WW2ドイツの特殊作戦 -恐るべき無法と無謀の集大成- [戦記]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
広田 厚司 著の「WW2ドイツの特殊作戦」を読破しました。
8月に読破した「ヒトラーのスパイたち」で登場した「ブランデンブルク隊」の話・・。
「もっと細かくして1冊の本にして欲しかったくらいです。」なんて書いてましたが、
その1ヶ月前に発刊されていたのが本書です。
たまたまamazonで「怒涛のドイツ陸軍の進攻を容易に導いたブランデンブルグ部隊。
種々の専門技能、外国語にも精通し、優れた体格を有する恐るべき戦争のプロたち」
と紹介された293ページ本書を発見して、お昼には本屋さんで購入してしまいました。

まず序章では国防軍防諜部(アプヴェーア)のカナリス提督と、その彼によって
1939年に編成されたフォン・ヒッペル大佐のブランデンブルク部隊の
入隊基準や訓練などが解説されます。
ヒトラーの政策により、外国に住むドイツ人が母国へ戻るよう奨励された結果、
多種技能を有して外国語を操る数千人の人びとが帰国したそうです。

そして第1章は「ヒンデンブルク作戦」。。
初めて聞いた作戦名ですが、読み進めるとポーランド侵攻直前にハイドリヒと
舎弟のナウヨックスが仕掛けた、国境そばのラジオ放送局を襲撃するというヤツですね。
これにブランデンブルク隊がどう絡んでいたのか・・というと特に絡んでいません・・。
実際のポーランド戦が始まってから、軍本隊よりも先にポーランドへ入り、
石炭と鉱山施設をポーランド側の破壊行為から守る任務に就いたそうです。

第2章は「フェンロー作戦」。。
これってまさかシェレンベルクのヤツ??と思いましたが、
1940年の西方電撃戦におけるムーズ河に架かるヘネプ鉄道橋を確保するというミッションでした。
本書は文庫ながら150枚程度の写真が掲載されていて、
この任務を指揮したヴァルター中尉も写真つき・・。結構、良い男です。
また、ココでは英国侵攻の「あざらし作戦」の話が出てきますが、なんか違うだろ・・?
「ゼーレーヴェ作戦」は「あしか」ですよね。。
そういえば著者は「武装親衛隊 -ドイツ軍の異色兵力を徹底研究-」の方でした。
細かいところはちょっと怪しい気が・・。

次の章はベルギーの「エーベン・エメール要塞」攻略です。
これはコッホ大尉率いる空軍のグライダーと降下猟兵の活躍で
以前に読んだ「ストーミング・イーグルス」のような展開です。
これにブランデンブルク隊がどう絡んでいたのか・・というとやっぱり絡んでいません・・。
この時点で気づきましたが、本書はブランデンブルク隊に特化したものではないんですね。

続く「バルバロッサ作戦」ではグデーリアン装甲集団の猪突猛進を助けるべく、
赤軍兵に扮した橋梁奇襲作戦の実行です。
進軍するドイツ軍の流れに巻き込まれれば、攻撃を受けてしまう可能性もあるこの特殊任務。
橋頭堡の維持は15分の予定が、実際は数時間にもおよび
指揮を取るクラーク中尉以下、多数の戦死者を出てしまいます。
これはブランデンブルク隊の真骨頂ですね。

北アフリカでは300名のブランデンブルク隊が「アフリカ中隊」として送られ、
英軍ばりの「長距離砂漠挺身隊」としても活動。
連合軍が上陸してきたチュニジアでも、ラムケ降下猟兵大隊の残存兵と合流し、
最終的には脱出する者、捕虜になる者・・。

中盤の第6章は「スコルツェニーSS少佐の登場」です。
有名な「ムッソリーニ救出作戦」が紹介され、「走り幅跳び作戦」なるものの説明が・・。
これはテヘランに集う連合軍の3巨頭をまとめて暗殺してしまおうというものだそうで、
RSHA長官カルテンブルンナーが総責任者となり、スコルツェニーが実行指揮官に任命。
ヒトラーにも承認された計画だそうですが、ソ連側にバレて、やむなく中止・・。ふ~ん。。

