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ヒトラーとスターリン -死の抱擁の瞬間- 〈上〉 [ナチ/ヒトラー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アンソニー・リード, デーヴィッド・フィッシャー共著の「ヒトラーとスターリン〈上〉」を読破しました。

「ヒトラーとスターリン」というタイトルだと、アラン・ブロックの全3巻「対比列伝ヒトラーとスターリン」
の方が有名かもしれませんが、本書の原題は表紙のイラストが物語っているとおり、「死の抱擁」。
「悪魔の契約」とも云われる、1939年のポーランド侵攻直前に締結された
「独ソ不可侵条約」の全貌を英国BBCのジャーナリストが追ったものです。
2001年発刊で2段組の上下巻を購入したのはほぼ3年前・・。
今、最初から読み始めたところですが、どうも30ページほど読んだ形跡が・・。
覚えていませんが、購入当時にちょっと読んで、挫折していたようですね。。

ヒトラーとスターリン上.jpg

その30ページほどを再び読んでみると、生涯、一度も会うことのなかったヒトラーとスターリン。
多くの歴史家が語る「もしも2人が会っていたならお互いを理解しえただろうし、
戦争も起こらなかった」などという都合の良い考えは、
両国を取り囲む現実を無視したモノである・・、として
紀元前5世紀の初期のスラヴ族とチュートンの一部族であるゴート人の話まで遡って、
両種族間の反目が現代まで絶えることがなかったと解説します。

そしてスラヴ民族を劣った人種としながらも、彼らに席捲される恐怖に脅えていたドイツ民族。
20世紀初頭の帝政ロシアの人口が1億7千万人だったのに対して、
ドイツの人口は約1/3・・。さらにその差は広がるばかり・・。
その理由はスラブ人の出生率がドイツ人の3倍だったからという話では、
ヒトラー政権が、なぜあれほど出産を激励し、「母親十字章」まで制定したのか・・が
わかったような気がしました。

mutter und kind.jpg

続いて第1次大戦に敗北した、ドイツとロシア。
その両国から多くの領土を奪ったばかりでなく、その住人までさらって誕生した新生ポーランドには
「存続の権利はない」という考えで一致していた両国。。
ヴェルサイユ条約で10万人に制限されたゼークトのドイツ軍とロシア軍が
友好的な軍事協力と貿易を続けますが、ヒトラーの台頭によってそれも半減・・。
外交に暗いヒトラーは外国生活経験者のリッベントロップを特命大使に任命し・・
という1938年のオーストリア併合までの独ソ両国の外交を中心に解説されます。

ズデーテンラント要求では、独英仏伊の4ヵ国によるミュンヘン会談が・・。
当該国であるチェコの会議参加も認められなかったという話は良くありますが、
ココでは共産主義を頑として憎しみ続けた英首相チェンバレンによって、
ソ連の会議出席が無視されたことが、スターリンの心に焼きついた・・としています。

Klapp-Postkarte zum Münchner Abkommen 1938.jpg

2人の怒りっぽい巨人に挟まれているポーランドの中心人物は
偉大な英雄ピウスツキー元帥のお気に入りとしてのし上がった、44歳の外相のベック大佐です。
彼らの外交政策の原則は2つの隣国と友好関係を結び、決してどちらか一方に与しないこと・・。
そのベックは1939年早々にヒトラーの山荘に招かれ、独ポの懸案となっている
ダイツィヒと回廊問題を話し合い、両国が以前から目を付けているウクライナをを奪取して
分け合おうなどというヒトラーの提案が・・。

hitler_Jozef beck.jpg

興味深かったのは当時、ポーランドではユダヤ人に対する暴力行為が激しくなり、
ドイツよりも多い、40万人のユダヤ人がポーランドから逃げ出し、
さらにポーランド政府はマダガスカル島へ追放する案を出したとして、
コレがナチスがこの有名な案を検討し始める以前のことだとしています。

1939年3月、ズデーテンラントだけではなくチェコそのものまで飲み込んでしまったヒトラーを危惧し、
英ポ仏ソの4ヵ国が協議を検討しようとすると、
ソ連が関わることはヒトラーを怒らせてしまうことを理由にポーランドのベックは拒否しますが、
英仏ソと組んで対抗しようと英国の圧力が・・。
ここから、ポーランドを巡る大国の思惑が激しくなり、
ヒトラーは東西の大国が今まで同様、傍観してくれることを望んで侵攻作戦を立て、
スターリンは英仏とヒトラー、どちらと組むことが利益になるのか・・?

