バルバロッサのプレリュード -ドイツ軍奇襲成功の裏面・もうひとつの史実- [パンツァー]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
マクシム・コロミーエツ著の「バルバロッサのプレリュード」を読破しました。
この「独ソ戦車戦シリーズ」の紹介は3冊目になりますが、以前に4冊ほど
まとめ買いしていたので、順番もメチャクチャですいません。。
本書は「クルスクのパンター」に続く、第2巻になりますが、このタイトルは微妙ですねぇ。
大体、日本男児に「プレリュード」と言われても、HONDAのクルマしか思い浮かびません。。
恥ずかしながら、一応、確認がてら調べると「前奏曲」という意味だそうで、
序文でも「1941年6月当時の独ソ両陸軍の兵力比較をテーマ」と書かれているように
バルバロッサ作戦が発動される直前の兵器と編成を多数の写真で解説したものです。
第1章は「ドイツ国防軍」ですが、序文でも「興味深いポイントのみ・・」と書かれているように
130ページの本書の前半30ページのみとなっています。
それでも40枚ほど掲載されている写真にはフランスの鹵獲戦車シャールが
火炎放射戦車に改良され、これを24両揃えた1個大隊が参加したという
なかなか興味深い写真とキャプションもありました。
第2章からは開戦前夜のソ連軍が最後まで続きます。
トップである国防人民委員にはヴォロシーロフに代わったティモシェンコが、
そして参謀総長にはジューコフが・・、さらに各軍管区なども一覧表が掲載されて
なかなかわかりやすいですね。
赤軍大粛清によって革命戦の経験者がわずか6%になってしまった士官。
しかし名誉回復によって1万3千名が復帰しています。
確か、ロコソフスキーもその一人だったかと・・。
また、この粛清がもたらした影響・・、指揮官が決定を下すことに対して
恐怖心を覚えてしまったことにも触れています。
そして装備。1939年までに生産された大量の45㎜徹甲弾の熱処理加工が
いい加減だったことが判明し、1941年5月に各部隊から回収が始まってしまいます。
結果、1ヶ月後の開戦時には、砲兵や戦車部隊に1発の徹甲弾もないという事態に・・。
76㎜についても1440門の砲に対して、2万発のみ・・、1門当たり、たったの2.6発です。
1941年初頭から始まった大機械化軍団構想は、先日紹介した「ドイツ装甲師団」を
彷彿とさせる内容です。
ジューコフが何を考えて、機械化軍団の追加編成にサインしたのか釈然としないと
書かれているように、人員も兵器もない新たな機械化軍団12個。
そのバルバロッサ当日の陣容も編成表によって細かく書かれていて、
例えば、先の本で嘆いていたロコソフスキーの第9機械化軍団を見ると、
人員こそ3万人と90%の充足率ではあるものの、戦車に至っては286両と充足率26%です。
もちろん本来配備されているべきT-34は1両もありません。。
さらにこれらの機械化軍団に大量に招集された新兵たちの訓練は完了予定が
1941年の年末であり、24の民族籍のうち、15以上の民族は
ロシア語がまったく話すことが出来ない・・というありさまです。
新型戦車であるT-34とKV重戦車の生産は増えてきたものの、多くは車庫に眠ったままで
乗員の訓練は古いBT快速戦車やT-26軽戦車で行われていたことから、
開戦直前にこれらの新型戦車が配備された戦車師団では、
誰も見たり、知っていたりする者はなく、開戦の火蓋が着られるや否や、
滅茶苦茶な操作をしてその大半が故障などにより失われてしまった・・としています。
最後の「要塞地帯」では旧国境の防衛線「スターリン線」の状況が詳しく書かれています。
1939年にNKVDのベリヤがヴォロシーロフに送った要塞地帯の報告メモも引用され、
20㎝以上も浸水し、水道は機能せず、電気も換気も食料庫もない・・というのは前置きで、
「第3号永久トーチカは窪地の傾斜面に造営され、常に地滑りを起こし、
砲は周囲の地面より低く設置されているため役に立たない」。
ちょっと抜粋ですが、こりゃスゴいですね。。。
1940年からは新国境に「モロトフ線」の建設が始まったそうですが、
これも結局は開戦に間に合わず・・。
配備から外され、この要塞地帯で不動トーチカの役目が与えられたT-18戦車の写真もあり、
これがレーニン戦車(M-17)に続く、事実上のソ連最初の国産戦車であるというのは
勉強になりました。
監修者の斎木氏のあとがきでは、「バルバロッサ」本といえども、本書は
かつてのソ連時代には間違いなく封印されていたであろう、お寒い状況について扱った
類稀なる著作である・・と書かれていますが、
まったく同感で、いつもあとがきを先に読むヴィトゲンシュタインは
今回たまたま読み飛ばしていたということもあって、この書きっぷりには爆笑してしまいました。
あくまで前奏曲の本書ですから、撃破戦車の写真は一枚もありません。
特にソ連側はキエフでの訓練やパレードの写真が中心ですが、
逆にあまり知らなかった装甲車両の写真も多くて、なかなか新鮮に楽しめました。