SS降下猟兵第500大隊が活躍した、バルカンでのパルチザンの首領「チトー急襲作戦」。
これには第7SS義勇山岳師団プリンツ・オイゲンとブランデンブルク隊も参加していました。
直前に降伏したイタリア軍は重火器を含めた武器をパルチザンに引き渡してしまい、
戦力充実した相手に大損害を被り、チトーにも逃げられて軍服をゲットしただけに留まります。
この章はなかなか良く書かれていました。

そして「グライフ作戦」。バルジの戦いにおける米軍に変装した後方攪乱で有名です。
このスコルツェニーの「第150戦車旅団」の構成が詳しく書かれていて
空軍降下猟兵大隊2個、SS特殊部隊1個、SS降下猟兵第500大隊の残存部隊(第600に改名)、
陸軍からも装甲部隊、擲弾兵部隊、対戦車砲に迫撃砲などが中隊単位で参加しています。
また、並行して実施されたフォン・デア・ハイデ大佐の降下作戦も解説されていますが、
このあたりはトーランドの「バルジ大作戦」のダイジェストのような感じです。
パンツァーファウスト(戦車鉄拳)とか、パンツァーシュレック(戦車驚愕)、というカッコ書きが
けっこう笑えました。。戦車驚愕って・・?

後半は海空の特殊部隊が続きます。
「K-特殊部隊(K戦隊)」は特殊潜航艇と自爆ボートが売りの海軍特殊部隊です。
一人乗りの「ネガー」や「ビーバー」、二人乗りの「ゼーフント」が登場し、
果敢な、そして物悲しい突撃を繰り返します。そういえばゼーフントが「あざらし」ですね。

イタリア海軍が実績を挙げていたフロッグマンの訓練もドイツは始めます。
頑健で知識と技量、冷静な判断力を兼ね備えた一握りのスペシャリストだけが
選ばれるフロッグマンは、酸素ボンベで水中で自由に活動するエリートです。
そしてここに首を突っ込むのが、特殊部隊の主役、スコルツェニー。。
SSの要員を無理やり参加させているようで、本書には書かれていませんが、
彼らがレマーゲン鉄橋爆破任務 ⇒ 失敗・・だったんでしょうね。

空軍は以前に紹介した「ヒトラーの特攻隊」こと、「エルベ特別攻撃隊」と
「第200爆撃航空団」が紹介されます。
バウムバッハ大佐が運営する第200爆撃航空団が出てくるものは初めて読みましたので
非常に興味深かったですね。
情報員を敵地に潜入させることを目的としたこの特殊部隊は、その任務のため、
不時着したB-17爆撃機などの英米機を修理/復元して使用していたそうです。
さらに彼らが最後の任務として敗戦の混乱のなか、ナチ高官を友好国へ逃亡させた・・。

最後は「人狼部隊」です。
ヒトラー・ユーゲント指導者アクスマンとSSのプリュッツマン、スコルツェニーに
カルテンブルンナーによって編成されたということですが、
元人狼メンバーの回想などが語られます。
特にアーヘン市長の暗殺が彼らの戦果であり、わりと顔の知られたイルゼ・ヒルシュという名の
少女団(BdM)の女の子がこの暗殺事件に関わっていたというのは初めて知った話です。

