとセットで登場するハイドリヒ。
部下とか右腕とかいう表現では計り知れないこの人物については、
「バイオリン、スキー、フェンシング、諜報技術、さらには飛行機の操縦と、
手を出したものすべてを完璧にやり遂げさせたものは、なんとしても他人に負けまいとする
止むことのない野望であり、彼はそのために狂うほど頑張ることが出来た」として、
ハイドリヒがもし暗殺されなければいつかは「総統」になったであろう・・
という話題の現実性を検討し、このように結論付けます。
「彼は総統の地位に必ず挑戦する。しかし、それが成功する前に、
ヒムラーが彼の首をへし折るように手を回すのも、同じように確実である」。
このようにヒムラーとハイドリヒという2大人物を紹介した後で、
1933年、プロイセン内務大臣となったゲーリングによってプロイセン政治警察が
ゲシュタポとして生まれ変わり、後にヒムラーとハイドリヒの手に渡って完成するといった
いわゆる「ゲシュタポの歴史」へと進んでいきますが、
もちろん過去に紹介したものと大筋は変わりません。
しかし本書はこの歴史の前半戦の攻防が細かくて非常に楽しめました。
プロイセンの警察長官に任命されたのは若いSS大将ダリューゲですが、
ゲーリングにしてみれば、個人的に必要な「恐喝装置」との間にSSを割り込ませたくありません。
そこでナチ党との関係もなく、プロイセン警察で反共活動担当だった33歳のディールスを抜擢し、
プロイセン内務省の分局として独立させ、ゲシュタポとして大臣官房へ編入。
これによって、ヒムラーの子分のSSどもに干渉されずに
自らの敵を恐喝することが出来るようになります。
ディールスに率いられた幼いゲシュタポは、当時はまだ犠牲者を逮捕しては
SA(突撃隊)の収容所所長に引き渡すのが仕事。
巨大だった褐色のSAや、黒のSS連中の暴力と残忍さは持っていません。
プロイセンのゲーリングvsバイエルンのヒムラーの警察権力の代理戦争に
巻き込まれたようなディールスはSA、SSに逮捕された人々を救ったり、
SA、SS幹部と口論したりと権力闘争が続きます。
最終的に敗北したディールスは戦後、「悪魔が戸口に来た」という回想録を書いているそうで、
本書は参考にしていますが、コレは面白そうですねぇ。
「作られた無秩序」と題された第6章も非常にうまく書かれています。
ドイツは西欧の国としては昔から警察権力が強かったそうで、プロイセンでは
ネーベが長官となった刑事警察(クリポ)に、ゲシュタポとなった政治警察の2つの私服部門、
制服組は秩序警察(オルポ)に保護警察(シュポ)。
独立したゲーリングのゲシュタポ以外は警察長官のダリューゲの指揮下にあるわけですが、
SSのヒムラーのベルリンにおける代行者であるダリューゲは、
彼がヒムラーに対して責任を負うのは「ベルリンSS隊長」としてだけであり、
「プロイセン警察長官」としての官職はゲーリングに対して責任があるんですね。
まぁ、相変わらずのナチ国家・・というか、SSはナチ党の組織であり、
ゲシュタポを含む警察は国家の組織。
両方を兼務している人間がこれから多くなると、ヴィトゲンシュタインもいつも混乱しますが、
著者は「もし、読者が名目上の権限と行政の権限の奇妙な重複と分割に閉口したとすれば、
事情通になったと自負してよろしい。著名な法律家が集まったニュルンベルク裁判でさえ、
もつれをほどき、体系の輪郭を明らかにすることは出来なかった。
なぜか?そもそも明確な輪郭が存在しなかったからである」。
これは国家と行政を推進し、改革できる有能な人材が必要なのは当然ながら、
暴力しか取柄の無い古参党員にも、それなりの役職を与えねばならなかったという
ヒトラーの問題もありますし、ゲーリングのようにヒムラーのような小僧をバカにして、
その最期までSS嫌いだったという、幹部のライバル争いも要因だったと改めて感じました。
もし、ヒムラーがゲーリングに「名誉SS元帥」なんていうスーパー名誉職を与えようとしたなら、
ゲーリングは受けたんでしょうかね?