chamberlain hitler.jpg

ヒトラーの2時間にも及ぶ演説は、ソ連に対しての批判や悪口が一言もなく終わると、
ユダヤ人のソ連外相リトヴィノフが突如解任され、首相のモロトフが外相に・・。
このようにヒトラー、スターリン双方がお互いに対してサインを送り出しますが、
派手に手を差し伸べて断られるような、みっともない真似だけは避けねばなりません。

モスクワではロシア人からも好かれ、尊敬されている貴族のドイツ大使、シューレンブルクが
頻繁にモロトフを訪ね、リッベントロップと外務省の次官、57歳のヴァイツゼッカーらが、
スターリンの本心を探ろうと懸命です。
ヴァイツゼッカーの息子は、後の大統領で知られていますが、シューレンブルクも
ベルリン・ダイアリー」で主人公の「おじさま」的人物で印象に残っていた人です。
2人とも反ヒトラー派なんですね。。

Graf von der Schulenburg.jpg

英国では海外総軍監督で15ヵ国語を操るアイアンサイド将軍がポーランド軍を視察し、
騎兵隊が草原を疾走するロマンチックで感動的な姿に怒りを覚え、
その作戦計画と装備のお粗末さに呆れかえり、「武器調達の金を早く送れ」と
ロンドンを急き立てますが、内閣はフランスも出すなら・・と渋るのでした。。
しかし、この将軍も「ダンケルク」で登場する人物で、本書は今まで
ちょっと気になっていた人物が多く出てくるのが、実に楽しめます。

Edmund_Ironside.jpg

ポーランド侵攻まであと1ヶ月となった7月末、ヒトラーはバイロイト音楽祭に出席し、
10日間のワーグナー浸けの日々を送る一方、英国では議会が8月4日から休会し、
チェンバレンと外相のハリファックスも夏休みの釣りと狩りの準備に大わらわ・・。
再開は10月3日です。。
しかし英仏はこの間に、軍事使節団をモスクワに送り、ソ連との軍事協定についての交渉を
だらだら長引かせる戦略を立てているのでした。

Berchtesgaden, Germany, 1939, Hitler hosting a charity concert at his home.jpg

以外に面白かったのが、この英仏の軍事代表団がモスクワを訪れ、
ヴォロシーロフを中心としたソ連側軍事代表と連日、暑苦しい攻防を繰り広げるシーンです。
特に、いざ戦争となった際にどれだけの兵力を投入できるのか?と聞かれた英仏ですが、
ソ連が裏でドイツと繋がっていて、スパイの役目をしているのでは・・という疑念が拭えません。
一旦、席を外して「作戦会議」。
「とりあえず、3倍に水増しして言っておけ。どうせ向こうは1/3に見るだろうから・・」。
しかし、その水増しの数字でも「少なすぎる!」と信用しないヴォロシーロフ。。
もちろんその後、提示されたソ連側の戦力もまったく信用しない英仏です。

Kliment Voroshilov.jpg

さらに全権を委任している証明として自らの経歴を説明する英国代表団団長ドラクス。
ガーター勲章の説明では、その歴史にソ連側も畏怖の念を感じるものの、
バス勲章がそのままロシア語に訳されると、さしものヴォロシーロフ元帥も
「風呂勲章とはいったい・・?」と驚きを隠せません。。

Order of the Bath  Breast Star.jpg

その間にも侵攻に向けてポーランドを挑発し続け、英仏の介入が起こらないことを確信し、
モスクワでの英仏の交渉が不調であることから勇気づけられたヒトラー。
スターリンは英仏と軍事交渉する反面、政府としてはドイツと密かに交渉中・・と、
どちらのカードに賭けるか、未だ思惑中・・。
しかし、ドイツ軍の攻撃日程まであと1週間余りとなって、東へ進出したドイツ軍が
どこで停止するかは誰もわかることではなく、「不可侵条約」が調停されれば、
ソ連国境の手前で停止してくれる・・とスターリンは信じるのです。

