ル・グラン・デューク [戦争まんが]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ヤン, ロマン・ユゴー 著の「ル・グラン・デューク」を読破しました。
先日の宮崎駿著の「泥まみれの虎」で、まんがに目覚めた?ヴィトゲンシュタインが
本屋でチラ見して気になっていたスイス製の空軍独ソ戦まんがを第二弾に選びました。
これは「まんが」というより、「バンド・デシネ(フランス式まんが)」というそうで、
大人向けのオールカラーで、1コマ1コマが非常に丁寧に描かれたものです。
原著のハードカバー3冊をソフトカバー1冊にまとめた大判の本書は2,940円 となかなかの値段・・。
タイトルの「ル・グラン・デューク」とはフランス語で 「ワシミミズク」のことだそうで、
本書の主役機、ハインケルHe219の愛称「ウーフー」もドイツ語でワシミミズクを意味するそうです。
第1章は1943年の東部戦線、まだドイツ軍が制空権を握っているとき・・。
第3夜間戦闘航空団(NJG3)に所属する、ナチ嫌いのパイロット、ヴルフ中尉が主人公です。
尾翼に描かれた「鉤十字」は国の識別マークではなく、ナチ党のマークであることから
愛機のソレは塗りつぶすという徹底振りで、周囲を困らせたり、反感を買ったり・・。
しかし腕の立つパイロットである彼に、新型の夜間戦闘機ハインケルHe219「ウーフー」が・・。
このHe219は、史実では東部戦線へ配備されてないそうですが、よっぽどのマニアでない限り
自分を含めて違和感は感じません。
一方、ソ連側では赤色空軍の女性パイロット、リリア・リトヴァスキ中尉が主役。
彼女たちは「夜の魔女」としてドイツ軍陣地に爆弾をばら撒くのが主な任務です。
そして昼間戦闘機部隊へ移動になるものの、「空飛ぶメスザル」など信用しない大佐からは
冷たくあしらわれ、ストーブ直しを命ぜられます。
これは完全に「出撃!魔女飛行隊」のパターンだな~と思いましたが、
この主役の名前も、あの「リディア・リトヴァク」をもじったものであるのは間違いないでしょう。
時期的にはリディア・リトヴァクは戦死していますが、彼女以外にも活躍した女性パイロット
(しかも結構カワイイ)は多かったようですしね。
そして強気の彼女は、身体を使ってさっさと大佐を誘惑し、飛行任務に就きますが、
この「バンド・デシネ」は結構、エロく描いてますね。。う~ん、嫌いじゃありません。。
第2章は1944年秋、赤軍の攻勢の前に主人公のヴルフも「ウーフー」が撃墜され、
昼間戦闘機隊へ移動し、Fw-190で戦果を挙げていきます。
捕虜にしたソ連の女性パイロットを陸軍兵士が強姦・・、
そのような行為を許せないヴルフ。
彼は小さい一人娘に「女の人は殺さない」と約束しているのでした。
ヴルフを誘惑する婦人補助部隊の色っぽいおねーちゃんも登場しますが、
これがまた、芸術的なほどに描かれた美巨乳で、実に素晴らしい。。
自他ともに認める「おっぱい星人」のヴィトゲンシュタインとしては大好物です。。
ソ連側でも、主人公のリリアに恋をするエース・パイロット、ヴァレンティンと
そのエースに思いを抱く政治委員の陰険なおばちゃんの三角関係が展開。。
イメージしていたより、人間関係がドラマチックに描かれていて
さすが大人をターゲットにしたまんが、、じゃなくて「バンド・デシネ」ですね。
第3章は1945年春、戦局は決定的となったものの
娘の疎開したドレスデンが壊滅し、復讐の鬼となったヴルフは撃墜を重ねます。
そしてドイツ側の捕虜となったリリアが、ソ連の女性エース・パイロットという宣伝材料として
ベルリン送りになるという情報を捕虜からの仕入れた政治委員のおばちゃんは、
この輸送機の撃墜任務をヴァレンティンに託します。
しかしそこに愛するリリアが搭乗していることなど知らされないヴァレンティン・・。
またその輸送機には柏葉騎士十字章を受章するためにベルリンへ向かうヴルフも
乗り込んでいるのでした。
なんとか生き延びることのできた主役の2人。
しかし同僚の脱走に手を貸したかどで、懲罰任務を与えられたヴルフ。