1935年になってディールスの後任にヒムラーとハイドリヒがやって来ると、
ゲーリングもすべてを手放すことになり、お互いの共通の邪魔者である、
SAとレームの粛清に進むことになります。
そして「国家秘密警察=ゲシュタポ」は、同じハイドリヒ指揮下の「ナチ党保安防諜部=SD」と
ガッチリ手を結び、一体の組織として、恐るべき権力を持ったナチス警察が誕生するのでした。
1936年にはSS全国指導者ヒムラーがドイツ警察長官となり、
ゲシュタポもハイドリヒを長とする国家保安本部(RSHA)に再編されて、
こうなると、もはやドイツ国内に敵は存在しえません。
彼らの次なる敵は、ユダヤ人であり、「水晶の夜事件」と、併合したオーストリアやチェコ、
そしてポーランドのユダヤ人絶滅へと向かいます。
本書も半分あたりまで来ると、ゲシュタポ長官のミュラー、ユダヤ人移送の責任者アイヒマン、
その移送先でゲシュタポの管轄から離れたクラーマー、コッホ、ズーレン、ヘースといった
名だたる強制収容所の所長たち、彼らの上官であるグリュックスにポールといった責任者、
ヴィルトにグロボクニクといった悪名高い警察幹部。
さらには「バービイ・ヤール」のブローベルやイェッケルン、オーレンドルフといった
アインザッツグルッペン関係者全員集合・・となりますが、
今回は端折って、ゲシュタポらしい部分を紹介しましょう。
まずはゲシュタポの「平常業務」である拷問です。。。
もうゲシュタポ、イコール、拷問というくらいの代名詞ですから、
一部のサディストだけが行ったものではなく、彼らが訓練を受けたという拷問が
いくつか紹介されていました。
ソ連の拷問は「自身の罪を告白」させるために行われますが、
ゲシュタポの目的は「別の人物について」口を割らせるために行われます。
腎臓を殴り続けたり、顔が肉塊になるまで蹴り続けたり、
足の爪をひとつひとつ剥がしたりするのはごく当たり前。
鞭打ちに、はんだごてを用いて火傷、氷の水槽に投げ込んで窒息。
頭を締め上げる鉄バンドに、後ろ手に手錠をかけて引き上げ、長時間放置。
睾丸の捻転は常習的。小型の装置を使って睾丸を押し潰すのでさえ、一般的・・。
直腸とペニスに固定した電極に電流を流すというテクニックもあるそうですが、
コレをされると、ナニがどうなるんでしょうか??
また彼らの得意技は隣りの部屋で女囚を拷問し、その声が自分の妻だと思わせる心理作戦です。
フランスのゲシュタポではオーベルクとクノッヘンが活躍します。
占領軍に危害を加えた報復として、合計3万名ものフランス人が銃殺され、
1941年10月にナントの軍指揮官を背後から射殺した事件の贖いとして、
人質50名が射殺された件では、名簿を準備したのがヴィシー政府の内相
ピュシューだったということです。
戦後、絞首刑となったとありますが、自分で銃殺隊を指揮した人ですね。
最後にゲシュタポといえば「大脱走」。本書にもこの件が登場します。
ヒトラーの緊急個人命令に基づき、「脱走将校の半数以上は再逮捕後、射殺さるべし」
との命令をハイドリヒ亡き後のRSHA長官、カルテンブルンナーから渡され、
衝撃を受けるのは、ドイツ国外まで及ぶ捜索を担当していた刑事警察長官ネーベです。
すでに軍司令部とゲシュタポのミュラーも同様の命令を受けていたそうですが、
ひょっとしたら映画でバス停に張り込んで、ビッグXとマックを英語で引っ掛けたおっさんは
正確にはゲシュタポじゃなくて、クリポなのかも・・。
しかしゲシュタポ物っていうのは、やっぱりそれに特化するのが難しいようですね。
まず、SDとの関係、それからRSHAとしての一組織、そして強制収容所・・と、
SSのあらゆる組織とも密接に関係していますし、場合によっては国防軍も。。
早い話、ゲシュタポ単独で成し遂げる仕事というのはほとんどないにも関わらず、
ホロコーストを含めた、あらゆる問題に関与していたと言えるでしょう。
本書では、そういうことを踏まえたうえで、アウシュヴィッツなども取り上げていますが、
あくまで戦後わずか10年のその時代が求める内容だと思いますし、
それらの細かい話は「別の書籍を参照されたい」と最低限に止めて、
極力、ゲシュタポそのものを解明しようと心がけているのが好感が持てるところでした。
E.クランクショウ著の「秘密警察 ゲシュタポ」を読破しました。
遂に4冊目となった「ゲシュタポ本」の紹介となります。
原著は「ゲシュタポ・狂気の歴史」よりもさらに古い、1956年というものですが、
あちらの翻訳版が2000年に再刊されたのに対して、1972年発刊で294ページの本書は、
なかなか綺麗な古書が見つからなかったために、お預け状態となっていました。
今回は帯付きの綺麗なものを800円で購入できましたが、
我ながらゲシュタポ好きだなぁ・・と呆れ気味です。。
第1章で「ゲシュタポの誕生」に4ページ触れた後、「ヒムラーとSS」の章で
本格的に本文が始まります。
簡単にヒムラーの生い立ちを紹介しますが、いきなり