Panzer IV Ausf. A tanks parading in Sudetenland, Germany, Oct 1938.jpg

一方のヒトラーはスターリンの「じらし作戦」の前に地獄の責苦のような緊張が続きます。
そしてスターリン宛ての「私信」を書くという、型破りな行動に打って出ます。
翌8月21日、「スターリンが呑んだ!モスクワへ飛んで奴と条約を締結するぞ!」と
スターリンから届いた返信に大興奮するヒトラー。
この私信が「型破りな行動」だった理由とは、当時、西側では公的地位を持たないスターリンの
存在を公式に認めておらず、国家元首ではなく、首相ですらなく、単なる党書記長に過ぎない
スターリンに誰も手紙を書いたり、話をしたりしたことがなかったということです。

the day he was elected as a Chancellor.jpg

まさに同じ国際社会の除け者の独裁者心理を嗅ぎ取った、ヒトラーの動物的直感力が
この「独ソ不可侵条約」が締結したカギのようですね。
そしてヒトラーから「何でも呑め」と言われて早速、モスクワへ飛ぶリッベントロップ。
ヒトラーの連絡官ヘーヴェルに通訳のシュミット、ヴァイツゼッカーに写真家ホフマンが従い、
大使のシューレンブルクも長年モスクワにいながら、初めてスターリンと対面することに・・。

Abschluß des Hitler-Stalin Paktes.jpg

英仏が誰も知らない軍人たちを送って来てグズグズするのに対して、
ドイツが全権を持った外相を送って来たことも、ソ連のプライドをくすぐり、
空港にはモスクワ映画撮影所の「反ナチ映画」の撮影に使われていた
「鉤十字の旗」が集められ、なかには古い逆向きの「」の旗も・・。
ソ連の軍楽隊はにわか仕込みの「世界に冠たる我がドイツ」も演奏します。
万が一、この曲を知らない方は ↓ をどうぞ・・。



いかがでしたか?
ヴィトゲンシュタインは3番しか歌えません・・。
ちなみにソ連の軍楽隊はナチ党党歌「ホルスト・ヴェッセル・リート」も演奏しようと
奔走したそうですが、楽譜が手に入らず断念・・。

この電撃的な協定の結果、日本では衝撃を受けた平沼内閣が倒れ、
ドイツ国内ではナチ党員がイデオロギー的な裏切り行為であるとして、
ナチ党本部である「褐色の家」に外した腕章を投げ込んで抗議したことに心を痛めるヒトラー。。
ソ連でもそれまで「ファシストのハイエナ」と報道されていたナチスは、
「ドイツ当局」という表現へとすぐさま変更・・。
スターリンは語ります。「これはもちろんどっちが巧く相手を騙すかというゲームだ。
ヒトラーは巧く出し抜いたと思っているだろうが、実は出し抜いたのは私の方だ」

Newsweek_1939 Stalin Ribbentrop.jpg

上下2段組の文字が326ページ、ビッシリと続く本書ですが、
途中2箇所で10数枚ずつ写真が掲載されています。
ポーランドの騎兵隊の写真では、「ベルリンのウンター・デン・リンデンまで疾駆突撃すると自信満々」
という切ないキャプションが笑えますし、条約を締結させたリッベントロップを
「でかした!」大喜びで迎えるヒトラーとその面々の写真。
SS副官当時のあのマックス・ヴュンシェも右端で嬉しそうですね。
しかしキャプションではSS副官なんぞには触れず、
リッベントロップの背中越しの「ヴァイツゼッカーの表情が気乗りしない様子・・・」と。

Ribbentrop und Hitler freuen sich über den Abschluss des Freundschafts und Wirtschaftsvertrages mit Stalin, inklusive seiner geheimen Zusatzabkommen.jpg

前半の100ページあたりまでは、なかなかシンドイ展開で、
「こりゃ、2~3年前に挫折したのもしゃあないなぁ・・」と自己正当化・・。
しかしソコを過ぎると、本書ではじめて知った重要な登場人物たちにも慣れてきて、
独ソと英仏、ポーランドといった当該国以外のイタリア、日本の思惑なども絡んだ
国際政治の駆け引きがコレでもか・・と続き、良い悪いは別にして、
各国の方針・・それが必ずしもひとつではない・・ことが楽しみながら理解できました。