彼が乗る飛行機はBf-109と、機首に4㌧爆薬を装着するJu-88が合体した
空飛ぶ棺桶「ミステル」です。
この親子飛行機でキュストリンの橋を破壊する特攻任務に命を懸けるヴルフの運命は・・。
最初は綺麗だな~と思いながら読んでいましたが、途中、空戦が始まるとなにか物足りない・・。
コレは「バンド・デシネ」特有の技法であって、「ギューン!」とか「バババババッ!」とか
擬音が一切ないんですね。
なので、コマ1つは静止画のような綺麗な空戦が連続するんですが、
それがスピード感や迫力に欠けたように感じるみたいです。
160ページの本書ですが、2時間くらいかけて、ジックリと読みました。
フォッケウルフ Ta152やらエアコブラやらの飛行機と塗装、コックピットに装備、
ドイツ陸軍も含め、冬季のバラバラな軍服と実に細かく、丁寧に描かれていましたし、
ルフトヴァッフェ内に混在するナチ派と反ナチ派や、独ソの敵同士の交流・・と
戦争に翻弄される個人個人の心情が充分伝わってくるものでした。
登場人物もストーリーもフィクションですけど、
300機撃墜でスターリンから1万ルーブルの懸賞金を懸けられたハルトマンの話もあったり・・。
今まで読んだ「まんが」とは明らかに違った、初体験の一冊でした。
次に「独破戦線」で紹介できる「まんが」は、まだ決まっていません。あるのかな?
ヤン, ロマン・ユゴー 著の「ル・グラン・デューク」を読破しました。
先日の宮崎駿著の「泥まみれの虎」で、まんがに目覚めた?ヴィトゲンシュタインが
本屋でチラ見して気になっていたスイス製の空軍独ソ戦まんがを第二弾に選びました。
これは「まんが」というより、「バンド・デシネ(フランス式まんが)」というそうで、
大人向けのオールカラーで、1コマ1コマが非常に丁寧に描かれたものです。
原著のハードカバー3冊をソフトカバー1冊にまとめた大判の本書は2,940円 となかなかの値段・・。
タイトルの「ル・グラン・デューク」とはフランス語で 「ワシミミズク」のことだそうで、
本書の主役機、ハインケルHe219の愛称「ウーフー」もドイツ語でワシミミズクを意味するそうです。
第1章は1943年の東部戦線、まだドイツ軍が制空権を握っているとき・・。
第3夜間戦闘航空団(NJG3)に所属する、ナチ嫌いのパイロット、ヴルフ中尉が主人公です。
尾翼に描かれた「鉤十字」は国の識別マークではなく、ナチ党のマークであることから
愛機のソレは塗りつぶすという徹底振りで、周囲を困らせたり、反感を買ったり・・。
しかし腕の立つパイロットである彼に、新型の夜間戦闘機ハインケルHe219「ウーフー」が・・。
このHe219は、史実では東部戦線へ配備されてないそうですが、よっぽどのマニアでない限り
自分を含めて違和感は感じません。
一方、ソ連側では赤色空軍の女性パイロット、リリア・リトヴァスキ中尉が主役。
彼女たちは「夜の魔女」としてドイツ軍陣地に爆弾をばら撒くのが主な任務です。
そして昼間戦闘機部隊へ移動になるものの、「空飛ぶメスザル」など信用しない大佐からは
冷たくあしらわれ、ストーブ直しを命ぜられます。
これは完全に「出撃!魔女飛行隊」のパターンだな~と思いましたが、
この主役の名前も、あの「リディア・リトヴァク」をもじったものであるのは間違いないでしょう。
時期的にはリディア・リトヴァクは戦死していますが、彼女以外にも活躍した女性パイロット
(しかも結構カワイイ)は多かったようですしね。
そして強気の彼女は、身体を使ってさっさと大佐を誘惑し、飛行任務に就きますが、
この「バンド・デシネ」は結構、エロく描いてますね。。う~ん、嫌いじゃありません。。
第2章は1944年秋、赤軍の攻勢の前に主人公のヴルフも「ウーフー」が撃墜され、
昼間戦闘機隊へ移動し、Fw-190で戦果を挙げていきます。
捕虜にしたソ連の女性パイロットを陸軍兵士が強姦・・、
そのような行為を許せないヴルフ。
彼は小さい一人娘に「女の人は殺さない」と約束しているのでした。
ヴルフを誘惑する婦人補助部隊の色っぽいおねーちゃんも登場しますが、
これがまた、芸術的なほどに描かれた美巨乳で、実に素晴らしい。。