「ヒムラーの人間性を分析しようとする試みはすべて失敗に終わっており、
成功するはずがないと思っている」と、
正常な人間が、狂人を理解することは不可能・・ということのようですね。
ユダヤ=ボルシェヴィキが「人間以下の動物」であるという信念のもとに、
強制収容所で身の毛もよだつ人体実験を行ったとして、ヒムラーの秘蔵っ子である
「ダッハウの勇者」ジークムント・ラシャー空軍医師が行った低体温実験なども紹介。
しかし「単なる動物」に対しては心優しいヒムラーは、狩り愛好家のゲーリングを非難します。
「あの血に飢えた犬の畜生は動物と見れば手当たり次第に殺してる」と
鹿狩りで失われる命を「可哀想に・・」と専属マッサージ師のケルステンに語るのでした。
本書は主にニュルンベルク裁判の公式記録を参考にしていますが、
このようにケルステンや、V2ロケット開発のドルンベルガーの回想録も引用して進みます。
続く章は「ハイドリヒとSD」です。
ゲシュタポ物では常にヒムラーとセットで登場するハイドリヒ。
部下とか右腕とかいう表現では計り知れないこの人物については、
「バイオリン、スキー、フェンシング、諜報技術、さらには飛行機の操縦と、
手を出したものすべてを完璧にやり遂げさせたものは、なんとしても他人に負けまいとする
止むことのない野望であり、彼はそのために狂うほど頑張ることが出来た」として、
ハイドリヒがもし暗殺されなければいつかは「総統」になったであろう・・
という話題の現実性を検討し、このように結論付けます。
「彼は総統の地位に必ず挑戦する。しかし、それが成功する前に、
ヒムラーが彼の首をへし折るように手を回すのも、同じように確実である」。
このようにヒムラーとハイドリヒという2大人物を紹介した後で、
1933年、プロイセン内務大臣となったゲーリングによってプロイセン政治警察が
ゲシュタポとして生まれ変わり、後にヒムラーとハイドリヒの手に渡って完成するといった
いわゆる「ゲシュタポの歴史」へと進んでいきますが、
もちろん過去に紹介したものと大筋は変わりません。
しかし本書はこの歴史の前半戦の攻防が細かくて非常に楽しめました。
プロイセンの警察長官に任命されたのは若いSS大将ダリューゲですが、
ゲーリングにしてみれば、個人的に必要な「恐喝装置」との間にSSを割り込ませたくありません。
そこでナチ党との関係もなく、プロイセン警察で反共活動担当だった33歳のディールスを抜擢し、
プロイセン内務省の分局として独立させ、ゲシュタポとして大臣官房へ編入。
これによって、ヒムラーの子分のSSどもに干渉されずに
自らの敵を恐喝することが出来るようになります。
ディールスに率いられた幼いゲシュタポは、当時はまだ犠牲者を逮捕しては
SA(突撃隊)の収容所所長に引き渡すのが仕事。
巨大だった褐色のSAや、黒のSS連中の暴力と残忍さは持っていません。
プロイセンのゲーリングvsバイエルンのヒムラーの警察権力の代理戦争に
巻き込まれたようなディールスはSA、SSに逮捕された人々を救ったり、
SA、SS幹部と口論したりと権力闘争が続きます。
最終的に敗北したディールスは戦後、「悪魔が戸口に来た」という回想録を書いているそうで、
本書は参考にしていますが、コレは面白そうですねぇ。
「作られた無秩序」と題された第6章も非常にうまく書かれています。
ドイツは西欧の国としては昔から警察権力が強かったそうで、プロイセンでは
ネーベが長官となった刑事警察(クリポ)に、ゲシュタポとなった政治警察の2つの私服部門、
制服組は秩序警察(オルポ)に保護警察(シュポ)。
独立したゲーリングのゲシュタポ以外は警察長官のダリューゲの指揮下にあるわけですが、
SSのヒムラーのベルリンにおける代行者であるダリューゲは、
彼がヒムラーに対して責任を負うのは「ベルリンSS隊長」としてだけであり、
「プロイセン警察長官」としての官職はゲーリングに対して責任があるんですね。
まぁ、相変わらずのナチ国家・・というか、SSはナチ党の組織であり、
ゲシュタポを含む警察は国家の組織。
両方を兼務している人間がこれから多くなると、ヴィトゲンシュタインもいつも混乱しますが、
著者は「もし、読者が名目上の権限と行政の権限の奇妙な重複と分割に閉口したとすれば、
事情通になったと自負してよろしい。著名な法律家が集まったニュルンベルク裁判でさえ、
もつれをほどき、体系の輪郭を明らかにすることは出来なかった。
なぜか?そもそも明確な輪郭が存在しなかったからである」。
これは国家と行政を推進し、改革できる有能な人材が必要なのは当然ながら、
暴力しか取柄の無い古参党員にも、それなりの役職を与えねばならなかったという
ヒトラーの問題もありますし、ゲーリングのようにヒムラーのような小僧をバカにして、
その最期までSS嫌いだったという、幹部のライバル争いも要因だったと改めて感じました。
もし、ヒムラーがゲーリングに「名誉SS元帥」なんていうスーパー名誉職を与えようとしたなら、
ゲーリングは受けたんでしょうかね?