他にもドイツ国防軍では陸軍最高司令官のブラウヒッチュに参謀総長のハルダー
防諜部(アプヴェーア)のカナリスに、SSのハイドリヒと"やくざ者"ナウヨックス仕掛けた作戦
英国と陰で交渉するゲーリングと、その友人でスウェーデン実業家ダーレルス。
危機の迫るダンツィヒの様子と大管区指導者フォルスターといった面々も登場します。

Albert_Forster.jpg

予想に反し、この上巻で「死の抱擁の瞬間」を迎えてしまいましたが、
下巻はポーランド戦と1941年、スターリンに殴りかかるヒトラーまでが描かれているようです。



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しゅり

ヴィトゲンシュタインさん、こんにちは。
ソ連とドイツに挟まれ、ポーランドは本当に大変でしたよね。
蹂躙という言葉が本当にふさわしく思える国です。

さて「世界に冠たるドイツ」・・・いいですねえ~。
私、ドイツ人でもないですが凄くこの曲を聴くと感動にうちふるえます(笑)。
私、今日はヴィトゲンシュタインさんに質問があって参りました。
なんと歌について。
歌の話題もブログに出ていて勝手にシンクロ感じています。

ヴィトゲンシュタインさん、「シンドラーのリスト」ってご覧になったことありますか?
私、この映画が大好きで最近も3度も観てしまっているのですが
(トータルでは相当観ています)
この映画の最初の方でSS(だと私は思っているのですが)が行進しながら歌っている歌があるんですけど、それ何て歌なのか非常に気になっています。
ここんところ毎日頭の中でグルグル鳴っています。
という訳でヴィトゲンシュタインさんに聞けばきっとわかるはず!と思いやってきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

by しゅり (2012-05-02 06:24) 

IZM

>風呂勲章とはいったい・・?
ツボにはまりましたwwwwwwww

ポーランドは本当に大変でしたね。
ご近所さんから聞いたんですが、戦後しばらくは、ポーランド人が西ドイツにくると、市庁舎から100マルクプレゼントされてたらしいですよ。ワタシが聞いたのは多分60年代くらいの話ですが。

現在ドイツも日本と同じく出産平均が下がってるので「母親十字章」でなくとも、何かしら奨励するような制度があってもいいのにと思ってします今日この頃です。
by IZM (2012-05-02 18:28) 

ヴィトゲンシュタイン

しゅりさん。こんばんは。
「世界に冠たるドイツ」、喜んでもらえてよかったです。
ボクはサッカーが好きなので、ワールドカップでドイツが強かった頃、国歌斉唱で覚えてしまいました。
フランスの「ラ・マルセイエーズ」も気合が入るので好きなんですけど、このドイツ国歌は重厚で、感動しますよねぇ。特に最後の繰り返しの前の、パパパパパ~ン・・って盛り上がるところは、いつもゾクっ・・とします。

で、本題ですが、「シンドラーのリスト」ですが、ロードショーでも観ていますが、DVDも持っていますので、ちょっとその
>最初の方でSS(だと私は思っているのですが)が行進しながら歌っている
部分を観てみましたが、、これは難題ですね・・。

結論から言うと、行進しながら歌っているのは国防軍(陸軍の歩兵部隊)のようですが(その前後のシーンでユダヤ人を虐めているのがSSです)、聞き覚えの無い歌でした。。。
伝統あるドイツ陸軍の歌となると、数多そうなのでコレは難しいですね。
ご期待に副えなくて申し訳ないので、ドイツ軍歌/国防軍関連曲のあるサイトを紹介します。
ココにあると良いんですけどねぇ。
http://gunka.sakura.ne.jp/wahrmacht.htm


by ヴィトゲンシュタイン (2012-05-02 19:33) 

ヴィトゲンシュタイン

はっは・・「風呂勲章」に喰いつかれるとは・・。
本書の本質とはまったく関係のない、ボクのやっちまった系部分に喜んでもらえると、わざわざ書いた甲斐があったというもんです。自分が気に入った個所で決して、ウケ狙いじゃないんですけどね。
>100マルクプレゼント
コレも凄い話だなぁ。。
IZMさんも、もうお一人頑張れば、「母親十字章」銅賞ですね。ウチの母親は4人生みましたから、 銅賞買って、仏壇に飾ろうかと思ってしまう今日この頃です。
by ヴィトゲンシュタイン (2012-05-02 20:04) 

しゅり

ヴィトゲンシュタインさん、こんばんは。

あれは国防軍なのですね。
そういえばあのヘルメットはそうですよね。。。。
ヴィトゲンシュタインさんにお聞きすれば一挙氷解する!と思っていたのですが
さすがのヴィトゲンシュタインさんも難しいのですね。
でも、サイトを教えてくださってありがとうございます。
探してみます!