次は本棚で待っている「カフカスの防衛」も読んでみますか。
マクシム・コロミーエツ著の「バルバロッサのプレリュード」を読破しました。
この「独ソ戦車戦シリーズ」の紹介は3冊目になりますが、以前に4冊ほど
まとめ買いしていたので、順番もメチャクチャですいません。。
本書は「クルスクのパンター」に続く、第2巻になりますが、このタイトルは微妙ですねぇ。
大体、日本男児に「プレリュード」と言われても、HONDAのクルマしか思い浮かびません。。
恥ずかしながら、一応、確認がてら調べると「前奏曲」という意味だそうで、
序文でも「1941年6月当時の独ソ両陸軍の兵力比較をテーマ」と書かれているように
バルバロッサ作戦が発動される直前の兵器と編成を多数の写真で解説したものです。
第1章は「ドイツ国防軍」ですが、序文でも「興味深いポイントのみ・・」と書かれているように
130ページの本書の前半30ページのみとなっています。
それでも40枚ほど掲載されている写真にはフランスの鹵獲戦車シャールが
火炎放射戦車に改良され、これを24両揃えた1個大隊が参加したという
なかなか興味深い写真とキャプションもありました。
第2章からは開戦前夜のソ連軍が最後まで続きます。
トップである国防人民委員にはヴォロシーロフに代わったティモシェンコが、
そして参謀総長にはジューコフが・・、さらに各軍管区なども一覧表が掲載されて
なかなかわかりやすいですね。
赤軍大粛清によって革命戦の経験者がわずか6%になってしまった士官。
しかし名誉回復によって1万3千名が復帰しています。
確か、ロコソフスキーもその一人だったかと・・。
また、この粛清がもたらした影響・・、指揮官が決定を下すことに対して
恐怖心を覚えてしまったことにも触れています。
そして装備。1939年までに生産された大量の45㎜徹甲弾の熱処理加工が
いい加減だったことが判明し、1941年5月に各部隊から回収が始まってしまいます。
結果、1ヶ月後の開戦時には、砲兵や戦車部隊に1発の徹甲弾もないという事態に・・。
76㎜についても1440門の砲に対して、2万発のみ・・、1門当たり、たったの2.6発です。
1941年初頭から始まった大機械化軍団構想は、先日紹介した「ドイツ装甲師団」を
彷彿とさせる内容です。
ジューコフが何を考えて、機械化軍団の追加編成にサインしたのか釈然としないと
書かれているように、人員も兵器もない新たな機械化軍団12個。
そのバルバロッサ当日の陣容も編成表によって細かく書かれていて、
例えば、先の本で嘆いていたロコソフスキーの第9機械化軍団を見ると、
人員こそ3万人と90%の充足率ではあるものの、戦車に至っては286両と充足率26%です。
もちろん本来配備されているべきT-34は1両もありません。。
さらにこれらの機械化軍団に大量に招集された新兵たちの訓練は完了予定が
1941年の年末であり、24の民族籍のうち、15以上の民族は
ロシア語がまったく話すことが出来ない・・というありさまです。
新型戦車であるT-34とKV重戦車の生産は増えてきたものの、多くは車庫に眠ったままで
乗員の訓練は古いBT快速戦車やT-26軽戦車で行われていたことから、
開戦直前にこれらの新型戦車が配備された戦車師団では、
誰も見たり、知っていたりする者はなく、開戦の火蓋が着られるや否や、
滅茶苦茶な操作をしてその大半が故障などにより失われてしまった・・としています。
最後の「要塞地帯」では旧国境の防衛線「スターリン線」の状況が詳しく書かれています。
1939年にNKVDのベリヤがヴォロシーロフに送った要塞地帯の報告メモも引用され、
20㎝以上も浸水し、水道は機能せず、電気も換気も食料庫もない・・というのは前置きで、
「第3号永久トーチカは窪地の傾斜面に造営され、常に地滑りを起こし、
砲は周囲の地面より低く設置されているため役に立たない」。
ちょっと抜粋ですが、こりゃスゴいですね。。。
1940年からは新国境に「モロトフ線」の建設が始まったそうですが、
これも結局は開戦に間に合わず・・。
配備から外され、この要塞地帯で不動トーチカの役目が与えられたT-18戦車の写真もあり、
これがレーニン戦車(M-17)に続く、事実上のソ連最初の国産戦車であるというのは
勉強になりました。
監修者の斎木氏のあとがきでは、「バルバロッサ」本といえども、本書は
かつてのソ連時代には間違いなく封印されていたであろう、お寒い状況について扱った
類稀なる著作である・・と書かれていますが、
まったく同感で、いつもあとがきを先に読むヴィトゲンシュタインは
今回たまたま読み飛ばしていたということもあって、この書きっぷりには爆笑してしまいました。
あくまで前奏曲の本書ですから、撃破戦車の写真は一枚もありません。
特にソ連側はキエフでの訓練やパレードの写真が中心ですが、
逆にあまり知らなかった装甲車両の写真も多くて、なかなか新鮮に楽しめました。
次は本棚で待っている「カフカスの防衛」も読んでみますか。
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