1935年になってディールスの後任にヒムラーとハイドリヒがやって来ると、
ゲーリングもすべてを手放すことになり、お互いの共通の邪魔者である、
SAとレームの粛清に進むことになります。
そして「国家秘密警察=ゲシュタポ」は、同じハイドリヒ指揮下の「ナチ党保安防諜部=SD」と
ガッチリ手を結び、一体の組織として、恐るべき権力を持ったナチス警察が誕生するのでした。
1936年にはSS全国指導者ヒムラーがドイツ警察長官となり、
ゲシュタポもハイドリヒを長とする国家保安本部(RSHA)に再編されて、
こうなると、もはやドイツ国内に敵は存在しえません。
彼らの次なる敵は、ユダヤ人であり、「水晶の夜事件」と、併合したオーストリアやチェコ、
そしてポーランドのユダヤ人絶滅へと向かいます。
本書も半分あたりまで来ると、ゲシュタポ長官のミュラー、ユダヤ人移送の責任者アイヒマン、
その移送先でゲシュタポの管轄から離れたクラーマー、コッホ、ズーレン、ヘースといった
名だたる強制収容所の所長たち、彼らの上官であるグリュックスにポールといった責任者、
ヴィルトにグロボクニクといった悪名高い警察幹部。
さらには「バービイ・ヤール」のブローベルやイェッケルン、オーレンドルフといった
アインザッツグルッペン関係者全員集合・・となりますが、
今回は端折って、ゲシュタポらしい部分を紹介しましょう。
まずはゲシュタポの「平常業務」である拷問です。。。
もうゲシュタポ、イコール、拷問というくらいの代名詞ですから、
一部のサディストだけが行ったものではなく、彼らが訓練を受けたという拷問が
いくつか紹介されていました。
ソ連の拷問は「自身の罪を告白」させるために行われますが、
ゲシュタポの目的は「別の人物について」口を割らせるために行われます。
腎臓を殴り続けたり、顔が肉塊になるまで蹴り続けたり、
足の爪をひとつひとつ剥がしたりするのはごく当たり前。
鞭打ちに、はんだごてを用いて火傷、氷の水槽に投げ込んで窒息。
頭を締め上げる鉄バンドに、後ろ手に手錠をかけて引き上げ、長時間放置。
睾丸の捻転は常習的。小型の装置を使って睾丸を押し潰すのでさえ、一般的・・。
直腸とペニスに固定した電極に電流を流すというテクニックもあるそうですが、
コレをされると、ナニがどうなるんでしょうか??