さて、私も風呂顕彰とはいったい・・・・と思ったのですが
バス顕彰とは一体なんですか?
ガーターもよく聞きますよね。
これはちゃんと通じたのにバス顕彰は風呂顕彰で怪訝な顔・・・
通訳の問題ですよね、きっと??
by しゅり (2012-05-02 23:21) 

しゅり

再度、こんばんは、ヴィトゲンシュタインさん。
歌!見つけました。
≪ERIKA≫でした。
ヴィトゲンシュタインさんの紹介してくださったサイトに≪ERIKA≫がありました。
でも、とっても明るい感じでした。
シンドラー~では結構重々しく感じなんで、もっと力強い士気の上がる歌かと思っていましたが女性を想う歌だったのでビックリ。
私、歌詞の中でFlugeleinと聞こえたので、空軍関係の歌かなーとも疑っていたのですが、FlugeleinではなくてBlümeleinの聞き間違いでした。
調べてみたら戦局の激化に伴い軍歌行進曲調になったらしいので映画ではそのバージョンが使われているのでしょうね。
どうもありがとうございました!
わかってすっきりしました。
by しゅり (2012-05-03 04:04) 

ヴィトゲンシュタイン

ガーターもバスも英国の由緒ある騎士団勲章で、いろいろある騎士団勲章 のなかでもガーターが最高位なんだそうです。
で、バス勲章はOrder of the Bathというんですが、本書では通訳がBathをわざわざ風呂と訳してしまったんですね。それでヴォロシーロフが喰いついてしまった・・と。しかもドラクスはガーター勲章ほどバス勲章についての知識がなくて、「超現実的想像力を発揮して説明をでっち上げ」。
曰く、旅にやつれて帰国した騎士が王のもとに参上して冒険の数々を報告し、それが手柄と認められた場合、王の浴室で湯浴みをさせるのである。これがバス勲章の由来である。。

じゃあ、正確にはなんなの??と気になって調べてみると、wikiなんかでは「名称はかつて騎士の叙任式に清めの入浴(bath=風呂)を行ったことから来ていると言われる。」
と、たいして変わらないような、結局、「~来ていると言われる。」とハッキリしてないんですよね。まぁ、wikiは参考程度にしか信じてないんですが。。
ということで、いまのところコレも良くわかっていません。もう古すぎて、諸説あるのかも知れませんが、もうちょっと調べてみるつもりです。


by ヴィトゲンシュタイン (2012-05-03 04:10) 

ヴィトゲンシュタイン

お~と、こんな時間にタイミングが合いましたね。。
あのサイトだけでも数多いから大変だったでしょう??
なにはともあれ、見つかって良かったです。
>戦局の激化に伴い軍歌行進曲調になったらしい
ふ~む。確かリリー・マルレーンもそんな感じで行進曲調とか、いろいろなバージョンがあったような・・。
by ヴィトゲンシュタイン (2012-05-03 04:17) 

しゅり

ヴィトゲンシュタインさん、おはようございます!
バス勲章の説明をありがとうございました。
そういう由来なのですね。
通訳って日常の言葉から歴史や故事、ことわざ、外来語とありとあらゆるものに通じていないといけないゆえ、知らない言葉に通訳中に出会うと心臓に非常に悪いそうですが、これはまさにそういうことですよね。
知らないんだもの、風呂と言うしかないですよね。。。。

さて、あんまり明るいERIKAはどーもなぁ・・・って感じです(笑)。
しかし、女性の名前が出て想うような軍歌なんて日本じゃ考えられませんよねえ。
by しゅり (2012-05-04 05:52) 

ヴィトゲンシュタイン

>あんまり明るいERIKAはどーもなぁ・・・って感じです
あ~、そういう気持ち、よくわかります。。
ボクが探し物するときは、日本語から始まって、英語やドイツ語、ロシア語から、とにかく読めなくてもその国の怪しいキーワードのコピペで検索しています。
ひょっとしてドイツ語で検索すれば、重々しい≪ERIKA≫に巡り合えるかも知れませんよ。

by ヴィトゲンシュタイン (2012-05-04 19:23) 