自他ともに認める「おっぱい星人」のヴィトゲンシュタインとしては大好物です。。
ソ連側でも、主人公のリリアに恋をするエース・パイロット、ヴァレンティンと
そのエースに思いを抱く政治委員の陰険なおばちゃんの三角関係が展開。。
イメージしていたより、人間関係がドラマチックに描かれていて
さすが大人をターゲットにしたまんが、、じゃなくて「バンド・デシネ」ですね。
第3章は1945年春、戦局は決定的となったものの
娘の疎開したドレスデンが壊滅し、復讐の鬼となったヴルフは撃墜を重ねます。
そしてドイツ側の捕虜となったリリアが、ソ連の女性エース・パイロットという宣伝材料として
ベルリン送りになるという情報を捕虜からの仕入れた政治委員のおばちゃんは、
この輸送機の撃墜任務をヴァレンティンに託します。
しかしそこに愛するリリアが搭乗していることなど知らされないヴァレンティン・・。
またその輸送機には柏葉騎士十字章を受章するためにベルリンへ向かうヴルフも
乗り込んでいるのでした。
なんとか生き延びることのできた主役の2人。
しかし同僚の脱走に手を貸したかどで、懲罰任務を与えられたヴルフ。
彼が乗る飛行機はBf-109と、機首に4㌧爆薬を装着するJu-88が合体した
空飛ぶ棺桶「ミステル」です。
この親子飛行機でキュストリンの橋を破壊する特攻任務に命を懸けるヴルフの運命は・・。
最初は綺麗だな~と思いながら読んでいましたが、途中、空戦が始まるとなにか物足りない・・。
コレは「バンド・デシネ」特有の技法であって、「ギューン!」とか「バババババッ!」とか
擬音が一切ないんですね。
なので、コマ1つは静止画のような綺麗な空戦が連続するんですが、
それがスピード感や迫力に欠けたように感じるみたいです。
160ページの本書ですが、2時間くらいかけて、ジックリと読みました。
フォッケウルフ Ta152やらエアコブラやらの飛行機と塗装、コックピットに装備、
ドイツ陸軍も含め、冬季のバラバラな軍服と実に細かく、丁寧に描かれていましたし、
ルフトヴァッフェ内に混在するナチ派と反ナチ派や、独ソの敵同士の交流・・と
戦争に翻弄される個人個人の心情が充分伝わってくるものでした。
登場人物もストーリーもフィクションですけど、
300機撃墜でスターリンから1万ルーブルの懸賞金を懸けられたハルトマンの話もあったり・・。
今まで読んだ「まんが」とは明らかに違った、初体験の一冊でした。
次に「独破戦線」で紹介できる「まんが」は、まだ決まっていません。あるのかな?
こんにちは~
フランス・ベルギーのコミック文化はすごいですね、ドイツとは量も浸透度も格段に違うと思います。
ヴィト様がご指摘になった擬音の効果も、日本の漫画ならではの手法ですね。「シーーーーン」のような本来音のない表現なども出来るのですが、これは竹宮恵子さんいわく、表現の際の「リアル」と「リアリテイ」の違いだと思われます。西洋のコミックがカラーや書き込みでリアル感を追求するのに対し、日本の漫画は漫画的な、オーバーな表現や集中線・擬音などの効果を使って実際とは違うけれどもリアリテイを演出する、ということなのでしょうね。この辺は、日本人の物の捉え方が平面的なのに対し、西洋人が立体的、という話とも関係ありそうです。おたくっぽい解説ですみません。。。。
次のまんがは・・・というお話ですが、手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」なんかどうでしょうか。数年前にドイツでも出版され、好評でした。4巻あって、フィクションと、実在の人物とが絡み合っていて、ゾルゲ事件や中東の戦争まで描かれていて読み応えあると思いますよ~
by IZM (2011-12-23 19:26)
IZMさん。お待ちしておりました。
なるほどね~。そーゆーおたくっぽい「プロ」の解説を期待してましたから、勉強になりました。
>フランス・ベルギーのコミック文化はすごいですね、ドイツとは・・
日本のTVでもよく、フランスで日本のマンガが流行ってるなんて紹介されていますが、ドイツになると違うんですねぇ。
もともとコミック文化がないのかな? IZMさんが頑張るしか・・?