紹介文に書かれているようなブランデンブルク隊については半分以下・・という本書でしたが
このように、SS、海軍、空軍と幅広くドイツの特殊部隊を時系列で整理した一冊で
戦局の推移によって、特殊部隊の必要性がどのように変化していったのかもわかる反面、
ブランデンブルク隊について深く知りたかった自分にとっては、物足りなくもありました。
また、最後の「第200爆撃航空団」と「人狼部隊」の話については、どこまでホントか、
疑問に思うのも事実ですね。
広田 厚司 著の「WW2ドイツの特殊作戦」を読破しました。
8月に読破した「ヒトラーのスパイたち」で登場した「ブランデンブルク隊」の話・・。
「もっと細かくして1冊の本にして欲しかったくらいです。」なんて書いてましたが、
その1ヶ月前に発刊されていたのが本書です。
たまたまamazonで「怒涛のドイツ陸軍の進攻を容易に導いたブランデンブルグ部隊。
種々の専門技能、外国語にも精通し、優れた体格を有する恐るべき戦争のプロたち」
と紹介された293ページ本書を発見して、お昼には本屋さんで購入してしまいました。

まず序章では国防軍防諜部(アプヴェーア)のカナリス提督と、その彼によって
1939年に編成されたフォン・ヒッペル大佐のブランデンブルク部隊の
入隊基準や訓練などが解説されます。
ヒトラーの政策により、外国に住むドイツ人が母国へ戻るよう奨励された結果、
多種技能を有して外国語を操る数千人の人びとが帰国したそうです。

そして第1章は「ヒンデンブルク作戦」。。
初めて聞いた作戦名ですが、読み進めるとポーランド侵攻直前にハイドリヒと
舎弟のナウヨックスが仕掛けた、国境そばのラジオ放送局を襲撃するというヤツですね。
これにブランデンブルク隊がどう絡んでいたのか・・というと特に絡んでいません・・。
実際のポーランド戦が始まってから、軍本隊よりも先にポーランドへ入り、
石炭と鉱山施設をポーランド側の破壊行為から守る任務に就いたそうです。

第2章は「フェンロー作戦」。。
これってまさかシェレンベルクのヤツ??と思いましたが、
1940年の西方電撃戦におけるムーズ河に架かるヘネプ鉄道橋を確保するというミッションでした。
本書は文庫ながら150枚程度の写真が掲載されていて、
この任務を指揮したヴァルター中尉も写真つき・・。結構、良い男です。
また、ココでは英国侵攻の「あざらし作戦」の話が出てきますが、なんか違うだろ・・?
「ゼーレーヴェ作戦」は「あしか」ですよね。。
そういえば著者は「武装親衛隊 -ドイツ軍の異色兵力を徹底研究-」の方でした。
細かいところはちょっと怪しい気が・・。

次の章はベルギーの「エーベン・エメール要塞」攻略です。
これはコッホ大尉率いる空軍のグライダーと降下猟兵の活躍で
以前に読んだ「ストーミング・イーグルス」のような展開です。
これにブランデンブルク隊がどう絡んでいたのか・・というとやっぱり絡んでいません・・。
この時点で気づきましたが、本書はブランデンブルク隊に特化したものではないんですね。

続く「バルバロッサ作戦」ではグデーリアン装甲集団の猪突猛進を助けるべく、
赤軍兵に扮した橋梁奇襲作戦の実行です。
進軍するドイツ軍の流れに巻き込まれれば、攻撃を受けてしまう可能性もあるこの特殊任務。
橋頭堡の維持は15分の予定が、実際は数時間にもおよび
指揮を取るクラーク中尉以下、多数の戦死者を出てしまいます。
これはブランデンブルク隊の真骨頂ですね。

北アフリカでは300名のブランデンブルク隊が「アフリカ中隊」として送られ、
英軍ばりの「長距離砂漠挺身隊」としても活動。
連合軍が上陸してきたチュニジアでも、ラムケ降下猟兵大隊の残存兵と合流し、
最終的には脱出する者、捕虜になる者・・。

中盤の第6章は「スコルツェニーSS少佐の登場」です。
有名な「ムッソリーニ救出作戦」が紹介され、「走り幅跳び作戦」なるものの説明が・・。
これはテヘランに集う連合軍の3巨頭をまとめて暗殺してしまおうというものだそうで、
RSHA長官カルテンブルンナーが総責任者となり、スコルツェニーが実行指揮官に任命。
ヒトラーにも承認された計画だそうですが、ソ連側にバレて、やむなく中止・・。ふ~ん。。