しゅり

ヴィトゲンシュタインさん、おはようございます。
>ひょっとしてドイツ語で検索すれば
はい。
既に検索済みです(笑)。
でも、いまだ明るいERIKAにしか出会えません。
悔しいです。
by しゅり (2012-05-05 04:58) 

さくら

こんにちは。
ヒトラーのメガネ写真はじめて見ました。
存在するのですね。
レアですねー。

ところでスターリンがこの時期「国家元首じゃない」なら、だれが国家元首なのですか?
by さくら (2015-02-15 22:26) 

ヴィトゲンシュタイン


ヒトラーのメガネ・・言われてみれば確かにレアですね。
以前にもう一枚、「グデーリアン回想録」で白黒の写真を載せています。

http://ona.blog.so-net.ne.jp/2009-09-23

1939年当時の国家元首はカリーニンです。
ソ連最高会議幹部会議長がソレにあたりますが、名誉職的な位置づけですね。
西側や日本でも「大統領」と訳されることもあります。
まぁ、現在のドイツ大統領の名前を日本人が知らないのと一緒でしょう。
この老ボルシェビキはスターリンにとって何の害もなかったので、粛清されることなく、戦時中もそのままの地位。
スターリンは結局、1941年に首相になりますが、この大統領職には就かなかったので、その意味では一度も国家元首にはならなかった・・と言えるかもしれません。

ついでに書くと「ソ連人民委員会議議長」が首相に該当するので、
大統領=カリーニン
首相=モロトフ
党書記長=スターリン
という、名目上のいわゆるトロイカ体制なわけです。


by ヴィトゲンシュタイン (2015-02-16 07:24) 

さくら

名誉職ですか。
で、建前上はモロトフ>スターリンですか。
ややこしいですね。

ところでもっとページ数の少ないスターリン本を2冊読んでみましたが、本当に血も涙もないですね。
ヒトラーは悪い奴でも可愛いところもあるので感情移入できますが……。
スターリンは「作者が新解釈を打ち出そうとスターリンの優しさを探しているのに、見つからなかった」という制作過程がなんとなく本ににじみ出ていました。
by さくら (2015-02-16 13:09) 

ヴィトゲンシュタイン

それほどややこしくもないですよ。
首相モロトフが「番長」なら、書記長スターリンは「裏番」ということです。。

何という本を読まれたのかが気になるところですね。
「戦場のクリスマス」という本では、娘のスヴェトラーナとパパ・スターリンとの、ほのぼのとしたエピソードが印象的でした。

http://ona.blog.so-net.ne.jp/2011-12-22

ヒトラーとスターリンを比較する時、理解しておくことがあります。
それはヒトラーが小さいながらも党首となって、最終的に党と共にドイツの独裁者になったのに対して、スターリンはソ連と党のボス、レーニンが斃れたことで、その跡目争いに勝利した独裁者ということです。
簡単に言うと、ヒトラーは一代目、スターリンは二代目なんですね。
ヒトラーもその過程で、意見の食い違うライバルのシュトラッサーやレームを追い出したり、粛清しましたが、政権を獲るために使えそうな人間を必要としました。
しかしスターリンにはその必要が無く、トロツキーを筆頭にライバルだけでなく、過去の自分を知っている者、気に入らない者、意見に従わない者、何かを企んでいそうな者、すべてを粛清。
ヒトラーのように恫喝して従わせるんじゃなく、危険そうな奴は殺して足場を固めようという思考です。

ですからスターリンのやり方がナチスで起こったかというと、
もし1939~40年にヒトラーがポックリと倒れたら・・なんて夢想すると楽しいですよ。
二代目争いでどんなことが起こったでしょうか??
総統代理のヘス、事実上のNo.2ゲーリング、だけど、ゲッベルスは承知しないでしょう。
ゲッベルスだったら、ナチ党党首選挙を実施しようと提案して、大々的に立候補して大宣伝活動するかな??