また彼らの得意技は隣りの部屋で女囚を拷問し、その声が自分の妻だと思わせる心理作戦です。
フランスのゲシュタポではオーベルクとクノッヘンが活躍します。
占領軍に危害を加えた報復として、合計3万名ものフランス人が銃殺され、
1941年10月にナントの軍指揮官を背後から射殺した事件の贖いとして、
人質50名が射殺された件では、名簿を準備したのがヴィシー政府の内相
ピュシューだったということです。
戦後、絞首刑となったとありますが、自分で銃殺隊を指揮した人ですね。
最後にゲシュタポといえば「大脱走」。本書にもこの件が登場します。
ヒトラーの緊急個人命令に基づき、「脱走将校の半数以上は再逮捕後、射殺さるべし」
との命令をハイドリヒ亡き後のRSHA長官、カルテンブルンナーから渡され、
衝撃を受けるのは、ドイツ国外まで及ぶ捜索を担当していた刑事警察長官ネーベです。
すでに軍司令部とゲシュタポのミュラーも同様の命令を受けていたそうですが、
ひょっとしたら映画でバス停に張り込んで、ビッグXとマックを英語で引っ掛けたおっさんは
正確にはゲシュタポじゃなくて、クリポなのかも・・。
しかしゲシュタポ物っていうのは、やっぱりそれに特化するのが難しいようですね。
まず、SDとの関係、それからRSHAとしての一組織、そして強制収容所・・と、
SSのあらゆる組織とも密接に関係していますし、場合によっては国防軍も。。
早い話、ゲシュタポ単独で成し遂げる仕事というのはほとんどないにも関わらず、
ホロコーストを含めた、あらゆる問題に関与していたと言えるでしょう。
本書では、そういうことを踏まえたうえで、アウシュヴィッツなども取り上げていますが、
あくまで戦後わずか10年のその時代が求める内容だと思いますし、
それらの細かい話は「別の書籍を参照されたい」と最低限に止めて、
極力、ゲシュタポそのものを解明しようと心がけているのが好感が持てるところでした。
こんにちは。ハイドリヒは「第2次大戦紳士録」でホリエさんも面白い人物として取り上げていたので気になっています。。。が、ゲシュタポの拷問と人体実験はやはりきついなあ。。。(汗
週末、オカルト系に詳しいドイツ人と話しましたら、「ヒムラーがチャネラーだったという噂があるんだけどw」と話を振ったら「ありえる話」って肯定されましたw。彼曰く「占いとか信仰が制限された期間があるから、その類の事が出来るのはある意味特権だった。」というふうに説明されましたが、真相やいかに~です。ドイツ人から肯定されると矢追さんのデッチ上げってわけではなかったのねえ、と腑に落ちてしまいます。。。。www
by IZM (2012-10-01 21:56)
「第2次大戦紳士録」でのハイドリヒは興味ありますねぇ。やっぱり買ってみようかな?
ヒムラーやゲッベルス、ヒトラーも占星術とか真剣にやっていたという話もよく読みますが、当時は割と普通のことだったようで、こういうのも現代人からしてみればナチス=オカルトって解釈される気もします。
>週末、オカルト系に詳しいドイツ人と話しましたら
これにヤラれました。。
by ヴィトゲンシュタイン (2012-10-02 09:16)
>「第2次大戦紳士録」
各人物像に取っているページ数が少ないので(ヒトラーで2P、ハイドリヒに2P、一番多いのでパウルス中将の3P,他の人物たちは大体1Pづつ)ヴィト様みたいに沢山知識がある方がよんだらかなり大雑把な内容かもです。。。ワタシは大勢の人物の印象をとりあえず一通り得られるかな?と思って手に取った感じなので。買う前に一度中身を確認された方がいいかもです。 内容の半分は大日本帝国軍人です。個人的には薬丸自顕流の宗家が大戦で亡くなっていたとかの記述が自分が武道やってるので興味深かったですが。
>オカルト系に詳しいドイツ人
なかなか見つからないw類のドイツ人なんですよね~w この人には以前ワタシのブログで紹介した「ハノーバーの怪談」を投下してもらったりしています。
by IZM (2012-10-02 15:26)
細かい紹介ありがとうございました。今度、神保町で立ち読みしてみます。
>以前ワタシのブログで紹介した「ハノーバーの怪談」
検索して見ようと思ったら、わざわざリンク張っていてもらってスイマセン・・。こういうちょっとした心遣いに最近、もっぱら弱くなりました。
で・・、
>黒澤明の「夢」のワンシーン、死んだ日本兵達の行進
お~ぅ。。久しぶりにこのシーン思い出しました。
この映画はロードショーで観ましたよ。雪女とかもあったりしましたが、確か日本兵の霊がトンネルで行進するんでしたっけ??
22年前に観たシーンをパッと思い出すってのは、やっぱり凄い映画なんですねぇ。ボクが初めて黒沢監督の映画観たのは、その前の「乱」をロードショーで観たときですが、10代だったにも関わらず、感動しました。それ以来、何作か古いの(用心棒、羅生門、静かなる決闘とか)を観ていますが、来週TVで「椿三十郎」をやるので、楽しみにしているところです。
by ヴィトゲンシュタイン (2012-10-02 20:52)