SS降下猟兵第500大隊が活躍した、バルカンでのパルチザンの首領「チトー急襲作戦」。
これには第7SS義勇山岳師団プリンツ・オイゲンとブランデンブルク隊も参加していました。
直前に降伏したイタリア軍は重火器を含めた武器をパルチザンに引き渡してしまい、
戦力充実した相手に大損害を被り、チトーにも逃げられて軍服をゲットしただけに留まります。
この章はなかなか良く書かれていました。

そして「グライフ作戦」。バルジの戦いにおける米軍に変装した後方攪乱で有名です。
このスコルツェニーの「第150戦車旅団」の構成が詳しく書かれていて
空軍降下猟兵大隊2個、SS特殊部隊1個、SS降下猟兵第500大隊の残存部隊(第600に改名)、
陸軍からも装甲部隊、擲弾兵部隊、対戦車砲に迫撃砲などが中隊単位で参加しています。
また、並行して実施されたフォン・デア・ハイデ大佐の降下作戦も解説されていますが、
このあたりはトーランドの「バルジ大作戦」のダイジェストのような感じです。
パンツァーファウスト(戦車鉄拳)とか、パンツァーシュレック(戦車驚愕)、というカッコ書きが
けっこう笑えました。。戦車驚愕って・・?

後半は海空の特殊部隊が続きます。
「K-特殊部隊(K戦隊)」は特殊潜航艇と自爆ボートが売りの海軍特殊部隊です。
一人乗りの「ネガー」や「ビーバー」、二人乗りの「ゼーフント」が登場し、
果敢な、そして物悲しい突撃を繰り返します。そういえばゼーフントが「あざらし」ですね。

イタリア海軍が実績を挙げていたフロッグマンの訓練もドイツは始めます。
頑健で知識と技量、冷静な判断力を兼ね備えた一握りのスペシャリストだけが
選ばれるフロッグマンは、酸素ボンベで水中で自由に活動するエリートです。
そしてここに首を突っ込むのが、特殊部隊の主役、スコルツェニー。。
SSの要員を無理やり参加させているようで、本書には書かれていませんが、
彼らがレマーゲン鉄橋爆破任務 ⇒ 失敗・・だったんでしょうね。

空軍は以前に紹介した「ヒトラーの特攻隊」こと、「エルベ特別攻撃隊」と
「第200爆撃航空団」が紹介されます。
バウムバッハ大佐が運営する第200爆撃航空団が出てくるものは初めて読みましたので
非常に興味深かったですね。
情報員を敵地に潜入させることを目的としたこの特殊部隊は、その任務のため、
不時着したB-17爆撃機などの英米機を修理/復元して使用していたそうです。
さらに彼らが最後の任務として敗戦の混乱のなか、ナチ高官を友好国へ逃亡させた・・。

最後は「人狼部隊」です。
ヒトラー・ユーゲント指導者アクスマンとSSのプリュッツマン、スコルツェニーに
カルテンブルンナーによって編成されたということですが、
元人狼メンバーの回想などが語られます。
特にアーヘン市長の暗殺が彼らの戦果であり、わりと顔の知られたイルゼ・ヒルシュという名の
少女団(BdM)の女の子がこの暗殺事件に関わっていたというのは初めて知った話です。

紹介文に書かれているようなブランデンブルク隊については半分以下・・という本書でしたが
このように、SS、海軍、空軍と幅広くドイツの特殊部隊を時系列で整理した一冊で
戦局の推移によって、特殊部隊の必要性がどのように変化していったのかもわかる反面、
ブランデンブルク隊について深く知りたかった自分にとっては、物足りなくもありました。
また、最後の「第200爆撃航空団」と「人狼部隊」の話については、どこまでホントか、
疑問に思うのも事実ですね。
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