でもヒムラーも黙っていないでしょう。
警察権とゲシュタポを持っているSSは強力で、ゲーリングを横領容疑で告発するし、ゲッベルスは多くの少女に手を出したカドでピンチに・・。
もちろん全力でヒムラーをバックアップするのはハイドリヒです。
そして首尾よく、ヒムラーが二代目になれば、今後はSS全国指導者が総統になることにして、一年後にはヒムラーが事故死か病死、三代目としてハイドリヒにその座が回ってくるという・・。
いまビール呑みながら書いてますが、面白いですね。ハイドリヒ悪い奴っちゃなぁ。本書けるな。

by ヴィトゲンシュタイン (2015-02-16 20:10) 

さくら

裏番ですか。
橋下市長>松井知事と思えばいいのですね。

>ヒトラーのように恫喝して従わせるんじゃなく、危険そうな奴は殺して足場を固めよう

こっちの方が強力ですね。
でも、大量の無実の部下を殺しまくる奴は嫌だわ。

あ、最近読んだのは「スターリン 非道の独裁者の実像」です。
作者は「スターリンの隠された人間らしい心」的なことを言うのですが、具体例が極めて乏しいのです。

ドイツ軍に捕まった息子の捕虜交換に応じなかった時、「スターリンは苦しんでいるように見えた」と側近が「思った」。

なぜ思ったのかは書いてない。
つまり、ただの思い込みかも知れない。

「スベトラーナを可愛がった」と書いてあるけど、これも具体例はない。

300ページ読んで、こんなことが1-2行書いてあるだけで、「そうか、スターリンも優しさあるのか」とはとても思えません。

しかも、一番目の妻の親族を粛清したこと、2番目の妻の家族を投獄したこととかは、伏せてある。
(「2番目の妻の自殺は粛清の嵐に関係あるだろう」……とぼやけた書き方をするのみ)

誤魔化してまで「新解釈」を出そうとしてるのに、「ネタがない」みたいな……。

ちょっと、この作者にも不満がありますけどね。

ヴィトゲンシュタインさん小説ではハイドリヒが大悪党ですか。
陰謀自体は好きなので、悪党対決は楽しめます。
ヘスはあっという間にやられそうですが。



by さくら (2015-02-16 21:25) 

ヴィトゲンシュタイン

「スターリン 非道の独裁者の実像」

なるほど、コレはボクも気になっていた一冊です。
なかなかの書評じゃないですか。
ボクは日本人著者のソ連・スターリンものは読んだことがないかな??
歴史的に当時のソ連を日本人が肯定的に書くのは無理だと思っています。
もちろんナチスもダメだけれど、まだ同盟国だったという経緯があるし、日本人にはユダヤ人問題がリアルに伝わらないことから、日本ではナチス文化がいくらか認められていると認識している次第です。
著者が何人かってコト、結構大事ですよね。

>ヘスはあっという間に
もう、書く必要なしってコトで。。

by ヴィトゲンシュタイン (2015-02-16 22:57) 

さくら

書評じゃなくて感想です!
「  」で書いてるけど、一言一句そのままでは全然なくて、あくまでニュアンスですよ。

ヒトラーはそうなんです。
同盟国というポジションにいたからだけど、少なくとも石油輸出を止めて日本を干上がらせたり、原爆落としたりしてないんですよね。
むしろ、真珠湾攻撃の後、後押しして対アメリカ参戦してくれたくらいで。(イタリアも)
それを「100%悪魔のナチス」「正義の連合軍」に納得しろと言われても、「うるさい。ふざけんな」と言いたくなるのです。
by さくら (2015-02-17 03:08) 

ヴィトゲンシュタイン

あ・あ、失礼しました。感想ですね。

どういう視点で歴史を見るのか?? 永遠のテーマです。
ボクは当時を経験していないから、極力、客観的に見ようとしています。
英米視点の本も楽しく読みますし、そもそも行ったことのある外国が、中、米、英の3か国ですからねぇ。
特に戦争となると、政治的側面と軍事的側面を分けて考えなければならず、軍司令官の考え方と最前線の中隊長の考え方の違いも楽しみます。
ヒトラーとナチスの考え方がいくらかわかったように、極端に言えば、米軍の戦死者を減らすために日本に原爆を落とすというトルーマンの考え方も理解できます。自分がトルーマンだったらどうするか?? って考えますね。

もちろん勝者=正義ではないことも理解していますし、その勝者によってつくられた歴史認識と違う、日本、ドイツという敗者から見た歴史が面白いんですね。

by ヴィトゲンシュタイン (2015-02-17 19:11) 

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