>手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」なんかどうでしょうか。
むぅ~、「ブラック・ジャック」のコミックを何度も読み返す手塚治虫ファンの少年だったヴィトに、コレを薦めてくるところがスゴイ・・。そして実際、読んだことがないのがスゴイ・・。
加山雄三のブラック・ジャックも凄かったけど、「頬っぺたの膨らんだドジョウ」こと、宍戸錠が演じてたというのもスゴイ。
早速、「アドルフに告ぐ」で決定しましたが、いま思い出した一番、印象に残ってる手塚治虫の作品は「火の鳥「未来編」」ですね。小学生の時、生まれて初めて「不老不死」について考えたまんがでした。当時、何十回と読み返しましたが、もう一回、読んでみたいなぁ。
by ヴィトゲンシュタイン (2011-12-23 20:51)
こんばんは。またお邪魔します。
卓上カレンダーを買いに行った本屋に「ル・グラン・デューク」がありましたので立ち読みして来ました。
日本のマンガとは随分違いますね。手書きがベースと思いますが着色はCGなのでしょうか、新鮮な絵柄でした。
お色気もリアルでなかなか宜しい。
ちょっと理解不能なのは、ミステルの弾頭の先端にミミズクが縛り付けられているシーン。随分むごいことするな~と感じました。あれはどういった意味なのでしょうね?
立ち読みの分際で生意気でしたね。
ところで戦記コミックでは小林源文氏の「黒騎士物語」や「カンプグルッペzbv」などはいかがでしょう。私は擦り切れるほど読みました。こちらのブログを読まれてる諸賢はすでにご存知だと思いますが・・・。
by レオノスケ (2012-01-22 23:14)
>あれはどういった意味なのでしょうね?
あ~、どうでしたかねぇ。出先なので思い出せず、スイマセン。。
>小林源文氏の「黒騎士物語」や「カンプグルッペzbv」などはいかがでしょう。
むむ・・。これまた凄いタイミングできました。。。
ちょうど氏のイラストが掲載されている本を読んだところで、明日にはUP予定です。
「黒騎士物語」とかも聞いたこともありますが、「炎の騎士 ヨーヘン・パイパー戦記」なんて面白そうですね。
by ヴィトゲンシュタイン (2012-01-23 12:21)
どーもこんにちはブルクハイトでございます。
前の記事ではありますが最近読みましたのでコメント失礼します。
これあまりにもヴァレンティン大尉が可哀想すぎますよね。あんなに男らしくていいヤツなのに「リリアのために」とか言いながら死んじゃった次のページでリリアが主人公に抱かれてるというね...
あとカラーかつ丁寧な背景の戦争漫画って言うのも素晴らしい。
白黒ではこうはいきませんからねぇ。むしろ陸戦ものを書いてほしいなぁと思いましたね。泥の中を走るT34とか、野戦陣地とか、雪上での戦争とかカラーだと見ていてホントわくわくしますよ。
by ブルクハイト (2014-07-30 18:24)
ど~も、ブルクハイトさん。
カレコレ2年半も前になるんですねぇ。でも、よく覚えています。
そう・・、ヴァレンティン大尉・・、男らしいですよねぇ。
すべては嫉妬に狂った政治委員のババアが悪い!!
このバンドデシネは1コマたりとも軽く通り過ぎれません。
仰る通り、ロシアの陸戦は見てみたい。確か、前半には冬季戦でいろんな種類の上着を着込んだドイツ兵が出てたような・・。
by ヴィトゲンシュタイン (2014-07-30 21:30)
野戦憲兵っぽいドイツ兵とかもいましたねぇ…。あとドレスデン爆撃のシーンは圧巻です。あれは神がかっている!!
......そういえば近々更新停止されるというのは本当でしょうか?
手のかかった記事を作るのは大変だとわかります、よく参考にさせてもらってたので悲しいです。
鈍器で頭を殴られたかのようなショックであります。
ぶしつけですが良ければ理由をお聞かせ願えませんか?
by ブルクハイト (2014-07-31 09:42)
ど~も、ブルクハイトさん。
そう、本当なんです。
まぁ大人の理由ということで察して戴ければ。。
いつも、コメントありがとうございました。
by ヴィトゲンシュタイン (2014-07-31 20:52)